ロシア軍、兵器損失が急増 ウクライナ反攻で補充難航か

ロシア軍、兵器損失が急増 ウクライナ反攻で補充難航か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB163DX0W2A910C2000000/

 ※ スイッチ・ブレードや、フェニックス・ゴーストみたいな、「自爆ドローン」は爆薬の量がそれほど多くないから、戦車・装甲車を破壊するには「力不足」なのでは…。

 ※ そうすると、やはりハイマースみたいな「精密誘導ロケット砲」ということになるのか…。

 ※ 偵察ドローン+りゅう弾砲、ということかもしれない…。

『ウクライナ軍の東部や南部の反攻で、ロシア軍の損害が拡大している。軍事サイトの分析によると、侵攻開始以降の火砲などの兵器の累計損失数はこの1カ月で17%増えた。欧米からの武器供与を受けるウクライナと対照的に、補充が難航している可能性がある。

民間の軍事情報サイト「Oryx」の15日時点のリストによると、破壊されたり、ウクライナ側に渡ったりしたロシア側の兵器は合計で約6100と、ウクライナ軍の3.8倍に達する。リストに含まれるのは映像や写真で確認できたもののみで、実際の損失規模はもっと大きいとみられる。

兵器の種類別で見ると、ロシア軍はこの1カ月だけで500両を上回る戦車と装甲車を失った。トラックなどその他車両の損害も200両を超え、地上兵器を中心に損失に歯止めがかからない。

米国が供与した高機動ロケット砲システム「ハイマース」など、ウクライナが米欧から得た最新鋭の兵器が威力を発揮しているとみられる。

米国は15日にも6億ドル(約860億円)相当の追加の軍事支援を決めた。ロイター通信によるとハイマースのほか、射程の長いりゅう弾砲の弾薬、地雷除去の機器などを含む。

ブリンケン米国務長官は「我々が提供する軍事力が戦場で最大の効果を発揮し、いずれくる(ロシアとの停戦)交渉の場でウクライナの立場を強くする」と訴えた。米国によるウクライナ侵攻後の軍事支援は累計で約150億ドルにのぼる。

米国はロシアへの追加制裁も発表した。ブリンケン氏によると、ウクライナから数十万トンの穀物を強奪して世界の食料不足を悪化させた当局者らが対象になる。ウクライナの子どもを強制的にロシアに連れ去った人物らのほか、ロシアの金融・軍需産業にも制裁を科す。

制裁を受けるロシアは失った兵器の補充に苦労している可能性がある。英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)の「ミリタリー・バランス2022」のデータをみると、戦車の場合、ロシア陸軍が保有する2927台に対して4割を占める1128台が失われた。

米CNNは、ロシアは11月下旬まで新たな部隊を投入できないというウクライナ軍当局者の見立てを伝えた。訓練された職業軍人や装備品の不足が理由という。

英国防省は16日、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が遅くとも7月以降、ロシア国内の服役囚を対象に刑期の短縮や金銭と引き換えにウクライナでの任務に就くよう募っているとの情報分析を明らかにした。

不足する兵器の補充に向けて、ロシアは国内での統制を強化している。7月には政府が国内企業に対し「特別軍事作戦」に関わる物資やサービスの契約を拒否できないようにするとともに、必要に応じて従業員に休日や夜間などの労働を強制できる法律が成立した。

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ロシアメディアのRBKは8月、ロシア国防省と防衛関係の取引の多いロシアの政府系ハイテク企業ロステックについて、防衛関連の業務対応のため幹部社員を中心に休暇の取得が認められなくなったと伝えた。

損害の拡大で砲弾などの備蓄が減少し、国外から調達するとの見方も出ている。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は6日、ロシアが弾薬の調達に向けて北朝鮮と協議していると述べた。規模は数百万発にのぼる可能性があるとしている。

北朝鮮からの武器購入は、ロシアが常任理事国を務める国連安全保障理事会の決議で禁止されており、窮状ぶりがうかがえる。

ロシアからのエネルギー購入を拡大している中国は、軍事支援には慎重だ。兵器の供給などでロシアに肩入れすれば、米欧による対中経済制裁を招いてしまうためだ。

15日、ウズベキスタンのサマルカンドで約7カ月ぶりに対面で行われた中ロ首脳会談は2月の前回会談と異なり、共同声明を出さないまま終了した。会談の冒頭ではプーチン・ロシア大統領がウクライナ情勢への中国の「懸念」に異例の言及をした。

(イスタンブール=木寺もも子、伊地知将史)

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

9月から急速ににウクライナ戦争の局面が変わったようです。ロシア軍の戦意喪失や武器・装甲車など旧式が多いことは以前から指摘されていましたが、西側の最新鋭の武器供給だけでなく情報支援もかなり効果を発揮しています。北東部をウクライナ軍がかなり奪還できたこともウクライナ軍の勢いを高めています。勝利が見えない戦いにロシア軍は一段と弱体化し、年末までに一段と明確になるとの見方もあります。上海協力機構のウズベキスタン会議では中国やインドがロシアのウクライナ侵攻を直接的または非公式に批判したようです。プーチン氏への批判はロシア国内では難しいようですが、プーチン氏が一段と過激な行動にでるのか懸念されます。
2022年9月17日 22:57

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

これまで何度か書いてきたが、ロシアは「ストック」で戦い、ウクライナは「フロー」で戦っている。経済制裁はロシアの継戦能力を奪うためのものであり、武器の消耗が激しくなれば、古い武器を投入し、さらに消耗するという循環が起きている。既にロシアの防空システムや前線での情報収集能力が著しく落ちており、正確な攻撃が出来ない一方、ウクライナはアメリカのインテリジェンスに支えられ、正確な攻撃が出来ているため、ロシア側の消耗が激しい。これまで火力で圧倒するため、面的な支配を目指して大量の弾薬を使ったが、それがついに途切れたという状況なのだろう。ここからロシアが立て直すことは難しくなる。
2022年9月19日 1:58』