サマルカンドSCO(上海協力機構)はアジア政治を変えるか

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)9月17日(土曜日)
        通巻第7466号 
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 サマルカンドSCO(上海協力機構)はアジア政治を変えるか
   多彩な顔ぶれ、国際政治はアジアに焦点を移した観なきにしも
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 9月15日と16日にウズベキスタンのサマルカンドで開催されたSCO首脳会議は、正式メンバー国に加えて、「オブザーバ-」と「対話パートナー」の国々、とりわけ驚かされたのはベラルーシのルカシェンコ、トルコのエルドアン、イランのライシ、アゼルバイジャンのアリエフ各大統領の顔があったことだ。

 上海協力機構は、中国語で『上海合作組織成員国元首理事会』と長いが、世界のメディアが注目したのは中国とロシアの首脳会談である。

ふたりは賢明に蜜月ぶりをアピールしたが、軍事協力で中国は「洞ヶ峠」を決め込み、共同声明はだされなかった。そればかりか習近平はプーチン大統領等との晩餐会を欠席した。
会議全体の共同宣言は「多極的世界秩序を強化」である。

中国の『環球時報』などは社説で「習近平とプーチンは米国などが破壊した世界無秩序を立て直し、世界に安定を回復するために両国は協力する」などと浮き世離れした主張を前面にだしていた。

 個別会談でインドのモディ首相はプーチンに対し、「戦争の時代ではない」と直截な物言いをなす一方で、対立する習近平ならびにパキスタン首相とは(意図的にか)会談せず、トルコのエルドアン大統領と個別会談をこなすなど、だれよりも八面六腑だった。トルコはインド産の小麦輸入増、カシミール国境問題で協力などを協議した。

 パキスタンの首相は「この会議にアフガニスタンを呼んでいないのはミステークだ」と吠えた。

 20021年に江沢民の呼びかけでスタートしたSCOの創設メンバーは中・露にカザフ、ウズベク、タジク、キルギスの六カ国だった。設立当初の目的はテロリスト対策、軍事情報の交換と共有という主として安全保障の懸念に対しての対策だった。
 
 ▲テロ対策の安全保障目的から経済興隆の拡大へ、目標が多極化

加盟国が増えると目的が多彩となり、軍事緊張を緩和する必要が生じ、謎の国トルクメニスタン、インド、パキスタ、そしてイランが加わり、正式メンバーは十ケ国となった。安全保障から地域協力とりわけ経済、金融がおおきなウェイトを占めるようになった。
換言すれば設立メンバーの中央アジアのイスラム圏(カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタン)の存在理由が薄まったのである。

 「オブザーバー」にモンゴル、ベラルーシ、アフガニスタン、『対話パートナー』がアゼルバイジャン、アルメニア、カンボジア、ネパール、モンゴル、スリランカなど。このうち、ベラルーシが正式な加盟を申請した。このほかサマルカンド首脳会議には「傍聴的立場」でサウジ、エジプト、UAEなども参加した。

 本会議とは別途にロシアと中国がモンゴルと三ケ国会議を別室で開催した。何が重要かと言えば、ロシアのシベリア石油をモンゴル経由のパイプラインの新設、さらに三国の経済交流、貿易の拡大のために「ロシアーモンゴルー中国」の経済回廊の建設プロジェクトが話し合われたことだ。

 同日、米国連邦議会上院は台湾へ追加武器供与45億ドルを承認した。
 北京では外交部が記者会見し、「中国は一つであって、分裂を策する『あの島』へ、そうした行為をなすことは中国の主権を踏みにじることである」と言葉激しく米国を非難した。
 
 つづけて中国外交部は台湾へ武器輸出をつづける米国の軍事産業大手弐社の幹部に「制裁」をしたと発表した。

 制裁リストにあがったのはレイセオンのグレゴリー・ヘイエスCEO。同社はサイドワインダーなどを台湾へ供与した。

ボーイングのセオドル・コルベットCEOも。台湾へ長距離ミサイルハープーンを供与したボーイングは中国に数百機の旅客機契約があり、中国の制裁内容とは個人へのヴィザ発給停止など、ジェスチャーとしか思えないようなものだった。中国は二月にもロッキード・マーチンも制裁リストに挙げていた。

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