米国が対内投資審査を強化 中国念頭、AI・量子を監視

米国が対内投資審査を強化 中国念頭、AI・量子を監視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN151IX0V10C22A9000000/

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権は外国企業による対米投資の審査を強化する。人工知能(AI)や量子コンピューターなどの先端分野を重点的に監視し、安全保障のリスクとみなす判断基準を厳しくする。中国を念頭に、米国の技術や個人情報を狙った危険な対米投資を阻止する。

バイデン大統領は15日、省庁横断機関である対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を厳しくする大統領令に署名する。CFIUSは外国企業の対米投資が米国の安保に脅威とならないか判断し、案件によっては大統領に差し止めを勧告する。

投資案件を判断するときに、米国の技術的優位性への影響を考慮するようCFIUSに求める。具体的にはAIや量子のほか、半導体、バイオテクノロジー、クリーンエネルギーなどで米国の競争力を損なわないかどうかを判断基準にする。

米国のサプライチェーン(供給網)を脆弱にするような投資にも目を光らせる。米国の製造業などが外国企業の傘下に入れば、有事に戦略物資を調達できなくなるようなリスクに目配りする。

米国内のサイバーセキュリティーを脅かしたり、米国人の個人情報を奪ったりするような案件の審査にも力を注ぐ。通信網や大量のデータを抱える米国企業の買収には警戒を強める。特定産業における投資動向の変化が安保に与えるリスクも検討する。

これまでもCFIUSは環境の変化に合わせて先端技術や供給網への影響を審査時に考慮してきた。大統領令で具体的に明示することで審査を厳しくする。企業にとっては、どのような投資案件であれば政府の入念な審査を受けるのか予見しやすくなる。

2018年8月に成立した外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)は重要な技術やインフラなどが関わる対米投資の審査を強化した。今回は法改正ではなく大統領令であり、CFIUSの運営や手続きは変わらない。

バイデン政権は米国企業の対外投資を審査する制度の創設も検討している。政府高官は記者団に「的を絞った狭い範囲で、米国企業による特定の投資を審査すべきか考えている。検討作業を進めているところだ」と述べた。』