[FT]ロシア財政が悪化 石油価格下落で 軍事費に影響

[FT]ロシア財政が悪化 石油価格下落で 軍事費に影響
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB160P10W2A910C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

『ロシアの財政収支は8月、3600億ルーブル(約8600億円)の赤字となった。エネルギー輸出の急な落ち込みが原因で、年初来の黒字の大半が吹き飛ばされた。

ロシア中部の石油施設(2015年)=ロイター

1~7月の財政収支は5000億ルーブル近い黒字だった。だが、黒字額は8月の時点で1370億ルーブルに落ち込んだ。8月に大幅な財政赤字を計上したことを示唆する。複数のエコノミストは、石油・ガス収入の減少が理由だとみている。1~6月の財政黒字は1兆3700億ルーブルだった。エネルギー価格の高騰で、ロシアは軍事費を積み増すことができた。

ロシア産ガスの欧州向けの輸出量は、ロシアがウクライナに侵攻する前のおよそ5分の1に縮小した。ロシアは9月上旬、バルト海経由でドイツに至るガスパイプライン「ノルドストリーム1」を通じた供給を、西側が対ロシア制裁を解除するまで再開しない考えを示した。
原油価格は1バレル100ドルを割り込む

ガスよりも財政への寄与が大きな石油が6月以降、かなり値下がりした事実もロシア財政の足かせになっている。原油価格は一時、1バレル120ドル前後に上昇したが、最近では同100ドルを下回った。欧州へ輸出するはずだった石油をインドなど新たな需要国に引き取ってもらうため、ロシアは販売価格の引き下げを迫られた。

2月の侵攻直後に売り込まれたルーブル相場の反転も、通常はドル建てやユーロ建てで取引する石油・ガスの販売によってロシア政府が得る金額を実質、押し下げた。

足元でロシア軍はウクライナ北東部での戦闘で惨敗し、キーウ(キエフ)への進軍を取りやめて以来の大きな軍事上の後退を余儀なくされた。

1~8月のロシア政府収入の半分近くを占める石油・ガス収入は前年同期を18%下回る。

欧州連合(EU)はロシア産石炭の輸入をすでに禁止した。タンカー輸送のロシア産原油の禁輸措置も12月、発効する予定だ。

石油・ガス以外のロシア政府収入も1~8月には前年同期比37%減だった。

ロシアが受ける制裁は外貨準備の半分の凍結をはじめ、多岐にわたる。当初はあまり痛手を受けていない様子だった。

ところが9月、ロシア国営のガス大手ガスプロムが1~8月の生産量が前年同期比で15%減だったと発表した。欧州向けが中心の輸出は3分の1あまり減った。

ロシアは9月上旬、ノルドストリーム1経由での欧州向けガス供給を停止した。ロシア政府の収入の見通しは一段と暗くなりそうだ。

2023年の実質成長率はマイナス5%予想

ロシア経済発展省は、7月の実質国内総生産(GDP)が前年同月比で4.3%減ったと発表した。ロシアの大手投資会社アトンのアナリストは、同国経済はエネルギー生産の落ち込みで縮小が続き、23年の実質成長率はマイナス5%に落ち込むと予想する。

ロシア中央銀行は9月上旬の報告書で、輸出の減少傾向が続く可能性が高いと指摘した。そのうえで同国経済の先行きに慎重な見方を示した。

ロシア中銀は侵攻の直後、ルーブル下落を食い止めるため政策金利を年20%に引き上げた。資本規制も導入された。政策金利はその後、徐々に引き下げられ、13日現在では8%に設定されている。

By Nastassia Astrasheuskaya

(2022年9月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation. 』

中国新築物件価格、値下がり都市7割超に増加 8月

中国新築物件価格、値下がり都市7割超に増加 8月
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM15B820V10C22A9000000/

『【北京=川手伊織】中国国家統計局が16日発表した2022年8月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、前月比で価格が下落したのは全体の71%にあたる50都市で、7月から10都市増えた。建設工事が止まったマンションで購入者が住宅ローンの返済を拒否する動きが相次ぎ、住宅市場が混乱している。新規購入を控える人も多く取引が低調だった。

前月比で上昇したのは19都市で、7月から11都市減った。横ばいは1都市だった。各都市平均の価格下落率は0.3%で、7月から拡大した。12カ月連続で前月を下回った。前年同月比では2.1%下落し、15年8月以来のマイナス幅となった。

都市の規模別で見ると、北京、上海、広州、深圳の「1級都市」のマンション価格は平均で前月を0.1%上回った。上昇幅は7月の0.3%から縮まった。省都クラスの「2級都市」は前月より0.2%低く、それ以下の「3級都市」も0.4%低下した。

取引価格が比較的自由で市場の需給を反映しやすい中古物件では、全体の8割に相当する56都市で価格が下落した。7月より5都市多かった。値上がりは13都市だった。価格変動を単純平均すると0.4%の下落で、13カ月連続で前月を下回った。前年同月比では3.3%下がった。

【関連記事】

・深まる中国の不動産危機 日本型バブル崩壊の懸念も
・中国、住宅融資50兆円に不払いリスク 債務依存のツケ
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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

中国家電、在庫膨張2兆円 消費低迷で製販関係ひずみも

中国家電、在庫膨張2兆円 消費低迷で製販関係ひずみも
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM272CG0X20C22A6000000/

『【広州=比奈田悠佑】中国の家電在庫が膨張している。主要メーカー5社系列の完成品在庫総額(6月末時点)は、前年同期比15%増の980億元(約2兆円)と3年間で2倍に上った。長年放置してきた過剰生産問題に、新型コロナウイルス禍に伴う消費低迷が重なった。メーカーと、販売を支えてきた小売り側との関係にきしみもみられ、業界の構造改革は先行きが見通せない。

中国家電業界を代表する総合メーカーの美的集団、冷蔵庫に強みを持つ海爾集団(ハイアール)、エアコンの珠海格力電器、テレビ大手のTCL電子、白物・黒物を手掛けるハイセンス系2社がそれぞれ提出した財務諸表をもとに、日本経済新聞が集計した。

在庫総額の伸び率は、総売上高の伸び率(2割)をはるかに上回る異常なペースとなっている。なかでも、格力は2022年1~6月期の売上高が前年同期比で5%増に対し、在庫額の伸び率は28%にふくらんでいる。

在庫のダブつきは小売り側も同じだ。家電量販2強の国美零售では、22年1~6月の在庫回転日数が約81日と3年前よりも50%拡大。蘇寧易購集団も21年時点で約50日と、20年から25%増えた。

中国の家電市場は10年ごろまで、旺盛な消費を背景に年2桁ペースの拡大が続いてきた。各社はシェア争いにしのぎを削るなかで過剰な生産能力を抱えるようになり、業界の問題となっていた。

それでも景気のいい時代は、値引きさえすれば在庫を一掃することができた。小売り側による値引きなどの努力に対し、メーカーは次に投入する新製品を割安で卸すといった手法で報いてきた。

だが、ここに来て家電業界の成長モデルが崩れてきた。

調査会社の北京奥維雲網大数据科技によると、22年1~6月の中国家電小売総額は3389億元と前年同期比9%減った。家電の売れ行きは不動産市況と連動性が高い。その不動産業界は当局による締め付けを受けて低迷する。

コロナの感染再拡大で上海などで都市封鎖(ロックダウン)が起き、消費全体が停滞していることも大きい。奥維雲網の郭梅徳・総裁は「中国の家電市場はあらゆるボーナスを使い果たした」と説明する。少子高齢化も重なり、業界は今後、縮小に進む可能性が高まる。

市場の変調は、業界の成長を二人三脚で支えてきた製販の関係も揺るがしつつある。

格力のビジネスはもうやらない――。8月下旬、河北省のホテルで徐自発氏がこう宣言したと、中国メディアが一斉に報じた。

徐氏とは、地元で「家電流通界のドン」とされる人物だ。過去には格力の幹部でもあり、現在は格力の重要な代理商(販売代理店)グループと間接的な資本関係にある。

直前の6月には、格力がこの代理商グループから保有している格力株の一部を売却する意向を受け取ったと公表していた。市場関係者には、格力と徐氏ら代理商側との間に溝が深まっているように映った。

格力だけではない。有力紙の新京報(電子版)は5月、美的従業員による情報として、同社が契約する代理商の3割を削減する計画だと報じた。美的はかねて投資家に対し「販路は転換期を迎えている。ネット以外のルートを削減する」と説明していた。

美的を巡っては、国美が4月、両社の担当者が販売方法などで意見の不一致があり、「身体的な衝突」に発展したと暴露した。その国美も中堅家電メーカーとの資金トラブルが明らかになった。足元では、家電業界の各所で隙間風が吹く。

ある家電アナリストは「家電メーカーは近年、ネット通販への販売強化を進めている。その分、代理商はパイを奪われている」と説明する。在庫リスクなどを押しつけられる一方で客を奪われ、代理商側の我慢が限界を迎えた、との分析だ。

中国の家電業界は、普及期の00年代にメーカー直営を中心とした販路の拡大が進められていた。量販店もその補完的役割を担った。10年代に成長に一服感が出始めると、リスク分散を目的に代理商などを経由するようになった。

そこに、京東集団(JDドットコム)などネット通販サービスが台頭。メーカーはネット大手との直接取引に力を入れるようになった。メーカー側の思惑で販路が複雑になるなか、代理商や量販店の不信が増幅。そこに急速な市場の冷え込みが決定打を放った格好だ。

市場が縮小期へと突入するなか、美的や格力は蓄電関連など再生可能エネルギー事業を強化。TCLやハイアールは海外市場の開拓で成長維持を模索する。

ただ市場の縮小ペースによっては、事業や人員、販路などのリストラが必要になる。積み上がった在庫も減損処理や廃棄を迫られれば、業績へのさらなる悪影響は避けられない。家電メーカーの構造改革は、社内外で大きな痛みを伴いそうだ。』

ビクター・チャ氏「拉致問題、ミサイルと一体協議を」

ビクター・チャ氏「拉致問題、ミサイルと一体協議を」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN154HV0V10C22A9000000/

『小泉純一郎元首相が北朝鮮を電撃訪問してから17日で20年となる。日朝交渉は米政権の対北政策に左右された歴史といえる。米戦略国際問題研究所(CSIS)上級副所長を務めるビクター・チャ氏に話を聞いた。

小泉氏訪朝は歴史的、最高レベルの合意事実は重要

2002年の小泉氏の訪朝は歴史的な訪問だった。北朝鮮が日本との対話に戻る機会があれば、日朝平壌宣言はそのひな型になるからだ。日朝国交正常化のための原則的な工程表を提示したものであり、いまでも十分通用する。最高レベルで合意された事実は重要だ。
Victor Cha 米コロンビア大で政治学の博士号取得。ブッシュ(第43代)政権時代に国家安全保障会議(NSC)のアジア部長。北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の米次席代表を務めた。現在、CSISのアジア・韓国担当の上級副所長で、米ジョージタウン大教授も兼務。

安倍晋三元首相は日ロ関係を変えようと努力したが、ウクライナ紛争で水泡に帰した。北朝鮮の場合は対話に興味を示せば、20年前に確立された基盤がまだ有効だ。

小泉氏と当時のブッシュ米大統領(第43代)は良好な関係で、同じ考えを持っていた。当時、米政府に日本と北朝鮮の直接対話に懸念はなかった。対北朝鮮の日本の優先課題は一貫している。北朝鮮による日本人拉致問題や弾道ミサイルの脅威などだ。それは米国の利益とも一致し、不安はない。

北朝鮮の短距離弾道ミサイルの脅威は高まっている。安倍氏はそのことをトランプ前大統領に認識させなければならなかった。日本政府はトランプ氏が日本の安全保障を米国から切り離すのではないかと心配した時期があっただろう。

米政府が08年に決めた北朝鮮へのテロ支援国家指定の解除は、日本にとって受け入れがたい決定だったのは理解できる。米国務省の法的定義によれば、リストから削除される資格があった。

非核化のステップとして北朝鮮の核計画申告の進展が目的のひとつだった。結局はうまくいかなかった。17年のミサイル実験を受け、再び北朝鮮をテロ支援国家リストに戻した。

北朝鮮の核プログラムは大きくなりすぎた。すぐに非核化するのは非現実的だ。しかし、核実験を中止し、寧辺(ニョンビョン)での核関連物質の運用を停止する必要があり、改めて北朝鮮に関与しなければならない。

ミサイルにより焦点を当てるべきだ。クリントン政権以来、北朝鮮とのミサイル交渉をやっていない。復活すれば、北朝鮮と武器に関する交渉ができる。拉致や人権問題、軍事バランス、経済援助などの議論も欠かせない。日本はいずれも重要なパートナーになる。

(日米韓と中ロ、北朝鮮による)6カ国協議を拡大し、国連常任理事国の英国、フランスを加える案もある。ウクライナ紛争や昨今の米中関係を考慮すれば、協力は難しい。米国が直接北朝鮮と関わり、日本と韓国が側面支援するのが現実的だ。

日本にとっては北朝鮮のミサイル能力の近代化が真の脅威だ。拉致問題は2国間での解決が困難であり、ミサイル問題も同時に話し合うのが唯一の方法かもしれない。

(聞き手はワシントン=坂口幸裕)

【関連記事】

・北朝鮮談話、平壌宣言「日本が白紙にした」
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対立か混迷か、迫るイタリア危機 欧州が身構える三重苦

対立か混迷か、迫るイタリア危機 欧州が身構える三重苦
欧州総局長 赤川省吾
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1405M0U2A910C2000000/

『25日に迫るイタリア議会選で、排外主義を掲げる極右政党「イタリアの同胞(FDI)」が第1党となる勢いをみせている。与党入りすれば現実路線に転じるとの見方もあるものの、楽観はできそうにない。欧州は戦争、スタグフレーション(物価上昇と景気後退の併存)、イタリアの信用不安という「三重苦」に見舞われる恐れがある。

極右政党が支持率25%

ドラギ政権が連立与党の内輪もめによって崩壊し、前倒しとなった総選挙。ネオファシズムの流れをくむ野党の極右政党FDIが支持率25%でトップを走る。

新型コロナウイルス対策の行動制限で不満が膨らんでいたところに物価高が重なり、ドラギ政権への批判票の受け皿となった構図だ。共闘する右派政党を含めた右派連合で過半数を得る可能性がある。

ミラノで無料のバナナを配るボランティア。新型コロナウイルスの感染拡大もイタリアの家庭を直撃した(20年12月)=ロイター

物価高で痛んだ家計を減税などで支えるべきだと右派連合は訴える。イタリアの公債残高は国内総生産(GDP)の150%に達し、ユーロ圏ではギリシャに次いで高い。財政健全化を先送りしてきたツケで余力がない。

ばらまきを実現しようとすれば財政規律を守らせたい欧州連合(EU)との対立が激化する。ユーロ圏3位の経済規模があるイタリアで危機に火がつけば、小国ギリシャの債務危機より震度は大きくなる。

過激派色を薄める戦略次々と

ローマの政界関係者を取材すると「極右政権→放漫財政→EUとの対立」との単純な展開にはならない、との見方もある。既に舞台裏では様々な駆け引きが始まっているという。

11日、ミラノで演説するFDIのメローニ党首。最近はドラギ路線の踏襲を訴えている=ロイター

「ドラギ路線を踏襲する」。FDIを率いるメローニ党首は最近、企業関係者にこんな公約をした。ファシズム指導者ムッソリーニに近い過激派との印象を薄め、支持を広げる戦略だとみられている。親ロシアで欧州懐疑派とみられるのも避けるため、対ロシア制裁の継続も口にした。

「あえてテクノクラート(専門家)を首相に据える」との噂もある。穏健派のマッタレッラ大統領が極右の首相を任命することを拒否する可能性もある。穏健政権にみせるため、極右シンパのエコノミストらを首相に起用する構想もささやかれる。

EUもイタリア情勢警戒

イタリアの政治情勢にEUも身構える。「ハンガリーのようになるかもしれない」(EU高官)。EUにとどまりながら欧州統合を深めることに抵抗する国、になる事態を警戒する。

上院で議論に参加したイタリアのドラギ首相=AP共同

右派政権が誕生しても結局は、民意が離れて短命に終わるとの見方もあるが、短期政権に終われば政治の混迷が待ち受ける。迷走の末、再びドラギ氏に「お鉢」が回ってくるとの観測まで出回る。

対立か混迷か――。ロシアに対峙する局面で政治というリスクが舞い戻り、欧州は内憂外患の時を迎えることになりそうだ。

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ロシア「裏工作力」侮れず 敵対国の中枢機能に「毒」

ロシア「裏工作力」侮れず 敵対国の中枢機能に「毒」
本社コメンテーター 秋田浩之
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD133VT0T10C22A9000000/

 ※ 声が大きい勢力、パリッとしたお揃いの制服をそろえている勢力、キチンと印刷されたプラカードを持っている勢力、多色刷りで、色鮮やかなチラシやパンフを撒いている勢力に出くわした時は、気をつけよう…。

 ※ そういうことが可能になる背後関係として、「一体、どこからその金(カネ)が出ているのだろうか。」を、考えよう…。

『ロシアのプーチン大統領は9月7日、国際会議「東方経済フォーラム」で演説し、ウクライナ侵略について「軍事作戦では何も失っていない」と言い張った。強がりにしか聞こえないが、彼の発言には1つだけ根拠がある。ロシアは軍事作戦で失敗しても、民主主義国をかく乱する「裏工作力」がなお健在であるという点だ。

プーチン政権は政敵を消したいときに、しばしば毒殺を試みる。同じように、気に入らない国家にも偽情報や裏資金といった「毒」を注ぎ、機能を弱めようとする工作を続けている。
ジョージア政府と折り合い

そんな闇の影響力に最も強くさらされている国の1つが、ロシアの隣国で旧ソ連圏のジョージアだ。ふつうなら、ジョージアは世界で最も反ロシア的になってもおかしくはない。2008年にロシアに侵攻され、国内のアブハジア、南オセチアを実効支配されている。面積にして国の約2割だ。

9月上旬、現地を訪れた。南オセチアとの境界線付近の丘からは、ロシア治安部隊が駐留する平原を見渡せる。

案内してくれたジョージア国家保安庁高官によると、付近では深夜に発砲音が響くこともあり、まさに準戦時下だ。南オセチアには約5万人が住み、ロシアは8割に同国パスポートを発給した。

当然ながらジョージア国民はロシアに怒り、ウクライナや欧米への連帯感が濃い。ジョージアからは志願兵二千数百人がウクライナの戦場に向かい、9月初めまでに約20人が命を落とした。ジョージアの世論調査(2~3月実施)によると、欧州連合(EU)加盟を8割が望んでいる。

それだけに、ジョージア政府も極めて強硬な対ロ政策を貫いているのだろうと思ったら、実態は違った。ロシアと敵対せず、折り合う路線をとっているのだ。

ジョージア政府はロシアの侵略を批判はするが、西側諸国の対ロ制裁には加わろうとしない。「これは自分たちの戦争ではない」として、ウクライナへの軍事支援にも後ろ向きだ。

さらにウクライナ側は、ロシアによる制裁逃れのため、ジョージアの企業や銀行が使われていると疑う。ジョージアは真っ向から否定し、両国の関係は険悪だ。
軍事脅迫や「陰の権力者」

なぜ、ジョージア政府はそこまでロシアに配慮するのか。同国はサーカシビリ大統領(当時)の下、04~13年に親欧米・反ロシア路線を突き進んだ。ところが、彼が退任すると、ロシアとの関係改善にかじを切っている。

大きな理由のひとつが、ロシアによる露骨な軍事脅迫だ。14年にウクライナ・クリミアを併合して以来、ロシアはジョージアが次の標的になり得るという情報を流し、脅している。ジョージアには「北大西洋条約機構(NATO)に入れる見通しが立っていない以上、ロシアと過度に敵対せず、うまく共存するしかない」(同国元高官)という心理が働く。

しかし、理由はそれだけではない。地元の政治専門家らにたずねると、ジョージアの対ロ関係のキーパーソンとして「陰の権力者」の名前が浮かび上がる。

同国の国内総生産(GDP)の2割以上に当たる資産を持つとされる大富豪、ビジナ・イワニシビリ氏。ソ連崩壊後のロシアで事業を広げ、莫大な財をなした。

その後、政党「ジョージアの夢」(現与党)を創設し、12年10月の議会選で勝利、首相に就く。翌年秋に首相は退いたが、財力と人脈で「いまに至るまで、政府に絶大な影響力を持っている」(元ジョージア政府高官)という。

興味深いのは、イワニシビリ氏とロシアのつながりの深さだ。非政府組織(NGO)トランスペアレンシー・インターナショナルによると、12~19年、オフショア事業体を通じ、彼は少なくとも10社のロシア企業を所有していた。ロシアからみれば、対ジョージア工作上、願ってもない人脈だ。

イワニシビリ氏とプーチン政権に具体的な連携があるのかどうか、実態は闇の中だ。ただ、英オックスフォード大のニール・マクファーレン教授は「彼の承認がなければ、ジョージア政府はここ数年、親欧米から対ロシア中立に近い路線にまで、転換することはなかっただろう」と分析する。
米欧にも当てはまる警告

ロシアが影響力を振るう手段は、軍事脅迫や独自の人脈以外にもある。専門家によれば、プーチン政権は「欧米にはジョージアを助ける意志はない」といった偽情報を拡散し、世論のロシア離れを食い止めようとしている。

ジョージアの駐米大使、外相を歴任したテド・ジャパリゼ氏は語る。「ロシアという国家はジョージアを含む周辺国の安定を損ない、その独立性と主権を弱め、ロシアの言いなりにさせようとする。これを防ぐためには、ジョージアのあらゆる与党、野党が少なくとも重要戦略で協力し、国の安定を維持しなければならない」

この警告は、格差や人種間の分断が深まる米欧にも当てはまる。米紙報道によると、ロシアは14年以降、自国の意に沿いそうな20カ国以上の政党や選挙候補者に対し、3億ドル(約430億円)以上の資金をひそかに渡した。「ロシアは欧州だけでなく、米国の極右・極左集団も支援している形跡がある」(米情報関係者)

各国から重い制裁を浴び、ロシアの国力は衰えていくだろう。だが、旧ソ連仕込みの対外裏工作力の危険は、決して侮れない。そのことをジョージアは教えている。

【関連記事】

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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貴重な体験談

ロシアが2016年の大統領選挙に介入した事実が明らかになり、今年、ウクライナに侵攻した今となれば、ロシアの他国への影響力工作は明白な事実として共有されていますが、かつては米国でもそうではありませんでした。2008年のオバマ対マケインの大統領選挙の頃から、ロシアの問題を認識していたマケイン候補は「好戦的すぎる」としてリベラル派から批判されていました。マケイン氏はジョージアのサーカシビリ大統領を支援しており、彼の外交アドバイザーのランディ・シェナメン氏はジョージアのロービイストとして批判されました。シュナメン氏は私の友人で日米同盟も支持する立派な専門家なのですが、米世論はロシアに甘かったのです。
2022年9月16日 12:08
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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別の視点

ジョージアの国旗は、白地に赤い十字架を5つ配した「ファイブ・クロス・フラッグ」。記事にある通り、欧州に親近感を抱く国民が多い。だが、6月23日に開かれたEU首脳会議は、加盟申請があった国のうち、ウクライナとモルドバについては候補国として認める一方、ジョージアは却下。ジョージア国内では数万人規模でデモが発生し、この決定への不満が示された。「ウクライナとその隣国モルドバは、欧米傾斜を強める中、ロシアの侵攻と軍事的脅威にさらされている」が、「ジョージアは2008年にロシアの軍事介入を受けたものの、14年以降のウクライナほど決定的な反ロシア路線を歩まなかったという違いがある」と時事通信は解説していた。
2022年9月16日 11:10 』

バフェット氏が直面した労働組合の圧力(NY特急便)

バフェット氏が直面した労働組合の圧力(NY特急便)
米州総局 伴百江
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1603J0W2A910C2000000/

『15日の米株式相場は反落し、ダウ工業株30種平均は前日比173ドル安で終わった。景気への影響が懸念されていた鉄道会社労働組合の大規模なストライキはバイデン政権の仲介により、労使が暫定合意に達したことで運行のストップは回避された。このニュースで株式相場はいったん上昇したものの、長くは続かなかった。

ストに突入した場合、原油や農産物、小売業界の商品などの生活必需品の貨物輸送が影響を受け、供給網の寸断による一段の物価上昇と、1日20億ドル(約2800億円)に上る経済的損失が懸念されていた。今週発表された8月の米消費者物価指数(CPI)が予想以上の上昇となり、市場には〝CPIショック〟が広がったが、スト突入による景気への潜在的な打撃を踏まえれば、株式市場にとってはそれ以上の〝鉄道スト・ショック〟になるとの懸念も強まっていた。

それだけにバイデン大統領が労使交渉で合意に至ったとの声明を発表すると市場には安堵感が広がった。もっともユニオン・パシフィック、ノーフォーク・サザン、CSXといった大手鉄道株の値動きはまちまちだ。各社の賃金コスト上昇が業績を圧迫するとの懸念も背景にある。労使交渉では、14%の即時賃上げに加え、2020~24年の5年間に複利で年率24%の賃上げと毎年1000ドルの特別賞与の支給に合意した。

賃上げに加え、今回の労使交渉で注目を浴びたのが鉄道労働者の労働環境の悪化だ。無給の病欠をとることが難しかったり、毎日24時間、緊急勤務のための待機を要請されるなど、車掌や乗務員の過労につながっていると労組側は主張していた。

コロナ禍で360億ドル富を増やしたウォーレン・バフェット氏は、労働者の賃金と待遇改善に動くべきだ――。バーニー・サンダース上院議員は労使交渉が成立する直前、大手鉄道会社BNSFを傘下に抱える投資会社バークシャー・ハザウェイの最高経営責任者(CEO)のバフェット氏が傘下の鉄道会社の労働者待遇を改善しない姿勢を非難した。

今後、BNSFをはじめとした大手鉄道会社は労使交渉成立を受け、賃金引き上げに加え、労働条件の改善を迫られることになる。全米の貨物輸送の30%をカバーしていた大手鉄道会社のスト回避で、供給網寸断による物価上昇のリスクは避けられた。しかし、労働者の賃金上昇によるインフレ圧力は一段と高まることが予想される。

過去1年ほどの間に米国での労働組合組成や労働争議が活発になっている。ミネソタ州では先ごろ看護師約1万5千人がストライキに突入、オハイオ州では教員が新学期開始と同時にストを実施した。

米国野村証券のエコノミスト、雨宮愛知氏は「労働組合の賃金引き上げ圧力は、賃金物価上昇スパイラルを加速させる」として、インフレの先行きに大きな不安要因と指摘する。1970年代に賃金物価上昇スパイラルに陥った状況をほうふつさせるとして、米連邦準備理事会(FRB)は金融政策でさらに試練に陥るとみる。同氏は来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で1%の利上げ実施を予想し、「FRBは市場にタカ派としての強いメッセージを送る必要がある」と指摘する。

全米の労働組合の勢力拡大は、バフェット氏のような経営者にも金融政策当局にも大きな試練を与えつつある。

(ニューヨーク=伴百江)

【関連記事】

・米鉄道ストライキ、回避で暫定合意 米政府が発表
・欧州で大規模スト、経済に影 高インフレに労働者反発

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中空麻奈
BNPパリバ証券 グローバルマーケット統括本部 副会長
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鉄道ストショック懸念について、粗方答えが出てきた。労使交渉の行方は、なんと14%の即時賃上げ。加えて24年までの5年間に複利で年率24%の賃上げと毎年1000ドルの特別賞与の支給。なんたる成果!しかし、余程景気がよくなりトップラインがそれ以上に上がるのでもない限り、相当のコスト増だ。また、バイデン氏の介入で鉄道ストショックは止まった割には株価も冴えず、これでは中間選挙前の得点にはなっていなさそう。労使交渉による賃金妥結上昇率は数か月遅れて物価・インフレに効いてくることも知られており、タカ派にウェイトを置いたFRBの金融政策が継続する理由の一つになったと見てよいのではないか。
2022年9月16日 9:41』

北朝鮮、日本の防衛強化非難 平壌宣言「日本が白紙に」

北朝鮮、日本の防衛強化非難 平壌宣言「日本が白紙に」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM160CU0W2A910C2000000/

『【ソウル=甲原潤之介】北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、日朝平壌宣言から20年を前に外務省の談話を伝えた。日本政府が「軍事力を増強し地域の平和を破壊している」と日本の防衛力強化を非難した。対北朝鮮制裁にも触れ「日本がしてきたことは宣言を白紙に戻しただけだ」と主張した。

日本人拉致問題は「全て解決済み」と従来の立場を繰り返した。日朝関係の今後は「全面的に日本政府の態度にかかっている」と日本に対北朝鮮政策の転換を求めた。外務省で日朝交渉を担当する宋日昊(ソン・イルホ)大使の談話として公表した。

日朝平壌宣言は2002年9月17日、電撃訪朝した小泉純一郎首相が金正日総書記と署名した。

【関連記事】

・北朝鮮弾道ミサイル、変則軌道4割 迎撃難しく抑止急務
・北朝鮮、核兵器使用で法整備 金正恩氏「核を放棄せず」
・北朝鮮、非核化交渉を否定 法令で核使用正当化

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

中ロの接近に懸念 米国務省報道官、首脳会談受け

中ロの接近に懸念 米国務省報道官、首脳会談受け
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN160210W2A910C2000000/

『【ワシントン=芦塚智子】米国務省のプライス報道官は15日の記者会見で、中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領がロシアによるウクライナ侵攻後初めて対面会談したことについて「我々はこの(中ロの)深まる関係に対する懸念を明確にしてきた」と両国の接近にあらためて懸念を表明した。

プライス氏は、ロシアは北朝鮮やイランなど「考えつくあらゆる命綱を探している」とし、両国の接近は驚くにあたらないとも指摘。「彼らは国際システムの中心にあるビジョンに明確に反するビジョンを共有している」と批判した。

またプーチン氏が「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解している」と述べたことに関して「プーチン氏がこれだけ公然と中国の懸念を認めたことは興味深い」と語った。』

米国が対内投資審査を強化 中国念頭、AI・量子を監視

米国が対内投資審査を強化 中国念頭、AI・量子を監視
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN151IX0V10C22A9000000/

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権は外国企業による対米投資の審査を強化する。人工知能(AI)や量子コンピューターなどの先端分野を重点的に監視し、安全保障のリスクとみなす判断基準を厳しくする。中国を念頭に、米国の技術や個人情報を狙った危険な対米投資を阻止する。

バイデン大統領は15日、省庁横断機関である対米外国投資委員会(CFIUS)の審査を厳しくする大統領令に署名する。CFIUSは外国企業の対米投資が米国の安保に脅威とならないか判断し、案件によっては大統領に差し止めを勧告する。

投資案件を判断するときに、米国の技術的優位性への影響を考慮するようCFIUSに求める。具体的にはAIや量子のほか、半導体、バイオテクノロジー、クリーンエネルギーなどで米国の競争力を損なわないかどうかを判断基準にする。

米国のサプライチェーン(供給網)を脆弱にするような投資にも目を光らせる。米国の製造業などが外国企業の傘下に入れば、有事に戦略物資を調達できなくなるようなリスクに目配りする。

米国内のサイバーセキュリティーを脅かしたり、米国人の個人情報を奪ったりするような案件の審査にも力を注ぐ。通信網や大量のデータを抱える米国企業の買収には警戒を強める。特定産業における投資動向の変化が安保に与えるリスクも検討する。

これまでもCFIUSは環境の変化に合わせて先端技術や供給網への影響を審査時に考慮してきた。大統領令で具体的に明示することで審査を厳しくする。企業にとっては、どのような投資案件であれば政府の入念な審査を受けるのか予見しやすくなる。

2018年8月に成立した外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)は重要な技術やインフラなどが関わる対米投資の審査を強化した。今回は法改正ではなく大統領令であり、CFIUSの運営や手続きは変わらない。

バイデン政権は米国企業の対外投資を審査する制度の創設も検討している。政府高官は記者団に「的を絞った狭い範囲で、米国企業による特定の投資を審査すべきか考えている。検討作業を進めているところだ」と述べた。』

焦るプーチン氏、中国傾斜 習近平氏と侵攻後初会談

焦るプーチン氏、中国傾斜 習近平氏と侵攻後初会談
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR09CAD0Z00C22A9000000/

『【北京=羽田野主】中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席とロシアのプーチン大統領は15日、訪問先のウズベキスタンのサマルカンドで会談した。両首脳の対面会談は2月のロシアによるウクライナ侵攻後初めて。台湾情勢とウクライナ危機を巡り米国と対立する中ロが結束を誇示した。

15~16日にサマルカンドで開く中ロ主導の地域協力組織「上海協力機構(SCO)」首脳会議に合わせて会談した。プーチン氏が北京冬季五輪の開会式に出席した2月4日以来、7カ月ぶりの直接対話となった。

【関連記事】

・上海協力機構(SCO)とは 中ロ主導、安保で連携
・プーチン氏「イランの上海協力機構加盟を歓迎」首脳会談

会談の冒頭、プーチン氏は「ロシアは『一つの中国』の原則を断固として守っている」と台湾問題で中国への支持を表明した。ロシア通信によると、プーチン氏は「中ロの外交的なタンデム(2人1組)は世界と地域の安定の保障でカギとなる役割を果たしている」と述べた。

中国国営の新華社によると、習氏は「ロシアと双方の核心的利益に関わる問題で互いに力強く支持する」と強調した。「いかなる国も台湾問題の裁判官になる権利はない」とも訴えた。

プーチン氏は会談で「ロシアはウクライナ危機に関する中国のバランスのとれた立場を高く評価する」としたうえで「ウクライナ危機に関する中国の懸念を理解しており、すべての問題を説明する用意がある」と述べた。中国側が長期化するウクライナ侵攻に懸念を伝えていたようだ。

ロシア国防省は15日、ロシアと中国の海軍が太平洋で合同パトロールを開始したと発表した。首脳会談に合わせて結束をアピールした。

台湾情勢に危機感を強める習氏と、ウクライナの戦況悪化に焦るプーチン氏。両者の接近は、ロシアが経済で中国に従属し、中国がロシアの「反米」路線に引き込まれる危うさをはらむ。

今回の中ロ首脳会談には、ウクライナでのロシア軍の苦戦が影を落とした。

9月6日、極東訪問中のプーチン大統領はショイグ国防相、ゲラシモフ参謀総長と非公開で会っていた。ウクライナ軍が南部と東部で攻勢に転じた時期に当たる。困難に陥ったロシア軍の対応を緊急協議したとみられ、10日にはハリコフ州からの事実上の撤退が発表された。

ロシアはこれまで重視していた欧州との政治、経済関係が断たれつつあり、軍事的にも苦境が深まった。米国に次ぐ第2の経済大国となり、国際舞台で政治的影響力も増す中国への傾斜を強めざるをえなくなった。

中ロ首脳会談の日程はロシア大統領府がいち早く公表したものの、中国外務省は最後まで明かさず、温度差をみせた。

欧米がロシア産の石油やガスの輸入を急減させるなか、ロシアの資源輸出は中国依存が深まるばかりだ。15日には中国・ロシア・モンゴルの3カ国首脳会談も開き、ロシア産天然ガスをモンゴル経由で中国に輸出するガスパイプラインの建設を協議した。

仮に年500億立方メートルとされるモンゴル経由のパイプラインが実現すれば、中国へのガス供給量はいずれ年1000億立方メートル近くに達する可能性がある。それでも、2015~20年まで年1500億立方メートルを超えたパイプラインでの欧州向け輸出量をとても補えない。

中ロの貿易額は22年、前年比増加率が約15%となり、1700億ドル(約24兆円)に達する見通しだ。24年に2000億ドルとする目標だが、ロシアの対中輸出の8割を資源輸出が占め、その急増ばかりが目立つ。

ロシアは経済的な対中依存が深まれば、政治関係も対等を維持することが難しくなる。ロシア国際問題評議会会長のアンドレイ・コルトゥノフ氏は「過度の対中依存を避けることが極めて重要だが、今後は難しくなる」と指摘した。

中国も台湾情勢を巡り米国との対立を強める。ペロシ米下院議長が8月に台湾を訪問した。中国は台湾周辺で四半世紀ぶりの大規模な軍事演習に踏みきったが、米欧の議員団の訪問は続く。

米議会では台湾を北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要な同盟地域に指定する「2022年台湾政策法案」の審議が始まった。台湾への巨額の軍事支援や正式に同盟扱いする案も盛り込まれ、成立すれば習指導部にとって痛手となる。

習氏は中ロの中長期的な連携を確認し、軍事的に米国ににらみを利かせる狙いがある。習氏の続投を決める10月の共産党大会に向けて対米路線の継続をアピールする思惑もちらつく。

だがロシアとの関係強化には異論もくすぶる。「プーチン大統領と早く手を切るべきだ」。国務院(政府)に政策を提言する国務院参事室公共政策研究センターの副理事長などを歴任した胡偉氏はロシアのウクライナ侵攻を受け3月にこう提言して注目を集めた。

中国当局のネット検閲でたちまち閲覧できなくなったが、党内では「プーチン氏によって中国が対米ではなく反米陣営に引き込まれるのでは」との懸念が広がる。

中国と欧州の間でバランスを失ったロシアと、「反米」に舵を切ったロシアへの懸念を消せない中国。両国の「蜜月」は不安要因を抱えている。』

〔アメリカの地域特性を理解する斬り口〕

〔アメリカの地域特性を理解する斬り口〕

いくつ知ってる? 産業、気候、健康……アメリカを区分する13の「ベルト」
https://wordpress.com/posts/http476386114.com?s=%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%82%92%E5%8C%BA%E5%88%86%E3%81%99%E3%82%8B13%E3%81%AE%EF%BD%A2%E3%83%99%E3%83%AB%E3%83%88%EF%BD%A3

北アメリカ地誌
https://social-studies-magazine.com/geography-north-america

『タップできる目次

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北アメリカの気候
アメリカ合衆国
    人口
    人種・民族
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    農業
        適地適作
        牧牛の変化
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        企業的経営による環境問題
        近代的な農業の功罪
    工業
        北東部工業地帯が衰退した理由
        サンベルトに企業が進出した背景
        自動車産業が日本からアメリカに移転した理由
カナダ
    民族
    歴史
    ケベック州
    ヌナブト準州
    農業
    鉱業
    工業
    エネルギー
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[FT]攻めに転じたバイデン氏 米国の分断認め共和党批判

[FT]攻めに転じたバイデン氏 米国の分断認め共和党批判
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB140LT0U2A910C2000000/

 ※ 米国の「分断」なるものは、一体、いかなる「構造」から生じているものなのか…。

 ※ それ自体が、「壮大なテーマ」で、一素人のジジイが、軽々に判断できるようなものでは無い…。

 ※ それでも、とっかかり、斬り口を考えることくらいはできるぞ…。

『年を重ねれば体は弱るが、口は達者になる。バイデン米大統領はこの両方を証明している。11月に80歳を迎えるにふさわしくみえる彼は、高齢者にありがちな歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをするようになった。
バイデン大統領が米国が分断していると認めたのはいいことだと筆者は指摘する=ロイター

バイデン氏は、トランプ前大統領の主張は「ファシズムと呼べるようなものだ」と非難し、共和党の大半は今や「米国の根幹」への脅威だと糾弾した。かつては党派を超えた友好を重視し、意見が激しく二分するような事態を招くことは避けてきたが、今回は「あなた方はどちら側につくのか」と聴衆に問うた。一部のリベラル派を含めこうしたバイデン氏の演説を批判する人々は「大統領は対立をあおっている」と非難する。

しかし、バイデン氏は現実を直視しただけだ。確かに9月1日の東部ペンシルベニア州フィラデルフィアでの演説は、米海兵隊員2人が脇に立つという少し異様な演出ではあった。「反民主党」と「反民主主義」をごちゃ混ぜにする発言が目立った。だが、彼の演説が分断を招いたわけではない。既に分断している事実を認めただけだ。国民に結束を求めるというもう一つの選択肢は何度も試されてきたが、まったく機能していない。
1990年代から民主党の大統領認めてこなかった米国

後に大統領になったオバマ氏は2004年に「リベラルな米国と保守的な米国が存在するわけではない」と述べた。だが、そんなことはない。バイデン氏は大統領就任演説でまるで誰もそんなことをそれまで思いつかなかったかのように「互いの声に耳を傾けよう」と呼びかけた。だが、そんなことを言ってももはや何も変わらない。

米国には1990年代以降、民主党候補が大統領選で勝っても多くの共和党支持者はその正当性を認めようとしてこなかった事実がある。分断しているのに米国が結束しているかのごとくアピールしても意味がない。

民主党にも共和党と同じように過激な左派が存在するが、その規模は限られる。そのため共和党も民主党も同じだと考えるのは間違っている。この点もフィラデルフィアでの演説のもう一つの批判の対象となったが、的を射ていない指摘だ。

確かに民主党もトランプ氏が米国の制度にもたらしたような危機をいつかもたらすかもしれない。確かに文化的要素に関する左派強硬派の考え方を全面的に受け入れるのには問題がある。米国(あるいはドイツやフランス)の歴史をひもといても政治的暴力は右派の専売特許ではない。今の民主党には一部の過激な活動家と、警察に予算を与える必要はないといったとんでもない発想をする人がいるが、共和党のように政治のルールそのものに反対する指導者がいるような党ではない。

というわけで、今の民主党と共和党が似ているところがあるとの主張は、筋が通っていないとすぐにわかる。異なるものを同じに扱うのが公平でないように、バイデン氏の演説を批判する人々が、民主党にも共和党と同様に過激な人がいるとするのは問題が違う。
保守派は民主党の政策が不満なのではない

フィラデルフィアでの演説以降、米国の専門家らはバイデン氏に人々を叱りつけても納得させることはできないと指摘してきた。その通りだ。だが何をもってすれば共和党支持者を説得できるのか。一部の人が考えているように、バイデン氏がもっと保守派寄りの政策を打ち出したり、自分がカトリック教徒であることを話したりすれば共和党の強烈な支持者らも”文化戦争”(編集注、米国では黒人が制度的に不利益を被ってきたという歴史を学校で教えるべきか否かといった論争などを指す)を一時、休戦するかもしれないと思うかもしれないが甘い。

バイデン氏は左派的な政策を取りすぎてきたため浮動票の有権者を説得し、その支持を得るのは難しそうだ。武装した右派の説得も難しいだろう。彼らがバイデン政権を嫌うのは、その政策の中身に不満があるからではない。そもそも議会占拠事件発生は同氏の大統領就任前だし、いかなる決定も下していない段階から大統領としての正当性を問われたのだ。

しかも、右派の怒りの爆発を最初に受けた民主党大統領はクリントン氏だ。彼は右派が求めるような小さな政府を目指し、共和党の支持基盤である福音派が多い同じ南部の出身であり、共和党が主張していた犯罪への対応も厳しくした、のにだ。
いまだにわからないポピュリズム台頭の理由

ポピュリズム(大衆迎合主義)がなぜ台頭したのか原因の特定に必死な人々がいる。解決策を見いだすためだが、これは野生のガチョウを追いかけるほど難しい知的作業だ。当初、有力視されたのは白人労働者層が経済的打撃を受けたからだとの説だ。ラストベルト(さびた工場地帯)の人々がいかに大変な思いをしているか、その声がメディアで伝えられた17年ごろのことだ。だがなぜ富裕層が住む地域がトランプ氏を支持したのか、同氏が富裕層の減税に多大な力を投じても貧しい白人層の支持がなぜ離れなかったのかはいまだ明らかではない。

考えられるのは有権者の3人に1人かそれ以上に政治家の声は届かないということではないか。そうならば政治でこれだけ過激さが増す中で大統領が率直なのは価値があるのではないか。攻撃的になったバイデン氏は、政治家とは仲良くやっていこうとしていた以前より物事をずっと明確に捉えている。かつての彼はワシントンにいる人は皆よい人だと語り、人の悩みを聞いては同情し、国としての結束をナイーブなまでに訴えていた。フィラデルフィアでの演説がショックだとすれば、それはバイデン氏がこれまであまりにソフトだったからだ。
分断していないふりをしても解決しない

それでも十分に率直であるとはいえない。共和党支持者の「大多数」は反民主主義ではないとしたからだ。だが2020年の大統領選で共和党に投票した有権者の「大多数」は選挙に不正があったと思っているし、大統領選の投票結果を承認する下院の審議でバイデン氏勝利に異議を唱えた共和党議員は決して少数ではなかった。

バイデン氏の演説への批判で際立つのは、その激しさではなく批判の内容のなさだ。まるでその姿勢や口調を変えれば事態を改善できると考えているようだ。もっと温厚な大統領ならば分断している国をもう一度結束させられると思っている。

しかし、それが本当だとすれば米国は現在のような事態には至っていないはずだ。何十年にもわたり善意ある米国の指導者らは、国民の結束を訴えてきた。だが、それでも米国の分断は深まっていった。バイデン氏が罪を犯したとしたら、それは米国が分断しているのに分断していないかのようなふりをすることをやめたことだ。

By Janan Ganesh

(2022年9月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

住宅ローン契約者の3人に1人が破綻する? 統計が浮き彫りにした金利上昇の大きなリスク

住宅ローン契約者の3人に1人が破綻する? 統計が浮き彫りにした金利上昇の大きなリスク
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2209/15/news207.html

 ※ 円安による「物価上昇」を回避するため、「異次元緩和政策」を変更すると、こういう問題が浮上する…。

 ※ この世の中、「誰一人、取り残さない!」「三方丸く収まる。」「誰にとっても、ソンの無い話し。」なんてものは、「無い」んだ…。

 ※ 有るのは、「なるべく多くの人が、それほど酷い目に合わないライン」「なるべく多くの人が、生存すらして行けなくなる事態を、回避する策」などの、ごくごく「現実的なもの」だけだ…。

 ※ それを、標語的に表現すれば、「最大多数の、最大幸福」ということになる…。

『1ドル140円を超える急激な円安で、日銀の異次元緩和政策が岐路に立たされている。

 9月13日には、8月の企業物価指数が前年同月比で9.0%も増加し、過去最高を更新した。日本の消費者物価指数(コアCPI)も、足元では年率2.0%の水準を超えている。いよいよ日銀も、「緩和の縮小」ないしは「利上げによる金融引き締め」へ舵取りをしていかなければならないタイミングになってきたといえる。

 金融緩和を縮小する金融政策には、「市中金利を高める」という効果がある。簡単にいえば、今後借金の金利が上がることになる。そんな局面では、大規模なローンを組んでいる者ほど割を喰らうことになる。

 では、企業を除いて最も大きな借金とは何だろうか。それは「住宅ローン」である。
(写真提供:ゲッティイメージズ)

これから「3人に1人が破綻」する?

 3月に、筆者は金利上昇リスクの高まりによって現住宅ローン契約者の4人に1人が破たん予備軍となることを説明した。そして、9月の状況は当時の市況よりもさらに悪化している。

 2022年3月当時における日本の長期金利は、今の水準から2割ほど低い0.186%であった。さらに、米国の利上げターゲットとされている水準も、当時は2%程度であったが、今ではその倍の4%程度への利上げも視野に入ってきている状況だ。

 ここで、以前に紹介した金利上昇の到来によって破綻する可能性がある「4人に1人」はどのような根拠があったかをおさらいしたい。この「1人」に共通するのは、ある”危険な住宅ローンの組み方”をしていることだ。

 それは、「頭金が最小限で、固定金利だと借りられない金額を、変動金利では借りられるためにローンを組んだ」という人だ。

 固定金利は変動金利を上回るのが原則だ。そのため、借入可能額と毎月の支払額を一定とした場合、固定金利よりも変動金利の方が、総返済額に対する元本の割合が高くなる。そのため、変動金利を選んだ方がグレードの高い家に住めるようになるのだ。

 固定金利では立地、間取り、日当たりなどのさまざまな条件に目を瞑って、妥協した家を買うことになる。しかし、変動金利では妥協しない理想の家でも、(今の金利の想定では)ギリギリ返済できるというという想定で満額を借りてしまう人が4人のうちの1人の破綻予備軍に該当するのである。

 住宅金融支援機構によれば、金利上昇が始まる前の21年10月時点において「変動金利」を選択した顧客は67.4%と全体の3分の2以上であった。しかし、驚くべきことに、最新の調査結果では、目先で金利上昇が発生しているにもかかわらず「変動金利」を選択している契約者が73.9%まで増加しているのだ。

出所:住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月)金利上昇で変動型を選択する契約者が増加している

 それだけではない。変動型の融資を選択した顧客において48.5%が、物件価格に対する融資の割合が90%を超えているのだ。

出所:住宅ローン利用者の実態調査(2022年4月)融資の比率が90%を超える変動金利の選択者は44.8%にものぼる。

 住宅ローン契約者で変動金利を選択した73.8%のうち、9割以上の融資率となっているのは44.8%である。つまり足元では、全住宅ローン契約者のうち33%、3人に1人が住宅ローンの破綻予備軍となっている。』

『少しでも高級な物件を買うために……

 「変動金利で融資率が90%以上の分布が異様に突出している」という“歪み”からは、「固定金利だと借りられない金額を、変動金利では借りられるので、借りられるだけ借りる」という危険なローンの組み方が半ば当然かのように設定されている節もある。

 不動産会社としては、変動金利であれば固定金利よりも高額な物件を購入してもらえるため、目先の営業成果が最大化するというメリットがある。筆者が実際に目にした例では、自社リノベ物件を「頭金10万円」で、変動金利で目いっぱい借りさせ、買わせようとする例もあった。その担当者の「みんな変動(金利)です」といった発言があったことからも、この統計には説得力があると思われた。

 しかし変動金利の場合、金利上昇によって、場合によってはその時に固定金利を組んでいた場合よりも高い金利を支払わなければならないパターンに陥ることもある。「金利が上がれば固定に乗り換えればいい」という言説もSNSでは散見されるが、金利上昇局面で、変動金利から固定金利に乗り換えようとしても、今よりさらに高い金利で固定されてしまうため、あまり有効な手段とはいえない。

 そもそも、変動金利でギリギリの額を借りていたとしたら、今よりさらに高い金利の固定金利に乗り換えることは難しいのではないだろうか。このような住宅ローン破綻予備軍が金利上昇局面に備えてできることは「収入を増やす」か、「物件を売却する」か、はたまた「金利が下がるように祈る」といったものしかない。

 変動金利のローン商品は、金利の見直しが半年ごとであるため、足元では目立った変化こそ生じていない。しかし、足元の状況を踏まえれば、次回の見直しで変動金利で組んだローンの金利負担が増えてくる可能性は高い。

 また住宅ローンには5年ルールという、「毎月の返済額が5年毎にしか見直されない」というルールがあり、金利が上がってもしばらくは支払額は一定であるため、直ちに家計の負担を圧迫するとはいえない。

 しかし、金利が上がっても返済額が一定ということは、借入元本の返済ペースがスローダウンし、支払い総額を高めてしまうことにもつながる。金利上昇局面においてはやはり変動金利のデメリットを避けることはできない。

本当に金利は上がるのか

 ここで気になるのが、目に見えない「金利」の上昇をどうやって事前に察知するかという点ではないだろうか。

 この点について、日本国債の利回りを確認することで、すでに将来の金利上昇を市場が織り込み始めていることを確認できる。一般的に「金利」として参照される日本の長期国債(10年物)利回りを確認すると、ここ1カ月でその利回りは年率0.160%程度から0.246%まで急騰している。

 日銀は「イールドカーブコントロール」という政策で、一定の価格で無限に日本国債を買い支えて、事実上の金利上限を0.25%に抑えようとしている。

 しかし、最近は0.25%の水準を突破してくる回数が増えてきた。これは、日銀の吸収スピードを上回るほどの国債売りが発生していることを表しており、市場は日銀の政策変更を見込んで大量に日本国債を売っているということになる。つまり、市場と日銀の攻防戦が繰り広げられているのである。

筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO

1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら https://twitter.com/full_tangent 』

次期日銀総裁は雨宮氏と中曽氏が有力、正常化へ実務重視

次期日銀総裁は雨宮氏と中曽氏が有力、正常化へ実務重視
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-22/RAMKRUDWLU6901

『伊藤純夫、藤岡徹
2022年4月22日 13:13 JST

23年4月に任期満了迎える黒田総裁、副総裁2人も3月に退任
政府とのバランスが重要なポイントになる可能性-ソニーFH

来年4月に任期満了を迎える日本銀行の黒田東彦総裁の後任は、雨宮正佳副総裁と中曽宏大和総研理事長(前副総裁)がエコノミストの間で有力候補とみられている。

  ブルームバーグが14-19日に実施したエコノミスト調査で次期総裁の有力候補を3人挙げてもらったところ、30人からの回答は雨宮氏が29人、中曽氏が28人と拮抗(きっこう)した。浅川雅嗣アジア開発銀行総裁(元財務官)が9人で続いた。』

『黒田総裁は2013年の就任以降、2%の物価安定目標の実現を目指し、大規模な国債買い入れやマイナス金利、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)政策など異例の金融緩和を続けてきた。日銀出身の雨宮氏と中曽氏が有力視されるのは、次期総裁が金融政策の正常化を含めて実務的にも難しい対応を迫られるとの見方が背景にある。

次期日銀総裁候補

エコノミストは雨宮氏と中曽氏を有力視

出所:ブルームバーグ・サーベイ

備考:有力候補3人の回答を求めた。回答数は73(回答者数30人)

  岸田文雄首相は今夏の参院選後、来年3月に任期満了となる雨宮副総裁と若田部昌澄副総裁の後任を含む新たな日銀首脳陣の人選に入り、来年初めに国会に提示する見通しだ。岸田首相は先月、次期総裁は2%の物価安定目標に「理解のある方が望ましい」との見解を示した。「その時点で日銀総裁に最もふさわしいと判断する方を任命することが基本」とも述べた。

  岸田政権は初の日銀政策委員会人事で、7月に任期満了となる片岡剛士審議委員の後任に、岡三証券グローバル・リサーチ・センターの高田創理事長を充てた。積極的な金融緩和でデフレ脱却を目指す片岡氏と同じリフレ派は起用せず、アベノミクスで大胆な金融政策を掲げてリフレ派を次々と日銀に送り込んだ安倍晋三元首相とは一線を画した。

  三井住友信託銀行の岩橋淳樹シニアエコノミストは「岸田政権では日銀人事に対するスタンスが、リフレ派一辺倒からバランスを取る方向にシフトしている可能性があり注視している」との見方を示す。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda New Conference
黒田東彦日銀総裁(3月18日)
Source: Bloomberg

  物価目標達成まで現行緩和を続ける方針の日銀と段階的に利上げを進める姿勢の米国との方向性の違いを背景に、約20年ぶりの1ドル=130円台が視野に入りつつある。鈴木俊一財務相は価格転嫁できず賃金も伸びない環境で進む円安は「悪い円安と言える」とし、原油など原材料価格が高騰する中での円安は「デメリットをもたらす面が強い」との認識を示している。

  一方、黒田総裁は円安は全体として日本経済にプラスとの評価は変えていないとしつつも、「非常に大きな円安とか、急速な円安の場合はマイナスが大きくなる」とし、マイナス面も考慮する必要性に言及し始めている。政府が円安警戒を強める中で、発言のトーンを変えた形だ。

  ソニーフィナンシャルホールディングスの菅野雅明チーフエコノミストは「政府は参議院選挙を控え、物価高を抑制すべく円安是正を希望しており、政府と日銀の間の温度差が目立つ」と指摘する。政府がタカ派(金融正常化)、中央銀行(日銀)がハト派という対立は異例とし、「黒田総裁の後任は政府とのバランスが重要なポイントになる可能性がある」とみる。

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止まらぬ円安、日銀のレートチェックって何?

止まらぬ円安、日銀のレートチェックって何?
イチからわかる金融ニュース
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB154BY0V10C22A9000000/

 ※ 世の中、「構造」から生じている現象を、その「構造」を変化させること無くして、現象の方だけ「変える」ということは、難しい…。

 ※ 今般の「円安」も、根本は「日米金利差」という「構造」から生じているもので、これが「変わらない」限り、「ドル高・円安」という「力学」は働き続ける…。

 ※ それでも、「政治的思わく」や、「時の政権のご意向」なんかにより、「力学を無視して、打って出る」可能性は、無いわけではない…。

 ※ 案外、安倍氏の「遺産」である「アベノミクス」の根幹であった「異次元緩和」を取りやめることで、「安部カラー」の払拭を図る…、なんてことが、時の政権の「最大の目的」となる可能性が、無いわけではない…。

 ※ これに、次期日銀総裁の「人事」なんてものも、絡んでくるんで、事態は、ますます複雑化してくる…。

 ※ 日銀総裁の人事は、基本、「たすき掛け」で、「財務官僚畑」の人と、「日銀生え抜き畑」の人とで、交互に就任することになっているらしい…。

 ※ 現黒田総裁は、「財務官僚畑」の人だったんで、次期は、「日銀生え抜き畑」から就任するだろうと目されているらしい…。

 ※ 有力候補としては、『最多数は現日銀副総裁の雨宮正佳氏で、エコノミスト30名中29名が次期日銀総裁だと予想した。次点は28名が予想する大和総研理事長 中曽宏氏。雨宮氏とほぼ拮抗する結果となった。3番目に予想が多かったのは、アジア開発銀行総裁の浅川雅嗣氏(9名)だった。

この結果を素直に受け取れば、現在点では雨宮氏、中曽氏、浅川氏の3名が次期日銀総裁の有力候補となるだろう。』という3名の名前が上がっているらしい…。

『日銀が為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を実施しました。今は1ドル=140円を超える円安水準で為替相場が推移していることは、市場参加者に聞かなくても分かります。なぜ、わざわざ日銀は相場水準を聞いたのでしょうか。このタイミングで聞く狙いは何でしょうか。

何を聞くの?誰が聞くの?

レートチェックは当局者が市場の動きをけん制する口先介入から一歩踏み込み、為替介入の準備段階にあたります。聞くのは日銀金融市場局為替課の職員です。東京・日本橋本石町にある日銀本店の4階にある一室から、銀行など金融機関で為替売買をするディーラーに電話で聞きます。質問は「ドル売りだと、いくらのレートでいけますか」といった内容です。

もちろん、日銀もオンラインで為替の動向をリアルタイムで把握しており、相場の見通しについても日ごろから市場参加者と情報交換しています。あえて電話という手段で複数のディーラーに売買のレートを問い合わせることで、為替介入の実行部隊である日銀が準備に動いていることをアピールする狙いがあります。

日銀はレートチェックを実施したかどうかについて、過去の実績も含めて公表していません。関係者によると、為替課の部屋は周囲からの視線を遮るために、ブラインドやシャッターを閉め切っているそうです。

【注目記事】

・日銀が「レートチェック」 為替介入の準備か
・鈴木財務相、為替介入「やるときは間髪入れず瞬時に」

なぜこのタイミング?

急速に進む円安に対して、政府・日銀は口先介入を繰り返してきました。7日に鈴木俊一財務相が急激な為替の変動には「必要な対応をとる」と発言。8日には財務省、日銀、金融庁の3者が会合を開き為替相場の急変に強い警戒感を示しました。9日には日銀の黒田東彦総裁が官邸の岸田文雄首相を訪ねています。それでも円安・ドル高傾向は止まらず、強いメッセージを出して市場をけん制しました。

もう一つは世界の主要中銀の政策決定スケジュールです。日銀が21~22日に金融政策の方向性を決める金融政策決定会合を開くほか、直前の20~21日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)を予定しています。FRBなど海外中銀が大幅な利上げを表明すれば、市場は大規模緩和を続ける日本との金利差をより強く意識します。

一般的に、金利が低い通貨から金利の高い通貨にお金は流れます。今は米国と比べて日本の金利が低い状況なので、金利の低い円を売り、金利が高いドルを買う動きが活発です。FOMC後に金利の高い米ドルを買って低い円を売る動きが加速する前に、レートチェックによって介入の可能性をにおわせてけん制したとの見方もあります。

【注目記事】

・日銀が実施した「レートチェック」とは?
・政府・日銀、苦渋の為替介入準備 急速な円安に危機感
・円安、なぜ止まらぬ? 政府・日銀は介入・利上げに動くか
・米国、問われる利上げ耐性 年内に4%超との見方も

円安を止める効果はありますか?

14日の円相場は午前7時ごろに1ドル=144円台後半を付け145円が迫っていました。複数の関係者の話では、日銀は1ドル=144円90銭付近に差し掛かったところでレートチェックに踏み切ったようです。レートチェック後の15日の円相場は1ドル=143円台を中心に推移しています。ユーロなど他の幅広い通貨に対しても円高が進みました。日系の為替ディーラーは「為替介入の可能性がちらつく中であえて円を売る動きはなくなっている」と話します。現時点では効果を発揮しているようです。

この効果が続くかははっきりしません。というのも、現在の円安の要因は、金融引き締めを強化する米国と大規模緩和を続ける日本という金融政策の構造の違いが大きいためです。市場関係者は、円買い・ドル売りの「実弾介入」があるかどうかに注目しています。レートチェックが「介入のふり」と見る市場関係者が増えれば再び為替は円安に戻る可能性もあります。

【注目記事】円、レートチェック後は全面高 「介入で反転」過去3割

(三島大地、前田尚歩)
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

レートチェックには、(1)為替介入の準備が進んでおり「臨戦態勢」であること、(2)相場の変化スピードに対して通貨当局が懸念を抱いていること、以上2点を知らしめるアナウンスメント効果がある。介入は、相場は市場で形成されるという原理原則への例外措置であり、必ずしも適切な例えではないかもしれないが、警官が犯人に対して拳銃を向け、引き金に指がかかっているものの、できれば発砲せずに済ませたい状況のようなもの。なお、過去には、レートチェックが行われた(行われたという観測が市場で流れた)ものの、その後に介入がなかったケースもある。レートチェックから介入実施までのインターバルが1か月以上と長かったこともある。
2022年9月16日 7:31 』

厚切りジェイソン、ツイート全消し

厚切りジェイソン、ツイート全消し 米国株下落で非難殺到か?
https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2205/13/news094.html

 ※ 信者になるな!権威を疑え!

 ※ 自分の頭で考えることができるヤツだけが、生き残っていける!

 ※ 「事態の急変」に冷静に対処できる「眼力」と「胆力」を、鍛錬しろ!

 ※ この局面で、「レバナス」とか、最悪だぞ…。

 ※ 信者になって、「外した時」、「教祖さま」を非難しても、呪っても、「あとの祭り」だ…。

『タレントの厚切りジェイソンさんが、運営するツイッターの投稿をすべて消したことが話題になっている。22万人あまりのフォロワーを持つ人気アカウントであり、影響力は大きかった。削除の理由は明かされていないが、同氏が推奨してきた米国株投資に逆風が吹いているためではないかと見られる。

22万フォロワーを持つ厚切りジェイソンさん、ツイートを全消し

 厚切りジェイソンさんは2021年末に書籍『ジェイソン流お金の増やし方』を上梓。累計38万部を超えるベストセラーとなっている。書籍内では、「投資先は米国株がおすすめ!」「米国株を推しにするには訳がある」など、米国株投資を推奨している。

 一方で、激しいインフレとそれに対峙する米中央銀行に当たるFRBの利上げを背景に、米国株式は激しい下落に見舞われている。直近1カ月で、厚切りジェイソンさんが推奨する米国ETF VTIが12.6%下落(ドル建て)した一方で、日経平均は2.2%の下落にとどまった。
厚切りジェイソンさんが推奨する米国株は1カ月で12.6%下落

 もっとも全米株式に分散して投資するVTIの下落はまだ穏やかだ。ナスダック総合指数は同期間の下落が16.5%となっており、さらにレバレッジをかけるレバナスは1年間で半値あたりまで下落している。

 ネット上では今回の株価下落に際して「インフルエンサーの勧める通り投資したら資産がなくなった」「許さない」といった声も多数出ており、逆恨みによる非難からツイートの削除に至ったのではないかと推察されている。

 ここ数年は米国株が日本株などに比べて高いパフォーマンスを出しており、また若年層が投資するにあたり参考にする情報が大きくネットにシフトした。テレビや金融機関の営業担当といった伝統的な情報源ではなく、ネット上のインフルエンサーの情報をうのみにする人も多かった模様だ。

厚切りジェイソンさんのベストセラー『ジェイソン流お金の増やし方』

 もっとも、厚切りジェイソンさんは基本的な投資方法として、インデックスファンドによる「長期・分散・積立」投資をうたっており、極めて堅実な投資方法だといえる。書籍内でも、「危機が起きても積み立てたファンドを取り崩さないような準備を」と、今回のような事態が起きても慌てず淡々と投資を継続することを説いていた。

 それでも短期的な値動きに翻弄(ほんろう)されるのが投資家であり、またうまくいかなかったら誰かのせいにしたいと思う気持ちもあるものだ。「13日の金曜日」となる5月13日は、タレントの厚切りジェイソンさんにとっても不吉な日なのかもしれない。』