インフレは終わらない ペンス演説が変えた世界

インフレは終わらない ペンス演説が変えた世界
経済部長 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1332Z0T10C22A9000000/

 ※ そういや、ペンス演説が「転換点」だったな…。

 ※ オレも、投稿上げたっけ…。

 ※ ただ、当時、これに注目した人が、何割いたのか…。

『ペンス副大統領の演説、一読しといたほうが良さそうだな…。
https://wordpress.com/posts/http476386114.com?s=%E3%83%9A%E3%83%B3%E3%82%B9%E5%89%AF%E5%A4%A7%E7%B5%B1%E9%A0%98 』

『さわりを紹介しておこう。

『演説内容には注目すべき7つのポイントがある。

1.中国と中国共産党を区別する
2.米国中間選挙に介入、米政府の転覆を図る
3.中国当局による浸透工作の全貌を暴く
4.貿易戦で中国共産党への包囲網を強める
5.中国当局による軍事挑発に備える
6.米国民の結束を高める
7.中国共産党の邪悪本質を暴く』

『ペンス副大統領は最後に中国のことわざ「人見目前 天見久遠」(人間は目の前を見ているが、天は遠い将来を見ている)を引用し、「神は未来を見ていると信じている。神のご加護で、米中両国はともに未来を迎えられるように」と演説を締めくくった。』ってことだ。』

『あれからまもなく4年がたつ。

「中国での自由が経済だけでなく、政治にも拡大すると期待してきた。しかし、それは満たされなかった」。2018年10月4日、当時のペンス米副大統領が中国共産党の一党支配を批判した演説である。

米国をはじめとする西側諸国は、01年に中国の世界貿易機関(WTO)への加盟を認めた。中国をグローバル経済に組み込めば、いずれは自由や民主主義を大切にする国に変わると信じたからだ。

しかし、そうはならなかった。習近平(シー・ジンピン)国家主席の下で、むしろ自由への締めつけを厳しくし、党による支配を強めている。ペンス演説は、民主主義に背を向けた中国との決別宣言だった。

当時、中国でさかんに語られた仮説がある。「60%現象」だ。ある国の国内総生産(GDP)が米国の60%に届くと、米国はあらゆる手を尽くしてその国の力をそごうとする。ソ連に対してしかり、日本に対してしかり。中国が第2次大戦後の歴史から学んだ教訓である。

国際通貨基金(IMF)によると、中国のGDPは15年に初めて米国の60%を超え、18年には7割近くに達した。

米国はいよいよ中国をつぶしにかかるにちがいない。そんな警戒感が高まっていたときに、ペンス演説は「民主主義VS独裁」の構図をつくり出した。米国とうまくやっていこうとしていた中国に与えた衝撃は計り知れない。

中国のWTO加盟で加速したグローバル化が逆回転を始めたのだ。米国は華為技術(ファーウェイ)など中国のハイテク企業の排除に動き、最先端の半導体が中国の手に渡らないようにした。中国とのデカップリング(分断)すら辞さない。そんなメッセージだった。

中国も黙っていなかった。「国際的なサプライチェーン(供給網)の我が国に対する依存度を高め、供給を断とうとする外国への強力な反撃と威嚇の能力を形成しなければならない」。習主席は20年4月に開いた党の会議でこう指示した。

米国がデカップリングを仕掛けるなら、中国は世界への製品や部品、資源の供給を止める。14億人の巨大市場とともに、中国から世界に張りめぐらした供給網を武器にした脅しだった。

グローバル化の後退は数字に表れ始めている。世界銀行によると、世界のGDPに対する貿易額の割合は、01年の5割弱から08年には6割超と一気に高まった。しかし、20年には再び中国のWTO加盟時に近い水準まで落ち込んだ。

グローバル化は、企業に世界で最も効率的な場所を選び、最も安い部品や原材料を使ってモノやサービスを生み出せる環境をもたらした。「グレートモデレーション」と呼ばれる緩やかな成長と低インフレの時代は、グローバル化の深化が前提だ。

それが終わりつつある。米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加する14カ国は9日、正式な交渉開始で合意した。最大の目的は中国に対抗する供給網づくりだ。

習氏は15~16日にウズベキスタンで開かれる上海協力機構(SCO)の首脳会議に出席し、ロシアのプーチン大統領と会談する。中ロの結束は固い。世界経済の分断とブロック化が進み、インフレが加速する懸念が強まる。

新型コロナウイルス禍から抜け出す過程で始まったインフレは「一時的」でなかった。ペンス演説を起点とする世界秩序の構造変化に目をこらさなければ、物価の先行きを見誤る。
経済部長(経済・社会保障グループ長) 高橋哲史
大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。
日本経済新聞 経済・社会保障Twitter https://twitter.com/nikkei_keizai
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蛯原健
リブライトパートナーズ 代表パートナー
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別の視点

ペンス氏がハドソン研究所で行ったこの演説は書き起こしを読むと改めて「怒りの演説」と称すべき激烈な言葉が並んでいる。しかし米国が一方的に仕掛けたという事ではなく、中国側も特に「強制技術移転」と呼ばれる外国の製造業やIT企業の技術やIPを恫喝や国家権力による実力行使により奪取するなど目に余る行為が続いていた事も要因であった。これにより関税戦争やファーウェイ創業家上層部逮捕拘束などへと続く、米中新冷戦への狼煙と言える演説となった。
2022年9月15日 8:06

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高橋徹
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
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分析・考察

かつて盛んに言われた「政冷経熱」の時代は終わったということなのでしょう。もっとも2013年に始動した広域経済圏構想「一帯一路」を通じ、経済と安全保障を渾然一体として沿線国への影響力を高めてきたのは中国も同じです。その意味では、ペンス演説より5年早かった、訪問先のインドネシアでの習近平国家主席の「海と陸のシルクロード」演説もまた、米国という虎の尾を踏み、世界を変えた嚆矢ともいえるかもしれません。

2022年9月15日 10:21 (2022年9月15日 10:22更新)

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説

「世界構造に起因したインフレ」は鋭い指摘だ。IPEFや中ロの経済ブロック化がどこまで現実味が帯びてくるかは不明だが、「中国の経済がくしゃみをすれば世界が風邪をひく」という状況だったので、そこからの離脱に伴う痛みは今回のインフレで顕著に現れているのではないか。
2022年9月15日 7:54 』

浜田防衛相、反撃能力の検討伝達 米国「強い支持」

浜田防衛相、反撃能力の検討伝達 米国「強い支持」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14C2G0U2A910C2000000/

『【ワシントン=重田俊介】浜田靖一防衛相は14日(日本時間15日)、国防総省でオースティン国防長官と初めて対面で会談した。長射程のミサイル保有を念頭に反撃能力を持つことを検討すると説明した。日本側によるとオースティン氏は「強い支持」を表明した。

2023年に日米で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開き、中国抑止に向けた戦略を協議する。

昼食をとりながら1時間35分ほど会談した。オースティン氏は冒頭「台湾海峡や日本海域における中国の挑発的な行動は不安定をもたらし、前例をみない」と非難した。そのうえで「統合抑止力や防衛協力の強化について話したい」と言及した。

浜田氏は年末にまとめる国家安保戦略に向け「反撃能力を含めたあらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的な強化を実現する」と伝達した。

浜田氏が言及した反撃能力は長射程のミサイル保有が前提となる。日本政府は国産の12式地対艦誘導弾の射程を1000キロに伸ばし、1000発を超える規模で持つことを想定する。

南西諸島に配備するだけでなく、艦船や航空機にも搭載できるようにする。中国本土や台湾の周辺海域を射程に収める構想がある。

米国は中距離核戦力(INF)全廃条約に基づいて射程500~5500キロの地上発射型ミサイルを廃棄した。同射程の戦力で中国に劣後していた。

会談では音速の5倍以上の速度で飛ぶ極超音速ミサイルを迎撃する技術の共同研究を検討することでも一致した。

米国防総省は衛星を使って極超音速ミサイルを探知・追跡するシステムの構築をめざして米企業2社と契約した。防衛省も23年度予算の概算要求で技術研究を事項要求として計上している。

情報収集態勢の協力を進める。米空軍の無人機MQ9が取得した情報を日米共同で分析すると確認した。

米国による核の拡大抑止の信頼性向上を目指す。現在、日米は拡大抑止協議を審議官級で実施している。閣僚レベルでも議論を深めると合意した。

次期戦闘機の開発について議論した。日本は次期戦闘機を米国と共同開発する計画を改め、英国との共通機体とする方針に転換した。米国とは有人機の支援で使う無人機の協力を進める。

【関連記事】

・日米防衛相が初会談、統合抑止へ「反撃能力」伝達
・浜田防衛相が米到着、就任1カ月で米国防長官と会談へ

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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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ひとこと解説

米国と世界の安全保障政策の最重要課題は、ウクライナでの戦争と台湾海峡の安定であり、後者のほうが米国の領域防衛にも直接影響するより重要な課題です。日本にとっても、台湾有事は自国の安全に直接影響する深刻な事態であり、日本自身の防衛努力と日米同盟の機能が、地域と世界と安定させるために極めて重要です。日本が今年中に国家安全保障戦略、防衛計画の大綱、中期防を改訂する前に、日本がどのような反撃力を整備していくかを、米国側とすり合わせをして抑止力を向上させることは、地域の安定に寄与することになると思います。
2022年9月15日 8:49 』

政府・日銀、苦渋の為替介入準備

政府・日銀、苦渋の為替介入準備 急速な円安に危機感
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA147QM0U2A910C2000000/

『政府・日銀と市場関係者の為替相場を巡る緊張感が高まっている。13日夜に米物価統計が公表された後の急速な円安を受け、日銀は為替介入の準備のための「レートチェック」を実施した。当局者が市場の動きをけん制する「口先介入」から一歩進んだが、金融緩和のもとで円安の基調が変わるとの見方は乏しい。協調介入のハードルは高く、円安を止めるのは難しい状況だ。

14日午前、銀行などの外為担当者に日銀から電話が入った。「ある程度の規模で円買い・ドル売り取引をする際のレートはいくらですか」。通常、政府・日銀が為替介入をする前の準備として行うレートチェックだ。

14日の円相場は午前7時ごろに1ドル=144円台後半を付け、145円が迫っていた。市場関係者は「145円の節目を突破するとどんどん円安が進む可能性があり、危機感が高まっていた」という。

実際に為替介入を準備している姿勢を市場に示す。政府・日銀のこの動きは3月から進む円安について、介入以外にとりうる策が尽きた結果の苦渋の選択でもある。

3月上旬の1ドル=114円台から強まった円安基調に対し、鈴木俊一財務相らは過度な為替の動きをけん制する「口先介入」を繰り返してきた。足元では輸入物価の値上がりへの企業や消費者の不満も無視できない。鈴木氏は4月には「悪い円安」、最近では「あらゆる手段を排除しない」とまで語るようになったが、円安の動きは止まっていない。

鈴木氏は14日午後には円安に対応する手段に為替介入を含むかどうかについて「あらゆる手段であり、そう考えていい」と記者団に述べた。同日夕になると介入は「やるときは間髪入れずに瞬時にやる」と述べ、神田真人財務官も「適切な対応を取る準備ができている」と語った。レートチェックが進む中、当局による円安けん制のメッセージは近年になく強まった。

しかし、市場関係者は「介入のふり」とみているようだ。日経電子版が日銀によるレートチェックの実施を報じたのは午後1時半ごろ。1㌦=144円30銭台だった相場は円高に振れたものの、143円台後半でいったん止まった。

シティグループ証券の高島修氏は過去に介入する際に使っていた「断固たる措置をとる」という表現が政府関係者から発せられていないことから「1ドル=150円に乗せるまでは介入に動く可能性は低い」とみる。

円安に対抗する円買い・ドル売り介入は手持ちのドルを売る必要があり、外貨準備の範囲内でしか実施できない。これまで円高に対応する円売り・ドル買い介入を319回実施したのに対し、円買い・ドル売り介入は32回にとどまる。1998年6月を最後に封印している。

ドル安に転じれば米国の輸入物価は上がる。インフレに苦しむ米国の理解を得るのは難しく、協調介入の機運は乏しい。7月に鈴木氏とイエレン財務長官の会談でまとめた文書に為替安定の記述が入ったのは日本側の働きかけによるものだった。日米の温度差は大きい。財務省幹部は「日本単独でも介入できる」と話すが、効果は限られる。

このまま介入に踏み切れば投機的な動きはけん制できる可能性がある。しかし、日米の金利差が埋まるわけではなく、円安の圧力は残り続ける。今後の大きな焦点が、日銀が21~22日に開く金融政策決定会合だ。

黒田東彦総裁は前回7月の決定会合後の記者会見で「少し金利を上げても円安が止まることは到底考えられない」と述べ、円安に対応するための金融政策の変更に否定的な見解を示した。

現在も金融政策の変更を予想する市場関係者は少数派だが、日銀内でも急速に進む円安を無視できない状況になりつつある。ある日銀関係者は「為替は経済を構成する重要要素。(利上げの)リスク、効果などを見極めた上で政策を考える必要がある」と指摘する。

【関連記事】

・「米利上げ不況」市場で強まる警戒 業績不安で株安連鎖
・CPIショック再び、世界で株安連鎖 日経平均一時800円安
・日銀が「レートチェック」 為替介入の準備か

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

レートチェックは、「実弾介入」の一歩手前の動き。介入実行の準備をしていることを市場参加者に対して、強くアナウンスする効果を有する。ドル/円相場の市場実勢は、取引端末や情報スクリーンなどから、リアルタイムで通貨当局も知ることができる。それでもあえて、民間銀行に対して取引可能な相場水準を日銀がきくことには、そうした意味合いがある。市場における円売りに対するそうしたけん制に効果がなく、レートチェックをした水準を超えて急ピッチで円安ドル高が進むようなら、日本単独での介入実施が真剣に検討されるだろう。ドル/円での介入実施には米財務省の容認姿勢が必要とみられる中、岸田首相の米国訪問が近く予定されている。
2022年9月15日 7:48

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

遅いが、やらないよりはやったほうがいい。むろん、円買い介入しても、円安を止めることができない。円買いしながら、金融緩和・ゼロ金利を転換する。そうすれば、状況はかなり変わる。あと2週間で10月に入る。さらなる物価上昇が予想される。需要が供給を上回って物価が上昇しているのではない。輸入インフレだ。輸入インフレは企業経営に直撃する。最近、毎日のようにこのようなコメントを書いている。昨日、ガソリンスタンドにいって給油したら、高い。
2022年9月15日 7:23 』

貿易赤字が過去最大2.8兆円 8月

貿易赤字が過去最大2.8兆円 8月、資源高・円安で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA14BTU0U2A910C2000000/

『財務省が15日発表した8月の貿易統計速報によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2兆8173億円の赤字だった。2014年1月を上回り過去最大の赤字となった。

資源高や円安で輸入額が前年同月比49.9%増の10兆8792億円だった。19カ月連続で前年同月を上回った。

輸出額は22.1%増の8兆619億円で、18カ月連続で前年同月を上回った。』

WHOテドロス事務局長 新型コロナ“終わりが視野に入ってきた”

WHOテドロス事務局長 新型コロナ“終わりが視野に入ってきた”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220915/k10013818681000.html

『 WHO=世界保健機関のテドロス事務局長は記者会見で、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の現状について「まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べたうえで、収束に向けて感染拡大防止の取り組みの継続を訴えました。

WHOのテドロス事務局長は14日の記者会見で、新型コロナウイルスの世界全体の死者数が、先週、2020年3月以来の低い水準になったと指摘したうえで、「世界的な感染拡大を終わらせるのにこれほど有利な状況になったことはない。まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べました。

WHOの集計によりますと、今月5日から11日までの世界全体の死者数は前の週より22%減少して1万935人で、新規感染者数は28%減少して313万人余りとなっています。

テドロス事務局長は「マラソン選手はゴールが見えてきたからといって立ち止まることはなく、残った力を使って、より速く走ろうとするものだ。この機会を逃してはならない」と述べ、収束に向けて感染拡大防止の取り組みの継続を訴えました。』

ゼレンスキー大統領の車が事故

ゼレンスキー大統領の車が事故 大きなけがなし 現地メディア
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220915/k10013818731000.html

『ウクライナメディアなどが伝えたところによりますと、ゼレンスキー大統領が乗った車が首都キーウで別の車と衝突したということです。ゼレンスキー大統領は医師の診察を受けましたが、大きなけがはないとしています。

ウクライナメディアなどは15日、ゼレンスキー大統領の報道官のフェイスブックを引用する形で、ゼレンスキー大統領が乗った車が首都キーウで別の車と衝突したと伝えました。

ゼレンスキー大統領は医師の診察を受けましたが、大きなけがはないとしています。

事故の具体的な状況については明らかにしていませんが「すべての状況は調査中だ」としています。

ゼレンスキー大統領は14日、東部ハルキウ州の重要拠点イジュームを訪れ、国旗を掲揚するなどしてロシア軍から奪還したことを強調したほか、ハルキウ市内で会議に参加していて、キーウに戻った際に事故に遭ったものとみられます。

ゼレンスキー大統領は15日、自身のSNSに新たな動画を投稿しましたが事故については触れていません。』

冬の時代を迎えたソフトバンクグループ

冬の時代を迎えたソフトバンクグループ
https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g02200/

『経済・ビジネス 2022.09.15

後藤 逸郎 【Profile】

2021年度の決算で純利益4兆9879億円を記録したソフトバンクグループ(以下、SBG)。だが、2022年4月~6月期の決算では、一転して最終損益が3兆1627億円と過去最大の大赤字に転落。SBGは即座にアリババグループ・ホールディング(以下、アリババ)株の大量売却で赤字を補填(ほてん)した形を取ったが、虎の子のアリババ株は減る一方。また、同社の外国人幹部の流出も止まらない。かつてない激震に見舞われているSBGはこの難局を乗り越えられるか。

孫正義氏の反省の弁

SBGがアリババ株を大量売却し、アリババを「持分法適用関連会社」から外すことになった。投資事業の打ち出の小づちを失うSBGは正念場を迎える。

2022年8月中旬から9月末にかけて最大2億4600ADR(米国預託証券=米国の投資家が米国以外の外国企業にドル建てで投資できるように作られたもの)を現物決済するもので、アリババ株におけるSBGの保有割合は23.7%から14.6%に減少。保有割合が20%に達しなくなったため、1999年に出資してから初めてアリババが関連会社から外れるが、株の売却で2022年7月~9月期に税引き前売却益約4兆6000億円を計上する。

売却発表の2日前の8月8日、SBGは第1四半期決算で過去最大の3兆1627億円の最終赤字を計上した。前四半期(2022年1~3月)に続く2四半期連続で計5兆円超の赤字について、孫正義会長兼社長は、徳川家康が三方ケ原の戦いで敗れた後、戒めのために描かせたと言われる肖像画「しかみ像」を背景に、「この6カ月間で約5兆円の赤字を出したことをしっかりと反省し、戒めとして覚えておきたい。今日はわれわれの実態がどういう状況であるかを反省を込めて語りたい」と述べたばかり。

SBGは21年3月期に日本企業最大の約5兆円の最終利益を出しており、良くも悪くも株式市場の浮き沈みに影響される投資会社だ。とはいえ、約5兆円の赤字を一気に取り戻すかのような動きに株式市場は反応し、年初来高値に迫った。

だが、SBGのアリババ株売却は投資事業のビジネスモデルの解体を意味する。SBGはこれまで「AI(人工知能)」を中心とした未上場株投資を行ってきた。投資会社の経営の最重要指標とするNAV(時価純資産)は、20年9月末の27兆3000億円がピークで、うち6割近くをアリババ株が占めた。

当時の株式市場は新型コロナウイルス禍から世界各国の中央銀行の金融緩和政策で急回復し、アリババ株は最高値圏にあった。SBGはこのアリババ株を市場で売却、現金化して投資するのではなく、デリバティブ取引(先物取引やオプション取引などの総称)を活用してきた。

株価が下落傾向にあるときは、固定価格で先渡し契約を結び、現物株で金融機関に支払いを行う。また、株価が一定水準以下に下回るリスクから守るオプション購入と組み合わせた「フロア取引」で、アリババ株が値上がりすれば利益が上がるようにした。

さらに、株価の下限と上限のオプションを組み合わせた「カラー取引」で、株価が下がっても損失を固定し、株価が上がっても利益を固定するようにした。それもこれも最初の投資から大きく膨らんだアリババ株があってこそで、これをテコに、投資資金の原資としてきたのだ。成長を続けるアリババのうなぎ上りの利益がSBGの連結決算に反映されることも大きかった。

アリババ株を取り巻く悪材料

もともと、アリババへの出資は1999年、孫氏がアリババ創業者のジャック・マー氏と10分足らずの面談で20億円出資を決めたのが始まりだ。アリババが2014年9月の米ニューヨーク(以下、NY)市場のADR上場を果たすと、SBGのアリババ株保有分は簿価で最大約4兆円に迫った。この間、ソフトバンクがコンピュータソフト卸からインターネット通信会社、携帯電話会社を経て投資会社になれたのもアリババ株のお陰だった。

そんな打ち出の小づちだったアリババ株の状況は一変した。1つは地政学リスクの高まりだ。米中経済対立を受け、中国企業を取り巻く環境は激変した。米政府は中国企業への監査を強化。アリババ株はNY市場で上場廃止の可能性が高まっている。

加えて、アリババを中国の政治リスクが直撃した。傘下の金融会社アント上場を巡り、マー氏の金融当局批判が習近平政権の不興を買い、上場寸前だったアントは、アリババから離れることを迫られている。貧富の格差是正を掲げる習政権の「共同富裕」政策に対し、アリババは政府に1兆7千億円もの資金を供出するなど、経営の自由度を失いつつある。

政府の度重なる締め付けもあって、右肩上がりだった業績は失速している。SBGがアリババを持分法適用関連会社にしておく利点は小さくなっていた。

さらに、世界的な金融引き締めが株式市場を冷やす。新型コロナ禍からの経済回復に伴う世界的なインフレを受け、米国の中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)などが連続利上げを実施。米NY株式市場は8月26日、1000ドル余り暴落した。

アリババは地政学リスクと自国の政治リスク、世界的な金融引き締めによる株式市場急落リスクのトリプルパンチを受けた。アリババ株は香港市場にも上場しており、米上場株と交換可能にもかかわらず、上場時の株価近くまで下落した。SBGの22年6月末時点のNAVは18兆5000億円となり、うちアリババ株の占める割合は21%に縮小した。

ソフトバンク・ビジョン・ファンドの惨状

このトリプルリスクは孫氏であれ誰であれ、コントロール不能だ。SBGの今回のアリババ株売却は、望むと望まないとに関わらず、打ち出の小づちを手放すよう強要されたに等しい。SBGはまだ14.6%のアリババ株を保有しているとはいえ、2四半期連続赤字で投資資金を絞っているSBGにとっては心もとない水準だ。

なぜなら、SBGはアリババに代わる被投資企業を見出せていないからだ。創業10年以内で10億ドル以上の評価額を持つ未上場企業をユニコーンと呼ぶ。SBGは保有する投資ファンド「ソフトバンク・ビジョン・ファンド(以下、ビジョン・ファンド)2(SVF2)」で、AIを中心としたユニコーン企業約300社に投資する「群戦略」を実行してきた。300社は世界のユニコーンの1割以上に相当する。

SBGの23年3月期第1四半期決算で、SVF2は1兆3387億円の投資損失を計上した。IT企業が主体の米ナスダック市場が3月末比で22%下落しており、未上場のユニコーン企業も評価額を下げたことが大きい。ただ、上場企業に投資したビジョン・ファンドの上場株インデックスは31%減と、ナスダックよりも落ち込みが大きい。孫氏は8月の会見で、「7兆円あったビジョン・ファンドの利益はほぼゼロになった」と述べる惨状だ。

ユニコーンの中には成長有望な企業もあった。スウェーデンの後払い決済大手「クラーナ」はそのひとつだ。利用者に金利ゼロで分割払いしてもらい、小売業者の手数料などで事業を展開するビジネスモデルで、SBGのSVF2などは21年6月、6億3900万ドル(当時の為替レートで約700億円)を追加出資した際、クラーナの評価額は456億ドル(約5兆円)に上った。

しかし、世界的な金融引き締めを受けて金利が上昇すると、クラーナは負債が急増。22年7月に8億ドル(約1074億円)の資金調達にこぎつけたものの、企業価値の評価額は67億ドル(約9000億円)に急落した。1年間で約7分の1となっている。この他、SBGが出資する米上場のシンガポール配車サービス大手「グラブ・ホールディングス」は8月末、年初来から半分以上値を下げた。

人員削減の断行と止まらぬ人材流出

孫氏は8月の決算会見で、ビジョン・ファンドの投資先が473社と説明した上で、「473社の中から将来のアリババ、あるいはアームに相当する会社が1社、2社、3社、出てくることを私は信じています」と述べたが、実現は容易ではないことを過去の実績が示している。

新規上場(IPO)の最後の切り札である英半導体設計会社アームも、株式市況悪化に加え、コンピューターやスマホの需要頭打ちが影を落とす。金融引き締めによる米景気後退が現実味を増しており、半導体需要が伸び悩む恐れが出ている。

孫氏はアームを米ナスダックとロンドン証券取引所への二重上場を計画していた。だが英上場を求めていたジョンソン首相の辞任に伴い、計画は中断したと、英フィナンシャルタイムズは報じた。「半導体業界市場最大の上場を目指す」とした孫氏にとってはある意味追い風だが、一方の米ナスダックは米景気後退懸念の広まりで下落局面にあり、IPOで高値を狙う状況にはない。

孫氏は業績悪化を受け、ビジョン・ファンドの人員削減を表明。「せっかくここまで大きくなった組織。人材もいるし、絆もある。つらい思いではある」と述べ、これまで蓄積した人的資源を放出せざるを得ない台所事情の厳しさを隠そうともしなかった。

というのも、最高執行責任者(COO)だったマルセロ・クラウレ氏が22年の年初に退任するなど、この2年間で10人近い幹部が離れた。8月31日には、ビジョン・ファンドを率いてきたラジーブ・ミスラ氏もSBG副社長を辞任した。SBGは18年に3人の副社長が就任し、孫氏の後継者候補と目されていたが、ミスラ氏の辞任で3人の副社長全員がいなくなり、人材流出も深刻だ。

SBGが置かれた状況について、孫氏は「冬の期間がどのくらい続くのかは分からない。上場株も冬の時代だが、ユニコーン企業の冬の時代の方が長く続くだろう」との認識を示した。アリババ株という打ち出の小づちを失ったSBGの苦難の道は始まったばかりだ。

バナー写真:決算説明会に臨むソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長。背景は徳川家康が描かせたとされる「しかみ像」=2022年08月08日、東京都港区(時事)

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後藤 逸郎GOTŌ Itsurō経歴・執筆一覧を見る

ジャーナリスト。1965年、富山県 生まれ。金沢大学法学部卒業後、 1990年、毎日新聞社入社。姫路支局、和歌山支局、大阪本社経済部、 東京本社経済部、大阪本社経済部次長、週刊エコノミスト編集次長、特別報道グループ編集委員などを経て、 地方部エリア編集委員を最後に退職。著書に『亡国の東京オリンピック』(文藝春秋)『オリンピック・マネー 誰も知らない東京五輪の裏側』(文春新書)。』

「露軍、メリトポリから逃走」と地元市長 反攻加速も

「露軍、メリトポリから逃走」と地元市長 反攻加速も
https://news.yahoo.co.jp/articles/3fd4e49eae87b5f00f0b207ecd42343a5f3f3e94

 ※ 今年の4月12日の情勢だ…。

『ロシアによるウクライナ侵略で、ロシアの占領下にある南部ザポロジエ州メリトポリのフェドロフ市長は13日、SNS(交流サイト)を通じ「露軍部隊が市内からクリミア半島に向けて逃走を始めた」と述べた。ウクライナメディアが伝えた。

メリトポリはアゾフ海に近い南部の要衝で、露軍が侵攻開始直後に制圧したが、ロシア側要人を狙ったパルチザンによる武力闘争が伝えられていた。露軍が同市を放棄した場合、南部でのウクライナ軍の反攻が進展する可能性がある。

ウクライナ軍が反攻を展開している東部ハリコフ州に関し、同国のマリャル国防次官は13日、6日以降に露軍から300カ所以上の都市や集落を奪還したと発表した。

一方、ウクライナ警察当局は13日、奪還した同州の要衝バラクレヤの警察署に露軍が拷問施設を設置していたと発表。ウクライナ側の協力者を拘束し、電気ショックを与えるなどの残虐行為をしていた上、同市からの撤退時に民間人を銃撃した情報もあるとし、捜査に着手したと表明した。

露軍が制圧を宣言している東部ルガンスク州のガイダイ知事は13日、地元テレビを通じ、隣接するドネツク州の中心都市スラビャンスクに近い要衝リマンでウクライナ軍が奪還に

向けた戦闘を開始したと発表。リマンの奪還に成功すれば、ルガンスク州の解放が近づくとの認識を示した。』

環境に配慮しろ! ウクライナを救え! しかし、国民に負担はかけるな!

環境に配慮しろ! ウクライナを救え! しかし、国民に負担はかけるな! : 机上空間
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29653066.html

 ※ けんぽーきゅーじょー…、巡る情勢とソックリだな…。

 ※ 「平和を守れ!戦争、反対!しかし、オレの生活に負担はかけるな!核攻撃・ミサイル攻撃から国民(オレ)を守れ!」…。

 ※ そーゆー「ムシのいい話し」が、この世の中に、現実にあると思っている「オツムの弱さが」哀しいな…。

『前々から、このブログで言ってきた、ヨーロッパ各国で、エネルギー価格の高騰による民衆の不満が爆発しつつあるようです。まぁ、確たる展望も無く、原子力発電所を止めて、石炭火力発電所を禁止にした上で、トランプ大統領がエネルギーのロシア依存を警告した時に、薄ら笑いを浮かべて「政治素人は、黙っていろ」みたいな態度をとっていた報いなんですけどね。

Youtubeで動画が残っているので、探してみると良いですが、トランプ元大統領は、ドイツひいては、ヨーロッパのロシアに対するエネルギー依存に対して、国連で警告の演説をしています。しかし、聞いているドイツ代表団の表情は、完全に馬鹿にした態度で、まさに薄ら笑いで聞いています。今、どう思っているか聞いてみたいものです。

ロシアのウクライナ侵攻で資源が止まった事もありますが、その前から、実効性が疑問視されるようなエネルギー転換政策が取られてきたのも原因です。さすがに、ドイツも最後に残っていて、今年中に止める予定だった原子力発電所の運転を継続する事に決めたようです。

さて、札束でひっぱたいて、資源を買い漁れるうちは良いのですが、それも厳しくなって、国民自らの生活に影響が出てくると、普段、環境とか言っている連中の本音が出てきます。そもそも、ヨーロッパ方面の文化的な特徴で、無駄遣いは財力を誇示する伝統的な手段なんですよね。なので、許すなら、冷暖房も点けっぱなし、まさに湯水のように使う事が優雅と見られる特徴があります。

なので、あくまで、環境に配慮とか自然を大切にというのは、それと引き換える不便や被害が、遠い彼方の第三国の経済搾取に留まっている間、机上で議論する時の話でしかなく、自分たちの生活が脅かされると、180度転換します。今、ドイツやオランダやフランスの中では、「なぜ、俺たちがウクライナの為に負担を強いられなくてはならないのだ」「ロシアに対する規制を止めて、天然ガスの輸入を再開しよう」という声が大きくなっています。というのは、エネルギー問題が解決しないと、ヨーロッパの地方によっては、これから迎える冬で、マジで凍死者が出るからです。

一部の人間が言っているというレベルではなく、かなり大規模なデモになっていて、選挙において結果に影響が出るレベルの抗議になっています。つまり、何にしても覚悟がない。「~しろ。~でなくてはならない。しかし、我々の生活を保証するのは政府の義務だ」というのが、本音であり、自分たちが損を引き受ける気は毛頭無いという事です。

多分、こうなるだろうなぁと思っていたので、ウクライナ侵攻が始まった初期の頃に、このブログで、「そのうち、ウクライナに対して、空気を呼んで、そこそこのところで妥協しろよ」という声が大きくなると予想して、記事として上げていたのですが、そういう雰囲気になってきましたね。

ちょっと前の記事で書いたように、イギリスの光熱費は、ウクライナ侵攻前の3倍になっていて、これでも政府が費用の一部を補助しています。金額にすると、平均して6万円/月で、もう少しで家賃に追いつくレベルですね。しかも、インフレで物価は、あがっていますから、普通に生活破綻者が出てくるレベルですね。

政治家として、国家の代表を務めるレベルでは、今更、ウクライナに対する援助を打ち切る選択肢は取れないのですが、「ウクライナが進んで領土を諦めて、戦争を終結させるなら」話は別です。実際に、旧ソ連時代に、過酷な統治の洗礼を受けた事の無い中央ヨーロッパの人々は、「国土をメチャクチャされるより、さっさと白旗挙げて、生活を取り戻したほうが良いんじゃなの?」と思っても、まぁ、不思議ではありません。

この動きは、ウクライナに対する理解があるとされるポーランドでも起きていて、この原因は、「ウクライナ難民が特別待遇で、破格の扱いを受けている」という噂話で、不平等感を持った市民の間で広まっています。まぁ、そういう事実は無いらしいのですが、少なくてもポーランドの国庫からウクライナ難民に対して、援助が出ているのは確かなので、それが、そろそろ気に食わない人々が出始めているという事です。

ここのところの大進撃で、ウクライナに勝ち目が出てきたので、多少はボルテージが下がるかも知れませんが、初冬までに決定的な結果で出ないと、また声がでかくなるでしょうねぇ。内政的にプーチン氏の方から折れる事はできないので(そんな事をしたら、政権が終わります)、ロシアの次の戦術としては、ダラダラと戦争を長引かせて、ヨーロッパの足並みを乱す事ですね。むしろ、こちらの方が、ロシアの広大な領土を活かした、現実的な戦略と言えます。』

米国に求められる台湾を中心とした対中政策の再考

米国に求められる台湾を中心とした対中政策の再考
岡崎研究所
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27865

『米国外交問題評議会のリチャード・ハース会長が、習近平は権力の正当性を経済成長からナショナリズムに移さざるを得ない、その際台湾に勝る事柄はない、米国等は対中抑止力強化のほか対中貿易依存の縮小等の対応を取って行くことが必要だと、8月11日付のProject Syndicateで述べている。
Leestat / iStock / Getty Images Plus

 ハースの主張を纏めれば、次の通りである。

(1)中国の軍事攻勢は、意図した過剰反応だった。長い間計画されていたものだろう。

(2)中国指導部の正当性の拠り所であった経済成長は望めなくなり、代わりにナショナリズムに益々依存することになる。その際台湾に勝る事柄はない。

(3)台湾周辺での軍事活動が新常態になれば、偶発衝突が制御不能に発展するリスクが増大する。中国は、台湾の民主主義と独立への動きを止めるために武力行使を決めるかもしれない。

(4)何をすべきか。第一に、対中抑止力を再構築する。第二に、対中貿易・経済依存を縮小する必要がある。第三に、賢明な台湾政策が必要である。「ひとつの中国政策」は維持しながらも、一方的な行動は受け入れられず、台湾の地位は、平和的に且つ台湾人の同意により決定されるべきである。

(5)米中間の非公式、ハイレベルの対話を構築する。中国を変革しようとする試みは優先事項ではない。

 ハースの論説は、バランスの取れた見解である。何れのポイントもその通りであろう。
 台湾に対する政策は、的確に書かれている。台湾の将来は、台湾人が決めるべきことであり、平和的に解決されるべきだとは、その通りである。

 なお、先般のペロシ米下院議長の訪台について、8月20日付のワシントン・ポスト紙は、検証記事の中で、①7月28日習近平がバイデンに電話でペロシの訪台中止を求めてきた、②ペロシは、バイデンが直接要請してくるか、蔡英文が招待を撤回する場合にのみ再考する意向だった、③バイデンはペロシと直接話すことはなかったという。』

『習近平の軍事エスカレーションが中国にとって良かったかどうか。中国の軍事力を使う意図と実力を見せつけ、台湾の敷く中間線を突破し、タブーを破り「新常態」への足掛かりを築いたように見える。恐らくそれで北戴河を無事乗り切り、秋の党大会につなげることができたと思っているかもしれない。

 しかしコストも払ったのではないか。まず、議会を含め米国の台湾へのコミットメントを強める結果になった。また、台湾は、防衛力を強化する決意を高めた。日本など周辺国の警戒と防衛力強化を促した。米軍の台湾海峡の航行は一層頻繁になるかもしれないし、要人の台湾訪問はすでに増している。

 更に、世界での中国の評価を下げた。その意味では、共産党大会後、平和攻勢に転じることもあるのではないか。
台湾を香港の二の舞にしないためには

 最近、米艦船二隻が台湾海峡を航行したことが注目されている。国際法に基づく公海の航行は当然のことである。中国が推進する「国際水域」ではないとの考えはおかしい。狭いところでも100キロメートル近い公海がある。

 台湾が香港の二の舞にならないように警戒が重要だ。香港では、何時の間にか既成事実が出来上がってしまった。国際社会は油断すべきではない。

 対中対話の必要性は言うまでもない。先般、習近平から岸田文雄首相にコロナ感染の見舞が来た。もう一つ興味深いことは、8月26日、米中の証券規制当局が、問題となっていた米株式市場に上場する中国企業の監査状況につき米当局の検査を認めることで合意したことだ。

 中国にとっては実利の判断だったのであろうが、対米協力を閉ざしていないことを示す事例とも受け止められる。問題を一つ一つ解決していくことが大事だ。

 中国を不必要に挑発しないことが重要なことは当然であるが、中国は、世界でもっと責任あるアクターになるべきである。特に台湾や南・東シナ海、海洋法裁判所決定への対応、核軍縮、太平洋への進出等の問題がある。

 最近、ソロモン諸島は、米国の巡視船の寄港を拒否した。また、同国は、中国の資金援助を得てファーウェイによる無線局網建設に関する契約に署名した。中国は台湾への主権を主張するが、中国共産党は過去に台湾を支配したことがあるだろうか。』

[FT]アフリカの数百万人、貧困層に 世界規模の物価高で

[FT]アフリカの数百万人、貧困層に 世界規模の物価高で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB142Q60U2A910C2000000/

『アフリカ南部マラウイ最大の都市ブランタイアに住むジャドソン・マンクワラさん(39)は、価格高騰でビニール袋入りの木炭を買えなくなり、薪にする小枝を拾い集めるようになった。
ナイジェリア最大の都市ラゴスの生鮮食品市場。物価バスケットに占める食料品の割合が大きいアフリカ各国は、世界的なインフレにより深刻な打撃を受けている=ロイター

失業中のマンクワラさんは小枝の束を脇に抱えながら、「炊事用の燃料を買えないので薪を拾っている」と話した。

ウクライナ戦争や米国の利上げによる通貨下落、長年の経済失政が重なり、マラウイのインフレ率は25%に達した。同国では消費者物価バスケット(物価指数の基準品目)に占めるトウモロコシなど主要食料品の割合が50%近くに上るため、食品価格が急騰すれば、1袋30セント(約43円)程度の木炭さえ買えなくなるのだ。

ロシアのウクライナ侵攻によって食料品や燃料、肥料といった生活必需品が世界的に値上がりし、マラウイなど経済が脆弱なアフリカ各国はとりわけ大きな犠牲を強いられている。
「もはや限界に近い状況」

「もはや限界に近い状況だ」。マラウイのチャクウェラ大統領はフィナンシャル・タイムズ(FT)にこう語った。

国際エネルギー機関(IEA)によると、アフリカでは年末までに3000万人が炊事用の液化石油(LP)ガスを買えなくなる恐れがある。経済の後退リスクも高まり、世界銀行の推計では極度の貧困状態とされるアフリカの人口が新型コロナウイルス感染拡大前だった2019年の4億2400万人から、年内には4億6300万人に膨らむ見込みだ。

調査会社オックスフォード・エコノミクス・アフリカのマクロ経済担当責任者ジャック・ネル氏は、「貧困の判定が難しいケースも多いが、急増しているのは間違いない」と話す。

物価バスケットに占める食料品の割合が先進国より大きいアフリカ経済は、世界的な物価高による打撃を特に大きく受けているという。

例えば、ナイジェリアでは食料品が物価バスケットの約半分を占める。「収入の50%以上を費やす食料品がさらに値上がりすれば、他の物品に余計手を出しづらくなり、経済全体に悪影響が広がっていく」と同氏は懸念する。

LPガス価格が1年で2倍に

マラウイと同様の状況がアフリカの経済大国でも起きている。

ナイジェリアでは通貨ナイラの対ドル相場が実勢レートで年初来25%下落した。5キログラム入りLPガスボンベの価格はこの1年で2倍に跳ね上がり、安価だが環境への悪影響が大きい灯油や木炭を使わざるを得ない人が増えている。食料品も22%値上がりし、消費者は肉や魚を買い控えるようになった。

長年のインフラ投資不足や多額の石油補助金、原油泥棒の横行により、アフリカの大手石油会社は原油価格高騰の恩恵にあずかっていない。外貨が不足する中、多くの企業が輸入価格の上昇を製品価格に転嫁している。

ナイジェリアの自動車ローン会社ムーブの共同創業者、ラディ・デラノ氏は現状を「最悪の事態」と表現する。

「生活費が不足し、ますます貯蓄しにくくなっている」ため、自動車を購入する際の頭金を不要にしたという。

苦境に陥っているのはエチオピアも同様だ。インフレ圧力に深刻な外貨不足、北部ティグレでの内戦も加わり、経済担当の政府高官に言わせると「複合的危機」の状態だという。さらに医薬品や粉ミルクなどの輸入品も不足している。

インフレ率は32%に達し、通貨ブルは非公式為替レートで6月初旬の1ドル=60ブルから約82ブルへと下落した。

首都アディスアベバに住むシングルマザーのラヘル・アトナフさん(46)は、アパートや美容室の清掃員として生計を立てている。月収5000ブル(約1万3400円)のうち、1500ブルを家賃に充てている。「雇い主がいつもお総菜やインジェラ(エチオピアの主食)を持たせてくれるけど、それでも生きていくので精いっぱい」と肩を落とした。タマネギだけみてもこの2カ月間で2倍に値上がりした。「私のような貧しい人々は物価上昇をどう切り抜ければいいのか」

サブサハラ(サハラ砂漠以南)の国々では政府に適切な経済運営能力がないため、中央銀行が経済安定の重責を担わざるを得なくなっている。

ハイペースの利上げも追いつかず

ガーナの首都アクラでは6月、経済的苦境に抗議するデモが繰り広げられた=ロイター

「各国の金融政策当局は問題解決に向けて打てる手は全て打っている」と英経済調査会社キャピタル・エコノミクスのアフリカ担当エコノミスト、ビラーグ・フォリス氏は言う。
インフレ率が31%に上り通貨が急落したガーナはこの数カ月、20年ぶりのハイペースで利上げしている。ナイジェリア中銀も5月以降、金利を2.5%引き上げた。

だが、市場が米連邦準備理事会(FRB)のさらなる利上げを見越す中でドルの上昇は続き、食料品価格も高止まりしているため、エコノミストは早期のインフレ終息に懐疑的だ。

「南アフリカは別にして、例えばガーナやナイジェリアでインフレがピークを迎えたとは思えない」とフォリス氏は話す。「両国とも物価バスケットに占める食料品の割合が非常に大きいので、食料インフレはすぐに収まらないだろう」

内陸国で輸入依存型のマラウイを見れば、危機に陥った多くのアフリカ諸国の構造的な弱点が分かる。21年には輸入額が30億ドルと輸出額の2倍になり、輸入の大部分を燃料と肥料が占めた。チャクウェラ大統領は小規模農家への現金給付や低利融資によって苦境を「乗り切れる」とみているが、国際通貨基金(IMF)による7億5000万ドルの融資など国際援助に頼っているのが現状だ。

食費が国民の支出の大部分を占める中で、多くの人が生活に行き詰まっている。「気付いたらこんなありさまになっていたという人たちばかりだ」と薪を拾い集めていたマンクワラさんはぼやいた。

By Joseph Cotterill, Andres Schipani & Aanu Adeoye

(2022年9月13日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

世界中の投資マネーが中国から離れつつある

世界中の投資マネーが中国から離れつつある…習近平氏の「異例の3期目続投」を待ち受ける前途多難
https://news.yahoo.co.jp/articles/d0c16deb90ccdaf54e5163da0a746da52feec34e?page=4

『不動産業界に走った激震も記憶に新しい。不動産開発大手の恒大集団(エバーグランデ)は2020年9月、経営危機に陥った。負債比率など政府が突如導入した3つの基準、いわゆる「3つのレッドライン」が障害となり、資金繰りが困難となったためだ。混乱は他の大手デベロッパーにも波及している。

 大西洋協議会は、すでに危うい不動産業界に対し、拙速な負債削減を強制したことは失策だったとみる。「巨大かつ負債を抱えた不動産業界の負債軽減をもくろんだ大規模な試み」が、結果として「経済を揺るがす恐れ」を生んだとの分析だ。

 中国不動産業界では、物件の完成前から購入者にローンを支払わせる方式が横行するなど、すでに資金繰りの危うい状況が続いていた。3つのレッドラインの導入後、資金繰りに行き詰まった開発業社らは、各地の建設工事を中断しはじめた。

 結果、入居前からすでにローンを支払ってきた購入者たちの怒りがピークに達している。ニューヨーク・タイムズ紙は8月、購入者らが住宅ローンの支払いをボイコットしていると報じている。

 記事は「数十年にわたり、不動産の購入は中国において安全な投資だと考えられてきた。いまや不動産は、同国の中産階級の富の礎となるどころか、不満と怒りの源となった」と述べ、人々の不安と憤りを強調する内容だ。

■「異例の3期目続投」を狙う習氏の大誤算

 不平等の解消を掲げた共同富裕だが、いまやその実現が危ぶまれている。

 中国政府は現状、各産業への圧力を強める政策に終始している。好調なIT大手に制裁を課し、伸びていた家庭教師事業を全面的に禁止するなど、花開く産業とその創業者をねらい撃ちにした懲罰的な規制が目立つ。

 共同富裕の理想である富の再分配にはほど遠く、「出る杭は打つ」方式で経済全体のパイを縮小させているのみだ。ゼロコロナ政策ですでに弱体化しきっている市場に対し、さらなる負荷をかける愚策で国民の財を危険にさらした。果ては海外投資家らまでをも困惑させている。

 3期目をねらう習近平としては、先富論からの大々的な転換を誇示することで、経済格差に苦しめられてきた国民の心をつかみたい意向だったのだろう。しかしその実、実効的な成果を生み出せず、ITや不動産など基幹産業に危機をもたらしたのみだ。

 市場を荒らすだけ荒らし窮地に陥った習近平は、先富論への後戻りさえ仄めかす状況となった。10月には党大会が控えるが、共同富裕という失策が再任への好材料となることはないだろう。仮に続投するにせよ、歪んだ経済をどう立て直すのか。国内外からの圧力は高まる一方だ。


青葉 やまと(あおば・やまと)
フリーライター・翻訳者
1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。』

中国工作員が米ツイッター社内に在籍 FBIが通知

中国工作員が米ツイッター社内に在籍 FBIが通知=内部告発者
https://www.epochtimes.jp/2022/09/117684.html

『米ツイッターの安全対策の不備を内部告発した元セキュリティー責任者、ピーター・ザトコ氏は13日、上院司法委員会の公聴会で、連邦捜査局(FBI)から社内に中国の工作員が在籍していると通知を受けていたことを明らかにした。利益至上主義に陥り「外国のスパイを排除する能力を著しく欠いている」と批判した。

ザトコ氏は公聴会で、解雇される1週間前にFBIからツイッター社内に中国国家安全部(MSS)の工作員が1人在籍しているとの通知を受けたと証言した。このうえで、ツイッターはセキュリティに深刻な脆弱性を抱えていると訴えた。また、同社は中国で得る広告収入を重要視し、セキュリティよりも利益を優先していると懸念を表明した。

(※ 無料は、ここまで。)』

バチカン、今月初めに訪中 司教任命で暫定合意を再延長へ

バチカン、今月初めに訪中 司教任命で暫定合意を再延長へ=報道
https://www.epochtimes.jp/2022/09/117703.html

『米ボイス・オブ・アメリカ(VOA)14日付によると、キリスト教カトリックの総本山バチカン(ローマ教皇庁)の国務長官であるピエトロ・パロリン枢機卿はこのほど、バチカン代表団が今月初め中国訪問をしたと明らかにし、司教任命権を巡る中国との暫定合意を再延長する方針を示した。

バチカンと中国は2018年、中国の司教任命に関して教皇が最終的に任命することなどで暫定合意した。20年に双方は暫定合意を2年延長することを決定した。ただ、暫定合意の具体的な内容は公表されていない。

(※ 無料は、ここまで。)』

Pitch Black演習で空中給油機外交が花盛り

Pitch Black演習で空中給油機外交が花盛り:東京の郊外より・・・:SSブログ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2022-09-09

『 豪、米、仏、シンガポール、NATO、韓国の給油機参加
韓国以外は他国作戦機に給油して連携強化図る
米KC-130J以外は全てA330 MRTTですが・・・
欧州とアジア諸国の対中国連携の象徴として

A330 Pitch Black.jpg

9月8日付Defense-Newsが、8月19日から9月9日の間に豪州北部で実施された大規模空軍演習Pitch Blackに、欧州を含む国から過去最大規模の空中給油機が参加し、他国の参加機に給油を行うなど多国間大規模演習ならでは有意義な訓練が実施されたと報じています

同演習には、主催国である豪州以外に16か国(米英仏独日韓印加蘭NZシンガポール、インドネシア、フィリピン、タイ、マレーシア、UAE)から約2500名と航空機100機が参加し、うち空中給油機は7か国合計9機(豪2機と英仏NATO韓シンガポールは各1機A330MRTT、米海兵隊2機KC-130)が参加したとのことです

A330 Pitch Black3.jpg

7か国から参加した9機の給油機の内、韓国の給油機は自国航空機へのみ給油を行ったということですが、他の6か国給油機は以下に記載するように、他国の参加機に空中給油を行って連携強化を図った模様です。なお給油機は駐機するスペースが不足したことから、北部豪州の豪空軍Darwin基地とTindal基地、更に2000NM離れたAmberley基地に分散して展開したとのことです

参加各国空中給油機による給油訓練実績(記事記載部分)

●NATO給油機A330MRTT(オランダ登録も演習では独が運用)
豪州EA-18G電子戦機とF-35A戦闘機に給油

●シンガポール給油機A330MRTT
豪州F-35Aと米海兵隊F-35B、仏ラファール、英タイフーン、豪州EA-18GとA330給油機へ給油
更にDarwin基地の滑走路一時閉鎖の際に、緊急給油を独ユーロファイターに実施

●仏給油機A330MRTT
シンガポールF-16、インドSu-30、豪州F-35A、豪州C-17輸送機とP-8対潜哨戒機へ給油

●英給油機A330MRTT
仏ラファールと米F-35Bに給油

●米海兵隊給油機KC-130J(岩国所属)
英ユーロファイターに給油

尚記事によると、9機の給油機の内、最大で5機が同時に在空して演習に参加していたとのことです
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A330 Pitch Black2.jpg対中国の戦いでは、第一列島線上や西太平洋の島々にしか西側飛行場がなく、しかも航空戦力を中国のミサイル攻撃に備えて分散運用させる方針であることから、空中給油機の役割は極めて大なるものがあり、本演習での多国間給油訓練は非常に意義深いものであるはずです

そんな重要な訓練にも関わらず、米空軍と日本のみが使用するKC-46A空中給油機が参加していない点が気になり、同時に、改めて西側主要国の大半(米日イスラエルを除く。サウジとUAEも採用)がA330MRTT給油機を採用している現実に気付かされます

KC-46 RVS.jpg米軍戦力依存ではなく、同盟国の力を示す機会なのかもしれませんが、KC-46の重大不具合が未解決で作戦投入許可が出ていない影響かもしれません。日本から参加のF-2戦闘機は、本演習に参加するため豪州A330MRTT給油機にわざわざ日本へ来てもらい、同給油機から給油する訓練までしてもらってやっと本演習に参加している次第ですから。

別の視点で、シンガポール給油機が存在感を発揮している点に注目です。小国ではありますが、国家の柔軟性と現場の努力により、「きらりと光る」ものを見せています

豪州主催Pitch Black空軍演習の関連
「シンガポールはA型にも興味」→https://holylandtokyo.com/2022/09//3638/
「ドイツ戦闘機が初参加で日本にも飛来」→https://holylandtokyo.com/2022/08/18/3566/
「豪州KC-30A給油機と空自F-2の給油適合試験」→https://holylandtokyo.com/2022/05/10/3211/

KC-46のゴタゴタ具合
「空軍長官:KC-46の固定価格契約は誤り」→https://holylandtokyo.com/2022/06/06/3323/
「RVS改修案にやっと合意:完了は2024年以降」→https://holylandtokyo.com/2022/04/27/3181/
「50機目受領も恒久対策未定」→https://holyland.blog.ss-blog.jp/2021-11-11

応援お願いします!ブログ「東京の郊外より」支援の会
https://community.camp-fire.jp/projects/view/258997

ブログサポーターご紹介ページ
https://holyland.blog.ss-blog.jp/2020-04-16-1

タグ:KC-130J MRTT A330 空中給油機 Pitch Black 』

バチカン、52年に中国崩壊予測 台湾優先、外交樹立せず

バチカン、52年に中国崩壊予測 台湾優先、外交樹立せず
https://www.tokyo-np.co.jp/article/201850

 ※ 前にも語ったことがあった…。

 ※ マルクス・レーニン主義は、ヘーゲルの弁証法+唯物論≒科学的社会主義≒共産党統治の正統性…、という図式なわけだ…。

 ※ よって、「人間の精神活動」、さらには、人間存在をも「超越する存在」である、神仏と、しごく「相性が悪い」…。

 ※ 旧ソ連は、「正教」をもないがしろにしたところが、あったようだ…。

 ※ 逆にプーチン氏は、「正教」を「統治システム」に組み入れて、ある種「支配の道具化」したようだ…。

 ※ 中国共産党は、「宗教は、アヘンだ!」という「教条主義」に傾斜しているところがあるようだな…。

 ※ バチカンは、そういうところは、よく見ていたということだろう…。

『【ローマ共同】中華人民共和国が1949年に成立した直後、ローマ教皇庁(バチカン)公使が中国共産党政権の早期崩壊を予測していたことが13日、分かった。

バチカンは国家承認せず、つながりのあった中華民国(台湾)との外交関係を維持し「中国唯一の政府」と見なした。バチカン公文書館に保管されている52年の機密文書で判明した。

 バチカンは現在、欧州で唯一台湾と外交関係を持ち、中国との国交はない。バチカンが70年前に中国より台湾を優先するとの判断に至った背景が明らかになった。

 文書は、駐中華民国の教皇公使として南京に派遣された大司教がバチカン幹部に宛てた報告書。』

「これからの中国とのつきあい方」

ヘリティジ財団報告書。「これからの中国とのつきあい方」

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
     令和四年(2022)9月15日(木曜日)弐
        通巻第7464号 
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 ヘリティジ財団報告書。「これからの中国とのつきあい方」
  一方的に中国を封じ込める必要はないとトランプ流儀
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共和党保守陣営を代表するシンクタンク「ヘリティジ財団」がさきごろ、『今後の中国対応の青写真』を纏めた。

「米国が今後数十年にわたって直面する永続的で重要課題は、中国の台頭である。世界史の主要なプレーヤーとして台頭した中国に対して、米国は長期的利益を保護する一方で、中国への毅然たる態度を維持する必要がある。米国は、経済的および政治的自由の原則を堅持し、独自的な強みに依存する。それらは強力な世界的存在感と同盟国とのパートナーシップ、経済的関与、軍事力のプレセンスなどを通じて実行される」と基本的スタンスを明示している。

 もはや保守陣営の分析でも、アメリカが世界の警察官であるという認識が稀釈していることに留意しておくべきだろう。
 
またポンペオ前国務長官の演説にあったように「中国の人々が問題ではなく、人々を抑圧し、世界の幸福を脅かす共産主義の独裁政権が問題」として、敵を中国共産党に絞り込んでいる。この主張は中国人民を敵とは認定せず、意図的に独裁政党と峻別、中国人に心理的な亀裂をうませることを考えているからだろう。

 「中国の脅威は表面的な軍事行動ばかりか、米国政府のサイバー ネットワークに対する攻撃、米国企業の知的財産を盗み、公海を航行する船舶や航空機の自由な移動を脅かす行為にあり、中国は米国の同盟国やパートナーの安全を侵害し、民主的なプロセスに干渉している」というあたりは月並みな表現で、ペンタゴン報告や議会報告書にも書かれている。

ヘリティジ財団の報告が異色なのは中国の文化と法治意識、その政治システムにおける西側との異質性を強調しているポイントにある。

 すなわち「米国は、中国の意思決定に影響を与える歴史と文化を理解する必要がある」とし、「中国は大陸性の大国であり、天然資源と人的資源を備え、そのうえ中国は世界で最も経済的に活気のあるアジア太平洋地域に位置し、世界経済の新たな中心にあり、グローバル・バリューチェーンの重要な位置にあることが長期的に安全保障上の問題である」とする。

 ▲米国一国だけで中国に対抗するのは難しい

 そのうえで米国一国での目的達成はもはや不可能であり、また単純に「中国封じ込め」を意味しない。米国の強みには、自由市場経済モデル、強力な軍事力へのコミットメント、必要な場合、武力行使する意思、安全保障同盟のシステム、政治的自由へのコミットメントにあるとする。

 さて同報告書は「中国を理解するには、三つの重要な観点があり、(1) 中国の政治文化と統治の歴史。(2) 中国が脅威を認識し、反応する方法とパターン。(3)中国が主要な地理的関心領域であるインド太平洋における他民族との関係の歴史」を挙げている。

 今日の中国の権力の政治的性格は、歴史、イデオロギー、5000 年にわたって国を統治してきた制度の産物であり、中国共産党の前の世代から現在の中国の指導者が受け継いだイデオロギーと遺産は普遍であるとする。

「法の支配」の欠如。中国の歴史の中で、強力で独立した司法システムは存在しなかった。これが中国史と西洋史の特質を別け、とくに文化を区別する。だから人権を理解できない。
 
中国における「法」とは独立機関ではなく、権力構造を維持する手段でしかない。したがって法律は統治の手段として機能したが、中国共産党を制約するものではなかった。国際関係でもルールを守ると言いながら遵守した例がない。

 過日のウィグルにおける人権侵害、ジェノサイドという国連報告に関して中国外務省の反論(9月1日)は次であった。「OHCHR(国連高等弁務官事務所)が発表した報告者は、反中勢力の政治的陰謀に基づく杜撰な報告であり、内容は完全に虚偽情報のごった混ぜだ」

 法の番人である最高検察長に新たに任命されたのは応勇(前湖北省書記)である。習近平側近として、もっと出世するべきが、閑職に追いやられたのは一族の腐敗が絶えないという悪評の所為だ。それはともかく法律とまったく無関係なのである。
 習のイエスマンが最高検察長とは、これいかに、だろう。

 中国は、国際空間に中国の権限を拡大することが国際法と矛盾するとは考えていない。他人が図々しいと思っても、まるで気にしない。そういう神経を持ち合わせてはいない。国際法は存在しても、中国としては便宜的であれば活用するという政治戦争の一部と見なしている。

このヘリティジ財団報告が指摘するようにフィリピンがスカボロウ礁は自国領と訴え、ハーグ国際裁判所が『中国の言い分には根拠がない』と裁断したおりも、中国は「あれは紙屑だ」と言ってのけた。

 さてバイデン政権はトランプの対中制裁路線を引き継いではいるが、運用面で遅れも目立つ。米議会は8月9日に次世代半導体開発の支援と大規模な補助を目的の法律を可決し、バイデンが署名を済ませた。

 現在、上下両院で議事をすりあわせているのは、もっと強硬な「中国対抗法」だ。ところがこの法案可決が円滑化しないのは中国からの妨害ではなく、米国実業界が、あまり規制を強化するとビジネスが失われることへの懸念が広がっているからだ。

 ▲なぜ十数万人の香港人は海外へ逃避したのか

 中国対抗法の眼目は投資審査制度で「米企業がロシアや中国など安全保障上に深刻な懸念のある国への投資には事前の審査が必要で、そうした制度の厳格化をはかるものである。大學や研究機関が中国から寄付金を受けとることも厳しく監視される。
 また同報告者は「中国が政治権力の範囲外で別個の「市民社会」を発展させたことがない」と指摘している。

 四つの近代化、白黒猫論、先富論をひっさげて現実主義の?小平が台頭すると、中国共産党のイデオロギーの役割は、プラグマティズムを前に低下したと見え一時期があった。このため、経済が豊になれば中国は自由化するという幻想に酔った西側の楽観主義者は、中国は市民参加の新たなシステムを中国が構築する義務があるとしてきた。

 ところが、香港では逆に言論、結社の自由は殺され、市民生活のおける自由はなにひとつ達成されないばかりか、ネット上の意見も監視された。
政治的に自由は発言もできなくなり、多くの民主活動家が裁判となって、香港人のおよそ十数万人が海外へ移住した。

 中国の言論統制は時代錯誤的に暗黒時代へ戻った。経済、政治、環境、宗教の分野を問わず、中国共産党の監視を免除される団体はない。
 そのうえ中国共産党は金利、為替、通貨供給など経済をコントロールする最終的な権限を保持している。甚だしい時代錯誤だが中国共産党は、この絶大な権限を手放す意思はない。だから市場メカニズムが機能しないのだ。

 中国の産業分布図をみると、国有および国営企業は、国内総生産 (GDP) の推定 40% と雇用の 20% を占めており、とくに航空宇宙、航空、造船、化学、エネルギーなどの主要セクターだけでなく、銀行システムも含まれている。

 ▲中国は西側の脅威であり続ける

 他方、中国共産党のなかには米英留学帰りの経済学者が多く、中国が国際システムから孤立している現実が中国経済の脆弱性の主な理由であることを正確に認識している。今日の中国は、さまざまな国際機関に積極的に参加しているばかりか、国連関連組織で指導的地位を占める。

 自らも国際銀行を設立して (典型例がAIIB=アジア インフラ投資銀行やシルクロード ファンドなど) を通じて途上国を支援している。しかし多くが唯我独尊的で、ほかの参加国との間に摩擦を引き起こしている。
 
 中国の指導部の意見では、欧米列強は中国国民を転覆させ、政治的統一を弱体化させようとすることで、中国を脅かし続けているとする。したがって、「西洋化」、「平和的進化」、特に「分裂」を促進する努力は、中国共産党の支配に対する脅威であるだけでなく、中国の国家の一体性に対する脅威だと認識し、ソ連の崩壊を導いたゴルバショフは評価しない。

 「皮肉なことに、中国共産党がより現実主義的になり、毛沢東が提唱した極端なイデオロギー的要素を放棄するにつれて、中国共産党が国際システムに与える挑戦は
増大した。(中略)米国は可能な限り自由で開かれた中国との貿易と投資を行うべきであり、単なる接触に止まるのではなく新自由市場改革によって双方にもたらされる機会を強調すべきである。最終的に、自由化を選択し、経済改革に再び取り組み、すでに合意したルールに従うことを選択するような中国となれば、潜在的な米国のパートナーになり得る。しかし現政権の有り様から推測できるのは、より封鎖され、経済的に弱まるであろう中国が、国際秩序に必然的に挑戦することになるため、より大きな脅威であり続けるのだ」
□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□   』

先の女王の喪中、現役の王族は軍服を着用せよ、との、新王の命令である。

先の女王の喪中、現役の王族は軍服を着用せよ、との、新王の命令である。
https://st2019.site/?p=20272

『Lauren Puckett-Pope 記者による『Elle』の記事。

   先の女王の喪中、現役の王族は軍服を着用せよ、との、新王の命令である。
 ハリー王子はかつて10年間英陸軍の将校だった。しかしこんどの大葬中、軍服着用は許されない。

 ハリー王子は2020にカリフォルニアに移住したときを以て、現役の王族とはみなされなくなった。よってもはや英国公式行事に、名誉ある軍服着用による出席をすることは、認められない。

 アンドリュー王子は、性犯罪告発があって、軍籍を褫奪(※ちだつ)されている。しかし軍服着用での葬儀参列が認められている。』