新興国債務のGDP比、1年3カ月ぶり高水準

新興国債務のGDP比、1年3カ月ぶり高水準 成長鈍化で
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『【ニューヨーク=斉藤雄太】国際金融協会(IIF)が14日発表した報告書によると、新興国の債務残高の国内総生産(GDP)に占める比率は2022年4~6月期に252%超と前の四半期から約3.5ポイント増え、21年1~3月期以来1年3カ月ぶりの高水準になった。高インフレや金融引き締めの影響で新興国の成長が鈍くなり、債務の返済負担が重くなっている様子を映した。

IIFは四半期ごとに世界の国々の家計や企業、金融機関、政府が抱える債務を集計・分析した報告書「グローバル債務モニター」を公表している。4~6月期の世界全体の債務残高は300兆ドル(約4.3京円)と5.5兆ドル(2%)ほど減った。前の四半期を下回るのは3年9カ月ぶりで、先進国、新興国ともに減少した。ドル高の進行で現地通貨建て債務のドル換算でみた残高が目減りしたほか、金融市場の混乱で債券発行が急減した影響も出たという。

一方、世界の債務残高のGDP比は約350%と1年3カ月ぶりに拡大に転じた。先進国の同比率は400%以上と高水準ながらも縮小を続けており、新興国の同比率の拡大が目立つ。IIFは「新興国経済の急減速が大きく影響した」と指摘した。景気低迷で企業収益や家計所得、政府の税収が増えにくくなり、債務の返済能力が落ちている。

報告書では、インフレの加速やドル高・各国通貨安などの影響で「新興国の脆弱性は高まっている」と強調した。信用力の低下に伴い、金融市場で資金調達できる国が絞られ始めており、スリランカやガーナのように国際通貨基金(IMF)に支援を求める国も出てきたと指摘した。

世界的な食品価格の高騰も「多くの途上国に成長と金融安定の面で重大なリスクをもたらす」とした。現在は35の途上国が深刻な食料危機に直面しているとの外部の分析結果を示し、このうち16カ国は債務の返済が困難な状態か、そのリスクが高いとみる。こうした低所得国はドル建て債務も多く抱えるが、為替変動への対応力を欠くため、現地通貨建ての金融支援の拡充が有効と指摘した。』