中国主要銀行、「不良債権」急増 広がる恒大ショック

中国主要銀行、「不良債権」急増 広がる恒大ショック
6月末27%増 不動産向け焦げ付きリスク
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM097Q70Z00C22A9000000/

『【香港=木原雄士】中国で不動産業界向けの不良債権が急増している。香港に上場する主要銀行の2022年6月末残高は21年末に比べて27%増えた。不動産大手、中国恒大集団などのデフォルト(債務不履行)や市場悪化が響いた。銀行から不良債権を買い取って処理を進める専門会社の業績も悪化している。

香港に上場する32行の22年1~6月期決算を集計した。6月末の不良債権比率は平均1.65%と21年末と変わらなかった。不動産業界に絞ると3.74%と21年末から0.76ポイント悪化した。

不動産関連の不良債権残高はデータを開示する29行のうち20行で増えた。不良債権比率が高いのは準大手の中国光大銀行(11%)のほか、地方を拠点とする晋商銀行(10.68%)や錦州銀行(10.37%)。開発業者の工事中断に抗議する住宅ローン返済拒否が頻発する河南省を地盤とする中原銀行は21年末の3%台から9.38%に大幅悪化した。

中国工商銀行など四大国有銀行の不良債権比率は平均1.39%と21年末(1.4%)に比べて低下した。一方、不動産業界に絞ると4.52%と21年末(3.77%)より悪化した。4行の不動産向け不良債権残高は1366億元(約2兆8000億円)と、半年前に比べて24%、1年前に比べて51%増えた。

中国農業銀行は関係する1112件の住宅プロジェクトに未完成のリスクがあり、12億3000万元の住宅ローンが延滞されていると明らかにした。ただし、全体に占める対象ローンの割合は0.02%程度で管理可能だと説明した。

格付け会社フィッチ・レーティングスは「大手銀は資産の劣化に耐えられるが、小規模な銀行は高リスクの貸し出しが多く、業績が大きく振れる可能性がある」と指摘する。

不動産市場の悪化はこれまで銀行の不良債権処理の受け皿になってきたAMCと呼ばれる資産管理会社の活動にも影を落とす。大手の中国華融資産管理は22年1~6月期の最終損益が赤字に転落。中国信達資産管理も純利益が33%減った。ともに保有資産のリスク評価を見直し、多額の減損損失を計上したのが主因だ。

AMCは銀行から不良債権を買い取り、再生して転売するのが基本。華融や信達が手掛ける案件の大半が不動産や建設業界に絡んでおり、市場悪化で再生が難しくなっている。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは「資本の制約などでAMCの不動産業界への支援は限定的になる」とみる。

AMCの業績が悪化すれば、銀行の不良債権処理が滞る可能性がある。四大銀行の総資産は6月末時点で約133兆元と、日本の3メガバンクの3倍に上る。中国の金融システムが抱える潜在的なリスクは大きい。』