ロシア企業、相次ぎ人民元建て債

ロシア企業、相次ぎ人民元建て債 米欧の制裁を回避
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『ロシア企業が相次ぎ中国通貨、人民元建ての社債を発行している。ウクライナ侵攻で米欧がロシアに科した制裁に参加しない中国との元建て決済が増えているためだ。ロシア政府も元建ての国債発行を検討し始めた。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は14日、中央アジア2カ国歴訪を始める。ロシアのプーチン大統領とも会談する見通しだ。両国の連携は金融面でも一段と強まりそうだ。

国営石油会社ロスネフチは13日、100億元(約2100億円)の社債の公募を実施した。ロシアメディアが同日伝えた。

金採掘最大手ポリュスは8月下旬、国内で元建て社債を発行した。発行額は46億元でモスクワ取引所に上場した。

7月にはアルミ大手、ルサールがロシア企業として国内で初めて、元建て社債を発行していた。ルサールの社債は発行価額がそれぞれ20億元の2本で、償還期間は5年間。応募は募集を上回ったという。同社の資金調達担当者は「ロシアの銀行や投資家は、人民元への移行が従来の外貨建て投資の代替手段になると考えている」とコメントした。

ロシアはウクライナ侵攻前から中国との貿易を拡大させてきた。ロシア税関庁によると、ロシアの貿易額に占める対中国の割合は2012年に10%だったが、21年には18%に高まった。ロシア国内に積み上がった人民元の運用先として社債は投資家の注目を集めている。需要が多ければロシア企業は比較的有利な条件で資金が調達できる。

ウクライナ侵攻から半年余りがすぎ、米欧の制裁を受けたロシアの貿易は米ドルやユーロによる決済が縮小している。一方、中国との間で元建て決済が広がっている。

銀行間の国際決済ネットワーク、国際銀行間通信協会(SWIFT)が調べた中国大陸以外での元決済の比率でロシアは7月、国別の3位に浮上した。モスクワ市場での1日あたりの人民元の取引高は1~6月期、前年同期の12倍に膨らんだ。

元建て決済が目立つのはエネルギー分野だ。ロシア国営ガスプロムは9月上旬、中国へ輸出する天然ガスの決済について元建てとルーブル建てでの決済に移行すると決めた。従来はドル建てだったとみられる。ガスパイプラインでの輸出先、中国石油天然気集団(CNPC)との契約で適用する。

ロシア当局は侵攻後の貿易統計を公表していない。だが、中国側によると、国別の原油輸入量は5月、ロシア産がサウジアラビア産を抜いて首位に立った。原油決済でも元建てが拡大している可能性はある。

ロシアの「米ドル離れ」は侵攻前から目立っていた。ロシア中央銀行によると、中国からの輸入でドル決済の比率は13年に9割を超えていたが、21年には6割弱に低下した。一方、ユーロやルーブルを除き、元を含む「その他通貨」の割合は13年の2%強から21年には27%に上がった。

ロシア政府も元建てでの資金調達に取り組む構えだ。ロシア紙ベドモスチは8月、ロシア財務省が元建て国債の発行を検討していると伝えた。国内だけでなく中国の投資家にも売り込む狙いがあるという。これから1、2年かけて準備を進める方針だ。

ロシアが発行する米ドル建ての国債は、制裁の影響で支払いが難しくなっている。

制裁でロシアの大手銀行の多くがSWIFTから排除された。かわりに中国の決済網に加わる動きがある。ロシアメディアによると、中国の国際銀行間決済システム(CIPS)に接続したロシアの金融機関は7月中旬現在で20行を超えた。CIPSは15年、中国人民銀行(中銀)が人民元の国際化を目指して導入した。国境を越える人民元建ての決済で利用できる。

プーチン氏は中国のように、米欧の制裁に参加しない国々との連携を強める考えだ。ロシアと中国が主導する上海協力機構(SCO)の首脳会議が15日から2日間、ウズベキスタンで開かれる。中国の習氏のほか、インドのモディ首相も出席する。米欧はロシア産原油の輸入を制限しているが、インドはこれに加わらず、相場よりも安い価格で仕入れているようだ。

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