[FT]EU、強制労働製品の禁止へ規制案 ウイグル念頭に

[FT]EU、強制労働製品の禁止へ規制案 ウイグル念頭に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB131G40T10C22A9000000/

『欧州連合(EU)は強制労働で生産された製品の禁止に踏み込む方針だ。中国の新疆ウイグル自治区で強制労働が行われているとの疑惑があるなか、EUと中国の貿易関係はこの動きによってさらに緊張が高まるとみられる。

EUの強制労働による製品を禁止する規制案は、新疆ウイグル自治区に限らず、域内を含むどの国・地域の製品も対象とする=ロイター

規制内容を知る人物らによると、禁止措置の影響を最も受けるのは靴や衣類のほか、木材や魚、ココアといった1次産品などであるという。

米国では6月に新疆ウイグル自治区からの輸入を全面的に禁じる法律を施行した。新疆ウイグル自治区ではイスラム教徒のウイグル族や他の少数民族に拷問や恣意的な拘束、強制労働などを含む人権侵害が広く行われているとの疑惑がある。

EUの草案は新疆ウイグル自治区に限らず、域内を含むどの国・地域の製品であっても強制労働を使ったものであればすべて禁止する方式だ。これは世界貿易機関(WTO)の無差別原則に抵触しないようにするためだ。

欧州議会の会派、欧州緑グループ・欧州自由連盟は米国方式の措置を支持してきた。ドイツ緑の党に所属し対中国関係議員団の一員であるエンリケ・ハーン議員は「我々は中国の一党独裁体制におもねる友ではない。中国での強制労働によって作られる製品の輸入と中国企業が強制労働を使って生産する製品全般の禁止を要求する」と述べた。

法律の成立は23年以降に

EUの執行機関である欧州委は 今週、この規制案を明らかにする見通しだ。

フィナンシャル・タイムズ(FT)が確認した草案についての極秘文書によると「強制労働は人間の尊厳と基本的な人権の重大な侵害に相当する」と指摘し、その根絶はEUの「優先事項」であると強調する。

この文書では禁止措置の対象となり得る具体的な国・地域に言及しておらず、さらに問題の緊急性から「本格的な」影響評価のための時間が得られなかったとしている。

文書によると、この禁止措置が法律として成立するのは早くても来年とみられるが、その対象は生産や収穫、採取のどの段階でも強制労働が使われたあらゆる種類の製品と広く、その部品なども含まれる。

同文書は「すべての事業者や経済セクター、生産段階、バリューチェーンの段階が対象範囲に含まれる」としている。

国連機関の推計では世界で2800万人が強制労働に

EUは国連の専門機関である国際労働機関(ILO)が定めた強制労働の定義を用いる。ILOは12日、強制労働条件で働かされている人は全世界で2800万人いるとする最新の推定値を公表した。

今回の規制案によると、強制労働による製品の検知と執行にあたるのはEUの27加盟国で、非政府組織(NGO)や企業などからの申し立てがあればこれに対応しなければならない。各加盟国は調査をする責任を負うとともに、製造国からの協力を要請することができる。
欧州委関係者は強制労働が使われていることの立証は、特に製造国が協力しない場合に困難になることを認めている。だが、強制労働が使われている可能性が高い場合には加盟国が当該の製品を押収しその輸入を禁じることができる。欧州委関係者によるとEUは執行を容易にするため「立証責任」のハードルを下げたという。

同文書によると、禁止措置は製品のメーカーや生産者、サプライヤーなどを含む大企業のみを対象としている。小規模企業はサプライヤーに圧力をかけられるほど立場が強くなく、「徹底的なデューデリジェンスを実施するための手段が比較的乏しい」との懸念に配慮したものだ。

さらに、強制労働を使った製品がEU域内に入らないよう域外の国・地域との協力関係も強化するという。

国連人権高等弁務官事務所は8月31日、新疆ウイグル自治区でウイグル族やその他のイスラム教少数民族に対する「深刻な人権侵害」が行われていると指摘する報告書を公表した 。

新疆ウイグル自治区は世界屈指の綿の産地であり、太陽光パネルの主要部材の製造でも重要な役割を担うが、中国は同自治区での人権侵害を否定している。

By Javier Espinoza and Andy Bounds

(2022年9月12日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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