中国「影の銀行」取引拡大 8月5年ぶり規模

中国「影の銀行」取引拡大 8月5年ぶり規模
インフラ建設加速で資金需要増大
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1124D0R10C22A9000000/

『【北京=川手伊織】中国で銀行の帳簿に計上されない「影の銀行」からの資金調達が増えている。8月の純調達額は2017年3月以来5年5カ月ぶりの大きさとなった。地方政府傘下の投資会社がインフラ建設のため銀行を介さない取引で資金を調達した。銀行からの借り入れが難しい中小零細企業の調達が膨らんだ可能性もある。

中国人民銀行(中央銀行)によると、銀行の簿外で扱う委託融資、信託融資、手形引き受けの純増額は4768億元(約9兆8500億円)だった。返済が調達を上回る月が大半で、調達が上回ったのは5カ月ぶりだ。

影の銀行からの資金調達が急増した一因は、地方で加速するインフラ投資だ。

新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で景気が停滞から抜け出せないなか、国務院(政府)はインフラ建設を成長のけん引役に位置づける。22年分のインフラ債発行枠で調達した資金を8月末までに原則使い切るよう指示していた。

地方政府は債券発行で得た資金を建設現場に投じたほか、傘下の投資会社である融資平台が銀行融資以外の形でも必要な資金を賄ったという。この部分が、8月の「影の銀行」からの調達額を押し上げた。

銀行からの借り入れが難しい中小零細企業が手形などを活用して資金を確保しているとの見方もある。

人民銀行は8月に今年3回目の利下げを実施した。貸出金利の平均は下がった。ただ調査対象に民間企業が多い長江商学院の景況指数によると、資金調達のしやすさを示す指数は7月と比べて悪化した。小規模事業者を中心に民間企業の資金繰りは厳しく、「影の銀行」に頼る企業も少なくないとみられる。

一方、8月の銀行貸し出しの純増額は前年同月比で約3%増にとどまった。企業向けに貸し出す中長期資金は41%増えた一方、住宅ローンが大半を占める個人向けの中長期融資は38%減った。

不動産開発企業の資金不足でマンション工事が止まる物件が続出し、今夏には未完成物件の家主が住宅ローンの支払いを拒否する動きが全国に広がった。住宅市場の混乱をうけ、新規購入の様子見だけでなく、住宅ローンの前倒し返済も増えているという。』