中国、習近平氏側近が軍最高幹部へ 台湾統一にらみ

中国、習近平氏側近が軍最高幹部へ 台湾統一にらみ
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『【北京=羽田野主】中国で10月16日に開幕する共産党幹部の人事を決める5年に1度の党大会で、中国人民解放軍の最高幹部が入れ替わる。異例の3期目入りを固めた習近平(シー・ジンピン)党総書記は将来の台湾統一に向け、自身の側近を新たなメンバーにすることを検討しているもようだ。

 中国建国70年の軍事パレードで人民解放軍を閲兵する習近平国家主席=2019年10月、北京(新華社=共同)

中国軍の最高意思決定機関は、党中央軍事委員会だ。習氏は党トップの総書記と国家主席に加え、中央軍事委主席の肩書ももつ。

中央軍事委は習氏をトップに計7人の幹部で構成する。台湾の武力統一や核弾頭を搭載できる弾道ミサイルの使用の是非といった重要事項はすべて、習氏を中心とする中央軍事委の決裁が必要とされる。中央軍事委の判断は、先々の日本の安全保障を揺るがしうるものともなる。

軍の出身者として実質的な指揮権を握ってきた許其亮副主席や、党の思想教育を担当した張又俠副主席、魏鳳和国防相ら4人が定年で引退する見通し。米国と対決姿勢を強め、台湾統一を目指す習氏がどのような布陣とするかに関心が集まっている。

軍内で有力視されているのが、中央軍事委の苗華氏の副主席への昇格だ。習氏が福建省勤務時代に知り合った30年来の関係だ。習氏は2015年に陸軍偏重だった軍を陸・海・空軍などが一体となって戦える体制に改める軍改革に着手した。その目玉の人事となったのが、陸軍出身の苗氏の海軍への転籍だ。いわば軍の縦割り打破のため起用した。

習氏が評価しているとされる北部戦区前司令官の李橋銘氏も抜てきするとの見方が出ている。「旧ソ連が崩壊したのは、党の軍隊を持たなかったためだ」。李氏はかつてこうした論文を執筆し、党による軍の掌握を強めようとしていた習氏の目に留まったとされる。順調に昇格してきた。

習氏の子飼いといわれるのが陸軍司令官の劉振立氏だ。首都防衛の責任者を長年務め、陸軍で最も優秀な精鋭部隊を任された経歴がある。李氏も劉氏も共産党の序列200位以内の中央委員で、副主席をうかがう位置にいる。

習氏は10月の党大会で台湾統一の目標を改めて掲げる見通し。武力統一を巡っては軍内で慎重論が多い。習氏が状況に応じて判断しやすいように苗氏らを引き上げるとの見方が強い。軍内の腐敗を取り締まってきた張昇民氏も副主席に昇格させて習氏が軍内ににらみをきかせるとの観測がある。

焦点になるのが台湾情勢に精通した人材の登用だ。台湾や沖縄県・尖閣諸島方面の作戦を担当する東部戦区の司令官を務める何衛東氏と、同区の陸軍司令官を務めた徐起零氏らの名前が挙がっている。何氏は8月上旬に台湾周辺で実施した大規模な軍事演習にも関わったとされる。

空軍司令官の常丁求氏も有望だ。習氏から最年少で軍の最高位である「上将」を付与された。

習氏は2017年の党大会で中央軍事委を11人から7人に減らした。陸海空軍やロケット軍などでどのようにバランスを取るかも注目される。

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Taiwan-tensions/Xi-poised-to-build-support-on-Taiwan-with-senior-military-picks?n_cid=DSBNNAR 

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

どの国にとっても同じことだが、人事の鉄則は適材適所。強権政治が強いようにみえるが、突然混乱し崩れてしまう。なぜか。人的資源の配置は適材適所ではないからである。政治指導者は要所要所に意中の人物を配置するが、適材かどうかの基準は違う。結局のところ、友達を重要なポストに据える。チームとなったときに、力が最大限に発揮されないことが多い。これはマフィアの組織構造とよく似ている。一定レベルまで強くなるが、それ以上強くなれないのはマフィアである。本来、人事を決定づけるのは制度であり、指導者個人の好みであってはならない。これから中国はどのような道を辿るのか
2022年9月13日 7:17 』