[FT]中国・インド、石油「爆買い」でロシア支える

[FT]中国・インド、石油「爆買い」でロシア支える
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 ※ まあ、「ウクライナ前」と「ウクライナ後」では、「世界の様相」は、随分と違ったものになるんだろう…。

 ※ それでも、「違った様相」なりに、「落ち着く」ことになるんだろう…。

 ※ 「コロナ前」と「コロナ後」が、随分と「違ったもの」になったが、「違ったなりに、落ち着いた」ように…。

 ※ できれば、その「違ったなりの世界の姿」を、でき得る限り「正確に」、描き出す「眼力」を備えたいものだ…。

『インドと中国による購入が、ロシア産石油の欧州向け出荷減少をほぼ相殺、欧州の消費者に光熱費急騰をもたらした対ロ制裁の効果に疑問を投げかけている。
ロシアの石油会社、ガスプロムネフチが運営する油田(8月、同社提供)=ロイター

フィナンシャル・タイムズ(FT)が中国とインドの税関統計から手に入るデータを分析したところ、両国が2022年第2四半期にロシアから輸入した石油は、第1四半期と比べて1100万トン増えていた。ロシア産石油に対する両国の支払額は90億ドル(約1兆2800億円)増加した。

輸入量の伸びが最も大きかったのはインドで、ロシア産石油の輸入は第1四半期の66万トンから第2四半期の842万トンに跳ね上がった。

ロシアのプーチン大統領が2月にウクライナへの侵攻を開始した後、米国、欧州連合(EU)、英国、カナダ、日本がロシアに制裁を科し、同国の金融システムをまひさせ、多くのロシア製品の輸入を禁止した。

だが、人口が世界で1、2番目に多い中国とインドの顧客は、ロシアの石油や石炭、肥料などのコモディティー(商品)を購入し続けた。

ウクライナ戦争前からロシア産原油の重要な買い手だった中国は、5月に日量200万バレルの原油を購入した。1月、2月の実績と比べると日量20万~40万バレルの増加となる。

インドと中国への出荷増加の証拠が出てきたのと時期を同じくして、米国はインドを含むロシア産石油の輸入国に対し、主要7カ国(G7)と足並みをそろえ、ロシアの石油収入を制限する価格上限制度を支持するよう働きかけている。

カーネギー財団モスクワセンターの上級研究員アレクサンドル・ガブエフ氏は、インドと中国は「市場に生じた機会を利用している」と話す。
実利的な方策

「プーチン氏を助けたいと意識しているわけではない。自らの最善の利益になるように状況を利用する、冷ややかで実利的な方策にすぎない」と同氏は言う。「しかし、欧州向けの輸出が削減されている時には、これが事実上、クレムリン(ロシア大統領府)を助けるキャッシュフローを生み出すのはもちろんだ」

インドの港湾と沿岸部の製油所は、サウジアラビアやイラク、アラブ首長国連邦(UAE)など、ロシアよりはるかに近い石油輸出国から輸送しやすい立地にある。

「インドがロシア産石油の購入を増やしていることについては、経済的な便宜によるものだと考えている」。ジャワハルラール・ネルー大学の経済研究・計画センター(CESP)に所属するビスワジット・ダール教授はこう話す。「インフレ圧力と肥料不足がすべての計算を狂わせている状況にあって、ロシアからの供給は好都合だった」

ダール氏は、インドによる購入の「重要ポイント」はウクライナ戦争に中立の立場をとったことだと指摘する。ロシアはインドにとって最大の武器供給国でもある。

インドの石油輸入市場に関する情報は不透明だが、アナリストはインド政府はロシアによる値引きも巧みに利用しているはずだと話す。

ウクライナ侵攻以来、ロシア産の石油は国際指標である北海ブレント原油と比べて1バレル当たり30ドルも低い水準で取引されてきた。それでもロシアが受け取っている石油収入の合計は21年を上回る。国際石油価格が高騰し、14年以来初めて、年初からほぼ一貫して1バレル100ドルを上回って推移しているからだ。

中国の税関のデータは、現在のロシア産石油の輸入代金が戦争前に購入していた比較的少ない量の代金とほぼ同じであることを示している。この間の石油の国際価格急騰を踏まえると、この数字は両国の取引が市場実勢価格を下回る水準で行われたことを示唆している。

中国にとって主要原油調達先であるサウジアラビア、UAE、イラク、オマーンからの輸入単価が第2四半期に1トン800ドルへ急騰する一方、ロシアからの輸入は同700ドルにとどまった。

インドの貿易統計によると、同国は戦争前の時期と比べても安い価格を享受しているようだ。インドでは、ロシアからの石油輸入価格は第1四半期に平均で1トン790ドルだったが、第2四半期は同740ドルに下落した。同じ期間、ロシア以外の原油調達先からの輸入価格は上昇している。

英市場調査会社オイルXの上級アナリストで、ウィーン在勤のニール・クロスビー氏は「正確なレベルは分からないが、ロシアは石油について大幅な値引きを提示しているようだ」と話す。「しかし、こうした取引の書類を見たことがある市場関係者は多くないだろうから、我々としては推測しかできない」
ロシア石油会社、値引きでも利益

国際金融協会(IIF)の副首席エコノミスト、エリナ・リバコワ氏は、値引きにもかかわらず、ロシアの石油企業はなお多大な利益を稼げると話す。

ロシアの石油大手タトネフチでは、22年上半期の利益が前年同期比で52%増加した。

プーチン氏は7日、経済フォーラムで演説し、ロシアはエネルギー資源を西側各国以外の買い手に難なく売れると主張した。既存のパイプラインインフラの限界のせいでガスの出荷先を変えるのは難しいものの、ロシアは石油販売を維持することにはかなり成功してきた。

「我々の資源に関して言う限り、世界市場における(ロシア資源への)需要は極めて大きく、何の問題もなく売ることができる」とプーチン氏は語った。

さらに、G7が提案したロシア産石油に対する価格上限が設けられた場合、ロシアはエネルギー契約を破棄して供給を断つと述べ、西側が「凍り付く」羽目になると警告した。

「我々はガスも石油も石炭も灯油も供給しない。何一つ供給しない」

リバコワ氏は「ロシアの当局は今笑っているかもしれないが、欧州が向こう1、2年でロシア産ガスから離れていくことになるため、エネルギー輸出について中国とインドに過剰に依存するようになる」と指摘する。

「ロシアが今、自国の影響力を駆使しているのは、そのためだ。エネルギー戦争において、この力が程なく、さほど効果的でなくなることを知っているからだ」

By Andy Lin, John Reed and Max Seddon

(2022年9月8日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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