沖縄県知事選、玉城デニー氏再選 政府の安保戦略に影響

沖縄県知事選、玉城デニー氏再選 政府の安保戦略に影響
得票率5割、自公推薦の佐喜真氏破る
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『沖縄県知事選が11日投開票され、現職の玉城デニー氏が再選した。台湾有事の懸念が高まる状況で「最前線」となる沖縄には米軍の拠点が集中する。玉城氏は政府が進める米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古への移設工事に反対しており、選挙結果は政府の安全保障戦略に影響を及ぼす。

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知事選には玉城氏のほか元宜野湾市長の佐喜真淳氏、元衆院議員の下地幹郎氏が立候補した。前回2018年と同じく辺野古移設に反対する「オール沖縄」が玉城氏を支援し、国政与党の自民、公明両党が佐喜真氏を推す構図だった。

辺野古移設は埋め立てや設計変更を承認する権限がある知事に左右されてきた。当時の仲井真弘多知事が13年に埋め立てを承認したものの、14年に仲井真氏を破って就いた翁長雄志知事が取り消しを表明した。進捗に国と県の法廷闘争などの影響が及ぶ。

沖縄県庁

玉城氏は移設先の海底に軟弱地盤が見つかったことなどから埋め立ては続行できないと主張する。

政府・与党は辺野古移設を進める方針だ。自民党の森山裕選挙対策委員長は11日、党本部で記者団に「方針として決めている。県民の理解を得られるよう努力することに尽きる」と強調した。

沖縄を取り巻く安保環境は従来以上に厳しさを増す。尖閣諸島の周辺で中国船が領海侵入を繰り返すようになっており、台湾有事の懸念も高まる。中国は8月、台湾周辺の軍事演習で弾道ミサイルを日本の排他的経済水域(EEZ)に撃ち込んだ。

日本の安全保障は日米同盟を基軸とする。有事の際に即応する在日米軍の拠点は安保戦略に直結する。

沖縄は全国の米軍専用施設の7割が集中する。在日米軍海兵隊が使う普天間基地は周辺地域の有事の際に前線展開する役割を担う一方で、人口密度が高い地域にあり危険性が問題になってきた。辺野古はその返還の前提となる移設先との位置付けだ。

国民保護法は都道府県知事が有事に住民へ避難を指示するよう規定し、武力攻撃を想定した避難施設の指定も定める。自衛隊や米軍が有事に使用する飛行場や港湾といったインフラ整備での知事の役割も欠かせない。

台湾と距離が近く、在日米軍施設が多く立地する沖縄県で、政権の方針に反対する玉城氏が引き続き県政を担う。国と県の意思疎通をどう図るかが抑止力の観点からも重要になる。森山氏は「しっかり連携すべきところは連携する」と話す。

今回の知事選で玉城氏の得票率は18年より落ちたものの5割に達し、票数で佐喜真、下地両氏の合計を上回った。保守票が割れたとの見方もある。

同日の宜野湾市長選は与党系の現職が再選したが、沖縄県議の補欠選挙(那覇市・南部離島区)は自民党の公認候補が敗れた。

沖縄は直近の衆院選や地方選挙で保守系が巻き返していた。7月の参院選は敗北したものの得票率の差は0.5ポイントで19年より接戦に持ち込んだ。オール沖縄陣営の集票力の陰りを指摘する声も出ていた。

知事選の敗北は自民党にとって23年の統一地方選挙にも影を落とす。

岸田文雄内閣の支持率は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題などで低下している。与党系候補の票が伸びなかった背景になった可能性を指摘する声もある。

森山氏は影響に関し「よく分からない」と述べるにとどめた。立憲民主党の大串博志選対委員長は談話で「玉城県政への信任とあわせ、野党勢力の主張にも多くの賛同を得られた結果だ」との認識を示した。

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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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元衆院議員の下地氏が立候補したため保守票が割れたことが、玉城デニー氏再選を結果的に支援した面があるとみられる。さらに、佐喜真候補が知事選告示前に旧統一教会関連団体のイベントに複数回参加していたことが明らかになり、これが影響したとも考えられる。岸田内閣支持率は9月10、11日に実施された朝日新聞の世論調査でも低下した(支持率41%、不支持率47%)。国会の閉会中審査で行った故安倍元首相国葬費用についての説明などは、支持率を支える材料にならなかったようである。米軍普天間基地の辺野古移設問題への対応にとどまらず、岸田首相の苦闘が続く。国葬を盛大に行えば「サミット花道論」浮上との見方も一部で出ている。
2022年9月12日 7:20

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木村恭子
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説

同日投開票が行われた、米軍普天間基地のある宜野湾市の市長選では、自民党と公明党が推薦した現職が勝ちました。県とねじれが生じる結果となりましたが、注目なのは、知事選の各候補者の票数をみると、宜野湾市では佐喜真氏(26,221票)玉城氏(20,722)、移設先の辺野古のある名護市でも佐喜真氏(15,717)玉城氏(15,407)と、いずれも玉城氏が負けている点です。
再選した玉城氏が、最大課題の米軍基地問題について、地元の民意をどう政策に生かすのか。
具体的な票数は以下のサイトから確認できます。
https://www.pref.okinawa.lg.jp/site/senkan_i/event/tijisen/documents/r4chiji-kaihyokakutei.pdf
2022年9月12日 8:35 (2022年9月
12日 9:24更新) 』