ウクライナ、東部要衝奪還か ロシアが事実上の撤退表明

ウクライナ、東部要衝奪還か ロシアが事実上の撤退表明
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『【パリ=白石透冴】複数の米欧メディアは10日、ウクライナ軍が東部ハリコフ州の要衝イジュームを奪還したと報じた。6日に始まった同軍の東部での反転攻勢を象徴する節目となった。タス通信によると、ロシア国防省はイジュームの部隊を隣のドネツク州に移動させるなどと表明し、事実上の撤退宣言をした。

イジューム市長が米ニューヨーク・タイムズの取材に「今日解放された」と答えた。SNS(交流サイト)ではウクライナ軍がイジュームの入り口で国旗を掲げる動画などが出回っている。

ウクライナ保安局によると、イジュームの北にある鉄道拠点クピャンスクにも特殊部隊が進軍した。ロシア軍が前線に物資を運ぶ補給路の重要地点で「クピャンスクを奪還されればロシアに大打撃となる」(英国防省)。

ロシア軍が制圧した隣のルガンスク州のガイダイ知事は10日、SNSで同州にもウクライナ軍が到着したと表明した。同軍は南部で奪還作戦を進めていたが、6日に電撃的に東部へ進軍した。

英国防省は10日「ロシア軍は不意をつかれた可能性がある」との見方を示した。ウクライナ軍はロシアの占領地側に約50キロメートル前進したとみられるという。米シンクタンクの戦争研究所は9日、ウクライナ軍が約2500平方キロメートルをロシアから奪還したと分析した。

ロイター通信によると、ハリコフ州駐在のロシア当局者は9日「ロシア軍の防衛線が突破された」として、ウクライナ軍が「実質的な勝利」を収めたと述べた。

米CNNによると、ウクライナ軍は9日「甚大な損害でロシア軍の士気は下がっており、脱走兵が増えている」と発表した。SNSでは親ロシアのアカウントがロシア軍の失敗を相次いで批判している。

ウクライナ政府は南部奪還作戦に何度も言及して住民に避難を呼びかけていたが、東部については沈黙を保っていた。ロシア軍も南部が主戦場になるとみて兵数を増やし、反撃の構えを整えようとしていた。南部は「おとり」だった可能性がある。

南部ヘルソン州でも攻防が激化している。ウクライナ軍は10日、ロシア南部チェチェンから来たロシア兵1300人が現地に援軍として入ったとの情報を公表した。

北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は9日の記者会見で「我々は弾薬だけでなく衣服やテント、発電機など冬に必要な装備を提供しなければいけない」と冬季のウクライナ軍支援を訴えた。

欧州連合(EU)は9日、ロシア人観光客の受け入れを事実上制限することを正式に決めた。ビザ申請料金を35ユーロ(約5千円)から80ユーロに引き上げ、発給数を絞る。侵攻のさなかにロシア人が欧州に来て観光するのはおかしいなどとして、制限を求める声が東欧諸国などから上がっていた。

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