イタリア初の女性首相候補メロー二氏 ファシストへの「決別」強調も欧米からは警戒感 総選挙まで1カ月

イタリア初の女性首相候補メロー二氏 ファシストへの「決別」強調も欧米からは警戒感 総選挙まで1カ月
https://www.tokyo-np.co.jp/article/196776

『2022年8月18日 19時38分

【パリ=谷悠己】ドラギ首相の辞任に伴うイタリア総選挙(9月25日)まで間もなく1カ月。世論調査では女性党首ジョルジャ・メローニ氏(45)率いる「イタリアの同胞」(FDI)など3党が軸の右派連合が支持率で他党派をリードし、初の女性首相が誕生するか注目されている。だが、同党は第2次世界大戦中にナチス・ドイツと協力したファシスト党の流れをくむことから、欧米各国では警戒感が強まっている。

ジョルジャ・メローニ氏(AP)

【関連記事】イタリアのドラギ首相が辞任 新たな政権は右派と連立か?対ロシアへの影響も

 伊調査機関デモポリスが12日に発表した政党別支持率によると、首位FDI(24.3%)とサルビーニ元内相率いる「同盟」(15.2%)、ベルルスコーニ元首相率いる「フォルツァ・イタリア」(6.8%)の右派3党が約46%を占める。左派勢は政党別2位の民主党(22.8%)とドラギ氏辞任のきっかけを作ったコンテ前首相率いる新興ポピュリズム政党「五つ星運動」(10.6%)が対立し、大きな対抗勢力をつくれていない。

◆物価高に苦しむ国民の不安吸収

 7月下旬の辞表提出後も暫定的に首相を継続するドラギ氏は上下両院ともに8割以上を占める大連立に支えられ、国際社会からの信頼も厚かったが、ロシアのウクライナ侵攻を背景にした物価高に苦しむ国民の政治不信は深刻化。主要政党で唯一の野党だったFDIがその不満を吸収する形で支持率を伸ばした。

 右派連合が最多得票の党からの首相選出で合意していることから次期首相の有力候補に目されるメローニ氏は、ローマの庶民街の母子家庭出身。第2次大戦後に誕生したネオファシスト政党「イタリア社会運動」の青年組織に15歳で加入し、29歳で同党の後継政党「国民同盟」から下院選に出馬し最年少女性議員になった。下院副議長やベルルスコーニ内閣の若者担当相を歴任し、解散した国民同盟出身者らが結成したFDIの党首を2014年から務める。

 かつて共感を語っていたファシストについては、今月中旬に英語、フランス語、スペイン語の3カ国語で交流サイトに投稿した動画で決別する姿勢を強調。右派連合の共通公約には移民抑制や自国優先主義などが並ぶ一方で欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)との連携も掲げられ、欧米社会から向けられている懸念の払拭に努めている。

 伊紙レプブリカはメローニ氏の経歴を特集した連載記事で「彼女が首相になってもファシスト主義者が閣僚になることはないかもしれないが、(仏極右政党の)マリーヌ・ルペン氏が仏大統領に就任することに近いだろう」と指摘している。

 <イタリア総選挙> 上下両院ともに任期は5年で来年に改選予定だったが、ドラギ首相辞任に伴いマッタレッラ大統領が両院を解散し前倒し総選挙を行うことを決めた。両院ともに小選挙区比例代表並立制で、定数は下院が630から400、上院が315から200に削減される。選挙後、各党代表との協議を経て大統領が首相を任命する。 』