インドネシア国際イスラム大学 民主主義との共存を探究

インドネシア国際イスラム大学 民主主義との共存を探究
UPDATE知の現場
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM273090X20C22A8000000/

 ※ スゲーな…。

 ※ こういう形の「モスク」は、初めてだ…。

 ※ 1500人の信者が、一斉にメッカの方向に向かって「礼拝」するのか…。

 ※ さぞかし、「荘厳」な光景だろうな…。

『インドネシア国際イスラム大学は民主主義と共存した穏健なイスラム教の普及に取り組む。ムスリムが世界で最も多い国として、中東に代わってイスラム研究の中心になることをめざす。

2021年に同国で最も新しい国立大学として開学した。ジョコ大統領が国内で世界最高水準のイスラム教育を提供することを狙い国家戦略プロジェクトとして設立を主導した。政府予算で建設費用のほか、学生の奨学金などを支援している。

キャンパスは首都ジャカルタから車で1時間ほどの西ジャワ州デポックに位置する。142.5ヘクタールの広大な土地を擁し、30%を校舎など建物で活用する以外は、自然豊かな緑が覆う。

学部は現在、「イスラム研究」「社会科学」「経済・ビジネス」「教育」の4つがあり、将来的には7学部に増やす計画だ。いまは研究を中心とした大学院として修士と博士の課程を設けている。今後は学士を取得する一般の大学にも形態を広げる。

穏健なイスラム教徒の育成を各学部の横串とし、インドネシア、中東、欧米の研究を幅広く取り交ぜる。思考にバランスを持たせるため、イスラム教とは無関係の授業も提供する。経済学部ではイスラム法に基づいた「シャリア経済」だけでなく、一般の経済学も教える。

教授陣もインドネシアのほか中東、欧米から集め、授業はすべて英語かアラビア語を用いる。高水準の教育を提供する一方、課程をクリアするのは容易ではない。初年度は59カ国から約1000人が応募し約100人が入学したが、すでに20人が脱落した。

イスラム教の研究は中東が中心的な役割を担ってきた。インドネシアは人口2億7000万人のうち9割がムスリムを占める国ながら、本格的なイスラム教の研究をめざすには中東に留学する必要があった。世界で最も多くイスラム教徒を抱える国として、国内でのイスラム教育の強化は喫緊の課題だった。

同大学がめざす穏健なイスラム教の普及はグローバルな課題である過激主義の根絶と表裏一体だ。インドネシアでもイスラム過激派のテロによる悲劇が過去に相次いだ。02年にリゾート地のバリ島で国内組織「ジェマ・イスラミア」のメンバーが引き起こしたテロでは200人以上が死亡し日本人も犠牲になった。

ジョコ政権はイスラム過激派の取り締まりを強める一方、人材育成にも取り組み、硬軟織り交ぜた対策を進めている。力点を置くのは国是である「パンチャシラ」との融合だ。初代スカルノ大統領が打ち出した5原則で、唯一神の信仰をうたい、イスラム教以外の宗教を認めるほか、民主主義の尊重を掲げた。

王族や宗教指導者らを中心とした権威主義と指摘されるイスラム諸国もある中、イスラム教と民主主義を両立させようとするインドネシアの取り組みは珍しい。比較宗教学が専門のコマルディン学長は「イスラム教は本来、他の宗教を受け入れ、共存を模索してきた」と指摘する。少数意見も尊重する民主主義との親和性も高いとの見方を示す。

日本政府も過激主義の根絶をうたい途上国を支援している。コマルディン氏は「きちんと列に並んだり、ごみをゴミ箱に捨てたりする日本人の規律性の高さはぜひ大学の教育に取り入れたい」と語る。(ジャカルタ=地曳航也)』