外貨不足のバングラデシュ、ロシア産燃料油の輸入検討

外貨不足のバングラデシュ、ロシア産燃料油の輸入検討
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『バングラデシュはロシア産の割安な燃料油の輸入を検討し始めた。外貨準備の減少を食い止め、揺らぐ経済を立て直すためだ。だが、ウクライナに侵攻したロシアに制裁を科し、同国産エネルギー資源の輸出抑制を目指す米欧が反発するのは間違いない。

バングラデシュは主に中東諸国から石油を購入している。国際市場で原油が1バレル100ドル(約1万4000円)前後の高値で取引され、国内は燃料価格の高騰で大きく混乱している。ロシア産の石油製品を市場価格よりも安く買えるならば魅力的だ。

ロシア石油大手ロスネフチは最近、燃料油を運賃含め1バレル59ドルでバングラデシュに売り込むと明らかにした。サンプルはすでに持ち込まれた。バングラデシュ石油公社が品質をチェックする。

両国の協力はほかの商品にも広がる可能性がある。バングラデシュ駐在のロシア大使は8月下旬、ロシア産の小麦30万トンと肥料10万トンをバングラデシュに供給する方向でバングラデシュ側と協議が進んでいると記者団に語った。

バングラデシュのハシナ首相は、8月中旬の経済政策を巡る会議で、電力の担当者にロシア産燃料油の輸入ができるかどうか検討を指示した。

バングラデシュの国営通信によると、同国のマンナン計画相は「ウクライナ侵攻に伴う石油価格の上昇で人々が苦しんでいる」との認識を示した。そのうえで「インドなどもロシアから石油を輸入している。バングラデシュも買えるかどうか確認する必要がある」と説明した。

米調査会社S&Pグローバル・コモディティー・インサイツは8月中旬の報告書で、ロシアの石油取引に対する米欧の制裁の影響は「軽微」だと指摘した。

タンカー追跡で得られたデータでは、ロシアの原油と石油製品の輸出量は8月前半、日量600万バレルを超えた。輸入国のリストをみると、中国とインドが上位に並び、ほかのアジア諸国も連なる。イタリア、トルコ、オランダも輸入した。

バングラデシュがロシア産の燃料油の輸入に踏み切る場合、決済方法をはじめハードルは多い。ロシアの有力銀行は国際送金システムの国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出された。バングラデシュが保有する米ドルやロシア通貨ルーブルは乏しい。

バングラデシュ政策研究所の専門家によれば、インドなど第三国を通じてロシア産の石油を迂回輸入すれば決済の問題は解決できる。

バングラデシュと同じく燃料高と外貨不足に直面するスリランカもロシアにすがる。ミャンマーはロシアから燃料油を輸入すると表明済みだ。

バングラデシュ当局は8月上旬、燃料価格を一気に5割ほど引き上げた。補助金を支給する余裕がなくなったためだ。この措置は交通機関の運賃上昇などに直結し、足元ですでに7%を超える消費者物価上昇率を一段と引き上げるとみられている。

バングラデシュの外貨準備は390億ドルで、1年間で2割減った。同国政府はすでに燃料の輸入を減らし、ディーゼル発電所を停止し、計画停電に踏み切った。地方都市では夏でも1日に数時間しか電力が供給されない例もある。

(寄稿 ダッカ=サイフル・イスラム)

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