イラクで宗教指導者が政界引退表明、支持者ら首相府占拠

イラクで宗教指導者が政界引退表明、支持者ら首相府占拠
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29BH10Z20C22A8000000/

 ※ 『ムクタダー・サドルはこれまでに何度も「引退」を宣言しては支持者たちを結束させてきたので、今回も何事もなくまた復帰すると思われる。

イランのシーア派の宗教的シンボリズムは、神から指導権を与えられた指導者イマームが苦難に見舞われ、ついには「お隠れ」になってしまう。

指導者が苦しみ、遂には「お隠れ」になることで、支持者たちは意気消沈したり雲散霧消したりするのではなく、嘆き悲しみつつ奮起し結束する。

サドルはそのような支持者の反応を想定して「引退」を宣言しているのだろう。

また、支持者の暴走を自ら制御して見せることで、サドル抜きのイラク政治があり得ないことを競合勢力や各国に知らしめようとしているのだろう。』…。

 ※ そーなのか…。

『【イスタンブール=木寺もも子】政治混乱の続くイラクで29日、議会の解散などを求めていたイスラム教シーア派のポピュリスト指導者、サドル師が政治活動からの引退を表明した。支持者らは政府に反発を強め、首相府などに押し入った。軍は治安回復のため、全土で外出禁止令を発した。

現地からの報道によると、デモ隊は柵や壁を乗り越えて、政府機関や外国大使館などが集まる旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に入った。現地では銃撃も起きており、ロイター通信によると少なくとも17人が死亡した。バグダッド以外の都市でもサドル師派によるデモが起きているもようだ。

在イラクの日本大使館によると、日本人が巻き込まれたとの報告はなく、大使館の周りでは目立った混乱はみられないという。

サドル師が率いる勢力は2021年10月の議会選(定数329)で第1党の地位を得たが、連立交渉が難航し、22年6月に全73議員を一斉に辞職させた。7~8月には議会の解散などを求めて支持者らが議会を占拠し、座り込みを続けていたが、政治協議は進んでいなかった。

サドル師は父親が高名なシーア派指導者で、低所得者層を中心に熱狂的な支持者がいる。反米ながら隣国イランとも距離を取るため、同じシーア派の親イラン系勢力と激しく対立している。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

池内恵のアバター
池内恵
東京大学先端科学技術研究センター 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

ムクタダー・サドルはこれまでに何度も「引退」を宣言しては支持者たちを結束させてきたので、今回も何事もなくまた復帰すると思われる。イランのシーア派の宗教的シンボリズムは、神から指導権を与えられた指導者イマームが苦難に見舞われ、ついには「お隠れ」になってしまう。指導者が苦しみ、遂には「お隠れ」になることで、支持者たちは意気消沈したり雲散霧消したりするのではなく、嘆き悲しみつつ奮起し結束する。サドルはそのような支持者の反応を想定して「引退」を宣言しているのだろう。また、支持者の暴走を自ら制御して見せることで、サドル抜きのイラク政治があり得ないことを競合勢力や各国に知らしめようとしているのだろう。
2022年9月1日 5:25 (2022年9月1日 5:35更新)
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

アラブ国家におけるナショナリズムの問題は、とりわけイラクに象徴的に表れる。シリアとのバース党による汎アラブ運動があり、その後にサダム・フセインの独裁があり、アメリカやイランの干渉を常に受けてきた。そんな中で、イラクという国家の意識が強く表れ、シーア派であってもイランと対立するサドルの人気が高かった。これからイラクはまた対立の時代に入るが、それを収める力のある人も、収めどころもはっきりしない状況が続く。
2022年8月30日 9:56』