4~6月期の全産業経常利益17・6%増 円安で過去最大に

4~6月期の全産業経常利益17・6%増 円安で過去最大に
https://mainichi.jp/articles/20220901/k00/00m/020/059000c

 ※ どっかのテレビで、「専門家」が、「日本の企業は、”円高”の時に、生産拠点を海外に移転させたから、”円安”の恩恵は、さほど受けない構造に変化している。それよりも、物価が上がって、ダメージの方が大きい構造に変化してナンタラカンタラ…。」と言っていたが、どうも、違うようだな…。

 ※ いずれ、政府と日銀が、「総合的な判断」を下すだろう…。

『財務省が1日発表した4~6月期の法人企業統計は、金融・保険業を除く全産業の経常利益が前年同期比17・6%増の28兆3181億円となり、四半期では統計を取り始めた1954年以降で過去最大となった。前年同期比のプラスは6四半期連続。新型コロナウイルス禍で落ち込んだ世界経済の回復や円安を背景に、大企業中心に幅広い業種で利益が伸びた。

 4~6月の製造業の経常利益は11・7%増の11兆2260億円。世界的な半導体の需要増に伴い関連する企業の業績が伸びた。非製造業は21・9%増の17兆921億円。特に資源価格の上昇で商社などが好調だったほか、小売業も新型コロナ禍による行動制限が撤廃されたことで増益となった。(※ 無料は、ここまで。)』

フィリピンペソ、対ドルで史上最安値 18年ぶりに更新

フィリピンペソ、対ドルで史上最安値 18年ぶりに更新
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM0241E0S2A900C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ インフレ退治のFRBの金利上げが、波及して、各国通貨は、てんやわんやだ…。

 ※ あちこちで、「記録更新ラッシュ」だ…。

 ※ 変動相場制だから、どうしようもない…。

 ※ そしてまた、一儲け企む連中が、「思わく」で「投機」に走るしな…。

『【マニラ=志賀優一】2日の外国為替市場で、フィリピンペソが一時1ドル=56.9ペソをつけ、およそ18年ぶりに史上最安値を更新した。同国が輸入に頼る燃料価格が前年を上回る水準で推移し、経常収支赤字の拡大懸念が広がるのに加え、米国との金利差縮小も意識され、ペソは下げ足を速めている。

これまでの最安値は2004年10月に付けた1ドル=56.45ペソだった。直近では7月中旬から最安値に迫る水準が続いていた。

フィリピン中央銀行の政策金利である翌日物借入金利は現在、年3.75%。物価高や通貨安を警戒する中銀は、米連邦公開市場委員会(FOMC)など他国の金融引き締めに追随するように5~8月に4回、計1.75%利上げした。

ただ、FOMCなどが引き締め姿勢を崩さないのに対し、フィリピン中銀はさらなる引き締めに消極的との見方も広がる。メダラ総裁は8月26日、議会下院でこれまでの利上げは「将来の成長の芽を摘んでいない」と発言するなど、成長配慮の姿勢も示唆している。

みずほ銀行アジア・オセアニア資金部マニラ室の榊雄一郎室長は日本経済新聞に「中銀総裁の発言から、市場では今後大幅な利上げはしないのではないかとの見方が広がっている」と話す。今後については「ドル高のトレンドが大きく転換するとは考えにくい」とし、さらなるペソ安に発展する可能性も指摘した。』

スリランカ、付加価値税引き上げ IMFの要請に対応

スリランカ、付加価値税引き上げ IMFの要請に対応
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM318ZJ0R30C22A8000000/

 ※ IMFの処方箋は、いつも同じだ…。

 ※ 「緊縮財政+増税」だ…。

 ※ 財政均衡策としては、むろん、「正しい」…。

 ※ しかし、それで「国民の生活」が、満足いくものとなるかは、また、別問題だ…。

 ※ 付加価値税(日本の消費税みたいなもの)上げて、「暴動起こして、抗議している国民」が納得するものなのか…。

『【ニューデリー=花田亮輔】スリランカは1日から付加価値税(VAT)を引き上げる。ウィクラマシンハ大統領が8月30日、議会で表明した。かねて財政赤字と経常赤字に直面していたスリランカは経済危機が深刻になり、国際通貨基金(IMF)などに支援を要請している。IMFは支援合意に向けて経済改革を促しており、スリランカは税制変更によって対応する。

1日からVATの税率を12%から15%に引き上げる。スリランカではラジャパクサ前大統領が一時8%にまで引き下げ、同国の財政悪化に拍車をかけていた。経済運営に行き詰まったスリランカは4月に対外債務の支払いを停止し、IMFに金融支援を求めていた。

スリランカは現地入りしたIMFの代表団と、実務者合意に向けて協議を続けてきた。歳入増加などの経済改革がIMFの合意に向けた焦点となっていた。IMFは協議について1日に記者会見を開く。

スリランカ政府によると2021年4月末時点での対外債務は351億ドル(約4兆8000億円)。47%が市場からの借り入れで、アジア開発銀行(ADB)が13%、日本と中国がそれぞれ10%の債権を持つ。ウィクラマシンハ大統領は日本経済新聞の取材などに対し、日本に債務再編の主導を期待していた。

スリランカ中央銀行のウィーラシンハ総裁も31日、日本に対して「債権国会議の調整をお願いしたい」と述べた。在日スリランカ大使館や投資会社ストライダーズが主催するオンライン講演で表明した。

スリランカでは近年、新型コロナウイルスにより主要な外貨獲得手段であった観光業が低迷し外貨準備高が急減した。外貨不足で輸入品を中心とした生活必需品の不足や価格高騰が顕著となった。代表的な指数であるコロンボ消費者物価指数の前年同月比の上昇率は、8月に64.3%を記録した。

経済運営に対する不満から政府への抗議活動が激化し、一族で政権の要職を担ってきたラジャパクサ氏が大統領辞任に追い込まれた。首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が7月下旬に大統領に就いた。』

外貨不足のバングラデシュ、ロシア産燃料油の輸入検討

外貨不足のバングラデシュ、ロシア産燃料油の輸入検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB31CHG0R30C22A8000000/

『バングラデシュはロシア産の割安な燃料油の輸入を検討し始めた。外貨準備の減少を食い止め、揺らぐ経済を立て直すためだ。だが、ウクライナに侵攻したロシアに制裁を科し、同国産エネルギー資源の輸出抑制を目指す米欧が反発するのは間違いない。

バングラデシュは主に中東諸国から石油を購入している。国際市場で原油が1バレル100ドル(約1万4000円)前後の高値で取引され、国内は燃料価格の高騰で大きく混乱している。ロシア産の石油製品を市場価格よりも安く買えるならば魅力的だ。

ロシア石油大手ロスネフチは最近、燃料油を運賃含め1バレル59ドルでバングラデシュに売り込むと明らかにした。サンプルはすでに持ち込まれた。バングラデシュ石油公社が品質をチェックする。

両国の協力はほかの商品にも広がる可能性がある。バングラデシュ駐在のロシア大使は8月下旬、ロシア産の小麦30万トンと肥料10万トンをバングラデシュに供給する方向でバングラデシュ側と協議が進んでいると記者団に語った。

バングラデシュのハシナ首相は、8月中旬の経済政策を巡る会議で、電力の担当者にロシア産燃料油の輸入ができるかどうか検討を指示した。

バングラデシュの国営通信によると、同国のマンナン計画相は「ウクライナ侵攻に伴う石油価格の上昇で人々が苦しんでいる」との認識を示した。そのうえで「インドなどもロシアから石油を輸入している。バングラデシュも買えるかどうか確認する必要がある」と説明した。

米調査会社S&Pグローバル・コモディティー・インサイツは8月中旬の報告書で、ロシアの石油取引に対する米欧の制裁の影響は「軽微」だと指摘した。

タンカー追跡で得られたデータでは、ロシアの原油と石油製品の輸出量は8月前半、日量600万バレルを超えた。輸入国のリストをみると、中国とインドが上位に並び、ほかのアジア諸国も連なる。イタリア、トルコ、オランダも輸入した。

バングラデシュがロシア産の燃料油の輸入に踏み切る場合、決済方法をはじめハードルは多い。ロシアの有力銀行は国際送金システムの国際銀行間通信協会(SWIFT)から締め出された。バングラデシュが保有する米ドルやロシア通貨ルーブルは乏しい。

バングラデシュ政策研究所の専門家によれば、インドなど第三国を通じてロシア産の石油を迂回輸入すれば決済の問題は解決できる。

バングラデシュと同じく燃料高と外貨不足に直面するスリランカもロシアにすがる。ミャンマーはロシアから燃料油を輸入すると表明済みだ。

バングラデシュ当局は8月上旬、燃料価格を一気に5割ほど引き上げた。補助金を支給する余裕がなくなったためだ。この措置は交通機関の運賃上昇などに直結し、足元ですでに7%を超える消費者物価上昇率を一段と引き上げるとみられている。

バングラデシュの外貨準備は390億ドルで、1年間で2割減った。同国政府はすでに燃料の輸入を減らし、ディーゼル発電所を停止し、計画停電に踏み切った。地方都市では夏でも1日に数時間しか電力が供給されない例もある。

(寄稿 ダッカ=サイフル・イスラム)

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Bangladesh-eyes-cheap-Russian-fuel-oil-to-lower-import-bills/?n_cid=DSBNNAR 』

スリランカ支援「中印含めて議論を」 鈴木財務相

スリランカ支援「中印含めて議論を」 鈴木財務相
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA022NJ0S2A900C2000000/

『鈴木俊一財務相は2日の閣議後の記者会見で、経済危機に直面するスリランカへの支援について「中国、インドを含むすべての公的な2国間債権者が一堂に会して議論することが重要だ」と述べた。「債権国が議論に参加する場合、日本として積極的に協力していきたい」と強調した。

国際通貨基金(IMF)は1日、スリランカへの金融支援を巡って実務者間で暫定合意したと発表した。日本や中国、インドなどと債務削減をどう進めるかが焦点となっている。鈴木氏は「合意に至ったことは歓迎したい。スリランカが経済・財政改革を実施することを期待する」と語った。』

〔イラク、関連情報2〕

バグダード における年間の気候および平均気象
https://ja.weatherspark.com/y/103217/%E3%83%90%E3%82%B0%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89%E3%80%81%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E3%81%AB%E3%81%8A%E3%81%91%E3%82%8B%E5%B9%B4%E9%96%93%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%B0%97%E5%80%99

『 バグダードでは、夏はうだるように暑く、乾燥状態、快晴、冬は寒く、乾燥状態、ほぼ晴れです。 1 年を通して、気温は 5°Cから 45°Cに変化しますが、1°C 未満または 48°C を超えることは滅多にありません。

砂浜/プール点によると、年間でサマーアクティビティのためにバグダードを訪問する最適な時期は4月下旬から5月下旬まで、9月中旬から10月中旬までです。 』

〔イラク、関連情報1〕

雑学から知るユーフラテス・チグリス川。メソポタミア文明を生んだ偉大な川
https://seiwanishida.com/archives/13759

『2つの川なくしてメソポタミア文明なし

ユーフラテス川とチグリス川は主に現在のイラクに位置する。2つの川の源流はトルコにあり、シリア、イラクへと流れている。2つの川はイラク南部の町クルナで合流し、ペルシャ湾へと流れ込む。

チグリス川は全長1,900キロで、うち1,290キロがイラクを流れている。ユーフラテス川は全長2,800キロで、うち1,015キロがイラクを流れている。

ユーフラテス川とチグリス川の場所

メソポタミア文明が興ったのも、この2つの川ゆえである。メソポタミアは、古代ギリシャ語で「川の間の土地」を意味する。

ここで言う川がチグリス、ユーフラテス川である。この2つの川に挟まれた場所、メソポタミアで文明が興ったので、メソポタミア文明と呼ばれているのである。

日本のような、成熟した便利な社会に住んでいると、普段の生活で川のことを考えることは、ほぼないだろう。せいぜい、台風や大雨の時に川が増水して、氾濫しないかを心配するぐらいである。

けれども、川というのは、人間の生活に大きな恵みを与えてくれるということが、メソポタミアの例を見るとよくわかる。

紀元前4,500年前には、人類最初の文明を作ったと言われるシュメール人たちが、川から水をひいて農業を営む技術を習得していた。これにより、川の周辺だけでなく広い場所で農業が可能となった。

広大な農地からは、大麦や小麦などの穀物が取れた。シュメール人は、大麦を使って世界最古のビールを作っていた人々である。

安定した食料が手に入ると、人口も増えやすい。余った穀物で交易を行うこともできる。シュメールの人々は、すでにアラビア半島の国々と交易をしていた。川は食生活を豊かにしただけではなく、交易や移動面でも大きな役割を果たした。

シュメール人たちは、こうした穀物を元に、メソポタミアにはない木材や金属、宝石などを輸入して、神殿などを作った。

食料が十分に確保でき、交易により様々な資材を手に入れることで、社会が形成され、その中から権力者が生まれ、やがて国となる。こうしてメソポタミアには、数々の古代都市が生まれたのである。

メソポタミアの古代都市を見てみると、ちょうど川の近くに点在していることがわかる。それは、現在のイラクの都市も同じだ。都市が川の恩恵を受けて発達したことを示している。

これは何もイラクやメソポタミアだけに限ったことではない。中国は黄河、インダスはインダス川、エジプトはナイル川と他の文明も同じである。

一方で、シリアやサウジアラビアに近い場所は砂漠が広がり、不毛地帯となっている。イラク国土の約半分が、そうした砂漠地帯である。

イラク都市地図
イラクの地図。都市が川に沿って位置しているのがわかる。地図はMDSより引用

国土の半分が砂漠で、おまけにイラクでは雨がほとんど降らない。夏になると、日中の気温が50度近くになることもある。農業をやるには不向きな土地と思いきや、イラクの食卓は実に色鮮やかである。

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それもユーフラテス、チグリス川のおかげである。雨が十分に降らずとも、こうした川の水をひいて農業をすることができる。イラクの農地面積は、日本のそれに匹敵するとも言われている。

メソポタミアの川の恵み

川の水をめぐる問題

かつては古代文明も栄えて、メソポタミアの人々は万々歳だっただろう。けれども、現代のイラクではちょっと事情が異なる。

ユーフラテス、チグリス川の源流に近いトルコやシリアが、巨大なダムを作って水をせき止めたり、大規模な農業開発を始めたことで、イラクへ流れてくる水の量がかなり減っているのだ。その量は、年間にして3分の1にも減ったと言う。

イラクは過去20年間に、2つの戦争を経験している。クウェートにイラクが侵攻して始まった1990年の湾岸戦争と、アメリカに「アイツ、大量破壊兵器持ってんじゃね?」とイチャモンをつけられ、2003年に始まったイラク戦争である。

いずれの戦争でも、下水処理場が破壊されたり、経済制裁で浄水装置が輸入されなくなるなどして、イラク国内のインフラに大きなダメージを与えた。

イラク戦争後には、サダムフセイン政権が崩壊し、魑魅魍魎たちがのさばり国内ではテロが多発している。戦後復興どころではなく、破壊されたインフラはほとんど元に戻っていない。

チグリス、ユーフラテス川の水が減る一方で、汚れた下水はそのまま川へ垂れ流しになる。水を浄化するシステムも整っていない。その結果、川の汚染レベルが上がった。イラク戦争後には汚染水が原因で、コレラや腸チフスで亡くなる人が急増したという。

こうしてみると、川の水がいかに人々の生活に影響を与えているかが分かる。
2つの川の合流地点

トルコから始まったチグリス、ユーフラテス川は、イラクの南部クルナで合流する。イラン国境に近い場所だ。2つの川は「シャットルアラブ」と呼ばれる1つの川になり、ペルシャ湾へとそそぎこむ。

シャット・アル・アラブ_ユーフラテスとチグリス川の合流地点
ユーフラテスとチグリス川の合流地点。市民の憩いの場になっている。

この合流地点から車で1時間ほどの場所には、広大な湿原地帯が存在する。チグリス、ユーフラテス川は、トルコやイラク北部の山岳地帯の雪解け水が流れ込み、古代より洪水が頻繁に起こった。

聖書に出てくる「ノアの箱船」の話も、このメソポタミアの洪水にインスパイアを受けたとされる。

何度も洪水が起こることで、できたのがこの湿原地帯である。中東=砂漠、というイメージには程遠く、この湿原ではラクダでは水牛がのっそりと歩いている。

沼地には背の高い大葦が生えており、人々はその間をマシューフと呼ばれる小舟で移動する。彼らが住むのは、湿原に浮かぶ葦で作った家である。これらの光景は、バビロニアやシュメールの時代から変わらない。

イラクの沼地のアラブ人

湿原を小舟で移動する人々。湿原は独自の生態系を作り出し、ここにしか生息しない固有種もいる。

残念ながら、こうしたほのぼのとした光景も、今では失われつつある。

サダムフセイン政権時に、反政府ゲリラの温床とされ、湿原の水が大幅に抜かれてしまったのである。アマゾンで言うところの、森林破壊である。

これにより湿原の生態系が壊れてしまっただけでなく、多くの沼地のアラブ人が、「この場所には住めん!」と湿原を去ってしまった。湿原の面積は小さくなり、あたりには干上がった土地が残るだけだ。

湿原を下って、さらに南下するとイラク第3の都市バスラがある。ここはかつて、中東のヴェニスと呼ばれた場所だ。街中をいく運河に浮かぶ小舟、まさしくイタリアのヴェニスさながらの光景が広がっていた。

しかし、現在の川の汚染レベルはひどいものであった。水の色は灰色になり、大量のゴミが浮いている。川からは異臭が発生しており、本気でえづきそうになったほどだ。中東のヴェニスは、もはやどこにもない。

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かつては、古代文明を生み出したほど雄大な川であったチグリス、ユーフラテス川。けれども、川の”恩恵”を受けられなくなった今、そこにはあるのは発展ではない。陰鬱な人々の暮らしである。』

イラクで宗教指導者が政界引退表明、支持者ら首相府占拠

イラクで宗教指導者が政界引退表明、支持者ら首相府占拠
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR29BH10Z20C22A8000000/

 ※ 『ムクタダー・サドルはこれまでに何度も「引退」を宣言しては支持者たちを結束させてきたので、今回も何事もなくまた復帰すると思われる。

イランのシーア派の宗教的シンボリズムは、神から指導権を与えられた指導者イマームが苦難に見舞われ、ついには「お隠れ」になってしまう。

指導者が苦しみ、遂には「お隠れ」になることで、支持者たちは意気消沈したり雲散霧消したりするのではなく、嘆き悲しみつつ奮起し結束する。

サドルはそのような支持者の反応を想定して「引退」を宣言しているのだろう。

また、支持者の暴走を自ら制御して見せることで、サドル抜きのイラク政治があり得ないことを競合勢力や各国に知らしめようとしているのだろう。』…。

 ※ そーなのか…。

『【イスタンブール=木寺もも子】政治混乱の続くイラクで29日、議会の解散などを求めていたイスラム教シーア派のポピュリスト指導者、サドル師が政治活動からの引退を表明した。支持者らは政府に反発を強め、首相府などに押し入った。軍は治安回復のため、全土で外出禁止令を発した。

現地からの報道によると、デモ隊は柵や壁を乗り越えて、政府機関や外国大使館などが集まる旧米軍管理区域(グリーンゾーン)に入った。現地では銃撃も起きており、ロイター通信によると少なくとも17人が死亡した。バグダッド以外の都市でもサドル師派によるデモが起きているもようだ。

在イラクの日本大使館によると、日本人が巻き込まれたとの報告はなく、大使館の周りでは目立った混乱はみられないという。

サドル師が率いる勢力は2021年10月の議会選(定数329)で第1党の地位を得たが、連立交渉が難航し、22年6月に全73議員を一斉に辞職させた。7~8月には議会の解散などを求めて支持者らが議会を占拠し、座り込みを続けていたが、政治協議は進んでいなかった。

サドル師は父親が高名なシーア派指導者で、低所得者層を中心に熱狂的な支持者がいる。反米ながら隣国イランとも距離を取るため、同じシーア派の親イラン系勢力と激しく対立している。
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

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池内恵
東京大学先端科学技術研究センター 教授
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ひとこと解説

ムクタダー・サドルはこれまでに何度も「引退」を宣言しては支持者たちを結束させてきたので、今回も何事もなくまた復帰すると思われる。イランのシーア派の宗教的シンボリズムは、神から指導権を与えられた指導者イマームが苦難に見舞われ、ついには「お隠れ」になってしまう。指導者が苦しみ、遂には「お隠れ」になることで、支持者たちは意気消沈したり雲散霧消したりするのではなく、嘆き悲しみつつ奮起し結束する。サドルはそのような支持者の反応を想定して「引退」を宣言しているのだろう。また、支持者の暴走を自ら制御して見せることで、サドル抜きのイラク政治があり得ないことを競合勢力や各国に知らしめようとしているのだろう。
2022年9月1日 5:25 (2022年9月1日 5:35更新)
鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

アラブ国家におけるナショナリズムの問題は、とりわけイラクに象徴的に表れる。シリアとのバース党による汎アラブ運動があり、その後にサダム・フセインの独裁があり、アメリカやイランの干渉を常に受けてきた。そんな中で、イラクという国家の意識が強く表れ、シーア派であってもイランと対立するサドルの人気が高かった。これからイラクはまた対立の時代に入るが、それを収める力のある人も、収めどころもはっきりしない状況が続く。
2022年8月30日 9:56』

ロシアとイラン外相が会談 ウクライナ侵攻や核合意協議

ロシアとイラン外相が会談 ウクライナ侵攻や核合意協議
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR31BJU0R30C22A8000000/

『【ドバイ=福冨隼太郎】ロシアのラブロフ外相とイランのアブドラヒアン外相は31日、モスクワで会談した。両者はロシアによるウクライナ侵攻や米国とイランによる核合意の再建交渉などについて協議した。アブドラヒアン氏は会談後、「侵攻を収束させる手段について議論した」と述べた。

イランはウクライナ侵攻についてロシアの名指しを避けつつ「戦争に反対する」との姿勢を示している。イランメディアは会談に先立ち、欧州の指導者の一人がイランのライシ大統領にウクライナ侵攻に関して調停に協力するよう求めたと報じていた。会談でアブドラヒアン氏は、ラブロフ氏に停戦に対する考えを伝えたとみられる。

核合意に関しては、アブドラヒアン氏は仲介役の欧州連合(EU)が示した「最終文書」についての検討状況などを説明した。会談後の記者会見でアブドラヒアン氏は文書に対する米国の回答について「慎重に見直している」と述べた。ラブロフ氏は合意をめぐるイラン側の立場を支持する姿勢を示した。

アブドラヒアン氏は「イランは核合意の再建に向けて米国のより強固な保証を求める」と指摘。国際原子力機関(IAEA)が、イランの未申告の場所で検出された核物質の調査を求めていることを念頭に「政治的動機による調査を中止すべきだ」とも述べた。

ロシアによるウクライナ侵攻後も、ロシアとイランは首脳会談などで良好な関係をたびたびアピールしている。ロシアはウクライナ侵攻をめぐって、イランは核開発をめぐってそれぞれ欧米から制裁を受ける。会談でラブロフ氏は「西側諸国は国際関係の構造を意図的に破壊した」と批判。イランとの関係を深め、欧米に対抗する考えも示した。』

「諸外国のエネルギー事情 ~イギリス~」

「諸外国のエネルギー事情 ~イギリス~」
http://www.3r-net.com/info/pdf/MM045.pdf

 ※ ここ(イギリス)は、「北海油田」があるんで、エネルギー自給は安泰かとおもっていたが、違っていたな…。

 ※ 『イギリスは、1975年頃まで全エネルギーの約40%以上を海外から輸入していましたが、北海油田の発見・開発により現在はエネルギー輸出国になっています。

しかし、北海油田の英国側における石油生産量は1999年の290万バレル/日をピー
クに減少しており、2001年の生産量は250万バレル/日となっています。

確認可採埋蔵量も2000年末で50億バレル、2001年末が49億バレルと減少し始めています。これは可採年数として5.6年に相当します。

同様に天然ガスの可採埋蔵量は7,300億 m3、可採年数で6.9年とやはり豊富な資源とは言えない状況にあります。』…、ということだ…。

英国、原発計画に1100億円提供 エネルギー安全保障で

英国、原発計画に1100億円提供 エネルギー安全保障で
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01ENM0R00C22A9000000/

『【ベルリン=共同】英政府は1日、南東部にあるサイズウェル原発の新設計画に7億ポンド(約1130億円)の資金を提供すると明かした。脱炭素化の推進に加え、ロシアのウクライナ侵攻の影響でエネルギー安全保障を強化する必要性が高まっていることも背景にある。英メディアが報じた。

「サイズウェルC」と呼ばれる今回の原発計画は、フランス電力(EDF)が手がける大型プロジェクト。英国の電力需要の約7%を賄うことができ、稼働期間は60年の見込みだ。全体の事業規模は200億ポンド規模になると推定されており、17億ポンドに上る政府の資金提供枠を活用する。

近く退任する見通しのジョンソン首相は1日の記者会見で、計画を前進させることに「自信がある」と訴えた。』

ポーランド、ドイツに183兆円賠償請求へ 大戦中の損害

ポーランド、ドイツに183兆円賠償請求へ 大戦中の損害
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB021580S2A900C2000000/

『【ベルリン=共同】ポーランド政府は1日、第2次大戦中のナチス・ドイツの侵攻と占領による損害は約6兆2200億ズロチ(約183兆円)に上るとの試算を発表した。ドイツ政府に賠償交渉を求める。

83年前の1939年9月1日にナチス・ドイツがポーランドに侵攻し、第2次大戦が始まった。45年の終戦までにポーランドでは約600万人が犠牲になったとされる。

欧州メディアによると、ポーランドは2015年に愛国主義的な保守与党「法と正義(PiS)」が政権を取って以降、ドイツに対する賠償請求論を主張。ドイツ政府はポーランドが1953年に賠償請求を放棄したため請求権は消滅したとの立場で、賠償問題は解決済みだとの姿勢を崩していない。

ポーランド政府はワルシャワでの会合で、39年から45年にかけての戦争被害に関する報告書を公表した。PiSのカチンスキ党首は「ドイツは甚大な損害をもたらした」と訴え、賠償金を受け取るまで「長く困難なプロセス」になるだろうと述べた。

【関連記事】

・アウシュビッツで過去謝罪 メルケル独首相、初訪問(2019年掲載)
・なぜドイツは謝るのか 苦悩と葛藤の戦後70年(2015年掲載)』

バフェット氏投資会社、中国BYD株を初めて売却

バフェット氏投資会社、中国BYD株を初めて売却
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM30A660Q2A830C2000000/

『【広州=川上尚志】著名投資家ウォーレン・バフェット氏率いる米バークシャー・ハザウェイが、24日に中国電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)の株式を一部売却したことが30日分かった。バークシャーは2008年にBYD株を取得し、売却するのは初めて。売却額は約70億円とみられ、利益確定の売りを入れたとみられる。

香港取引所で30日に開示されたBYD株の取引資料で明らかになった。資料によるとバークシャーはBYDの株式133万1000株を1株約277香港ドル(約4900円)で売却した。売却後のバークシャーの持ち株比率は0.57ポイント下がり19.92%となった。

BYDは深?証券取引所にも上場している。バークシャーは6月末時点で香港取引所と深?証券取引所への上場分をあわせたBYDの株式の7.73%を保有していた。

バークシャーとBYDはそれぞれ売却についてコメントしていない。BYDは電池を皮切りに自動車の製造に事業の幅を広げ、バークシャーの出資をきっかけに知名度を高めた経緯がある。』

中国無人機、また沖縄通過 空自がスクランブル

中国無人機、また沖縄通過 空自がスクランブル
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODE30D7I0Q2A830C2000000/

『防衛省統合幕僚監部は30日、中国のTB001偵察・攻撃型無人機1機が同日午後、沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海と太平洋を往復したと発表した。太平洋側では、宮古島や石垣島など先島諸島の南側を東西に移動し、周回するような飛行もした。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。

防衛省によると、このタイプの無人機は、中国が台湾周辺で大規模な軍事演習を開始した今月4日にも、沖縄を通過して東シナ海と太平洋の間を飛んだのを確認している。〔共同〕』

[FT]中国のスパイ活動が「ロシア並み」に

[FT]中国のスパイ活動が「ロシア並み」に 米欧は警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB310SI0R30C22A8000000/

 ※ 『西側の情報当局者が中国とロシアの情報工作の違いを説明する際、海岸から砂を持ち帰れという指令が、例え話としてよく使われる。

ロシアは夜間に潜水艦から数人だけ上陸させ、バケツ1杯の砂を持ち去る。ところが、中国は白昼堂々、多数の海水浴客をビーチに送り込み、それぞれに少しずつ砂を持って帰らせることで、結果として大量の砂を手に入れるという寓話(ぐうわ)だ。

元CIA職員で中国に詳しいニコラス・エフティミアデス氏は、こうして「情報活動の実行方法に新たなパラダイム」が生じていると語った。

西側の複数の情報当局者によると、中国のやり方は非効率で、統制がとれない可能性があり、同一のターゲットに複数のスパイがアプローチすることもある。それでも成果は出やすい。』…。

 ※ まあ、象徴的な話しだな…。

『フランスのテレビのスパイドラマ「ザ・ビューロー」にありそうな話だ。仏情報機関のメンバーであるアンリ・Mが北京に派遣され、駐中国仏大使の通訳とプライベートで親しくなり、機密情報を中国側に流し始める。
FBIのレイ長官は中国のスパイ活動の高度化に驚く(8月上旬、米連邦議会)=ロイター

アンリ・Mはすぐフランスへ呼び戻された。それから20年余り後の2020年の裁判でこのスパイは「フランスの利益を損なう情報」を外国に漏らした罪で投獄8年の判決を受けた。同僚のピエールマリー・Hは17年に逮捕されるまで中国のスパイとして活動したが、アンリ・Mと同じ裁判で投獄12年を言い渡された。

2人が受けた量刑は重く、罪は公開裁判で問われた。この事実は、中国のスパイ活動が広がり、欧州にとっては旧敵であるロシアをしのぐ脅威になりかねないという危機感を映している。

「工作員の能力で、中国はロシア並みになってきた」。米中央情報局(CIA)の欧州部門でトップを務めた経験のある人物は証言する。西側の情報機関員の一人も「中国はロシアと、最も高度な情報活動では肩を並べるようになった」と話す。中国には「忍耐力が極めて強い」工作員がいると、付け加えた。

サイバー攻撃ではすでに高水準

中国のサイバー攻撃はすでに、水準の高さで知られている。21年に米マイクロソフトのシステムが狙われ、世界の3万社・機関が被害を受けたハッキング事件では米国、欧州連合(EU)、英国が、中国政府の命令を受けた犯罪組織の犯行だと断定した。中国側は「根拠がなく無責任な」言いがかりだと主張し、疑いを否定している。

一方、西側の現役とOBの情報機関のメンバー8人によると、中国は人物との接触を通じた「ヒューミント」と呼ばれる情報活動でも、ロシアに劣らないレベルに到達した。こうした状況で、米欧は中国への警戒を強めている。

英秘密情報部(MI6)長官を務めたことのあるアレックス・ヤンガー氏は「ロシアは帝政時代からスパイ活動を続けている。それが好きでたまらないのだ」と話す。「中国はヒューミントでかなり劣っていたのに、最近では右肩上がりだ」

マッカラム英情報局保安部(MI5)長官とレイ米連邦捜査局(FBI)長官は7月にロンドンで共同記者会見を開き、中国共産党による秘密情報活動が盛んになっている現状が「ゲームチェンジ」につながる可能性を秘めていると指摘した。

マッカラム氏は「私たちはオオカミ少年でない」と主張した。欧州の安全保障にとって数十年ぶりの深刻な脅威であるロシアのウクライナ侵攻を目の当たりにして、この言葉は重い意味を持つ。

スパイの手口は中国とロシアではかなり異なる。西側の情報機関は対策を練り直す必要がある。

MI5は22年に入ってから、英国籍の弁護士、クリスティン・リー氏に対し、違法行為は確認されていないが、中国の利益のため英政治に干渉していると公に警告した。

ロシアの工作員とは全く異なる手法

話を聞いた8人のうち、ヤンガー氏の次の情報機関員は「中国のスパイ活動はロシア(によるアプローチ)と全く異なる」と語った。「誰が中国のスパイなのかを定義するだけでも難しい」というのだ。

複数の情報当局者によると、ロシアの対外情報活動は、暗号通信などスパイ技術の訓練を受けたエリートの情報機関員に頼る部分がなお大きく、目標を定めて活動する。しかし中国のスパイは、政治家への影響力の行使、経済や技術に関する機密情報の入手など、様々な目的を持つという。

3番目に取材した情報機関員は「ロシアはスパイ行為の標的を絞り込んでいるが、中国は『全社会』アプローチを採用している」と指摘した。この発言は、17年に成立した中国の国家情報法で「あらゆる組織と市民」が「国の情報活動への支援、助力、協力」を義務付けられた事実を踏まえている。

4人目の情報機関員はロシアの工作を、リスクが高く、ある意味「ならず者」のようだと話した。そのうえで、ロシアと英国の二重スパイだったセルゲイ・スクリパリ氏が18年にイングランド南部で毒薬によって殺されかかった事件を引き合いに出した。

8人のうち、元CIA職員は「ロシアのスパイは、手口が器用でないうえ、かなり傲慢だ。『できるものならば捕まえてみろ』という態度に見えることがある」と説明した。中国の場合は「相手国との良好な関係の維持を目指し、スパイ絡みの不祥事は避けたがる」と語った。

西側の情報当局者が中国とロシアの情報工作の違いを説明する際、海岸から砂を持ち帰れという指令が、例え話としてよく使われる。

ロシアは夜間に潜水艦から数人だけ上陸させ、バケツ1杯の砂を持ち去る。ところが、中国は白昼堂々、多数の海水浴客をビーチに送り込み、それぞれに少しずつ砂を持って帰らせることで、結果として大量の砂を手に入れるという寓話(ぐうわ)だ。

元CIA職員で中国に詳しいニコラス・エフティミアデス氏は、こうして「情報活動の実行方法に新たなパラダイム」が生じていると語った。

西側の複数の情報当局者によると、中国のやり方は非効率で、統制がとれない可能性があり、同一のターゲットに複数のスパイがアプローチすることもある。それでも成果は出やすい。

年83兆円相当の知的財産を米国から盗む

米政府の試算によれば、中国の産業スパイは年間で最大6000億ドル(約83兆円)相当の知的財産を米国から盗み出してきた。だが、中国は否定する。EUは、知的財産が盗まれたことで毎年500億ユーロ(約6兆9000億円)相当の損害を受け、67万1000人の雇用が失われていると推計している。

元MI6副長官で、現在は英国際戦略研究所(IISS)の上級アドバイザーを務めるナイジェル・インクスター氏は「効率よりも成功率の高さの方が、中国の情報機関にとっては大事だ」と話す。

人種に基づいて捜査対象を絞り込む手法を避けながら中国のスパイを特定しなければならないのも課題だと、複数の情報当局者は指摘する。

この面でもロシアとの違いがくっきりと浮かび上がる。欧州諸国は22年、ウクライナ侵攻が始まってから、ロシアの外交官やスパイとみられる人物ら計600人以上を国外に追放してきた。

インクスター氏は「中国政府に同様な対応をとるのは難しい」と語った。当事国の対中関係が希薄になり、揺らぐ可能性があるためだという。

スパイ対策に携わる担当者の一部は、海岸から砂を持ち帰る指令の寓話(ぐうわ)について、中国が最近使うようになった洗練された工作の印象を薄め、誤解を招くとの見方を示した。

情報活動における中国とロシアのアプローチの違いはさておき、西側諸国は事件の多さに戸惑っている。中国のスパイ活動と疑われる案件について、FBIは12時間に1件のペースで新たな捜査が始まると発表した。この件で、MI5の取扱件数は18年以降、7倍に増えた。

FBIのレイ氏は「ここまで労力を惜しまない中国には驚かされる」と感嘆した。

By John Paul Rathbone & Demetri Sevastopulo

(2022年8月30日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

習近平氏、長期政権へ側近昇格狙う 党大会10月16日開幕

習近平氏、長期政権へ側近昇格狙う 党大会10月16日開幕
首相人事が焦点に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM2994H0Z20C22A8000000/

『【北京=羽田野主】中国共産党の権力体制を固める第20回党大会が10月16日に開幕する日程が決まった。異例の3期目入りを固め長期政権をにらむ習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は最高指導部に側近の引き上げを目指している。経済政策のかじ取りをする首相人事が焦点になる。

8月30日の党中央政治局会議ですんなりと日程が決まったのは、今夏に開かれたとみられる党幹部や長老らによる「北戴河会議」で習氏の人事調整が順調に進んでいる可能性を示している。

党大会で習氏の続投が決まれば2027年まで5年間の新たな任期を得て異例の3期目に踏み出すことになる。

総書記の任期は決まっていないが、国家主席の2期10年と連動するとみられてきた。18年の憲法改正で国家主席の任期を撤廃したことで、習氏は3期目への道を開いた。

党大会で建国の父、毛沢東が死去するまで手放さなかった任期のない「党主席制」の復活や、習氏の権威を高める「人民の領袖」の称号を獲得する案もささやかれる。

現状7人いる最高指導部で、栗戦書(リー・ジャンシュー)全国人民代表大会(全人代)常務委員長(国会議長)や韓正(ハン・ジョン)筆頭副首相は引退する可能性がある。

1強を固めてきた習氏だが、最高指導部のメンバーで若いころから関係を深めたのは栗氏だけだった。習氏は序列25位以内の政治局員である丁薛祥・党中央弁公庁主任らを引き上げ、側近で固めたい考えとみられる。

経済運営を担ってきた現職の李克強(リー・クォーチャン)首相は憲法で首相職の3選は禁じられており、23年3月で退任する。全人代常務委員長に転じて最高指導部に残るとの観測は根強い。

有力な次期首相候補が汪洋(ワン・ヤン)全国政治協商会議主席や胡春華(フー・チュンホア)副首相だ。

汪氏は中国経済の要となる広東省や重慶市のトップを歴任した。改革開放を進めた鄧小平に見いだされたエピソードがある。

習氏と特別なつながりはないとみられるものの、新疆ウイグル自治区やチベット自治区と民族・宗教面で敏感な地域の政策を担当し、習氏の意向を踏まえて無難にこなしてきたとの評価がある。

胡氏と予想する声もある。副首相として貧困対策や農業政策を担ってきた。党内きっての政策通で知られるが、習氏が団結力を警戒してきた党の青年組織、共産主義青年団(共青団)出身のホープで、距離があるとされてきた。

首相は副首相経験者から選ぶのが慣例で、汪氏の前職は副首相だ。習氏が党内のバランスにどの程度配慮するかが判断のポイントとなる。胡氏を首相候補にせずに最高指導部入りさせる選択肢も取り沙汰される。

李強・上海市党委員会書記は習氏の浙江省トップ時代の党秘書長で、首相の最有力候補とみなされてきた。だが、上海市の都市封鎖(ロックダウン)を巡る混乱で手腕を疑問視する見方が党内で広がった。習氏が押し切るかに注目が集まる。

前回の17年党大会で習氏は後継候補をつくらずに、権力集中を進めた。丁氏や胡氏が最高指導部入りすれば、「ポスト習」候補の立場が明確になりそうだ。

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ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

[FT]中国、不動産主導成長モデルは終わった(社説)

[FT]中国、不動産主導成長モデルは終わった(社説)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB010SH0R00C22A9000000/

 ※ 「(社説)」とあるから、これが「社としての公式見解」だと、考えてよい…。

『少なくとも過去20年間、世界経済をけん引してきた中国の不動産主導の成長モデルが、今急速に崩壊しつつある。これを修復する、あるいは、世界第二の経済大国が不動産に代わる成長エンジンを見つけるには、何年もかかる可能性がある。中国政府が現在直面している政策判断は極めて重要だ。

中国・広東省深?で建設中のマンション=ロイター

まずは、問題の原因を究明する必要がある。表面上は単純に見える。史上最大の不動産ブームが終わり、バブルがはじけたということだ。しかし、より深く分析すると、中国の政治経済システムの核の部分にあるより複雑で厄介な問題が見えてくる。

中国の地方政府は、投資活動の資金を基本的に土地を不動産開発業者に売って調達してきたが、債務が膨らみ、返済や金利の支払いが難しくなってきている。開発業者の資金が枯渇し、土地を購入する意欲がなくなったためだ。20社近くが資金繰りに困窮しており、今年に入ってオフショア債の債務不履行に陥った。

1100兆円の隠れ債務

この力学が連鎖反応を引き起こしている。地方政府が所有するインフラ投資会社である融資平台(LGFV)が全国で数千もあり、規制が行き届かないまま、多額の「隠れ債務」を抱えている。ゴールドマン・サックス証券の推定によると、その総額は2020年末の時点で、国内総生産(GDP)の52%に当たる53兆人民元(約1100兆円)に上るという。中央政府は地方政府に対し、こうした貸借対照表に記録されない債務を一掃するよう求めており、融資平台の活動にブレーキがかかっている。

その結果、今年になって固定資産投資(FAI)が急減している。FAIは、都市近郊の開発や道路、鉄道、港湾の建設、その他のあらゆるインフラ整備の資金源だ。FAIの伸び率は1996~2022年の間は平均17.87%に上ったが、今年の1月から7月の間では5.7%に低下し、経済をけん引する重要な力の1つが失われた。

中国政府は、不動産部門を救済するために公的資金をいくらか投入しているが、問題の抜本解決は厳しい。世界の繁栄に大きく寄与した成長エンジンが過剰債務で止まってしまった今、それを代替するものはあるのだろうか。

個人消費主導経済への転換

明らかな答えが一つある。中国経済は抜本的に、不動産投資へ過度に依存する従来のモデルから、消費者支出がけん引する経済に移行する必要がある。中国では、名目GDPに占める個人消費の比率は昨年末で38.5%にすぎない。米国や欧州連合(EU)で一般的な水準に比べ格段に低い。

従って、中国政府は、今後数年かけて地方政府の過剰債務問題の出口を探るなかで、一般家庭に負荷を掛けてはならない。給与が堅調に増え、管理の行き届いた活気ある金融市場が貯蓄に対し、健全で長期的な利益をもたらす経済を築く必要がある。

加えて、中国政府は、同国の過去40年に渡る異例の経済発展が民間企業の力強い活動によってもたらされてきたことを忘れてはいけない。だが現実には、ネット通販最大手アリババ集団の創始者、馬雲(ジャック・マー)氏が失脚し、代表的な大手民間ハイテク企業の存在感が低下しており、世界は、中国政府が民間企業への支援を後退させていると見ている。

消費者や民間部門の成長を受け入れるよう、経済モデルをシフトするということは、従来の常識に反する考え方の転換が必要になる。権威主義の政府は、自らが管理できる経済手段を志向する。強靱(きょうじん)な公的投資を通じて供給をもたらすことで、支配政党が支配的地位を維持できるためだ。だが、消費者の民主主義志向に応えると支配的な地位を保つことは難しくなる。

中国政府は、経済の転換に備えるべきだ。長く、困難だが、避けられない道だ。そして世界は、40年に渡った中国過剰成長の時代が終わることを覚悟しなければならない。

(2022年8月29日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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中国最大の淡水湖が「川に干上がる」

中国最大の淡水湖が「川に干上がる」 長江の川底が「草原に」
https://www.visiontimesjp.com/?p=36227&

『長江流域で高温・少雨が続く影響で、長江の水位が急激に低下し続け、多くの水域の江水が干上がり、川底が露出している。

 中国の公式メディアによると、高温少雨が続き、長江からの水量も少ないことが重なり、江西省の鄱陽湖(はようこ)の水位が急激に低下した。

 国家衛星気象センターの観測データで、鄱陽湖の面積は明らかに「縮小」していることが分かった。18日の鄱陽湖の水域面積は約1113平方キロメートルで、7月10日の水域面積より約66%減少した。

 衛星図を見ると、中国最大の淡水湖である鄱陽湖は今、湖に見えず、主な湖面が消えて、むしろ川のように見える。

 鄱陽湖の水位低下に伴い、廬山水域の湖底にある「落星墩(らくせいとん)」古跡が全貌を現した。「落星墩」周辺の水はすべて干上がり、まるで草原にいるような状態になっている。落星墩は鄱陽湖に浮かぶ岩の島で、総面積約1800平方メートル、江西省廬山市のシンボルとなっている。

 ネットユーザーが投稿した俯瞰映像では、鄱陽湖の水位が急激に低下し、面積も大きな湖から川へと縮小していることがわかる。干ばつで多くの海岸がひび割れ、海岸に取り残された魚は干物になり、見るに忍びない。

鄱阳湖的水位下降得很厉害。面积也从一个大湖缩成了一条河。 pic.twitter.com/SceJ5gVGzT

— bridgeduan (@bridgeduan) August 21, 2022

8月20日,江西九江都昌县,鄱阳湖水位跌破10米创历史同期最低,干涸的湖水呈现树状奇观…小鱼被晒成鱼干。天降大旱,也不见英明猪头领导人亲自指挥,亲自部署了,反向视察,东边有事往西跑,南边大旱往北跑。活脱脱一头猪! pic.twitter.com/WuEMGrlfeG

— 老司机 (@h5LPyKL7TP6jjop) August 21, 2022

鄱阳湖流域大旱,水位告急,已跌破历史同期极值! pic.twitter.com/NN5ISDo7ob

— 全哥不吃鱼 (@JY33503792) August 20, 2022

(翻訳・藍彧)』

[FT]中国の干ばつ、温暖化による経済被害を浮き彫り

[FT]中国の干ばつ、温暖化による経済被害を浮き彫り
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB014PN0R00C22A9000000/

『ビザ(査証)コンサルタントのエル・フーさん(31)はほぼ毎日、中国南西部にある重慶市の高層ビルで働いている。だが、中国が過去数十年で最悪の干ばつに見舞われて重慶で森林火災が発生すると、バイクに飛び乗り、消火活動の物資運搬を手伝うために郊外へ走った。

干ばつのために亀裂が広がった川底(江西省南昌市)=ロイター

フーさんは「山には1000~2000人の消防隊員がいたが、バイクのボランティアも大勢いた」と言い、自動車は泥道を走るのに四苦八苦していたと話す。

四川省は8月28日から工場向けの電力供給を再開し始めたが、熱波が経済全体に与えた影響は深刻だ。熱波で重慶の気温は過去10年間の平均を7度上回った。中国南西部に広がった電力不足で産業がマヒ状態に陥り、科学者らはこれは恐らく気候変動が招いた危機だと言う。

干ばつで水力発電所に水を供給する河川が干上がった。これは中国で最も長く、最も重要な物流航路である長江も例外ではなく、水位が過去最低水準まで下がった。重慶近辺では水位が極端に下がったため、何世紀も水面下に沈んでいた約600年前の仏像が姿を現した。

気候学者で気候の歴史学者でもあるマキシミリアーノ・ヘレラ氏は「中国東部でのこの熱波の継続期間、範囲、激しさの組み合わせは世界の気候史上前例がない」と話す。「2022年以前は13年の熱波が最も厳しかったと考えられていたが、今回の熱波は期間が2倍に延び、格段に厳しく、より広範な地域に広がった」と同氏は説明する。
ジェット気流の蛇行が原因か

大気科学を専門とする香港城市大学のジョニー・チャン名誉教授は、この極端な気候の理由の一つは、気候変動がジェット気流(中緯度地域の気候を左右する風速の大きい気流の帯)を「蛇行」させたことだと推測する。

チャン氏は「ジェット気流が不安定だと、暖かい空気が南から北に流れ続けるブロッキング現象が生じることがある」と説明し、熱帯性の高気圧も以前よりも中国中部のより広い地域を覆ったと指摘する。「こうした高気圧は通常沿岸部にとどまるが、現在は内陸に大きく張り出している。中国中部では湖が干上がっている」という。

人口が合計で1億7400万人を上回る四川省、重慶市、湖北省は、中国東海岸の製造業の拠点に電力を供給している。だが、コンサルティング会社ランタウ・グループのエネルギー市場アナリスト、デビッド・フィッシュマン氏によると、四川の水力発電所は今年、平均発電能力の20%程度で稼働している。同氏は電力需要が最低水準であることに触れ、「河川の流量が落ち込んでいる限り、四川の水力発電はベースロード電源として扱われるだけの能力がない」と語った。

熱波はエアコン使用と電力需要を急増させ、四川省ではピーク時の電力需要が過去最大を記録した。当局は製造業者に対し、2週間以上の生産停止を命じることを余儀なくされた。
操業停止強いられ生産減少

コンサルティング会社トリビアム・チャイナのアナリスト、イーブン・ペイ氏は「企業に対する影響はかなり広範に及ぶ。四川では災いが重なるパーフェクトストームの状況になった。どんなタイプの製造業も問題を抱えている」と話す。

トヨタ自動車や台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業傘下の富士康科技集団(フォックスコン)のようなメーカーは生産を停止した。米電気自動車大手テスラの上海事業や中国国有自動車大手の上海汽車集団では、電力不足によってサプライチェーン(供給網)問題が生じた。国有自動車大手の重慶長安汽車は、計画停電で四川工場の操業停止を強いられ、8月の生産台数が当初目標より10万台減ると発表した。

四川はリチウムとポリシリコンの重要な産地でもある。どちらも電気自動車や太陽光パネルの生産に欠かせない素材だが、両業種は減速する中国経済で成長を回復させる起爆剤として中国政府が期待を寄せている。

電力制限は電池生産に使われるリチウムの生産減少につながる。情報会社の上海メタルズ・マーケットによると、8月の炭酸リチウムの生産量は1250トン、水酸化リチウムの生産量は3050トン減少すると推計されている。

生産減少で経済生産高は縮小したが、極端な気候の下で生活する人には特に大きな負荷がかかっている。当局がオフィスの管理者に対し、節電のためにエアコンの設定温度を上げるよう指示したため、従業員は暑さをしのごうと扇風機の前に氷を置いた。市が照明を落としたため、住民は車内が暗くなった地下鉄に乗った。そして中国政府の「ゼロコロナ」政策を徹底して順守するために、重慶市当局は8月24日、燃え盛る山を背景に市全体のPCR検査を実施した。

「自然災害の前では、なすすべもない」と冒頭のフーさんは嘆いた。

By Primrose Riordan, Gloria Li and Andy Lin

(2022年8月31日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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