人心掌握から武力統一へ 中国の台湾政策の変化

人心掌握から武力統一へ 中国の台湾政策の変化
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27725

『ワシントン・ポスト紙(WP)コラムニストのジョシュ・ロウギンが8月11日のWPに「ペロシの台湾訪問への中国の過剰反応はわれわれに何を教えているのか」との論説を書いている。
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 ペロシ下院議長の訪問後の台湾に対する過剰反応と報復措置は、平和統一ではなく、武力によって台湾をとることに北京が焦点を合わせていることを示している。習近平の戦略は台湾の人心を掌握することから、台湾に恐怖と憎悪を起こさせることに変わった。

 中国の激烈な反応は危険な新しい時代の始まりを示している。中国は米国に対し、軍間の対話をやめ、気候変動と麻薬対策に至る諸問題での2国間協力計画を停止した。

 中国の行動の大部分は台湾の政府、経済、人々に向けられたものであった。中国は初めて台湾の都市を超えてミサイルを撃った。台湾周辺での前例のない軍事演習は封鎖または侵攻の予行演習でありうる。

 経済的には中国は100の台湾商品の輸入を制限した。8月3日、中国当局は中国のビジネスマンを「台湾独立論者」として拘束したが、中国でビジネスをしている台湾の会社への明確な脅しである。

 台湾での中国の過剰反応と、新しい危険な現状を作ろうとする努力は世界にとっての警鐘である。台湾支援を増やし、中国が侵攻は成功しないと考えるようにするための時間はなくなってきているが、そうすることが紛争を避ける最善で多分最後の手段であろう。


 この論説は説得力がある論説である。

 習近平は中華民族の復権を唱え、強国路線を突き進んでおり、台湾政策においても、平和的な両岸間の話し合いを通じた再統一路線は投げ捨ててしまった感がある。』

『鄧小平は香港について「一国二制度」を提唱し、香港の中国返還を成し遂げ、台湾に対しても同様のことを考えていたと思われるが、習近平は香港の「一国二制度」を英中共同声明に反して期限前に壊し、中国の愛国者による統治を実現した。西側民主主義諸国は、香港問題について、中国に対してもっと強硬に対応すべきであったが、そうしなかったので、習近平にとって香港の体制転換は成功体験になっているのではないかと考えられる。
 そして、これが台湾問題についての対応にも反映されている気がする。台湾に対する強硬政策で、台湾独立分子を孤立させることが可能であると考えている怖れがある。
必要となる日本と米国の覚悟

 台湾有事の発生を防ぐ為には、米国も日本も相当覚悟を決めてかかる必要がある。脅威は意図と能力の掛け算で決まるが、こちら側も軍事能力で抑止する必要がある。日本は防衛力を強化する必要があるし、米国も台湾支援を強化すべきであろう。

 ここ2年は中国の台湾侵攻はないとの予想や、2026年、27年までに中国は台湾攻撃の準備はできないとの推定で安心するわけにはいかない。これらの期限はすぐにくる期限である。

 日米が協力して中国に対し抑止力を備えること、そのためには何が必要かを具体的に図上演習もして、はっきりさせていくことが必要ではないか。ロウギンが言うように残された時間は少ない。また、日本としては、中国の考え方に影響を与えるために、台湾をめぐり紛争になることは許容できないことをこれまでも表明してきたが、これからも対中外交の中でさらに強調すべきことであろう。』