「秋雨+ダブル台風」 豪雨リスク、最大級の警戒を

「秋雨+ダブル台風」 豪雨リスク、最大級の警戒を
編集委員・気象予報士 安藤淳
https://www.nikkei.com/article/DGXZQODK282RH0Y2A820C2000000/ 

『■ウェザープラス 日本列島は活発な秋雨前線と台風の影響で、来週初めにかけて大荒れになる可能性が高い。台風11号は日本の南をゆっくり動く見通しだ。勢力はさらに強まり、「スーパー台風」級に発達する恐れがある。加えて台風12号も発生し、「ダブル台風」が前線を活発化させる。西日本や北日本を中心に全国的に大雨が降りやすく、記録的な降水量になるところも出てきそうだ。災害の起きやすい気圧配置の典型と言え、最大級の警戒が必要になる。

夏の太平洋高気圧は日本の東海上で強く、その周囲を時計回りに吹く風によって、日本付近には南から暖かく湿った空気が入りやすい。大陸の秋の空気との間に秋雨前線が発生し、北日本にかかっている。台風11号や12号は南からの空気の流れを強め、前線を刺激する。台風11号は比較的ゆっくりと移動しており、前線は数日間、活発な状態で同じようなところに停滞する可能性がある。

東西の温度コントラストがあるため、前線は緯線に対してやや北に傾いているのが特徴だ。台風が本州から離れていても、前線に近い北日本などには雨雲がかかりやすい。東海や西日本なども湿った空気の影響で大気が不安定となり、雲が急発達する恐れがある。

一方、関東甲信は晴れ間が出るタイミングもありそうだ。曇りや雨の間は気温が低めだが、熱帯の空気が勢いを増すため、いったん日差しが出れば気温が上昇して蒸し暑く、熱中症を起こしやすい天気になる。

台風11号の雲はよくまとまっており、30日夜に中心付近の最大風速が55メートルに達して「猛烈な」台風となった。周辺海域の海面水温は30度以上あり平年より高い。27度以上が台風の発達に適しているとされ、それを大きく上回る。さらに発達し、中心気圧は1日には915ヘクトパスカルまで下がると気象庁は予想する。

米軍の合同台風警報センターも30日時点の予想で、最大風速が135ノット(約70メートル)程度に達すると見込む。風速の単位の違いなどから、そのまま気象庁の数値と比較できないが、最強の「カテゴリー5」もしくはすぐ下の「同4」となり、130ノット以上というスーパー台風の条件に近づきそうだ。

日米両機関とも、31日には南海上に台風12号が発生する可能性があると予想する。12号も強まるのか、発達しないまま弱まるのか、まだはっきりしない。2つの台風が近くにあると、互いに影響を及ぼし合う「藤原の効果」が起きることがあり、動きは複雑化して予想は難しくなる。

台風は上空の偏西風に乗って動くが、現状では偏西風はかなり北を流れているため、11号や12号の動きは遅い見通し。11号は南西に進んだ後、来週初めごろにはゆっくり北上するとみられる。上空の気圧の谷の影響もあって前線はますます活発になり、北日本や西日本を中心に雨量が増えることも考えられる。

その後、進路次第では台風11号本体の雨雲が西日本や東日本にかかるかもしれない。最悪の場合、勢力をあまり弱めないまま上陸することもあり得る。既に土壌中の水分は多くなっている。河川の氾濫や土砂災害が起きやすいので、いつでも避難できるよう準備し、最新の情報に注意する必要がある。

台風が日本の南海上で発達し西寄りに進むと、上昇気流によって上空に達した空気が降りてくる付近で高気圧を強める場合がある。条件がそろえば太平洋高気圧の発達につながる。悪天候が一段落した後、来週後半には高気圧が西日本から東日本にかけて広い範囲を覆い、再び夏空が広がる可能性がある。

気象庁はもともと、今年は秋口でも残暑が厳しくなる公算が大きいと予想していた。熱帯太平洋のラニーニャ現象の影響も考えると、このまま涼しくなり秋を迎えるよりも、暑さがぶり返すとみるのが自然だ。9月とはいえ、まだ暖気の勢いは強い。日射によって気温が上昇し、最高気温が30度以上の真夏日が再び各地で観測されるかもしれない。

▼秋雨前線

秋空をもたらす大陸の比較的冷たい空気と、夏の太平洋高気圧の勢力圏との境目にできる前線。梅雨前線に似ているが、季節の移ろいとともに南下し涼しくなっていく点が異なる。台風シーズンとも重なるため、大量の水蒸気が供給され大雨をもたらすことがある。関東甲信や東海で9月の雨量が最多なのはこのためだ。

安藤淳(あんどう・きよし) 1987年日本経済新聞社入社。科学技術部、産業部を経て98~2002年ワシントン駐在。03~07年パリ支局長。現在、
編集委員兼論説委員。環境・エネルギー、先端医療などを取材。気象予報士609号

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