外貨建て保険で損失 自称アドバイザーにご用心

外貨建て保険で損失 自称アドバイザーにご用心
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB1007K0Q2A710C2000000/

※ 「外貨建て資産」の場合、ここが「盲点」になるんだよね…。

※ あたり前の話しだが、「外貨建て」なわけだから、買う時も売る時も、両方に「為替手数料」がかかる…。

※ そこをしっかり「計算」しておかないと、ヘタな「利益」は、「手数料」で消し飛ぶんだよね…。

※ さらには、「解約時にも」手数料がかかる場合もあるようだ…。

※ FPを名乗っていても、実態は「単なる、保険の代理店」ということが往々にしてあるんで、気をつけよう…。

『高リスクの金融商品や不動産取引を巡るトラブルを避けるために「アドバイザー」をどう活用すればいいのか、NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会副理事長の岩城みずほさんが指南します。

資産形成に向かない商品は仕組み債の他にもあります。会社経営のAさん(52)は、アドバイザーと称する保険の販売員に勧誘され、貯蓄目的で外貨建て保険を複数契約しています。年間保険料は2万1000米ドルにも及び、このところの円安で毎月の支払保険料が増えました。

【これまでの連載】仕組み債のリスク回避、アドバイザーにも責務

米ドル建ての保険は保険料を円で支払い、保険会社の決めた為替レートで米ドルに換算されて運用されます。満期時や解約時は、その時の為替レートによって受取金額が変動します。支払時と受取時、ともに為替手数料がかかります。円安が続けば支払う保険料は割高になり、受取時に円高であれば受取保険金は少なくなります。超低金利の円に比べ、高金利通貨は魅力的に見えるでしょうが、外貨建て保険で積み上げて行った積立金等は、一般的にはいつかは日本円に戻します。その時、加入時よりも円安なら良いですが、円高ならば、払い込んだ円換算の金額を下回り、損失が生じることもあります。

その商品は貯蓄に向くの?

低金利が続く中、生命保険会社が契約者から預かった保険料を運用する際の目安となる標準利率は、2017年4月に1%から0.25%に下がりました。生命保険会社は、契約者から預かった保険料を運用し、将来の保険金の支払いに備えますが、金利が低くなると運用で得られる利益が少なくなるため、契約者に約束している運用利回り(予定利率)が下がり、保険料が高くなります。そのため保険会社は、終身保険や養老保険などの貯蓄性保険の保険料を引き上げたり、販売をやめたりしました。

生命保険会社のアクチュアリーに聞くと、性別や年齢で異なりますが、当時の上げ幅は平均5%程度で、純保険料ベースでの終身死亡保険の保険料は30歳から40歳の間で19%から15%程度の幅で上昇したそうです。このような背景から生命保険会社は、日本より金利が高い状態にある米ドル建て保険の販売に力を入れました。その時セールスを受けて、Aさんは「米ドル建て養老保険」など複数を契約しました。「養老保険」は死亡保障と老後資金の準備を目的とした保険で、死亡したときは「死亡保険金」が、満期まで生存すれば「満期保険金」が支払われます。「貯蓄」と「死亡保障」が組み合わさった商品ですので、両方に費用がかかり保険料は割高になります。

お金を増やすことが目的なら、わざわざ高い費用を払って保険でお金をためる必要はありません。高い費用がかかる貯蓄性保険よりも、確定拠出年金や少額投資非課税制度(NISA)を使って、低コストの投資信託で長期積み立て分散投資をしていく方が合理的です。

Aさんも商品選択の間違いに気が付き、解約返戻金相当額を原資に新しい保険に加入する「払済保険」にすることを考えました。払済保険にすると、以降の保険料の支払いはなくなります。しかし、解約していないにも関わらず「解約控除が発生する」と言われました。結果、解約返戻金額相当額は払い込んだ保険料を大きく下回ります。通常、新契約費用は保険料の払込期間全体にわたって少しずつ回収されますが、保険料が払い込まれなくなった契約から費用回収するための仕組みが解約控除です。解約でも払済保険でも、解約返戻金の計算で解約控除がかかる場合があります。利殖のつもりが減らしてしまったAさん。そもそもなぜこんなことになったのでしょうか。

無料相談の落とし穴

「ライフプランをしっかり立てて必要な資金を作っていきましょう」と言われ、Aさんは、子供にかかる教育費や老後どんな生活をしたいかなどを相談して資金計画を立てた結果、5つの保険商品を勧められて契約しました。相談料は無料でした。

このアドバイザーの目的は保険契約なので、相談は無料でも困りません。本来は、顧客の利益優先で人生のお金の相談に乗り、最善の方法を提示する職業をアドバイザーといい、価値のある相談は無料ではありません。この自称アドバイザーは、ライフプランの相談を「商品を販売するためのツール」として使ったに過ぎません。もっと言えば自分の本職ではない分野を、自分のビジネスに利用しているということです。なぜアドバイザーと名乗るのでしょう。

どんな職業でも、プロであれば、そこに優劣はないはずです。プロの販売員として顧客利益を優先し、利益相反や販売によって受け取るコミッションを正しく伝えて透明性を保ち、自ら最善だと思える商品を提供すればよいのです。しかし、そんな使命感や職業意識を持ったプロが少ないから、多くの人がアドバイザーと名乗るのではないでしょうか。

ファイナンシャルプランナー(以下「FP」)も、同じ意識を持って「フィデューシャリー・デューティー宣言」を行い、「お客様のために」自らの業務を遂行することを公約する必要があるでしょう。残念ですが、FPの中には、顧客に対し不適切な金融商品の販売や仲介をして金融機関からコミッションをもらい、収入の柱にしている人がいます。そのような人は、手数料収入を得ることで顧客へのアドバイスの内容や金融商品等の選択に影響を及ぼす可能性があることを率直に認めるべきですし、少なくとも事前に販売にかかわっていることを顧客に対して明らかにすべきでしょう。

岩城みずほ(いわき・みずほ) NPO法人みんなのお金のアドバイザー協会副理事長、ファイナンシャルプランナー(CFP)。放送局を経てフリーアナウンサーとして14年活動、会社員を経て2009年独立。金融商品の販売によるコミッションを得ず、顧客の利益を最大限に中立の立場でコンサル等を行っている。著書に『「保険でお金を増やす」はリスクがいっぱい』(日本経済新聞出版)など。

このような話をすると、金融商品等の販売に関わるFPの言い分の一つに、ライフプランに沿ったマネープラン設計など、FP本来の仕事である個別相談ビジネスだけでは食べて行けないので、金融商品を売ってコミッションを得ることは「仕方がない」ということがあります。「FPでは食えない」ということは業界でもよく言われています。その原因の一つに、個別相談が日本ではまだ十分に浸透していないということもあるでしょう。加えて、多くの金融機関等では「無料のセミナーやその後の無料個別相談」が行われていることもあり、コンサルティングフィーを支払うという発想を持たない人が多いという現実があります。

しかし、こうしたセミナーや相談の後ろには、主催者が売りたい商品があるのが常です。これらのイベントは顧客本位のサービスではなく、金融機関の形を変えたセールス行為であると認識する必要があるでしょう。

日経ヴェリタス「プロが解説」より。次回は「変額保険」についてです。
日経ヴェリタス https://www.nikkei.com/theme/?dw=20062208 』