トランプ氏、包囲網狭まる 議会占拠事件など3つの疑惑

トランプ氏、包囲網狭まる 議会占拠事件など3つの疑惑
米議会占拠事件、進む調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1922T0Z10C22A8000000/

 ※ 3つの疑惑とは、

 1、議会襲撃を扇動したのではないか

 2、機密公文書を、違法に持ち出したのではないか

 3、トランプ・オーガナイゼイション(トランプ氏のファミリー企業)関連の脱税疑惑

の3つであるようだ。

 ※ 『ルソーは、「戦争とは相手国の主権や社会契約に対する攻撃、つまり憲法に対する攻撃である」と言っています。アメリカの憲法の根幹は何か。日本よりはるかに徹底した三権分立が、その中心でしょう。』…。

 ※ その三権の「さらに、上に立つ」のが、「国民の民意」だ。

 ※ 「国民主権」だから、当然だ。「三権」とは、そもそもが「国民の主権」から分離・派生したものだからな。

 ※ そういう「構造」なんで、「主権者国民」の判断は、「とてつもない威力」を持ち、「恐ろしい権力を振るう」行為でもある…。

 ※ そこが「分かっている人間」が、どれくらいいるのか…。

『2021年1月6日に起きた米連邦議会占拠事件の真相究明が進み、トランプ前大統領が不正に関与した疑惑が深まってきた。米国の民主主義に大きな禍根を残した惨事はトランプ氏の起訴に発展するのか。議会の調査は9月から山場に入る。

6月に始まった米下院の公聴会での関係者の証言をもとに議会占拠事件の前後の出来事を再現すると、以下のような流れが浮かび上がる。

「本当にまずいことになるかもしれない」。21年1月2日、当時のマーク・メドウズ大統領首席補佐官はホワイトハウスで側近のキャシディ・ハチンソン氏に告げた。

20年の大統領選で敗北を認めないトランプ氏は4日後に支持者集会を予定した。民主党のジョー・バイデン氏の次期大統領への就任を最終決定する議会に抗議するためだ。

6日の集会直前、トランプ氏は周辺に怒りをぶつけた。警備員が武装した自身の支持者を会場に入れなかったからだ。「支持者が武器を持っていても構わない。支持者は私を傷つけない。警備員をどかして私の支持者を入れればここから議会に行進できる」。トランプ氏は暴動のリスクを把握しながらも、集会の規模拡大を優先した。

6日、ホワイトハウスに隣接する広場「エリプス」で開いた集会で壇上に立ったトランプ氏は、バイデン氏の勝利を認めず選挙不正を重ねて訴えた。「(議会につながる)ペンシルベニア通りを歩いてこの国を取り戻すのに必要な誇りと大胆さを(連邦議会議員に)与えよう」と呼びかけた。

演説前後からトランプ氏の支持者らが議会周辺に集結し、不穏な空気が広がった。演説を終えて高揚感を漂わせたトランプ氏は、大統領専用車に乗り込みシークレットサービス(大統領警護隊)に議会へ行くよう指示した。議会で支持者と合流する極秘計画だ。

これに対し、シークレットサービスは安全を確保できないとして拒否。トランプ氏は「俺は大統領だぞ、今すぐ議会へ行け」と激高し、車内でつかみ合いになったという。

集会に先立ち、ホワイトハウス法律顧問のパット・シポローネ氏は議会の訪問計画に猛反対していた。「我々は想像できる全ての罪で起訴されるだろう」と、ハチンソン氏に法的リスクを警告。メドウズ氏と話して計画を中止するよう促した。

議会訪問を拒まれたトランプ氏はいったんホワイトハウスに戻る。大統領執務室の近くのダイニングルームでお気に入りのFOXニュースを視聴し、支持者らが議会に襲撃する様子を目の当たりにする。しかし襲撃を止めようとする動きは鈍い。

「ペンスを絞首刑にせよ」。議会に襲撃したトランプ氏の支持者の一部がバイデン氏の大統領選出の議会手続きを仕切る副大統領のペンス氏に怒りをぶつけ始める。だがメドウズ氏はさほど懸念を示さず、周辺に「ペンス氏には絞首刑がふさわしいとトランプ氏は思っている」と語った。

トランプ氏はペンス氏に大統領選の結果を覆すよう促したが、ペンス氏は従おうとしなかった。

ホワイトハウスでは直ちに暴徒を非難し、襲撃を食い止めるべきだと意見が強まっていく。大統領報道官ケイリー・マクナニー氏らがまとめたツイートの草案に対し、トランプ氏は「平和」という言葉を使いたくないと突っぱねた。

最終的に「(デモは)平和であり続けてほしい」との文言でまとまったが、襲撃に対する非難はなく、沈静化には力不足なメッセージとなった。

トランプ氏が支持者に議会からの退散を呼びかけたのは、事件発生を把握してからおよそ3時間たった後だった。この間、州兵の動員に向けて米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長らに電話をかけることはなかった。

代わりに、選挙不正をともに訴えるルディ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長と電話で少なくとも2回話した。

議会占拠事件の真相を調べる下院特別委員会は、支持者の暴動を扇動した疑いと、議会手続きを妨害した疑いでトランプ氏を追及している。

連邦法には「暴動の計画や推進、奨励、参加、実行」を禁じると解釈される条項がある。特別委員会は議会襲撃の参加者とトランプ氏周辺のつながりを詳しく調べている。事前に襲撃計画を話し合っていたかどうかも焦点だ。

トランプ氏の側近は大統領選に負けたと同氏に繰り返し説明していたが、トランプ氏は聞く耳を持たずに選挙不正を主張し続けた。事件当日の議会訪問に固執したのは支持者を鼓舞して手続きの妨害を狙った可能性があり、トランプ氏の意図の証明がカギを握る。

特別委員会は9月に公聴会を再開し、11月の中間選挙前に報告書をまとめる見込みだ。特別委に起訴の権限はないが、共和党のリズ・チェイニー副委員長はトランプ氏を起訴するよう司法省に働きかけるべきだと訴えており、水面下で調整を進めている。

議会の調査と並行して司法省も捜査に本腰を入れる。複数の米メディアによると、シポローネ氏やペンス氏の側近らを聴取している。ガーランド司法長官は7月末、「合法的な政権の権限移行を妨げる犯罪行為に関わった人物に対しては、誰であれ責任を問うつもりだ」と断言し、トランプ氏の起訴を排除していない。

議会が攻撃を受けるのは、米英戦争のさなかの1814年に英軍が火を放って以来だ。およそ200年ぶりの襲撃事件の結末は、米国の民主主義の行方も占う。 

トランプ氏、有罪でも大統領選出馬は可能との見方
米国の法曹界ではトランプ前大統領が起訴されたり、有罪判決を受けたりしても2024年の大統領選への出馬は可能だとの見方が目立つ。
合衆国憲法は大統領の要件について①米国生まれ②35歳以上③米国に14年以上居住――と規定する。起訴や有罪は出馬を制約すると明記していない。
1920年の大統領選では戦争反対を訴えて有罪判決を受けたユージン・デブス氏が出馬して刑務所から選挙活動をした。米メディアによると、100万票近くを集めて大きな注目を浴びた。
複雑なのはトランプ氏が意図的かつ違法に公文書を処分したり隠したりすることを禁じる連邦法に違反するケースだ。この場合は有罪になると公職に就けなくなり、大統領職も例外ではないとの見方がある。トランプ氏の邸宅を家宅捜索した米連邦捜査局(FBI)の捜査ではトランプ氏が機密文書を隠蔽した疑いが浮上している。
一方でカリフォルニア大のリック・ハセン教授はブログで、合衆国憲法のみが出馬の要件を定めていると指摘。連邦法は出馬の制約にならないと主張している。公文書の不適切な扱いを理由に起訴される場合は出馬をめぐり法廷闘争になる可能性がある。
トランプ氏の周辺からは起訴を避けるために早期に出馬すべきだとの意見があるとされる。大統領選の候補者になれば司法省が政治介入を懸念し、起訴のハードルが上がるとの読みがある。
ワシントン=坂口幸裕、中村亮が担当しました。

【関連記事】米司法省、トランプ氏邸捜索根拠を開示 184の機密確認

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

これだけスキャンダルとトラブルを抱えながら、自らを犠牲者としてアピールし、国家権力を敵対的な存在とし、その国家権力を取り返すために大統領選挙に出るという戦略を持つトランプ。FBIが家宅捜索に入ることが、普通の感覚なら政治生命の終わりとなるはずだが、トランプにかかればFBIの捜索を受けることで、大統領選で勝つ確率を高められるという話になる。もっともこれまでなんとか官憲の手を逃れて生き残ってきたトランプだが、さすがに機密文書を持ち出したことは逃げようがない話のようにも思う。
2022年8月27日 9:43
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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

ルソーは、「戦争とは相手国の主権や社会契約に対する攻撃、つまり憲法に対する攻撃である」と言っています。アメリカの憲法の根幹は何か。日本よりはるかに徹底した三権分立が、その中心でしょう。
自分が負けた選挙結果が不正だと思った時に大統領が取るべき唯一の手段は、議会への攻撃ではなく憲法に従った裁判でした。
仮に報道がすべて事実であるならば、それを公然と破ろうとした前大統領が仕掛けたことは憲法じたいへの攻撃であり、つまりは内戦とさえ見えます。法律顧問はそれが分かっているから、「我々は全ての罪で起訴される」という最大限の反対をしたのでしょう。
さて、「民主主義国」アメリカは何を選ぶか。帰趨に注目です。
2022年8月27日 8:58 (2022年8月27日 9:10更新)』