「FOMCまで相場荒れる」 パウエル氏講演、市場の見方

「FOMCまで相場荒れる」 パウエル氏講演、市場の見方
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN26DYP0W2A820C2000000/

『26日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比1008ドル(3%)安の3万2283ドルで終えた。下げ幅としては今年3番目の大きさだ。相場急落のきっかけはパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の発言だ。経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で講演し、インフレ抑制策を「やり遂げるまで続ける」と述べた。米国の市場関係者に相場波乱の理由や今後の見通しについて聞いた。

(聞き手はニューヨーク=佐藤璃子)

利下げ転換期待は後退、FOMCまで荒れる展開に

米ミラー・タバックのマーケットストラテジスト、マシュー・マリー氏

市場の一部にはFRBが2022年末から年明けにかけて、利上げから利下げに軸足を移すとの見方があった。ジャクソンホール会議におけるパウエル氏の発言はこうした観測を一蹴するものだった。インフレを抑制するためには何でもすると決意を語った。FRBは利上げペースを落とすかもしれないが、利下げに転じることはしばらくないだろう。

株価の先行きを見通すうえでは金利動向が重要になる。長期金利の指標である10年債利回りは3%付近で推移している。消費者物価指数(CPI)など来週以降に公表される経済指標を受けて、足元の水準からもう一段上昇するようであれば、株式相場を押し下げる要因となる。低格付け債(ハイイールド債)は株式相場の先行指標として優れており、注視すべきだろう。

9月と10月は季節的に株価が下落しやすい。9月20~21日に開かれる次回の米連邦公開市場委員会(FOMC)までは株式相場は荒れた展開になるだろう。S&P500種株価指数には下落余地がある。

エネルギー高騰や量的引き締め加速にも警戒感

米ジョーンズトレーディングのマーケットストラテジスト、マイケル・オルーク氏

パウエル氏は物価の安定を取り戻すために、しばらく引き締め的な政策スタンスをとり、金利を高めに維持し続ける必要があると発言した。FRBが2023年に金融緩和に転じるとの期待を否定する形となり、一部の投資家の失望を招いた。

懸念材料は多い。ロシアから欧州に天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム1」が来週半ばにも停止する見通しだ。市場関係者はエネルギー価格に上昇圧力がかかり、インフレがもう一段進むと警戒している。

FRBは9月から始まる量的引き締め(QT)加速で、米国債などの保有を減らすペースをこれまでの2倍に引き上げる。投資家はその影響を見極めなければならない。2日には8月の雇用統計の公表も控えている。

投資家は現段階でリスクをとろうとしないだろう。パウエル氏のきょうの発言から、しばらく金融緩和の見込みがなくなったからだ。引き締めの影響で米景気がさらに減速し、企業業績が悪化するといったシナリオにも対応しなければならない。株価は年内いっぱいは下がり続けると見ている。

パウエル氏の発言、景気急減速の懸念高める

米ブライトン証券の会長、ジョージ・コンボイ氏

パウエル氏は講演で大幅な政策金利の引き上げを続けると示唆した。株価急落はパウエル氏の方針に市場が懸念を表明した形だ。長期にわたって低金利環境が続いた後に金利が急上昇すると、米国景気を急減速させる可能性がある。

すでに米国の住宅市場は大きな打撃を受けている。住宅需要の落ち込みは、耐久消費財の購入など家計支出を減らすことにもつながる。今後、自動車販売にも影響が出てくるだろう。

今後は重要統計の公表が続く。9月13日に公表の8月の消費者物価指数(CPI)はいつも以上に注視する必要がある。物価の上昇が確認されれば、FRBが9月下旬のFOMCで大幅な利上げを決めるのを後押しする。2日公表の8月の雇用統計は失業率に注目だ。横ばいまたは低下となれば、大幅利上げを続けるサインとなる。』