核拡散防止条約(NPT)再検討会議 核保有国の利害調整で議論紛糾

核拡散防止条約(NPT)再検討会議  核保有国の利害調整で議論紛糾 草案は骨抜きされ後退 – 孤帆の遠影碧空に尽き
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/446a533190336a78ab437394d2804661

 ※ 北朝鮮は、「1993年3月にNPT脱退を宣言」しているんだよね…。

 ※ そういう話し、踏まえた上で論じているんだろうか…。

 ※ まあ、真剣に日本国の安全保障問題を、考えているとは思えんな…。

『【核兵器の全廃へ向けた核兵器禁止条約の第1回締約国会議に日本はオブザーバーとしても不参加】
核兵器を「非人道兵器」として、その開発、保有、使用あるいは使用の威嚇を含むあらゆる活動を例外なく禁止し、将来的な核兵器の全廃へ向けた初の国際条約である核兵器禁止条約は1996年4月に起草され、2017年7月に国連総会で賛成多数にて採択され、2020年10月に発効に必要な50か国の批准に達したため、2021年1月22日に発効しました。

ただし、核保有国や日本など“核の傘”を安全保障の基本としている国は参加していません。

現在、核兵器を制限する国際的枠組みとしては核不拡散条約(NPT)がありますが、NPT で約束された核軍縮が進まない状況に対する不満が核兵器禁止条約成立を後押ししました。

核兵器禁止条約の第1回締約国会議は6月に開催されました。

****「核なき世界」実現急務と宣言 核兵器禁止条約の締約国会議****
核を非人道兵器として史上初めて違法化した核兵器禁止条約の第1回締約国会議は23日、最終日の議論を行った。高まる核の危機に警鐘を鳴らし、「核なき世界」の実現が急務と呼びかける「ウィーン宣言」と「行動計画」を採択して閉幕した。

宣言は「核兵器使用の脅しに危機感を強めている」と指摘、「核兵器の使用や核による脅しは国際法違反だ」と強調。核が二度と使われないことを保証する唯一の手段は廃絶だと訴えた。

核の非人道性を長年訴えてきた被爆者にも言及し「貢献を称賛する」とたたえ、今後も協力していくとした。【6月24日 共同】
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唯一の被爆国であり、また、核保有国と非保有国の間の“橋渡し役”を自任している日本ですが、上記の核兵器禁止条約の第1回締約国会議にオブザーバーとしても出席しませんでした。

岸田首相は、核兵器禁止条約に参加しない理由として、核兵器保有国が参加していないとし、「現実を変えるためには、核兵器国の協力が必要だ」と強調しています。また、外務省幹部は「いま核軍縮の機運はない。むしろ抑止を強めようというのが国際的な世論だ」とも。

日本と同様の立場にあるドイツは、条約には参加しないものの、会議にはオブザーバー参加しています。

****ドイツ「核禁止条約加盟できない」 締約国会議にオブザーバー参加****
核兵器禁止条約の締約国会議で22日、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国であるドイツなどが演説を行い、条約に加盟はできないとした一方、核軍縮に向けて努力する姿勢を示した。

会議にオブザーバー参加しているドイツの政府代表は、「NATOは核同盟であり、核兵器禁止条約には加盟できない」としたうえで、「核の使用を示唆しているロシアと対峙(たいじ)し続ける」と強調した。

一方で、核軍縮は重要だとの認識も示し、核保有国も参加する核拡散防止条約再検討会議で議論する必要があるとした。

また、同じくNATO加盟国であるノルウェーも、「核保有国と非保有国が議論することが重要」としている。(後略)
【6月23日 FNNプライムオンライン】
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【日本やNATO諸国が主戦場とするNPT再検討会議開催】
日本やNATO諸国は、核保有国も参加する核拡散防止条約(NPT)を現実的枠組みとして重視する立場ですが、核兵器禁止条約の行動計画ではNPTを「補完」するとして、NPTとの共存を目指す方針を表明しています。

****核禁条約、廃絶へ行動計画=NPTと共存、被害者救済も―核抑止否定・締約国会議****
ウィーンで開かれていた核兵器禁止条約第1回締約国会議は23日、核廃絶への決意を確認する政治宣言と、具体策を盛り込んだ「ウィーン行動計画」を採択し、閉幕した。

行動計画では、核軍縮枠組みの柱である核拡散防止条約(NPT)を「補完」するとして、共存を目指す方針を表明。核保有国が非加盟の現状を打破するための批准国増加への努力や、核兵器や核実験の被害者救済も盛り込んだ。

活動家や被爆者の意見を取り入れて成立した同条約は、理念先行で具体策に欠けるなどの批判があった。行動計画を策定したことで、実効性確保に向け一歩を踏み出した。会議の議長を務めたオーストリア外務省のクメント軍縮局長は「歴史的」と評価した。

8月には、ニューヨークでNPT再検討会議が開かれる。核禁条約の締約国が、どのような行動を取るかに注目が集まりそうだ。

核禁条約は他の枠組みとの関係で、特に米英仏中ロに核保有を許すNPTとの整合性が疑問視されてきた。行動計画は両条約は補完関係だと明言。両条約間での協力分野を検討した上で、橋渡しを担う「ファシリテーター」の任命や、NPT体制下で核査察を担う国際原子力機関(IAEA)との協力などを通し、関係を深めていくことを掲げた。

被害者救済では、国際的な信託基金の設立を検討すると表明。非加盟国の批准を促すため、核廃絶・軍縮にかかわる国連総会決議への賛同国を増やす努力をすることもうたった。【6月24日 時事】 
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現在、上記のように核兵器禁止条約が「補完」「共存」するとしている核拡散防止条約(NPT)再検討会議がニューヨークで開催されています。

核拡散防止条約とは、核兵器非保有国には核兵器の保有を禁じる一方で、保有国にはその縮小を義務付けるものです。

****核抑止力か核軍縮か…NPT再検討会議もまもなく閉幕を迎える中、核兵器を取り巻く世界の現状と課題とは****
(中略)
■まもなくNPT再検討会議が閉幕…何が話し合われているのか
現在、アメリカ・ニューヨークでNPT=核拡散防止条約の再検討会議が開かれていますが、まもなく閉幕を迎えます。ロシアによるウクライナ侵攻で核の脅威が高まり、「核による抑止力が必要だ」との声もあがる一方、「核軍縮をもっと進めるべきだ」との危機感も高く、核兵器のあり方に関心が高まる中での開催となりました。

今回の会議では、締約国が一致して核不拡散や核軍縮を目指すことができるのか、そして最終文書を採択することができるのかが、注目されています。

■そもそもNPT再検討会議とは
NPT=核拡散防止条約とは1970年に発効され、核兵器を持つ国を増やさないことを目的としています。条約ができた当時に核兵器を持っていたアメリカ、ソ連、イギリス、フランス、中国の5か国を核保有国として認め、その代わりに3つの柱が設けられました。
1.「核軍縮」への取り組みの義務づけ
2.核を持たない国に核兵器の製造や取得を禁止する「核不拡散」
3.そして原子力発電など「原子力の平和利用」を認めるというものです。

現在は191の国と地域が締約しています。締約国は5年に1度、会議を開き、核軍縮や核不拡散に向けどんな取り組みをしてきたかを振り返り、今後の方針を議論してきました。今回の会議は新型コロナによる延期を重ねたため、7年ぶり10回目の開催となりました。

■岸田総理大臣が日本の総理として初めてNPT再検討会議に
岸田総理は英語で演説し、核兵器廃絶に向けた日本の行動計画として「ヒロシマ・アクション・プラン」を打ち出しました。ただ、去年発効した核兵器禁止条約への言及はひと言もなく、唯一の被爆国として日本が核軍縮をリードするという姿勢も見られなかったとして被爆者などからは失望の声も聞かれました。(中略)

■世界にある“核兵器”の数
各国が保有する核兵器の数は通常“核弾頭”の数でカウントされていて、ストックホルム国際平和研究所によると、今年1月現在、世界で合計12705発の核弾頭があると推定されています。アメリカとロシアだけで9割以上保有していることになります。

その一方で、核弾頭の数の推移は冷戦終結ごろを境に減少に転じています。
NPTなどの核軍縮の取り組みが功を奏している面もある一方で、今年は去年より核弾頭が395個減りましたが、これらは、古くなったものが解体されただけと言われています。

また、NPT締約国であるイギリスは去年、保有する核弾頭の数の上限を引き上げることを決め、今後は保有数も公表しないと明言しました。さらに、NPTを締約していない北朝鮮など、核兵器の保有が疑われている国の実態は全くわかっていません。

ストックホルム国際平和研究所は「冷戦後、減少していた世界の核弾頭の数が今後、増加に転じるかもしれない」と警鐘を鳴らしています。

■進まない核軍縮…いったいなぜ?
NPT再検討会議にも参加している一橋大学の秋山信将教授は、「大国間の信頼関係が欠如していることが大きな要因だ」と指摘しています。

自分の国が核兵器を減らしたら相手も減らしてくれるという信頼関係がないと、核軍縮は進みませんが、いま核大国のロシアは核の使用をちらつかせていて、アメリカなど核保有国との間に信頼関係を築くのは難しい状況ですよね。

■まもなくNPT再検討会議閉幕…今回こそ最終文書はまとまるのか
秋山教授によると、やはり悲観的な見方が増えているそうなんです。ただ、秋山教授は「たとえ最終文書を採択できなかったとしても、核兵器保有国と非保有国が集まり、共通認識を醸成する場としてのNPTの価値を再認識すること、枠組みを維持していくこと自体も重要な意味がある」と強調しています。

核軍縮をめぐる世界情勢は厳しさを増していますが、どんなに地道でも議論を放棄することなく、目標を掲げ行動し続ける、あきらめない粘り強さが大切です。【8月26日 日テレNEWS】
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【核保有国の利害調整で紛糾する議論】
会議では対立が目立ちますが、今回特に議論になったのはウクライナのザポリージャ原子力発電所の問題。
ウクライナのゼレンスキー大統領は8月25日、ロシアが掌握するウクライナ南部のザポリージャ原子力発電所について、ロシアの攻撃にさらされており、ウクライナ側の危機回避対応によって世界は辛うじて原子力事故を回避したという認識を示しています。

****NPT再検討会議 ウクライナ情勢めぐり対立のまま最終日へ****
世界の核軍縮の方向性を協議するNPT=核拡散防止条約の再検討会議は、会期の最終日を迎えましたが、ウクライナ情勢をめぐる各国の対立が続いています。

議長がまとめた「最終文書」の草案は、ロシア軍が掌握するザポリージャ原子力発電所について、ウクライナ当局が管理する重要性を指摘していますが、ロシアは強く反発しており、最終的に合意できるのか予断を許さない情勢です。

4週間にわたってニューヨークの国連本部で開かれてきたNPTの再検討会議は25日、スラウビネン議長が全会一致での合意を目指す「最終文書」の草案を改めて示しました。(中略)

NPT再検討会議は、前回7年前に最終文書を採択できず、今回も合意できなければ世界の核軍縮がさらに停滞するのは避けられないだけに、交渉の行方が注目されます。

ザポリージャ原発めぐり「最終文書」表現修正も
NPTの再検討会議では、ロシア軍が掌握するヨーロッパ最大規模のザポリージャ原子力発電所について、「最終文書」にどのような文言を盛り込むかをめぐり各国の対立が続いています。

ヨーロッパ各国などからは、原発の安全に強い懸念を示しロシアを非難する声が相次ぎ、このうちウクライナの代表は「現在起きているロシアの侵略による深刻な挑戦と脅威、原発を違法に掌握し攻撃し続けていることも草案に反映させるべきだ」と述べていました。

こうした意見を受けて草案は一度は表現が強められ、今月21日の草案では、原発周辺でのロシアによる軍事活動に重大な懸念を示し、ロシアの管理からウクライナ当局の管理下に戻すよう求めました。

しかしロシアは、こうした表現について猛烈に反発。「断じて受け入れられない」と主張してきました。
「この文書で推進しようとしているのは一部の国の意見だけロシアにとって受け入れがたいものだ」。

その結果、修正草案では、ロシアを名指しする下りは削除され、「ウクライナ当局による管理の重要性を確認する」という表現に弱められました。

しかし、外交筋によりますと、この修正草案に対してもロシアはなお反発しているうえ、ウクライナやヨーロッパの一部の国は表現が弱められたことに逆に不満を示していて、会期が残り一日となっても対立が続いています。

「核の先制不使用」の文言は
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻で核の脅威が高まる中、核兵器が使用されるリスクを減らす措置の一つとして、核保有国が核攻撃への反撃を除いて核兵器を使わない「核の先制不使用」の方針が「最終文書」に盛り込まれるかどうかが注目されていました。

国連のグテーレス事務総長もさまざまな機会で「先制不使用」について言及してきました。

再検討会議が終盤を迎えた今月22日には、国連安全保障理事会の会合で「核保有国は『核の先制不使用』を約束しなければならない。核の非保有国に対して、核兵器の使用や威嚇をしないと保証し、核の透明性を確保しなければならない」と訴えました。

再検討会議の議長が示した当初の草案には、核保有国に対して「先制不使用」の政策をとるよう求める内容が盛り込まれました。これに対して、核保有国などが核抑止力が弱まることに懸念を表明したということです。

その結果、修正草案では、「核の先制不使用」の文言は削除されました。

一方、核兵器の非保有国からは、核兵器が使用されるリスクを減らす措置とともに、NPTが本来目指してきた核軍縮への取り組みが不十分だという指摘もあがっています。

先週の段階でオーストリアの代表は「核軍縮の進展が急務であるにもかかわらず、草案には明確な危機感も示されず、具体的な約束もスケジュールも目標も定められていない」と、強い不満を示しています。(後略)【8月26日 NHK】
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一方、中国が核兵器用核分裂性物質(FM)生産のモラトリアム(一時停止)を求める項目に反対して削除されるなど、核保有国の新たな制約を受けたくないとの姿勢によって草案は後退を続け、議論は紛糾しています。

****NPT最終文書再改訂案 中国反発で大きく後退****
国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は25日夜、最終文書の再改訂案を加盟国に配布した。濃縮ウランやプルトニウムなど核兵器用核分裂性物質(FM)生産のモラトリアム(一時停止)を求める項目を削除し、大きく後退した。軍縮筋によると、中国が同日の非公開会合で強く反発したという。

中国は、NPTが定める核保有5カ国の中で唯一、FM生産の一時停止を宣言していない。当初案は、表明済みの米英仏露に一時停止の維持、未表明の中国に宣言を求める内容だった。採択されれば、中国の大幅な核戦力の増強とそれに伴う世界の核兵器数の増加を抑える効果が期待された。

軍縮筋によると、再改訂案には、中国やロシアを中心に不満が解消されていない項目が残っている。
25日の非公開会合で、中国は、オーストラリアの原子力潜水艦導入に「懸念の表明」をすべきだと主張したという。しかし、再改訂案には反映されなかった。

また、ロシアは、ウクライナの核放棄と引き換えに同国の安全をロシアと米英が保障した1994年の「ブダペスト覚書」に言及した項目に不満を示したという。ロシアが約束を反故(ほご)にしてウクライナを侵略したことを念頭に置いた項目で、再改訂案は表現を維持、ロシアの不満は反映しなかった。ウクライナは名指しでのロシア非難を求めたという。

ロシアとフランスは、昨年1月発効した核兵器禁止条約について一切言及しないよう要求した。再改訂案は条約の発効時期など事実経過を記す表現を維持している。【8月26日 産経】
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まあ、交渉というものはそういうものなのでしょうが、核保有国は既得権益を一歩も譲ろうとせず、新たな制約を拒否し、自分に都合のいいものを押し込もうとしている・・・そんな印象。

****「このパズルは解けるのか」 交渉紛糾のNPT再検討会議、カギは中露****
核拡散防止条約(NPT)再検討会議は26日、最終日を迎える。ロシアのウクライナ侵攻をめぐる対立や中国の強硬姿勢、核軍縮をめぐる核保有国と非核保有国の溝は解消されず、交渉は紛糾している。

25日夜には最終文書案が再び改定されたが、核軍縮を中心に内容が乏しくなった。全会一致での採択を目指して交渉が続くが、成否の結論は26日夜(日本時間27日朝)の土壇場までもつれ込むとの見方が出ている。

「どの国も破談だけは避けたいと思っているが、このパズルが解けるのか分からない」。アフリカの外交官は25日、そう語った。前回2015年の再検討会議は「中東非核地帯構想」をめぐる対立で最終文書を採択できなかった。2回連続で決裂すれば、世界の核軍縮や核不拡散などの礎であるNPT体制は大きく揺らぐ。

だが、妥協を探るあまり、最終文書案からは「野心的な要素がどんどんなくなっている」(軍縮外交筋)。(後略)【8月26日 毎日】
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日本が現実的核軍縮枠組みとするNPTが核保有国の利害調整で実質的に中身が無くなり、機能が麻痺している状態が明らかになるとすれば、改めて核保有国に核廃絶を求める核兵器禁止条約の意義を考慮する必要性が出てきます。』