[FT]スイス、国民投票へ 高額な米戦闘機の導入可否巡り

[FT]スイス、国民投票へ 高額な米戦闘機の導入可否巡り
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 ※ スイスの人口は、863.7万 (2020年)だ(※ 横浜市が、377万人くらい)。

 ※ わりと、「小国」(※ ヨーロッパでの人口ランキング23位)なんで、「直接民主制」的な制度が、発達している(憲法が、そうなっている)んだろう…。

『スイスの活動家が米国から最新鋭戦闘機F35Aを36機調達する政府の計画を阻止しようと、国民投票の実施に持ち込んだ。スイス軍の近代化計画に混乱が生じるほか、米政府との間の論争に発展する可能性がある。

スイスがF35A戦闘機の購入を決めたことは、スイスが軍事的中立を外交政策の信条としていることから、論争に発展した=ロイター

スイスは2021年6月、米ロッキード・マーチン製のF35A購入契約を締結する15カ国目となったが、これが論争の的になった。同国には特に、軍事的な中立を外交方針の中心に据えているという事情がある。

スイスの戦闘機調達をめぐっては、米ボーイングのスーパーホーネット、仏ダッソーのラファール、欧州エアバスのユーロファイター・タイフーンも激しく競合したが、スイスは最終的にF35Aを総額61億ドル(約8400億円)で調達することに決めた。同国では20年の国民投票で空軍の近代化が承認されたが、賛成票は50.1%と過半数をかろうじて上回ったにすぎない。調達する機種は国民投票で問われたわけではなく、選定は国防省に委ねられていた。

スイスの連邦事務総局は22日夜、F35Aの選定をめぐって2回目の国民投票の実施を求める署名を10万件以上確認したと発表した。

権力の分散を重視するスイス憲法制度の下では、政府は国民投票の実施日を設定し投票結果に従わなくてはならない。

スイス政府は23年3月までにロッキードとの契約を締結しなければならず、微妙な立場に追い込まれる。

これまでのところ、政府は、調達を進める意向を示している。

「これでは国民投票を悪用しているとは言えなくとも、誤解している」。自由民主党・リベラルのティエリー・バーカート党首はこう言う。同党はロッキードとの契約を支持している。

今後は、連邦会議(内閣に相当)と議会が国民投票の実施日を最終決定することになる。3月の契約締結期限までに国民投票を実施するには、契約条件について9月の次期議会会期中の合意形成が必要になる。しかし、議会で過半数を占める契約支持派は早期の国民投票実施を阻止する可能性がある。

反対派は社会民主党と緑の党、軍隊なきスイスを目指す会(GSoA)からなり、F35Aのランニングコストは競合機を大幅に上回ると主張している。

「米国の防衛産業に惑わされた」

彼らはF35Aがスイスの必要要件を超える「ぜいたくな戦闘機」であり、政府は米国の防衛産業に惑わされたと批判している。

世論調査機関は国民投票が実施されたとしても、結果は拮抗するとみる。ウクライナで戦争が続いているとはいえ、スイス政府はこれまでのところF35Aが必要な理由を有権者に明確に説明しきれていない。

連邦会議自体、契約支持の姿勢が盤石とはいえない。スイス国防省は技術的評価の結果、コストと性能面でF35Aを強力に支持したものの、閣僚の中には、21年6月の同機選定に至るまでに外交や財務面も含め幅広い判断材料を加味すべきだったとの意見もある。

22年7月にスイス公共放送(SRF)にリークされた文書では、フランス政府がダッソーの戦闘機ラファールの調達をスイス政府に強く働きかけていたことが明らかになった。スイスがF35Aの選定を撤回すれば、数十億規模の税金還付や将来の欧州連合(EU)との交渉でフランスが後ろ盾となることも約束されていたという。

By Sam Jones

(2022年8月23日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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