ザポロジエ原発、電力網から遮断 火災の影響か

ザポロジエ原発、電力網から遮断 火災の影響か
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『【イスタンブール=木寺もも子】ロシアが占拠するウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所が25日、ウクライナ国内の電力網から切り離された。運営するウクライナ国営エネルゴアトムがSNS(交流サイト)上で明らかにした。詳しい原因は不明だが、火災の影響としている。

エネルゴアトムなどによると、隣接する火力発電所で起きた火災が原因となり、発電ユニットの電力系統が2度にわたって途切れた。この結果、ザポロジエ原発が国内の電力網から切り離され、非常システムが働いたという。その後すぐに代替のディーゼル発電機が電力供給を再開した。

エネルゴアトムは火災の詳細な原因には触れていないが、「侵略者の行為」が引き起こしたことだとしてロシア側を非難した。ほかの3本の電力系統はこれまでのロシアの砲撃で損傷したとしている。

ゼレンスキー大統領はビデオ演説で、ディーゼル発電機など安全システムが正常に機能しなかった場合、放射線漏れが起きていたと指摘した。そのうえで「ロシアはウクライナや欧州を放射線災害すれすれのところに追い込んだ」と訴えた。

欧州最大級の原発であるザポロジエ原発はロシアが占拠した後も、エネルゴアトムのウクライナ人職員による運転が続いている。今月に入って砲撃が相次ぎ、原子力災害への懸念が強まっていた。ロシアとウクライナは互いに砲撃は相手方の仕業だと主張している。

国際原子力機関(IAEA)は現場の状況を確認するため、専門家の派遣に向けて調整を進めている。ロイター通信によると、ウクライナのハルシチェンコ・エネルギー相は25日、派遣は9月上旬までの「近日中」に実現するとの見通しを示した。

ロシアもIAEAの専門家受け入れには前向きな姿勢を示している。一方、ウクライナや国連が求めている原発の非武装地帯化は拒否した。

米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は25日、「ロシアは原発周辺の非武装化を受け入れるべきだ」と発言した。

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分析・考察

原発の軍事目標化。恐ろしい悪夢ですが、もうそのパンドラの箱は開いたと考えるべきでしょう。

軍事・テロのリスクに加えて、特に日本では大きい地震・津波のリスク、人的ミスのリスク。これら全てが原発のコストですが、その最大の問題は、今回のように、コストの大きさを事前予測できないことです。これに対して、再生エネルギーや省エネルギーは、(ある程度は)コストを予測できます。

リスク管理の世界では、予測不能かつ取りかえしのつかないコストは忌避するのが基本ですが、さて原子力リスクの恐ろしさを一番知っているはずの日本は、どんな選択をするのでしょう。ニュースを見ながら、そんなことを考えました。
2022年8月26日 7:50』