中国、インフラ債最大10兆円増発 年後半の景気底上げ

中国、インフラ債最大10兆円増発 年後半の景気底上げ
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『【北京=川手伊織】中国は2022年後半の景気を底上げするため、地方政府のインフラ債を最大5000億元(約10兆円)超上積みする。投資効果や債務の返済能力を考慮し、沿岸部など経済規模が大きい地域を主な対象として想定する。中国経済は新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で民需の不振が続いており、公共工事への依存が鮮明となりそうだ。

国務院(政府)が24日開いた常務会議で増発の方針を決めたと、中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。

中国は3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で「専項債」と呼ぶインフラ債の新規発行枠を3兆6500億元と決めた。このうち、中小銀行に注入する公的資金に転用する2000億元を除く3兆4500億元は7月末までにほぼ発行を終えた。

発行が年前半に集中したのは、今春に上海市のロックダウン(都市封鎖)などで景気が悪化したためだ。雇用が減少し民需の回復がもたついている。習近平(シー・ジンピン)指導部は、地方政府によるインフラ投資の拡大を経済立て直しの柱に据えた。

早期発行の効果で、1~7月のインフラ投資は前年同期比7.4%増えた。各年1~7月で比べると、増加率は17年同時期以来5年ぶりの大きさとなった。

追加発行は、財政の景気下支え効果が22年後半に落ちないようにするためだ。

インフラ債はその年の新規発行枠のほか、発行残高の上限額も決める。22年の上限は21兆8185億元と定めた。これに対して、すでに発行した残高は6月末時点で20兆2645億元だった。

銀行の公的資金に充てる未発行分も考慮すると、発行残高が上限に達するまで1兆2000億元ほどの「余力」がある。国務院は24日の会議でこの余力を勘案し、最大5000億元超の追加発行を認めた。

増発分は、沿岸部など経済規模が大きい省や直轄市に重点的に配分することになりそうだ。これらの都市はもともと残高の上限が高く、発行余地が大きい。収益を見込みやすい投資案件も少なくない。

債務返済リスクの低さも重点配分の一因だ。インフラ債は特別会計に相当する「政府性基金」で管理する。この基金の主な収入は地方政府が土地の使用権を不動産開発企業に売って稼ぐ土地収入だが、住宅市場の低迷で1~7月の土地収入は前年同期より32%減った。

地方経済の疲弊が目立つ地域でインフラ債を過剰に発行すると、地方財政の破綻リスクまで高めかねない。一方で、沿岸部などのインフラ開発がさらに進めば、地域間の成長率格差が広がる可能性も否定できない。

インフラ投資の拡充は成長率を底上げする要因になるが、工事受注などの恩恵は地方政府に近い国有企業などに偏りかねない。1~7月の固定資産投資を主体別にみると、国有企業は前年同期比9.6%増えたが、民間企業は同2.7%増にとどまった。

新型コロナが初めて中国経済に打撃を与えた20年もインフラ債の発行を前年の1.7倍に増やして景気をテコ入れした。国有企業の投資は前年比5.3%伸びたが、民間投資は同1.0%増にとどまった。インフラ債の追加発行で官依存が強まると、国有企業への優遇が目立ち民間企業の苦境が長引く「国進民退」が進む恐れもある。

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