ソロモン諸島にふたたび「反中暴動」の兆し

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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和四年(2022)8月25日(木曜日)
       通巻第7439号  
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 ソロモン諸島にふたたび「反中暴動」の兆し
  ソガバレ親中政権のチャイナ利権に民衆は退陣要求
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 ソロモン諸島にまた剣呑な空気が漂ってきた。
住民の中国への反感、その利権と繋がる政権の腐敗は、モルディブで、スリランカで、大統領を退陣に追い込んだ。
ソロモンでは2021年11月にソガバレ首相の退陣をもとめたデモが暴動に発展し、チャイナタウンが放火され、三人が犠牲となった。

 治安回復のため豪が緊急部隊を派遣した。
直後から米国が異常な関心を示し、22年四月にカート・キャンベル(元国務次官補、バイデン政権で印度太平洋調整官)を急派、また豪も代表団を送り込んで経済開発に協力を約束した。米国はハリス副大統領をオンライン会議に登壇させて、「ソロモンの首都に米国大使館を復活する」と発言させた。

この一連の米豪の動き、中国の南太平洋攪乱外交に対抗策を講ずるための政治工作に急傾斜していた。
米国と豪にとってソロモン諸島のツラギ島が深刻な問題である。
この港湾、空港は戦争中に日本が建設し、後日、米軍が大規模に拡充した。付近の海域では大東亜戦争で激戦となって多くの軍艦、浅薄が沈んだままとなっている。そのツバル島の土地をソガバレ政権は中国企業に77年の租借権を与えた。
こうした一連のソガバレ政権は南太平洋海域における安全保障にとって深刻な脅威になり得る。

ところが、鉄面皮の中国は反中暴動に関してソガバレに抗議し、治安維持のため警察の装備品や警官を訓練する部隊を送り込んだ。米豪の神経を逆撫でした。

 ▲ソロモン諸島随所にファーウェイの中継基地局を設置へ

8月22日には、中国輸出入銀行があらたに6600万ドルのローンを供与するとした。これはソロモン諸島全域をつなぐ携帯電話網構築のため、華為技術(ファーウェイ)が161ヶ所に中継基地を建設する費用だ。
何のことはない、ソロモンの通信網をファーウェイが独占するための融資ではないか。契約内容は20年のローンで、半分の80基地は2023年の太平洋協議会開催に間に合わせるというもの。

 五月にクアッド会議が東京で開催され、バイデン米大統領も来日した。同じ日に王毅外相は南太平洋諸国8ヶ国の歴訪に出かけた。重点としたのが、このソロモン群島とパプアニューギニア、そしてフィジーだった。王毅はフィジーでサモアなど、訪問できない遠方の島嶼国首脳ともオンライン会議を開き、前向きの経済開発発展への寄与を述べた。中国の南太平洋への援助額は当該の島嶼国家群すべてのGDPを凌駕するほどの規模である。
 米豪の裏庭である南太平洋へ中国の取り組みは2006年に温家宝首相訪問から開始され、2018年のAPECはパブアニューギニアで開催された。南太平洋でパプアニューギニアは唯一のAPEC加盟国。またASEANのオブザーバーである。
APECには習近平が訪問することとなり、国際会議場は中国が「友好」のために建設し、寄付した。

 日本とは大東亜戦争の戦略上の要衝だった関係から特別の関係があり、安倍首相も現職時代の2014年と2018年APEC会議で訪問している。
 山本五十六元帥搭乗の飛行機が撃墜されたのはラバウルに近いブーゲンビル。椰子の実が主食の現地人は、いまやスマホを持っている。精霊信仰が強く、草むらの一部には零戦の残骸がいまも残っている。

 筆者もパプアニューギニアを取材する機会があった。中国の鳴り物入りで寄付した国際会議場は中国語で書かれており、また習近平が宿泊した豪華ホテルの入り口には中華門がそのまま残っていた。
ホテル側に聞くと「APEC会議中、全館を中国に貸し切った。このため中華門建設を会議終了後撤去という条件で認めたが、そのまま。何回言っても知らん顔で、「これじゃ中国資本のホテルと誤解される」と不満を口にした。

 習近平パプアニューギニア訪問に前後して、ソロモンの台湾との断交がなされ、いまでは南太平洋14ケ国のうち、台湾と外交関係があるのはパラオ、ナウル、ツバル、マーシャル群島の四ヶ国となった。

しかし中国利権にからんで政権が腐敗するのはスリランカ、ネパール、パキスタン、カンボジア、ラオス、モルディブほかで、おなじみである。やがてソロモンでも民衆の怒りを買って暴動に発展するだろう。

 ▲熱波、干ばつ、山火事、電力供給中断、各地で悲鳴

 中国は熱波、摂氏45度。干ばつ、山火事。上海につづき四川省でも電力供給が中断した。
何しろ長江が干上がり、四川省は電力の八割が水力発電だから、悲鳴。工場がとまっている。テスラも日本の自動車工場も操業停止だ。

とくに重慶には台湾のパソコン工場が集中し、本多やいすゞの組み立て工場もある。重慶は計画停電の無期延期を発表している。

こうした状況を適格にとらえて、中国経済の先行きがくらいと予測するのは誰あろう、華為技術(ファーウェイの創始者)である。

 ファーウェイ創業者の任正非は「内部メモ」で経済予測に厳しい見通しを述べ、「世界が景気後退に向かっているため会社の存続に集中し、希望的観測を放棄するように」としたメモを内輪のスタッフに回覧していたが、これがリークされ、中国のSNSで拡散している。
    □☆□☆み□☆☆□や☆□☆□ざ☆□☆□き☆□☆□  』

タイ首相の職務一時停止 任期問題で憲法裁が命令

タイ首相の職務一時停止 任期問題で憲法裁が命令
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS247070U2A820C2000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ 軍事クーデターで政権取っても、任期が到来するのか…。

 ※ 確かに、法理的には、その間も「憲法規定」が生き続けていれば、「首相の任期は、8年。」であり続けるわけだ…。

 ※ おとなしく、退陣するのか…。それとも、何らかの延命策を画策するものなのか…。

 ※ いずれにせよ、注目だ…。

『【バンコク=村松洋兵】タイの憲法裁判所は24日、プラユット首相の任期問題に関して法的な結論が出るまで首相の職務一時停止を命じると発表した。プラユット氏は2014年に軍事クーデターを主導して暫定首相に任命されてから24日で8年を超え、野党が「首相の在任期間を最大8年と定める憲法に違反している」と主張していた。

【関連記事】

・タイ野党系、退陣求めデモ「プラユット首相は任期満了」
・大麻解禁のタイ、生産登録100万人 観光客使用に懸念も

タイは22年のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の議長国で、11月にバンコクで首脳会議の開催を予定する。23年3月に下院の任期満了を控えており、憲法の規定では同年5月までに次期総選挙が実施される見込みだった。プラユット氏の職務停止により政情が混乱する可能性がある。

プラユット氏の首相任期には複数の解釈があり、政権側は24日以降も任期が継続するとの見解だった。野党は任期満了時期の判断を仰ぐ請願書を憲法裁に提出し、結論が出るまで職務停止を求めていた。憲法裁は24日に請願書を受理し、審理を始めることを決めた。職務停止について裁判官9人中5人が賛成した。

政府の報道担当者は「プラユット氏は憲法裁判所の決定を尊重する。兼務する国防相の職務は継続する」と述べた。

プラユット氏は国軍の事実上のトップである陸軍司令官だった14年5月に軍事クーデターを実行し、タクシン元首相派のインラック政権を倒した。同年8月24日に当時のプミポン国王から暫定首相に任命された。19年3月に実施した民政復帰に向けた総選挙後に、親軍政党を中心とする連立与党の支持を受け同年6月に正式な首相となった。

軍事政権下の17年に制定した現行憲法は首相の在任期間を「最長で通算8年」と規定する。暫定首相に任命された14年8月24日から起算すると今月23日が任期切れだった。政権側は任期の起点を「17年の憲法制定時」、もしくは「19年の首相正式就任時」とし、少なくとも下院任期満了の23年3月まで首相の任期が続くとの立場だった。

関係者によると憲法裁は1~2カ月で判断を示す見通しだ。それまでの間はプラウィット副首相が首相の職務を代行する。プラウィット氏も元陸軍司令官で、プラユット氏の元上官に当たる。

憲法裁判所がプラユット氏の任期が切れたと判断した場合、同氏は即時に失職し内閣は総辞職となる。後継首相は19年の下院総選挙で各党が首相候補者に登録した人物の中から上下両院の投票によって選ばれる。約20党からなる連立与党では、第2党「タイの誇り党」のアヌティン党首(副首相兼保健相)が候補となる。

ニューズレター https://www.nikkei.com/edit/topic/briefing_newsletter.png 』

ロシア極右思想家の娘殺害、ウクライナ攻撃強化の圧力

ロシア極右思想家の娘殺害、ウクライナ攻撃強化の圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB248MZ0U2A820C2000000/

『モスクワ郊外で20日、走行中の乗用車が爆発、炎上した。運転していた政治評論家、ダリア・ドゥーギナ氏が死亡した。

警察は運転席の下に仕掛けられた爆弾が爆発したとみている。標的はダリア氏ではなく、父で極右思想家のアレクサンドル・ドゥーギン氏だった可能性が高い。ドゥーギン氏はロシアのウクライナ侵攻を思想面で支える人物だ。

モスクワでの暗殺は珍しい。例外は反体制派だ。2015年には、クレムリン(ロシア大統領府)のすぐ近くで反体制派指導者ボリス・ネムツォフ氏が射殺された。ところが、ダリア氏と同氏の父は政権寄りのエスタブリッシュメント(支配層)としては筋金入りで、ウクライナ侵攻を全面支持していた。ロシアのプーチン大統領は22日、ダリア氏を「純粋なロシア人の心を持つ有能な人物だった」とたたえた。

ロシア連邦保安庁は「ウクライナの犯行」

多くのモスクワ市民にとって、ダリア氏の死は6カ月前に始まったウクライナ侵攻の影響が間近に迫る不穏な兆しとなった。世間の注目を集めたほかの殺人事件と同じく、ダリア氏の死についてもすぐに、つじつまの合わない陰謀説が浮上した。ウクライナ側は関与を否定し、この親子を狙う動機が同国政府にあると考える人はまずいない。だが、ロシア連邦保安庁(FSB)は事件の2日後、容疑者を公表した。ダリア氏と同じアパートに部屋を借り、事件後は隣国エストニアに出国したウクライナ籍の女の犯行だと特定した。FSBは「ウクライナの情報機関が準備し、実行した」と主張した。

西側のコメンテーターは、FSBの捜査があまりに迅速だといぶかった。

FSBの発表前、ロシアの野党指導者で19年にはウクライナに亡命したイリヤ・ポノマリョフ氏は、ロシアの反体制派地下組織「国民共和党軍」が出したとする犯行声明を示した。だが、西側当局者の一人は声明を「ポノマリョフ氏の想像の産物」だと決めつけた。

ドゥーギン氏自身が、なにかと陰謀説を唱えて名前を売った人物だ。1990年代以降にロシアの極右の寵児(ちょうじ)となった。極右思想の造詣が深い。当時のエリツィン政権が民主化を進められず、社会に失望が広がっていた際、海外の極右思想を翻訳して紹介した。ドゥーギン氏と一時、共に活動していた反体制派の著名人、エドワルド・リモノフ氏はドゥーギン氏を、(ロシア語の表記に使う)キリル文字の原型を発明した9世紀の聖人「聖キリルと聖メドティウスのファシズム版だ」と評した。

ドゥーギン氏は90年代、ロシアの軍部と関わるようになった。モスクワの陸軍士官学校で教壇に立ち、上級将校に欧州の地政学理論を説き、「地政学の基礎」を執筆した。これは90年代に最も大きな影響力を持った書籍の一つだ。この本は、陸軍士官学校の教科書になったこともある。この本のなかで、西側を分断し、欧州からアジアにまたがる「ユーラシア」という概念で(ロシアの前身の)ソ連を再構築する構想を示した。英作家ジョージ・オーウェルのディストピア小説「1984年」に着想を得たような考え方だった。

ロシアの右派に詳しい米フーバー研究所のジョン・ダンロップ氏は「共産主義体制が崩壊した後のロシアで、軍、警察、国家主義の外交エリートにこれほど大きな影響を与えた本はほかにない」と指摘した。

「プーチンの頭脳」と呼ばれるが、一定の距離

プーチン氏が政権を握ると、ドゥーギン氏は05年の極右勢力のデモ「ロシア人の行進」、自身が設立した民族主義グループ「ユーラシア青年連合」をはじめ、政権公認の政治活動に取り組むようになった。ドゥーギン氏はプーチン氏との直接の関係を否定するが、プーチン氏に近い人物の多くと連携した。こうしたプーチン氏の取り巻きたちはドゥーギン氏の名を口にし、同氏の主張を引用する。ドゥーギン氏には活動資金を提供する。ドゥーギン氏を「プーチンの頭脳」と呼ぶ専門家もいる。

ドゥーギン氏は常に、プーチン氏とは一定の距離を保ってきた。西側との緊張が緩んでいた時期には公の場にほとんど姿を見せなかったが、プーチン政権が西側を威嚇するようになると、脚光を浴びるようになった。

ドゥーギン氏の神秘的なオーラは、活動範囲がヨガからファシズムまで幅広いモスクワの非公式な社会の主要人物であるという事実によって一段と強まる。その思想はロシアによる14年のウクライナ領クリミア半島の一方的な併合宣言、22年のウクライナ侵攻を後押しした。

例えば、20年に刊行されたジャーナリスト、キャサリン・ベルトン氏の著書「プーチンの仲間たち」によると、ウクライナ東部で同国から独立したと主張する親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」はクリミア併合宣言の前、ドゥーギン氏のユーラシア青年同盟と同じビルに入居する政党として産声を上げた。

ドゥーギン氏はロシアだけでなく、ウクライナでも知られている。ウクライナのアレストビッチ大統領府長官顧問は「ドゥーギン氏を熟知している」と認めた。同氏は4月、自分がドゥーギン氏に近いモスクワの極右勢力とつながりを持っていたと屈託なく認め、物議を醸した。アレストビッチ氏はラトビアに拠点を置くロシアの独立系メディア「メドゥーサ」に対し、ウクライナの情報機関のために活動していたと打ち明けた。ドゥーギン氏の集会には「モスクワで300人ほどが集う」と話した。

アレストビッチ氏は「この手法は現代のロシア政権に浸透している。ドゥーギン氏は自分の論理と世界観を植え付けることに成功した。私は(ドゥーギン氏の集会に)参加しなかったが、(同氏に)近かったことで、ウクライナの役に立てた」と語った。

ドゥーギン氏の娘の死にロシアの極右勢力が反発し、プーチン政権にはウクライナへの攻撃を強めるよう求めるはずだ。爆発前にドゥーギン氏とダリア氏が参加していたイベントを主催した保守派の人気作家、ザハール・プリレーピン氏は、犯行が「完全にウクライナ側の手口だ」との見方を示した。

ドゥーギン氏も22日、事件に初めて触れ、「ウクライナのナチス政権によるテロ行為だ」と言明した。娘は「勝利に命をささげた」と述べた。

ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は事件にウクライナが関与しているとの観測を否定した。「ウクライナは無関係だ。ロシアのような犯罪国家でなく、テロ国家でもない」と反発した。

ロシアの独立系新聞「ノーバヤ・ガゼータ」のコラムニスト、ユリア・ラチニナ氏は、ダリア氏の殺害が(旧ソ連の指導者)スターリン式の粛清を正当化する材料に使われると見通した。1934年、当時のソ連で政治家のセルゲイ・キーロフ氏が暗殺された事件をきっかけに、30年代後半に政治テロが広がった例をあげた。

ラチニナ氏は「ドゥーギン氏の娘の殺害は無意味でない。キーロフ氏の暗殺と同様に、報復テロの波を引き起こすだろう」と指摘した。「(ダリア氏の)殺害の背景として、あまりに多くの可能性があるので臆測は控える」と、慎重だった。

(チャールズ・クローバー)』

日中正常化50年、中国共産党の本質を見誤った瞬間

日中正常化50年、中国共産党の本質を見誤った瞬間
「分水嶺」としての1989年天安門事件

城山英巳 (北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院 教授)
https://wedge.ismedia.jp/articles/-/27700

『日中両国は9月29日に国交正常化50周年を迎える。8月2~3日、ペロシ米下院議長の台湾訪問に激怒した習近平国家主席は弾道ミサイルを次々発射し、うち5発を日本の排他的経済水域(EEZ)内に着弾させ、対日威嚇を強めた。

中国の学生や若者が民主化へ動き、弾圧された1989年の天安門事件。日本はこの時に中国共産党を見誤ったと言える(AP/アフロ)

 日中高官は8月17日、天津で7時間にわたり協議したが、緊張はなお続く。友好と対立が交錯した50年間の日中関係の「分水嶺」はどこかと尋ねられれば、共産党が存亡の危機に瀕した1989年の天安門事件での日本政府の対中政策だろう。日本政府はあの時、一党独裁体制の維持のためには人民の流血も厭わない共産党の本質を見誤ったのではないか。

「民主化」に進むか「強権国家」のままか

 筆者は、秘密指定を解除された日本の外交文書と、当時の外交官の証言を基に7月に『天安門ファイル―極秘記録から読み解く日本外交の「失敗」』(中央公論新社)を上梓した。序章にこう記した。

 「天安門事件前夜は、中国が最も民主主義に近づいた瞬間だった。それが6月3~4日の武力行使によって崩れた。6月4日以降、外交官たちは次のことで悩み、中国共産党の本質をつかもうとしたに違いない。

 中国は改革開放が進めば、民主化や自由化に進むのか、あるいは、もともと市民に銃口を向け、実際に発砲することもためらわない強権国家なのか――。

 贖罪意識を強く持ち、『友好』と『協力』を主流とした戦後日本の対中外交にとって『分水嶺』であった」

「日本にとって望ましい中国像」描き対中外交

 血なまぐさい権力闘争が中国全土を大混乱に陥れた文化大革命(1966~76年)が毛沢東死去とともに終結してまだ13年。失脚から復活した鄧小平が78年にスタートさせた改革開放政策はインフレや腐敗などの副作用を生み、大学生らは政治改革も進めないと国は変わらないと憂国意識を強めた。当時の中国の経済規模は、日本の8分の1程度で、「弱い中国」だった。

 過去の戦争への贖罪意識を抱える日本政府は、戦後賠償の意味もあり、79年に対中政府開発援助(ODA)を開始した。当時日本の対中外交を仕切ったチャイナスクール外交官は、天安門事件という流血の人権弾圧があっても、対中ODAを通じて改革開放は進み、自分たちにとって「望ましい中国」がつくられるだろうと堅く信じた。

 天安門事件直後の89年6月12日の外交文書には「我が国にとって望ましい中国像」とは「あくまで、安定し、穏健な政策により近代化を進める中国」と明記された。日本が改革開放に関わる中で、ゆっくりと安定した形で民主化や自由化に進む中国の姿を描き、それが「国益」につながると判断した。』

『外交官が見た「エネルギー」、民主化を期待

 上記のような天安門事件後の中国認識は、あくまで霞が関の外務官僚が描いたものだ。しかし現場の在北京日本大使館の若手外交官はそう考えなかった。大規模デモを展開する学生や市民のエネルギーを連日目の当たりにして、日本政府としても学生らの民主化運動に無関心であるべきではないと認識した。

 民主化の叫びが最高潮に達した89年5月に話を戻そう。

 5月15日、ソ連でペレストロイカ(政治体制改革)とグラスノスチ(情報公開)を進めるゴルバチョフ共産党書記長が歴史的な中ソ関係正常化実現のため北京入りした。中国共産党の変革を求める広場の学生たちは興奮し、17日についに、天安門広場やその周辺は人で埋め尽くされ、百万人デモに発展した。

 日本大使館の若手外交官は、たまたま訪中した日本の要人に同行し、ゴルバチョフもいた人民大会堂を訪れた。人民大会堂を出た瞬間、目の前の天安門広場を埋めた学生の期待の眼、刺すような視線を感じた。「ゴルバチョフ訪中で、情勢が好転していくんじゃないかという期待がみなぎっている輝いた視線だった」と回顧した。

 日本大使館は「百万人デモ」を観察し、東京に公電を送った。

 「今回の動きを通じ、党指導部の権威が大きくゆらいだことは疑いなく、無数の学生・市民が何らの規制を受けず、天安門広場を占拠し、『民主と自由』をさけぶことができることを実感したことの意義は大きく、党・政府指導部としては、今後、長期にわたり、こうした解き放たれつつあるエネルギーがこの国の体制の自由化、民主化、政治体制改革へ向けて強い圧力となって働くのをコントロールするのに腐心していくことになろう」(中島駐中大使発外相宛公電「中国内政(5・17デモ:当館観測)」89年5月18日)
民主化運動は「中国内政問題」、共産党を最優先

 しかし東京の外務省では、あくまで日中関係をつくるパートナーは共産党・政府であり、その関係を最優先する対中方針が一貫していた。日本大使館は、「百万人デモ」5日後の5月22日、外務省中国課から「中国の学生デモ」と題した文書を受け取った。同文書には「日中関係への影響」としてこう記されていた。

 「本邦プレスの報道振り(学生に同情的)もあり、李鵬現指導部の今後の対応振りいかんでは、日中友好協力関係をプレイ・アップ〔大きく扱う〕したり、円借款等の経済協力を積極的に推進することに対する批判も出て来ることがあり得る。ただし、我が方としては、本件はあくまで中国の内政問題との立場から、はねかえりはないことを期待との対応とする」

 中国課では、学生に同情した趙紫陽共産党総書記の失脚が確定的となり、李鵬総理が中心となった中国政府との間で日中友好を継続、強化していく方針だった。中国学生らの民主化運動は「あくまで中国の内政問題」であり、静観することで、日本への「はね返り」が来ないことを期待するというのが基本的スタンスであった。これが摩擦を抱えながら大崩れしなかった1980年代の日中関係の現実であった。
対中政府協力で日本は「嫌悪」対象になる

 人民解放軍の戦車が、天安門広場の武力制圧作戦に向け、本格的に前進を始めたのは6月3日夜。その21時間前の3日午前0時すぎ、北京の日本大使館から東京の外務省に「当館分析ペーパーの送付」と題した文書がフックス送信された。「ペーパー」の中身は、大使館政治部が5月31日に作成した「学生運動と趙紫陽の失脚」という「秘」指定の中国分析報告だった。

 全9ページの文書のうち、筆者が注目したのは、中国で起こっている民主化のうねりという激動に対して日本政府がどう向き合うか提言している箇所である。

 「わが国としては、あるいは国民の一部には反感さえ存在することが明らかになった政府を相手とすることになるかもしれないという意味で、戦後の日中関係上ほとんど経験したことのない局面を迎えたということができよう。極論すれば、現〔中国〕政府への支持・協力表明が一部〔中国〕国民からは反感をもって迎えられるという要素も十分考慮に入れつつ進める必要が出てきつつあると言えよう。少なくとも、今回の百万人デモで現れてきた民主化の流れは、今後の中国の将来への流れと見ることもできるわけであり、そうした人々の考え方や受け止め方にはわが国としても十分注意を払っていくべきであろう」』

『日本の外交官が天安門広場で見たものは、鄧小平や李鵬ら共産党最高指導者を打倒しようとしている「民」の声であった。共産党・政府を相手にし、対中ODAなどを通じて共産党を支援し続ければ、日本政府あるいは日本も、中国の民から「嫌悪」の対象になりかねないと危惧した。

 もしかしたら中国は「共産党の中国」でなくなるかもしれない。民主化は「今後の中国の将来への流れ」ではないかと感じ、中国民間との関係を構築して対中外交を展開する必要があると提言したのだ。


メモに記載された「流血」直後の日本大使館内

 人民解放軍は6月3日深夜から4日未明、学生を守るため天安門広場手前で激しく抵抗する市民に無差別発砲し、民主化運動はもろくも崩れた。

 日本大使館政治部。防衛駐在官(武官)・笠原直樹のもとに「北京飯店」の拠点から、「天安門広場は落ち着いた模様」と連絡が入ったのは4日午前6時5分。大使館は、民主化運動観察の前線として、天安門広場に近いホテル「北京飯店」に一室を確保し、館員が連日詰めていた。

 笠原はメモに、日本大使館内の状況をこう記録している。

 「外はすっかり明るくなっていた。誰も一睡もせず、あるものは情報を送り続け、あるものは電話をとり、あるものは電報を書き続けた。解放軍は、戦車まで動員した武力を使用して、学生の民主化運動を鎮圧した。長いあいだ日中友好のために頑張ってきた外務省中国関係者たち、いわゆるチャイナサービスといわれる人達のショックは大きい」。館員たちは皆、ガックリし、こう口にした。

 「市民に銃を向けるような、こんな中央はダメだ。いつかは倒れるよ」

 「情けない。予想もしていなかった」
「農民の国」に民主化は無理と分析

 一方、外務省中国課は、天安門事件5日後の6月9日、重病説や死亡説すら出ていた鄧小平が公の場に登場したことで、混乱した事態が一応収束に向かうだろうと評価した。同時に中国の民主化問題についてこう分析した。

 「政治問題にほとんど関心がない8億の農民が政治的安定と経済的繁栄のみを追及する保守的な基盤として存在し続ける限り、中国の民主化実現は容易ではない」(中国課「中国情勢[鄧小平の登場]」89年6月10日)

 中国課は6月26日に作成した「極秘・無期限」指定の外交文書「中国情勢」でもこう記した。

 「将来の可能性はともかく、当分の間、中国における民主化要求の力を過大評価することは誤り。農民を中心に中国人の大多数は政治的自由に無関心」

 中国課は、中国は「農民の国」であり、民主化は無理だと片づけてしまった。

 天安門事件直後に外務省の作成した外交文書にはこう明記されている。

 「民主・人権より長期的・大局的見地の重視」

 「温かい目で中国側の状況を見守っていく」(「我が国の今後の対中政策[今回の事態を踏まえて]」89年6月22日、「中国情勢―日米外相会談大臣発言要領―」日付不明)。

 日本政府は天安門事件後も中国共産党・政府だけを相手にした関係を構築し、共産党を孤立させず、国際社会に中国を巻き込む「関与政策」を目指した。』

『外交官個人の「感情論」と組織の「外交論」

 筆者は拙著『天安門ファイル』の「あとがき」でこう記した。

 「天安門事件は、リアルタイムかつ目に見える形で、中国共産党体制の強権的かつ閉鎖的な本質が表れた瞬間であり、日本政府や日本人にとって中国の民主化の限界を考える初めての機会だったはずである」。日本政府はその分水嶺を見誤ったのではないだろうか。

 結局、現場にいた外交官個人の「感情論」は、国家としての方針を決める組織の「外交論」にどう影響を与えたのか――。

 学生の民主化運動の行方を追い、武力弾圧を目の当たりにして涙した当時日本大使館政治部一等書記官の佐藤重和は筆者のインタビューにこう答えた。

 「憤りはあったけど、われわれの感情的なもの、シンパシー的なものと、外交は別という意識はあった。ただ天安門事件の後に日本は真っ先に関係改善もしたわけですから、その気持ちの上ではわれわれはいろいろと割り切れないものが山ほどあった」。  

 外交官が現場で目撃した「中国共産党の本質」は封印されてしまった。

(『天安門ファイル』の一部を抜粋し、加筆・修正のうえで再構成、敬称略・肩書は当時)
 『Wedge』2022年9月号で「「節目」を迎える2022年の中国 日本の対中戦略、再考を」を特集しております。https://note.com/wedge_op/m/m1784643c180b 

 日中国交正常化50年、香港返還25年と、2022年は、中国にとって多くの「節目」が並ぶ。習近平国家主席が中国共産党のトップである総書記に就任してからも10年。秋には異例の3期目入りを狙う。「節目」の今こそ、日本人は「過去」から学び、「現実」を見て、ポスト習近平をも見据え短期・中期・長期の視点から対中戦略を再考すべきだ。。

 特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。
 https://note.com/wedge_op/m/m1784643c180b 』

反米世論統制に中国苦慮 ぺロシ氏訪台でネット検閲強化

反米世論統制に中国苦慮 ぺロシ氏訪台でネット検閲強化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM108RN0Q2A810C2000000/

『台湾への軍事圧力を強める中国が、ペロシ米下院議長らの訪台で高まる反米世論の制御に苦慮している。大規模な「反米デモ」の発生で対米関係が緊張することも、不満の矛先が指導部に向かうことも、秋の共産党大会で3期目を目指す習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)には許容できないためだ。

米の超党派議員団が台北で、蔡英文(ツァイ・インウェン)台湾総統と会談した15日、北京市中心部の朝陽区にある米国大使館周辺には、通行人を上回るほど多数の警官の姿があった。

「どこに行く? 身分証をみせろ」。厳重な警備はペロシ氏が訪台した2日前後から続いている。尖閣諸島の国有化をきっかけに起きた2012年の「反日デモ」では数千人が日本大使館前に集まり、生卵やペットボトルを投げつけた。

同様の暴徒化を許せば、対米関係や国際世論の一段の悪化は避けられない。対外的な強硬姿勢を崩さない中国だが、米国との衝突リスクは細心の注意を払って避けようとしている。

実際、大規模軍事演習はペロシ氏が台湾を離れた後の4日に始めた。弾道ミサイルこそ発射したが、習氏の決裁が必要とされる米空母を標的にする「DF21」や米領グアムを射程に入れる「DF26」は封印した。軍事関係筋によると、2隻の空母も台湾周辺には近づかなかった。

不測の事態を避けるため、特に目を光らせるのがインターネット空間の動向だ。

ペロシ氏の訪台前に中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」では連日、同氏の話題がトップランキングを独占していた。ところが訪台直前の8月1日には上位50以内から突然姿を消した。

米政府系自由アジア放送(RFA)は「反ペロシと台湾に警告すべきだとの世論が過熱し国内がコントロール不能に陥る」事態を中国当局が懸念したとの分析を伝えた。

異変は著名な愛国主義的コメンテーターで知られる環球時報の胡錫進前編集長のツイッターでも起きた。

7月29日、胡氏は「台湾に入るペロシ氏の搭乗機を米軍戦闘機がエスコートすれば、それは侵略だ。警告射撃や妨害の効果がなければ、撃ち落とせ」と英語で勇ましくツイートしたが、すぐに削除した。

胡氏は「規定違反だと警告された」と釈明したが、中国を巡る情報発信はすべて共産党宣伝部が指導している。当局が「待った」をかけた可能性が高い。

ネット書き込みなどを監視する要員向けに8月2日に出した緊急通知にも、世論の過激化を避けようとの腐心がにじむ。

「能力を隠して内に力をたくわえ、人民の福祉のために経済建設を進めようとしている」

当局はペロシ氏訪台当日、大規模演習などの対抗措置を見合わせる事態に備え、これを正当化するための穏当な宣伝方針を指示していたのだ。

「強国は必ず強軍でなくてはならない」。習指導部が進めてきた愛国教育で小学生向けの政治思想の教科書に明記された一文だ。

歴史教科書では日本や欧米列強の侵略・支配が強調され、改革開放後の高度経済成長に日本を含む国際社会が協力・支援した記述は乏しい。

中国は経済規模で米国の7割強まで迫ったが、一部のエリートに富が集中し、人口の4割強に当たる約6億人が月収1000元(約2万円)以下で暮らすとされる。

足元では、厳格な新型コロナウイルス封じ込め政策で景気が減速する。都市部の若者は5人に1人が失業状態にあり、不満をため込んでいる。

異例の3期目続投を目指す習氏は、対外的な緊張「管理」と国内の政治環境安定の両立を必要としている。自らがまいたナショナリズムの火種が燃え上がる事態は避けなればならない。

習指導部は多大なコストと人員を投じて、ネット検閲を強化し続けている。

(北京=羽田野主)

【関連記事】

・ペロシ米下院議長、台湾蔡総統と会談 「民主主義守る」
・米台貿易枠組み、秋に交渉開始へ 中国にらみ連携強化
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多様な観点からニュースを考える

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川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
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ひとこと解説

中国で反共産党、反政府、親米的な言論が取り締まりの対象となることはいうまでもないが、同時に極端に愛国的、排外的な言論も時に取り締まりの対象となる。昨今、保守、愛国的なインフルエンサーの発言が「管理」対象となっていると言われている。これは秋の党大会を控えて国内の言論環境を落ち着かせたいということだけでなく、経済が深刻な状況に陥る中で、依然として先進国との関係が重要であり、目下欧州や日本との関係改善が進められようとしていることとも関わっているだろう。自由な言論を認めていない中国では、言論が加熱して社会が動揺したり、対外関係が過度に悪化すれば、それも中国共産党の「管理」責任になってしまうのである。
2022年8月25日 7:09
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渡部恒雄
笹川平和財団 上席研究員
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分析・考察

ペロシ下院議長訪台の際には、中国のネット上では、「軍事演習だけでは生ぬるいペロシの乗る飛行機を撃墜しろ」というような過激な投稿があり、当局はすぐに削除したようですが、中国のナショナリズムはかなり過熱しています。そもそもナショナリズムを煽ってきたのも中国共産党であり、「両刃の剣」になっているのが現状です。この状況が、ペロシ訪台において中国政府は、経済への悪影響も懸念して米国との関係悪化を望まなかったにも関わらず、大規模な軍事演習という措置を取らざるを得なかった背景の一つだと思います。現在、中国政府は「両刃の剣」が自分に向かわないように、タイミングをみて「管理」に乗り出しているのでしょう。
2022年8月25日 8:47 (2022年8月25日 11:13更新)
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

人々にとって、情報を消費する行為は食事するようなこと。偏食すると、不健康になる。政府にとって都合の悪い情報が検閲されてしまうと、一時的に政府にとって都合の良い状況が創り出されるが、しかし、長期的に情報について不健康な人民たちは予期せぬ行動を取る可能性がある。その社会はますます不安定化しがちである
2022年8月25日 8:40 』

脳はほどほどのお酒でも老化する 英の追跡調査で判明

脳はほどほどのお酒でも老化する 英の追跡調査で判明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC056L20V00C22A8000000/

 ※ オレは、退院して以来、一切酒類は止めた…。

 ※ 一滴も飲んでは、いない…。

 ※ まだまだ、役割振られていて、死んでるわけにもいかないからな…。

 ※ 死んでるどころか、「再発」喰らって、「使いものにならなくなる」わけにもいかんのよ…。

 ※ しかーしだ…。

 ※ 「降圧剤」処方されて、血圧管理している…。

 ※ 血圧下がるのは、けっこうだ…。

 ※ しかーしだ…。そうすると、今度は「頭がボーっとして」、そっちのお蔭で「使い物にならなく」なるのよ…。

 ※ ヤレヤレだ…。

 ※ 酒なんか飲まなくても、脳の老化は、確実に進行しているものと思われる…。

 ※ なんとか頑張って、「使いものにならなくなる」時期を、先に延ばさないと…。

 ※ まあ、それも、限界のある話しではあるんだが…。

『どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、「健康」にまつわる研究について、注目の最新結果を紹介します。

今回紹介するのは、お酒好きには気になる「ほどほどの飲酒でも脳は老化する」という報告だ。

ほどほどの飲酒でも、アルコールは脳に悪影響を及ぼすことが、世界最大規模の遺伝情報や健康情報のデータベースである英国の「UKバイオバンク」の「前向きコホート研究」[注1]のデータを用いてわかった。

[注1]最初に健康な集団の生活習慣を調べて、その後、疾病の発生状況を追跡する研究。
ほどほどの飲酒でも、アルコールは脳に悪影響を及ぼす(写真はイメージ=PIXTA)

大量のアルコール摂取は、脳の萎縮や神経細胞の減少と関連することが知られているが、軽度から中程度のアルコール摂取がどのくらい影響するかはわかっていなかった。

研究では健康な中高年者3万6678人(女性が52.8%、48~78歳)の脳の画像データを使って、アルコール摂取と脳組織との関連性を調べた。アルコール摂取量は、ビール1パイント(568ミリリットル)が2単位、ウイスキーなどの蒸留酒25ミリリットルは1単位、ワイン1杯(175ミリリットル)は2単位と定義された。

解析の結果、参加者の1日あたりのアルコール摂取量は平均で1.16単位だった。脳の画像データから、神経細胞(ニューロン)の細胞体が集まる「灰白質」の体積は脳全体で平均616立方センチ、神経線維が集まる「白質」の体積は547立方センチだった。

年齢別に見ると、灰白質と白質の体積(頭の大きさで調整)は男女とも加齢とともに減少していた。また1日あたりのアルコール摂取量が多いほど、灰白質と白質の体積は減少し、軽度から中程度の飲酒でも脳の老化につながることが示唆された。

50歳の場合、1日のアルコール摂取量が1単位から2単位に増加すると、灰白質も白質も2年の老化に相当する。2単位から3単位の増加では3.5歳の老化、3単位から4単位の増加では4.9歳の老化になるという。

灰白質の減少は脳全体で見られたが、運動や判断・思考に関わる前頭葉、触覚や痛覚などの体性感覚に関わる頭頂葉などで顕著だった。白質では特に脳弓という部位がアルコール摂取との関連性が深く、この部分は記憶障害に関連しているという。ただし、脳のエリアと飲酒との因果関係はまだ明らかにすることはできないため、さらなる研究が必要だと研究者らはまとめている。

データ:Nat Commun. 2022;13(1):1175.

(文 八倉巻尚子)

[日経ヘルス2022年5月2日付記事を再構成]』

日本総合研究所

日本総合研究所
https://www.jri.co.jp/

『会社概要

名称
株式会社日本総合研究所 (ニホンソウゴウケンキュウショ)
The Japan Research Institute, Limited
創立
1969年2月20日

沿革 

経営理念
「知識エンジニアリング」活動によるお客様価値共創

我々は知識エンジニアリング活動を通じて、お客様・社会の新たな価値実現にパートナーとして貢献する。

そのために、
- 我々は、「お客様満足の最大化」を喜びとする。(対外指針)
- 我々は、「変化」と「多様性」を友とする。(行動指針)
- 我々は、「強い個人の集団」を目指す。(組織指針)    

資本金
100億円
従業員
2,810名(2022年3月末現在)
株主
株式会社三井住友フィナンシャルグループ
組織
組織図
本社所在地

東京本社
    〒141-0022
    東京都品川区東五反田2丁目18番1号
    大崎フォレストビルディング
    地図 

大阪本社
    〒550-0001
    大阪市西区土佐堀2丁目2番4号
    地図 

取締役

    代表取締役社長 谷崎 勝教

    取締役 国崎 肇
    取締役 高野 宏治朗
    取締役 真壁 崇
    取締役 木下 輝彦
    取締役 國賀 久徳
    取締役 本内 博道
    取締役 内川 淳

執行役員

    最高執行役員 谷崎 勝教
    副社長執行役員 国崎 肇
    副社長執行役員 高野 宏治朗
    専務執行役員真 壁 崇
    専務執行役員 木下 輝彦
    専務執行役員 國賀 久徳
    専務執行役員 本内 博道
    常務執行役員 市岡 修
    常務執行役員 福丸 博之
    常務執行役員 赤澤 清
    常務執行役員 宮奥 学
    常務執行役員 寄高 由季子
    常務執行役員 井上 毅
    常務執行役員 柳 真治

    執行役員 大谷 和子
    執行役員 岡田 幸宏
    執行役員 小田 宏毅
    執行役員 多和 健一
    執行役員 市来 伸彦
    執行役員 石井 政仁
    執行役員 佐野 宏行
    執行役員 竹原 健一
    執行役員 岩渕 一弘
    執行役員 大山 宜秀
    執行役員 羽成 直樹
    執行役員 山下 雷行
    執行役員 荒井 裕之
    執行役員 呉竹 義隆
    執行役員 若山 竜太

監査役

    常任監査役 織田 哲典
    常任監査役 谷 新一郎

    監査役(非常勤)村中 貴一

理事
チェアマン・エメリタス  高橋 進

    理事長 翁 百合
    副理事長 山田 久
    常務理事 足達 英一郎

    上席理事 呉 軍華
    理事 牧田 健
    理事 山田 英司
    理事 枩村 秀樹
    理事 篠田 周

(国際戦略研究所)

    理事長 田中 均

    副理事長 高橋 邦夫 』

『事業内容

シンクタンク、コンサルティング、ITソリューションによって、
複合的なニーズに的確かつ迅速に対応します。

日本総研の事業活動は、シンクタンク、コンサルティング、ITソリューションの3つの機能によって行われています。

それぞれの機能を担う各事業部門では、企業や社会に対する新たな課題の提示・発信(イシュー・レイジング)から、課題に対する解決策の提示と解決への取り組み(ソリューション)、新たな市場や事業の創出(インキュベーション)など多岐にわたり、それぞれの分野で企業や社会が求める創造的な付加価値を生み出しています。

調査部

世界に羽ばたくシンクタンク。精緻な分析と的確な提言で社会の変革に貢献します。
創発戦略センター

次世代を見据え行動するシンクタンク、"ドゥ・タンク"を目指します。
リサーチ・コンサルティング部門

中長期的な視野・視点に基づく実践的な解決策を提言・実行支援。社会・産業の変革に向き合い、日本が世界に通用する競争力向上に貢献します。

ITソリューション

ミッションクリティカルな大規模システムを運用。安全性・信頼性の高いノンストップビジネスを実現しています。』

中国、「G2」の世界秩序構築に動く 呉軍華氏

中国、「G2」の世界秩序構築に動く 呉軍華氏
日本総合研究所上席理事
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD199GA0Z10C22A8000000/

『2022年8月、ナンシー・ペロシ米下院議長が台湾を訪問した。これに猛反発したように、中国は初めて台湾を包囲する形での大規模な軍事演習を実施した。こうした情勢を受け、中国がいよいよ軍事力による台湾との統一に踏み切るのではないか。そしてこれに触発されて、中国と米国が直接衝突するのではないかとの懸念が高まった。

果たしてそうなるのか。

呉軍華・日本総合研究所上席理事

筆者はかねて、米中関係悪化の最大要因は価値観、ひいては文明の差異だと考えてきた。このため、中国で共産党の一党支配体制が改められるか、米国が自由・民主主義を守る覇権国としてのステータスを放棄するようなことがない限り、両国の衝突は避けられないようにもみえる。

ただし、短期的にはその可能性はかなり低い。経済力の急伸を背景に、米中のパワーバランスは中国の方に大きくシフトしてきた。しかし、中国が米国との本格的な軍事的対峙を制するような状態にはまだ至っていないからだ。

台湾を包囲する形で実施された今回の演習は史上最大規模といわれる。演習を通じて中国は、台湾を封鎖する能力を見せつけたが、その矛先は台湾に向けられたものではない可能性が高い。

最近の中国の内外情勢を分析すると、長距離と短距離の攻撃力で米国などの軍事的介入を阻止する「A2AD」(Anti-Access Area-Denial=接近阻止・領域拒否)能力の誇示が目的だったようだ。中国はこの能力をベースに、勢力範囲を画定しようとしているとの見立てだ。

この見方が正しいならば、台湾周辺の海域での大規模軍事演習は既定の方針であり、ペロシ議長の訪台はその実施を早めただけで、演習実施を決めた要因ではない。

習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は、秋の党大会で3期目に入るとみられる。習氏は勢力範囲の画定を、米中が世界を仕切る「G2体制」の構築に向けての重要なステップにしつつ、世界秩序の再編を図っていく可能性が大きい。

中国外務省の汪文斌報道官は6月13日の記者会見で、「台湾は中国の不可分な領土の一部。中国は台湾海峡に対する主権および管轄権を有する」とあらためて強調した。そのうえで「台湾海峡を『国際水域』と呼ぶ国があるが、これは台湾問題に干渉し、中国の主権と安全保障に脅威を与える口実であり、反対する」との主張を展開した。

画期的な主張だったが、今になって改めて考えると、これは台湾海峡の周辺海域が中国の内海であるという外交的宣告であった。そして、今回の演習で実力を誇示し、軍事的に宣告したわけだ。

12年2月、習近平国家副主席(当時)は次期最高指導者の外交デビューとして訪米した。それに先立ち米紙ワシントン・ポストの書面インタビューを受けた習氏は、「広い太平洋は、大国である中国と米国を受け入れるのに十分な広さだ」と語り、中国と米国のG2による秩序の形成に期待を寄せた。以上の分析が正しいならば、中国は習氏が望む方向に向けて着実に進んでいることになる。』

中国、インフラ債最大10兆円増発 年後半の景気底上げ

中国、インフラ債最大10兆円増発 年後半の景気底上げ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM247JV0U2A820C2000000/

『【北京=川手伊織】中国は2022年後半の景気を底上げするため、地方政府のインフラ債を最大5000億元(約10兆円)超上積みする。投資効果や債務の返済能力を考慮し、沿岸部など経済規模が大きい地域を主な対象として想定する。中国経済は新型コロナウイルスの感染封じ込めを狙う「ゼロコロナ」政策で民需の不振が続いており、公共工事への依存が鮮明となりそうだ。

国務院(政府)が24日開いた常務会議で増発の方針を決めたと、中国国営中央テレビ(CCTV)が伝えた。

中国は3月の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で「専項債」と呼ぶインフラ債の新規発行枠を3兆6500億元と決めた。このうち、中小銀行に注入する公的資金に転用する2000億元を除く3兆4500億元は7月末までにほぼ発行を終えた。

発行が年前半に集中したのは、今春に上海市のロックダウン(都市封鎖)などで景気が悪化したためだ。雇用が減少し民需の回復がもたついている。習近平(シー・ジンピン)指導部は、地方政府によるインフラ投資の拡大を経済立て直しの柱に据えた。

早期発行の効果で、1~7月のインフラ投資は前年同期比7.4%増えた。各年1~7月で比べると、増加率は17年同時期以来5年ぶりの大きさとなった。

追加発行は、財政の景気下支え効果が22年後半に落ちないようにするためだ。

インフラ債はその年の新規発行枠のほか、発行残高の上限額も決める。22年の上限は21兆8185億元と定めた。これに対して、すでに発行した残高は6月末時点で20兆2645億元だった。

銀行の公的資金に充てる未発行分も考慮すると、発行残高が上限に達するまで1兆2000億元ほどの「余力」がある。国務院は24日の会議でこの余力を勘案し、最大5000億元超の追加発行を認めた。

増発分は、沿岸部など経済規模が大きい省や直轄市に重点的に配分することになりそうだ。これらの都市はもともと残高の上限が高く、発行余地が大きい。収益を見込みやすい投資案件も少なくない。

債務返済リスクの低さも重点配分の一因だ。インフラ債は特別会計に相当する「政府性基金」で管理する。この基金の主な収入は地方政府が土地の使用権を不動産開発企業に売って稼ぐ土地収入だが、住宅市場の低迷で1~7月の土地収入は前年同期より32%減った。

地方経済の疲弊が目立つ地域でインフラ債を過剰に発行すると、地方財政の破綻リスクまで高めかねない。一方で、沿岸部などのインフラ開発がさらに進めば、地域間の成長率格差が広がる可能性も否定できない。

インフラ投資の拡充は成長率を底上げする要因になるが、工事受注などの恩恵は地方政府に近い国有企業などに偏りかねない。1~7月の固定資産投資を主体別にみると、国有企業は前年同期比9.6%増えたが、民間企業は同2.7%増にとどまった。

新型コロナが初めて中国経済に打撃を与えた20年もインフラ債の発行を前年の1.7倍に増やして景気をテコ入れした。国有企業の投資は前年比5.3%伸びたが、民間投資は同1.0%増にとどまった。インフラ債の追加発行で官依存が強まると、国有企業への優遇が目立ち民間企業の苦境が長引く「国進民退」が進む恐れもある。

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https://www.nikkei.com/r123/?ak=https%3A%2F%2Fwww.nikkei.com%2Farticle%2FDGXZQOGM247JV0U2A820C2000000&n_cid=DSPRM1AR08 』

ウクライナ侵攻、崩れた安保の国際秩序とアジアの不穏

ウクライナ侵攻、崩れた安保の国際秩序とアジアの不穏
ウクライナ侵攻と世界(下)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM142ZT0U2A810C2000000/

『「停戦はなかなか難しい。長引く戦争になってしまうのではないか」。国連のグテレス事務総長は8日、広島訪問後の記者会見でウクライナ情勢について悲観的な見方を示した。
止められぬ侵攻

ロシアの侵攻を国連も北大西洋条約機構(NATO)も止めることはおろか仲裁さえできない。世界は国際秩序の崩壊という危機に直面している。

国連の安全保障理事会が出したロシアへの非難決議案はロシアの拒否権で否決になった。総会での非難決議は141カ国が賛成した一方、ロシアや中国などの反対と棄権、無投票が52カ国に上った。合計人口は45億人と世界の6割に迫る。国連は総会決議以上の強い声を上げられなかった。

国連の機能不全はいまに始まった話ではない。冷戦期も米ソが対立した。朝鮮戦争の国連軍は国連憲章第7章に基づく正規の国連軍ではなく、ソ連不在の安保理で決議したものだった。

冷戦終結後の一時期は米ソ、米ロが一定の協調関係にあり、国連が曲がりなりにも機能した面はあった。湾岸戦争ではクウェートへ多国籍軍を派遣し、主権を回復させた。北朝鮮の核・ミサイル開発には安保理が制裁決議を出してきた。

再び溝が深まるのは2010年代。オバマ米大統領が「世界の警察官ではない」と認め、国際秩序の空白ができた。ロシアがクリミア併合やシリア内戦への介入に動くと安保理は有効な手を打てなかった。

亀裂はウクライナ侵攻で決定的になった。22年5月、安保理で北朝鮮のミサイル発射への制裁決議案が初めて否決された。

集団安保に限界

国連以外の集団安保にも限界がある。冷戦期、加盟国に攻撃があれば全体で反撃する枠組みをつくったNATO。加盟国を守り続けてきたが、未加盟のウクライナが侵略を受けた。米国がウクライナに派兵しないと表明すると軍事介入の選択肢はとれなかった。

欧州で「力による現状変更」を止められない状況をみたスウェーデンやフィンランドは中立政策をやめてNATOに加盟申請した。

アジアはNATOのような集団安保の仕組みがない。冷戦期は日本や韓国を防衛する米国の軍事力が中ソを上回り、集団防衛の必要性が薄かったためだ。

アジア各国は米中両にらみに流れる。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は訪台したペロシ米下院議長と会わなかった。米主導の「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の初会合は東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国のうち7カ国しか参加しなかった。

台湾に限らず沖縄県・尖閣諸島や朝鮮半島、中印国境などアジアには火薬庫のように紛争の芽がある。いずれも中国あるいは中国が後ろで支える国が絡む。

日米は自由や民主主義といった価値観を共有する国・地域とスクラムを組んで中国を抑止する戦略だ。その対象は「同志国(like-minded partners)」。「同盟国(allies)」よりも緩い表現が集団安保の枠組みがないアジアの不安定な状況を映す。

(安全保障エディター 甲原潤之介)

【「ウクライナ侵攻と世界」記事一覧】

・深まる分断、消える500兆円 逆回転するグローバル化
・米中の緊張高止まり 「中立」台頭、危うい3極化

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える

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詫摩佳代
東京都立大学 法学部教授
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分析・考察

国連の機能不全がウクライナ戦争で注目を集めていますが、記事にもある通り、今に始まった話ではありません。むしろ世界政府でもなく、加盟国に対して何ら強制力をもたない国連にとっては当然の限界です。安全保障とは本来、グローバル、地域、国など多層的なものであり、国連の集団安全保障はその一部と捉えるべきです。国際社会の分断に伴い、グローバルなレベルでの機能は弱体の一途を辿り、一方、地域や有志といったサブレベルの取り組みが重要性を増すのは当然の成り行きです。日本に関しては、国際的な緊張をコントロールする努力と併せて、有志国間や国レベルの安全保障機能を強化する必要性が、いつになく増しているように感じます。
2022年8月25日 9:24

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

う~ん、「集団安保(集団安全保障)」というのは、国連のような国際機関において、国際の平和と安全の脅威と指定された国や組織、個人に対して、その加盟国全体が軍事的・非軍事的制裁を行うこと。NATOは「集団安保」の組織ではなく、「集団的自衛権」を行使する同盟。こういう単語の使い分けをきちんとしないと変な誤解が蔓延する。それと、そもそも国連は拒否権を持つ大国が関与する戦争を止めることも、介入することも出来ない。
2022年8月25日 4:01』

人口減で国力の方程式一変 量から質、豊かさ競う

人口減で国力の方程式一変 量から質、豊かさ競う
人口と世界 成長神話の先に(5)

人口と世界
2021年8月26日 11:00 [有料会員限定]
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB28EFF0Y1A520C2000000/

『国力=(人口・領土+経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)

米中央情報局(CIA)分析官だったレイ・クライン氏は1975年、国家が持つ力を算出する「国力方程式」を考案した。大国が人口増にこだわる理由がここにある。

【前回記事】富む前に迫る超高齢化 社会保障の崖、世界に火種

「実態に即して人口を公表すれば、中国は前代未聞の政治的な激震に直面するだろう」。米ウィスコンシン大の易富賢研究員は中国の人口統計の水増し疑惑を指摘する。

中国政府は2020年の人口を14.1億人と発表した。だが易氏によると実態は12.8億人ほどで「18年から人口減は始まった」と推定する。

中国・ロシアは増加固執

人口急減を認めれば産児制限の失敗があらわになる。当局は易氏の著書を発禁処分とし、疑惑に反論する。「中国の人口は増え続けており、欧米の合計より多い」(華春瑩外務省報道局長)

「戦争論」を著したクラウゼビッツは「全国民が勝敗の帰趨(きすう)を決定する」と説いた。産業革命で人口が急増した英国は、19世紀後半に500万超の移民を世界に送り出したとされる。

20世紀に英国の人口増が鈍ると、ドイツやロシアの人口が膨張した。隣国との緊張が高まり、列強は世界大戦へとなだれ込んだ。英人口学者ポール・モーランド氏は「人口の脅威が各国を戦争へと駆り立てる」と指摘、ソ連崩壊も「人口減速が要因」とみる。

ロシアの人口は2100年に約2千万人減る。「人口減は国家存亡の危機だ」とみるプーチン大統領は、25年までに最大1千万人の移民を招く目標を掲げる。

ロシアのパスポートを受け取ったウクライナ東部の住民=ロイター

ロシアの工業都市ノボシャフチンスクに、紛争が続くウクライナ東部の住民が乗る大型バスが続々と着いた。住民が移民局で受け取ったのは赤い表紙のロシアのパスポートだ。19年春に手続きを簡略化し、60万人超がロシア国籍を得た。

拡張戦略に転機

中国の台頭をにらみ米国も数での対抗を模索する。日米豪は外交・安全保障を協議する「Quad(クアッド)」にインドを招いた。世界最大の民主主義国インドが加われば、中国を圧倒する。

しかし米国を含む多くの国で働き手世代の比率が減る人口オーナス(重荷)期に突入するなか、人口に頼る国家拡張戦略は転機を迎えている。

米国経済の成長力に陰りが出たことで、富の偏在が加速。足元で民主主義が揺らぐなかで、20年に及んだテロとの戦いを投げ出しアフガニスタン撤収を余儀なくされた。

中国も焦りを隠せない。習近平(シー・ジンピン)国家主席は17日の共産党中央財経委員会で「共同富裕(ともに豊かになる)」と強調した。生産年齢人口が減り成長力が低下すれば、社会の安定が崩れかねないとの危機感がある。

軍事力も兵員や軍備の物量頼みからサイバー戦での技術力など質の争いに移った。人口が経済・軍事に直結する量の時代は過ぎ、人口は少なくても豊かでスマートな質を競う時代に入りつつある。

民主主義や資本主義がシステムの優位性で東西冷戦を勝ち抜いたように、人口という量に頼らず豊かさを実現するシステムを構築できるか。新たな国家間の競争が始まる。

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蛯原健
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分析・考察

つい二百年程前まで中国とインドのGDPは欧州諸国より大きく米国に至っては出来たてほやほやの小国であった。その後産業革命が欧州で起き技術を手にした西側諸国が生産性革命を起こし経済覇権がアジアから西側に移った。そこから二百年経った今テクノロジーが世界に伝播しきってコモディティ化したため再び巨大な人口を持つアジア諸国が生産と需要両面において物量戦で台頭し、対する先進国の中間所得層が苦難に面している。今後の人口動態変化はこのモメンタムを変える一方で二百年前との違いはグローバリズム進展である。国家間のジオグラフィックな比較も重要だがそれ以上に同じ国でもデモグラフィックな格差がより困難な時代になるだろう。
2021年8月26日 15:18

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石塚由紀夫
日本経済新聞社 編集委員
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ひとこと解説

第2次世界大戦前は「人口=軍事力」の時代。例えば第1次世界大戦で敗れたドイツは人口増に政策の舵を切り、周辺国の脅威となりました。

日本も1941年に近衛文麿内閣が人口政策確立要綱を閣議決定。富国強兵を旗頭に、政府は国民に子どもを5人以上産むことを強く推奨しました。子どもを持つか持たないか、持つとしてもいつ何人くらい持ちたいのか――誰にも強制されずに自己決定できることは平和な社会の象徴ともいえます。

ただし、現状の少子化は子どもが持ちたくても持てない状況。少子化対策の目的は経済・国力増強のためだけではないはず。個人の希望をかなえるという視点も忘れず、対策拡充を。
2021年8月26日 11:50 (2021年8月26日 14:11更新)』

試論:「国力の方程式」再考

試論:「国力の方程式」再考
https://news.yahoo.co.jp/byline/suzukitakahiro/20210401-00230187

『皆さんは、「国力の方程式」というものを聞かれたことがあるだろうか?

 国際政治などにおける議論ではたまに見かけるが、一般的にはそれほどは知られていないかもしれない。しかしながら、国際社会において、国家や国家間の関係性を考える上で参考になるものであると考えられるので、本稿で考えてみたい(注1)。

 この「国力の方程式」には、実はいくつかのバリエーションがあるが、その中でも最も有名なのが、米国のCIA情報担当副長官や国務省情報調査局長、ジョージタウン大学教授などを歴任したレイ・クライン氏(Ray S Cline)が考案したものであろう。

 同氏は、1980年代に出版した著書『世界の「軍事力」「経済力」比較―アメリカの世界戦略データ′80年代』(注2)”WORLD POWER TRENDS ’80s”の中で、同方程式を紹介し、国力比較をしている。本稿では、この方程式を基に考察していきたい。

世界はどういう方向に進むのか。そしてそこにおける国家の役割は。(写真:ロイター/アフロ)

 まず国力とは、そもそも何なのであろうか? その定義はいろいろあるが、一般的に「経済,軍事,文化,資源,人口などを総合した国の力」(注3)であるといわれる。

 また、それと絡んで、国力ランキングというものがある。そのランキングも、国力の定義により様々なものがあるが、ここでは、米誌「USニューズ&ワールドレポート」が毎年発表している「世界で最も強い国のランキング」を基に考えていく(注4)。同ランキングは、政治力、経済力、軍事力、国家としての影響力に関する世界の約2万1000人を対象に行ったアンケート調査の結果から総合して決定されたものである。

  2020年版の同ランキングは、次のとおりである。

第1位:アメリカ

第2位:ロシア

第3位:中国

第4位:ドイツ

第5位:イギリス

第6位:フランス

第7位:日本

第8位:イスラエル

第9位:韓国

第10位:サウジアラビア

 さて、以上を受けて、本稿の主題である、「国力の方程式」について話を戻そう。

クラインの方程式は、次のとおりである。

 国力=((基本指標:人口+領土)+経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)

  (注)国家意思=戦略目的を遂行する意思

 要は、経済力以外は、基本的に、人口、領土、軍事力(ここでは主に旧来のハードの軍事力)など「ハード」あるいは物理的要素とそれを使用する国家の目的や意思から構成されている。

 ところが、1990年代初頭の東西冷戦構造の崩壊後の世界のグローバル化やグローバルの経済の進展により、国際関係における相互依存関係の高まりや経済(国を超えた経済も含む)の重要性の急速な高まりにより、国家間の軍事的紛争や戦争状態は起きにくくなり、もちろん意味がなくなったわけではないが、従来のハード的な「軍事力」の重要性が低下してきているのである。他方、経済に関しては、量ばかりでなく質においても、飛躍的に拡大し、国際社会において影響力を増大させてきているのである。

 またそのような非戦争状態が継続し、世界のグローバル化でヒト・モノ・カネ・情報等の国を超えた移動が容易化する中で、文化や社会の役割を重視する「ソフトパワー(注5)」、「パブリック・ディプロマシー(注6)」、「トラック2」や「トラック3」(注7)などが、国際社会や国家間の関係を決める上で重要性を増してきているのである。つまり、文化力や社会力が国力に影響するようになってきている。

 近年のITをはじめとする、AI、IoT、XR、blockchain、仮想通貨、ロボット、電気自動車、自動運転車、ドローン、3Dプリンター、キャッシュレス、シェアリングエコノミーなど様々テクノロジーを活用した社会的ツールや仕組みなどが生まれ、社会や世界さらに私たちの日常生活を急速に変貌させてきている(注8)。また、中国などは、その国内市場等を活用して、テクノロジーなどを急速に発展させ、国際的な影響力を拡大させてきている。その顛末として、ファーウェイの問題や米国における中国人研究者・留学生の締め出しや数のコントロールなどに見られるように米中のテクノロジーや経済のぶつかり合い、せめぎ合いも起きてきているのである。つまり、このようにテクノロジーが、国家の影響力に大きな役割を果たすようになってきたのである。

テクノロジーの急激な進展が国や社会に大きな影響力を持つようになってきている(写真:アフロ)

 上記の「文化力・社会力」や「テクノロジー」をまとめて、ここでは「新興要素」と呼ぶこととする。それらが強いほど、「国力」も増大することになる。

 そして地球温暖化、水や食料などの資源の制約、感染症などの諸々の問題(環境要素)も重要になってきているが、基本的には国力にとりマイナス要因と考えることができるだろう。

 さらにGAFA(注9)やBATH(注10)などの、ある意味国家を超えたメガテック、国家とは異なるテロ組織などのアクターの出現、NGO/NPOなどの市民社会の役割の増大などのような非国家のアクターなども、国際関係などを考える上で重要な要素になってきているが、これらの力は、自己の目的や利益に従って行動や活動をしていくので、国家や社会にとっては、プラスにもなることも、マイナスに機能することもあるだろう。

 以上の議論に基づくと、新しい国力の方程式は、次のようになる。

 国力=([基本指標:人口+領土]+経済力+軍事力+新興要素-環境要素)

                  ×(戦略目的+国家意思)±非国家アクター力 

 いかがだろうか。

 いずれにしろ、世界に起きている様々な状況や事象を見ても、それらのことはこれまで以上に相互に関係し合い、複雑さを増してきている。私たちは、今後より益々複眼的で、多元的なものの見方が必要とされているといえるだろう。

(注1)本記事は、筆者が、船橋洋一氏の『地経学とは何か』という著書を読んでいた際に、国力の考え方を変えるべきだというインスパイアを受けて書いたものである。

(注2)『世界の「軍事力」「経済力」比較―アメリカの世界戦略データ′80年代』。

原題“World Power Trends And U.S. Foreign Policy For The 1980s”。

(注3)この定義の出典は、ブリタニカ国際大百科事典・小項目事典である。

(注4)「日本は何位?世界で最も「強い」国ランキング[2020年版]」(Sinéad Baker、Business Insider、2020年1月21日)参照。

(注5)ソフトパワー(soft power)とは、「その社会の価値観、文化的な存在感、政治体制などが他国に好感を持って迎えられ、外交に有利に働くこと。米国ハーバード大教授ジョセフ=ナイの提唱」(出典:デジタル大辞泉(小学館))。その対になる言葉が「ハードパワー(hard power)」で、「他国の内政・外交に影響をおよぼすことのできる軍事力・経済力のこと。軍隊を動員しての示威行動や侵攻、経済制裁や経済援助など」(出典:デジタル大辞泉(小学館))を意味する。更に最近は、「軍事力・経済力による圧力と、文化・技術等を基にした国際協力を総合した新しい対外政策」(出典:デジタル大辞泉)を意味する「スマートパワー(smart power)」と言う言葉も使われることもある。

(注6)「パブリック・ディプロマシー(public diplomacy)」とは、「1 交渉経過を公開しながら進める外交。2 政府と民間が連携しながら、広報や文化交流を通じて外国の国民や世論に働きかける外交。広報文化外交。広報外交。対市民外交。」(出典:デジタル大辞泉(小学館))のことである。

(注7)これらに関しては、次の説明を参照のこと。「『トラック1外交(track 1 diplomacy)』は政府間の正式会合による外交。『トラック2外交(track 2 diplomacy)』は民間研究機関と大学の研究者を中心とする民間外交。『トラック3外交』は市民外交(people-to-people diplomacy)。」(出典:実用・現代用語和英辞典)

(注8)拙論「近未来『テクノロジーと社会の関係性』」(みらい 未来を創る財団 2021年10月 No.10  http://www.theoutlook-foundation.org/admin/wp-content/uploads/2014/05/a0b394595c17f0ac100ba5d84dc610ed.pdf)参照。

(注9)「GAFA」とは、「グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェイスブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社のこと。頭文字を取って称される。いずれも米国を代表するIT企業であり、4社は世界時価総額ランキングの上位を占めている。また、世界中の多くのユーザーが4社のサービスをプラットフォームにしている。」出典:知恵蔵

(注10)BATHとは、「中国を代表する有名なIT企業であるBaidu(バイドゥ)・Alibaba(アリババ)・Tencent(テンセント)・Huawei(ファーウェイ)の頭文字をとったものです。読み方は「バース」。IT系の会社の中でも、アメリカのGAFA(ガーファ)に迫る勢いのある中国のBATH。」出典:「GAFAはわかるけど「BATH」って? 熱視線を浴びるBATHを理解しよう」(マイナビニュース、2020年12月21日)

鈴木崇弘
城西国際大学大学院特任教授

宇都宮市生まれ。東京大学法学部卒。マラヤ大学、イーストウエスト・センター奨学生として同センター・ハワイ大学大学院等留学。総合研究開発機構等を経て、東京財団の設立に参画し同財団研究事業部長、大阪大学特任教授・フロンティア研究機構副機構長、自民党系政策研究機関「シンクタンク2005・日本」の設立に参画し同機関理事・事務局長、米アーバン・インスティテュート兼任研究員、中央大学公共政策研究科客員教授、厚生労働省総合政策参与、城西国際大学大学院研究科長・教授などを経て、現職。現在、PHP総研客員研究員等も兼任。大阪駅北地区国際コンセプトコンペ優秀賞受賞。著書等は『日本に「民主主義」を起業する』。』

中国が円を売る日 幻の日中「国債持ち合い」

中国が円を売る日 幻の日中「国債持ち合い」
経済部長 高橋哲史
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA232OP0T20C22A8000000/

 ※ なるほど、「中国が、日本国債をどれくらい保有するつもりなのか。」ということも、日本の金融政策に影響を与える「ファクター(要素)」の一つなのか…。

 ※ 次の視点は、「その要素が、どれくらい”円高(or 円安)”に影響を与え得るのか」ということだな…。

 ※ そういう「影響度」を、「定量的」に判定できる「方程式」みたいなものは、確立されているのだろうか…。

 ※ 最近読んだ「地政学」の文献に、「国力の方程式」というものが載っていた…。

 ※ 『クラインの方程式は、次のとおりである。

 国力=((基本指標:人口+領土)+経済力+軍事力)×(戦略目的+国家意思)

  (注)国家意思=戦略目的を遂行する意思』…、というものだ。

『いま振り返れば、日本と中国の金融協力が最もうまくいっていた時期かもしれない。

「円高が加速する局面では、日本国債への投資を減らす」。10年前の2012年3月、中国人民銀行(中央銀行)の易綱副総裁(現総裁)は記者会見でこう語った。

いまと違い、日本経済が1ドル=80円前後の超円高にもがいていたときである。

欧州の債務危機でユーロの先行きが懸念され、円に買いが集まっていた。中国も日本国債への投資を増やしているのではないか。そんな観測が絶えないなかで、易氏の発言は飛び出した。

円高を抑えたい日本にとって助け舟になったのは言うまでもない。「日本側は中国からの投資が多すぎ、円相場の上昇につながることを非常に心配している」。易氏はこう述べ、日本に配慮する姿勢をにじませた。

伏線は、3カ月前の11年12月に訪中した当時の野田佳彦首相と、中国の温家宝首相が合意した「国債の持ち合い」にあった。

中国では外国当局が国債を買う場合、人民銀の許可を取らなければならない。中国側が日本に中国国債の購入を認め、日中それぞれが互いの国債を保有する。そんな枠組みは両国の金融協力が新たな段階に入る象徴となるはずだった。

十年一昔である。

日本による中国国債の購入は12年9月の尖閣諸島の国有化で暗礁に乗り上げ、いまだ実現していない。今年9月の国交正常化50周年を前に日中は互いに不信を募らせ、国債の持ち合いを再び前に進めようという機運はない。

ペロシ米下院議長が8月初めに台湾を訪問し、それに怒った中国は台湾周辺で大規模な軍事演習を実施した。中国軍が発射したミサイルは日本の排他的経済水域(EEZ)内にも落ち、日中間にはかつてない緊張が漂う。

秋葉剛男国家安全保障局長と中国外交トップの楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員は17日、中国の天津で7時間にわたって会談した。

岸田文雄首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席の首脳対話も議題になったもようだが、実現へのハードルは高い。5年に一度の共産党大会を秋に控える習氏は、米国と歩調を合わせて台湾への関与を強める日本に弱腰を見せられない。

10年前と変わらないのは、中国がなお日本国債を買っているとみられる点だ。21年末の保有額はおよそ24兆円で、前年に比べ5割増えた。

米中対立が激しさを増すなか、中国はドルに偏った外貨準備の運用先を他の通貨に振り分けている。中国からみて、日本国債は有力な選択肢の一つだ。

日本の普通国債の発行残高は1000兆円の大台に迫る。国債の安定消化を考えれば、中国を含む買い手の裾野が広がるのは必ずしも悪い話ではない。

だが、中国にとって日本国債の保有は、日本に圧力をかける手段にもなり得る。実際、10年に尖閣沖で海上保安庁の巡視船と中国漁船の衝突事件が起きたときは、中国政府内から「日本国債を買い増し、円高に誘導すべきだ」との声が公然と上がった。

いまなら、中国は日本国債の売却をちらつかせるだけで、急激な円安を誘えるだろう。国債の持ち合いで合意した10年前と違って、中国が日本に配慮する理由は見あたらない。

巨額の借金は日本の「弱点」に映る。中国に隙を見せないためにも、財政がいま以上に悪化するのを防ぐ努力が欠かせない。
経済部長(経済・社会保障グループ長) 高橋哲史
大蔵省(現・財務省)を振り出しに霞が関の経済官庁や首相官邸、自民党、日銀などを取材。中国に返還される前の香港での2年間を含め、計10年以上に及ぶ中華圏での駐在経験をもつ。2017年4月からは中国総局長として北京を拠点に中国の変化を報じ、21年4月に帰国した。
日本経済新聞 経済・社会保障Twitter https://twitter.com/nikkei_keizai
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

一般的に金融協力といえば、金融の安定を図るために、助け合う行為。東アジアのスワップ協定はその一例。しかし、日中の間では、ほんとうの金融協力がほとんど行われていない。かつて、中国経済と金融が弱かった時代、中国の金融関係者は日本に来て、不良債権の処理などについて学んでいたが、中国経済は日本を追い抜いてから、彼らはもっぱらウォール街をみている。今、米中対立が激化しているから、一時的に日本にアプローチしている
2022年8月25日 8:37 』

ゼレンスキー氏、安保理で「駅攻撃」を非難 22人が死亡

ゼレンスキー氏、安保理で「駅攻撃」を非難 22人が死亡
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DP50U2A820C2000000/

『【ニューヨーク=吉田圭織】国連の安全保障理事会は24日、ロシアのウクライナ侵攻から半年がたったことを受けて会合を開き、同国のゼレンスキー大統領が参加した。同氏はオンラインで参加し「この演説を準備している間にドニエプロペトロフスク州の鉄道の駅が攻撃されたと伝えられた。これが我々の日常だ」とロシアを非難した。

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駅に対する攻撃についてゼレンスキー氏は「現時点で少なくとも15人が死亡、50人のけがが確認されている。残念ながら死者数は増える可能性がある」と指摘した。その後に出した声明で死者数が22人に増えたと明らかにした。

周辺で爆発が続くザポロジエ原発について「ロシアの行為で世界は放射能災害の瀬戸際にある」と述べるとともに、即時に国際原子力機関(IAEA)の管理下に置く必要があると強調した。「ロシアにはウクライナに対する侵略の罪の責任を負う必要があり、国連総会の決議案を今後提出する」と明らかにした。

ウクライナからの穀物輸出が滞っていることについては「ロシアによる狂気じみた侵略によって人工的に飢餓が引き起こされ、世界各国で数千万人もの人を救う必要が出た」と批判した。高騰する天然ガスなどの燃料価格についても「ロシアが意図的に価格を引き上げ、数千万人の人に(電力などが届かなくなる)エネルギー貧困を押しつけているのは事実だ」と強調した。
日本を含む57カ国とEUは共同声明でウクライナ市民への連帯を表明し、ロシア軍の撤退を求めた(24日、ニューヨークの国連本部)

ロシアのネベンジャ国連大使は「ウクライナ人が困難な状況にあることは誰も否定しないが、この実態を招いたのはウクライナ政府だ」と主張した。「きょうの会合は現場の状況に全く関係なく、ただ西側諸国がウクライナに対して支持を示すためだけのものだ」と会合開催を批判した。

会合後には日本を含む57カ国と欧州連合(EU)がロシアのウクライナ侵攻を非難する共同声明を発表した。声明ではロシアに対して「ウクライナに対する攻撃を即時に停止し、ウクライナから無条件で完全な軍の撤退と軍装備品の引き揚げを求める」と訴えた。同時に「住宅地や民間施設に繰り返し当たったロシア軍によるミサイル攻撃を最も強い言葉で非難する」と述べた。

安保理はウクライナ侵攻が始まってから70日以上が経過した5月に議長声明を初めて出した。だが、それ以来一致した対応をとれていない。安保理はロシアによる拒否権の行使で非難決議などの対応がとれず、機能不全に陥っていると批判されている。

ウクライナ訪問を19日に終えた国連のグテレス事務総長は「(穀物輸出の再開など)人道面での進展があったが、戦闘が終わる気配はなく、新たな危険も出てきている」と述べた。周辺で爆発が起きるなど事故のリスクが高まっているザポロジエ原発の問題や、ドネツク州のウクライナ人捕虜収容所で起きた爆発について懸念を表明した。

グテレス氏はIAEAによるザポロジエ原発の査察について、「ロシアとウクライナが合意できれば国連はIAEAの調査団を支援できる」と指摘した。捕虜収容所の爆発をめぐっては「最近設立された調査団の派遣に向けた取り組みが進んでいる」と述べた。「捕虜は国際人道法で保護されており、赤十字国際委員会(ICRC)がいつでもアクセスできなければいけない」と訴えた。』

米学生ローン、1人130万円超の返済免除 バイデン氏発表

米学生ローン、1人130万円超の返済免除 バイデン氏発表
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN24DS10U2A820C2000000/

『【ニューヨーク=大島有美子】バイデン米大統領は24日、連邦政府の学生ローンの借り手に対し、1人当たり1万ドル(約136万円)の返済を免除すると発表した。高所得世帯は対象外とする。2020年3月に新型コロナウイルス下に入ってから返済猶予措置の延長を重ねてきたが、11月に控える中間選挙を前に免除を決めた。高騰する学費とともに社会問題となってきた学生ローンの債務膨張に歯止めをかける。

【関連記事】米国、世界で学費突出 学生ローン返済免除も解決に遠く

返済免除は年収12万5000ドル以下が対象で、夫婦の場合は合計25万ドル以下とする。一部の低所得層向け奨学金を受ける借り手については2万ドルを免除する。ホワイトハウスによると、収入制限によって所得上位5%の世帯は対象外となる。対象の学生ローンの債務者は約4300万人にのぼり、うち2000万人は債務が全額免除になるという。

8月末としていた返済猶予措置の期限を12月末まで延長し、23年1月から返済プロセスを再開する。米メディアによると、今回のような広範な債務帳消し措置は過去に例がない。

「負債が重すぎて大学を卒業しても中間層の生活が送れない。多くの人が住宅ローンを組めない」。バイデン氏は24日の記者会見で、返済免除は「労働者階級に資する施策だ」と強調した。ホワイトハウスは、一般的な学生が約2万5000ドルの負債を抱えて大学を卒業すると説明する。

ニューヨーク連邦準備銀行によると、6月末時点の学生ローンの債務残高は1兆5900億ドル。右肩上がりで膨張しており、5年前と比べ18%増えた。大学の授業料高騰が背景にある。米カレッジボードがまとめた21年度の私大学費(授業料と諸費用の合計)は年間3万8070ドルと、10年前と比べて14%上がった。

返済免除は教育省の権限で実施する。米教育省が措置の法的根拠として公表した23日付の書簡によると「HEROES(ヒーローズ)法」と呼ばれる03年の法律を引用した。「国家の非常事態による経済的被害から借り手を守るため、ローンに調整を加えることを認める」(米フォーダム大で財政政策に詳しいジョン・ブルックス法学部教授)ものだ。コロナ下を非常事態とみなした。

米ペンシルベニア大ウォートン校の試算によると、年収12万5000ドル以下の債務者の免除を実施すると、連邦政府には3000億ドルのコスト増となる。バイデン氏は8月中旬に成立した歳出・歳入法で債務を減らすことで「返済免除の資金を捻出できる」と強調した。もっとも既に返済を終えた人との不公平感を主張する野党共和党の反発は必至で、訴訟が起きる可能性もある。

ウォーレン上院議員など民主党左派系議員は、格差是正につなげるため最大5万ドルの免除が必要と主張してきた。バイデン氏は20年の大統領選挙で最低1万ドルの返済免除を公約した。党内の調整が難航し、返済猶予措置の延長を重ねてきたが、11月に中間選挙を控え結論を出した。

調査会社モーニング・コンサルタントによると、バイデン氏の仕事ぶりを評価すると答えた人の割合は18~34歳で、21年1月(61%)から22年6月(41%)に低下した。65歳以上(同45%から41%に低下)と比べ、若年層で「失望」の色が強い。米世論調査では学生ローン返済免除は半数以上が支持しており、支持回復の狙いが透ける。
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上野泰也
みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト
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ひとこと解説

11月中間選挙前に1つでも多く実績を挙げることにより、民主党への支持を増やしたいバイデン政権。今回の返済免除は教育省の権限で実施するということなので、議会審議に苦労することもない。野球に例えればクリーンヒットといったところか。ランナーは出た。だが、これが得点に結びつく(中間選挙で下院は敗北必至だが上院で民主党が過半数を維持できる)かどうかはまだわからない。記事によるとコスト試算は3000億ドルとのこと。大きな額ではあるが、足元で財政収支が急改善しており、22会計年度の赤字は3月時点の想定を3830億ドル下回る見込みと米行政管理予算局(OMB)が23日に発表しており、無理のあるコスト増ではない。
2022年8月25日 7:51

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前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
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ひとこと解説

先日立法化した主に気候変動対策、医療保険対策の「インフレ抑制法」に入れることができなかったローン減免を大統領令で対応。サンダースら党内左派からの主張も取り入れた選挙公約のほぼ全てに対応した形になります。

この「教育徳政令」に対してはインフレ懸念にいまは注目が集まっています。ただ、選挙公約の際に民主党支持者の間でも「既にローンを頑張って支払った層」からは不満が出ていました。「長く続いたコロナ禍で減免やむなし」という声が党内左派からは強くはなっています。

ただ、そもそも大統領令という小手先の手法で行うべきものではないという手続き的なところは今後、いろいろな議論が生まれるかと思います。
2022年8月25日 8:34 (2022年8月25日 8:36更新) 』

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害

[FT]水上供給網に気候リスク 渇水、航行を阻害
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB221RT0S2A820C2000000/

『猛暑が数週間も続いたことで、フランス西部を流れるロワール川流域では乾ききった川底を散歩できるようになった。

ライン川では、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した=ロイター

欧州の重要な水路であるドナウ川も水位が下がった。流域の東欧諸国は貨物を運ぶはしけ船が航行できるように、川底の土砂を除去する浚渫(しゅんせつ)を余儀なくされた。

ドイツなどを流れるライン川では、航行の要衝において、水位が多くの船舶にとって操業が経済的に見合わない水準まで低下した。ただ、迫りくる課題のことを考えると、こうした事態はまだ準備期間にすぎないのかもしれない。

マレーシア、洪水で半導体供給に打撃

国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、気候変動に伴い干ばつや洪水、激しい嵐といった異常気象が今後はより頻繁に発生し、規模も大きくなると明言している。そのため食料・製品の生産、製造、流通への世界的な影響は、途方に暮れるほど広範囲に及びかつ、複雑になる。

企業がまず懸念することは、高まる気候リスクに自社やサプライヤーのどの工場がさらされているかという点だ。各国政府はもっぱら食料供給に対する脅威に注目している。

だが、今年の干ばつは気候変動が激しくなるに従い、国際貿易の水上輸送インフラそのものが干上がったり、閉鎖されたりする危険性があることも浮き彫りにした。

事例は枚挙にいとまがない。アルゼンチンでは、南米の川としては全長がアマゾン川に次ぐパラナ川で、水位低下が深刻な状況がここ数年続いている。この川は穀物を輸出する際の主要水路だが、渇水が大豆の輸送に支障をきたしている。なお、アルゼンチンは大豆輸出で世界第3位だ。

マレーシアでは、昨年の洪水でマラッカ海峡沿いにあるクラン港が被害を受け、台湾製の高度な半導体の供給が深刻な打撃を受けた。こうした半導体の多くは、最終工程のパッケージングがマレーシアで施されてから世界各地に出荷される。

やはり昨年氾濫が被害をもたらしたライン川経由の貿易は今、過去5年間で2度目の深刻な渇水に苦しめられている。前に渇水があった2018年には、貨物の運搬が止まったことで、同年第4四半期のドイツの経済成長が0.4%下振れした。

炭素排出、一層増加の恐れ

オランダのデルフト工科大学のマーク・ファン・コニングスフェルト教授(港湾・水路学)は、こうした状況にもかかわらず、「輸送に対する気候の影響よりも気候に対する輸送の影響の方にはるかに大きな関心が寄せられてきた」と話す。

国際貿易の約8割はどこかの段階で船によって運ばれており、海上輸送の貿易量は20年までの30年間で3倍近くに膨らんだ。また気候変動以外の変化によっても、貿易システムは混乱に陥りやすくなっている。船舶は徐々に大型化し、問題が発生した場合の救援が困難かつ高コストになった。

干ばつが発生した場合の容易な代替ルートもない。内陸輸送用の船1隻が輸送できる量は約100~150台のトラックに相当するため、道路や鉄道では負担を背負いきれない。典型的な対応としては、船の積載量を減らすか、小型船で運航回数を増やすしかない。

河川の水位が低いと、船が進行しづらくなり、使用燃料が増えるため、二酸化炭素の排出は一層増えることになる。それだけでなく、水路と港湾システムを取り巻くコスト上昇と混雑にもつながる。

しかも、こうした対策が常に奏功するわけでもない。ファン・コニングスフェルト教授によると、18年の渇水のピーク時には、最善の努力を尽くしたにもかかわらず、輸送貨物の総量は約6割減少した。

世界3800カ所の沿岸部の港に対する気候変動の影響を研究している米ロードアイランド大学のオースティン・ベッカー准教授は、問題は「気候から生じるリスクは貿易システムのあらゆる側面に広がっているため、特定の組織が問題に対処しようとすることは難しい」と指摘する。

喫緊の課題は、こうした港の3分の1は熱帯低気圧が発生しやすい場所にあることだ。嵐の激しさの平均が少し変わっただけでも港の稼働停止期間が大幅に増えかねない。

独化学大手BASFのように、低い水位でも航行できるはしけ船を開発するなど、企業が独自に取り組んでいる事例も見受けられる。しかし、問題の大きさを考えると、こうした対応策は、技術またはコスト面から実現可能性の限界にぶつかる可能性が高いと専門家は指摘している。

より一般的に言えば、こうした異常気象は悪化し続ける構造的な問題ではなく、個別の非常事態として扱われる傾向がある。抜本的な対策が打たれないまま似たような問題が再発しがちで、国連防災機関(UNDRR)はこれを「災害・対応・復旧の繰り返し」サイクルと呼んでいる。

災害対策への投資、企業・国家レベルで増加

ビジネスにおいても同じことが言えるかもしれない。企業にはすでに、サプライチェーン(供給網)を感染症のパンデミック(世界的な流行)などで生じるような混乱から守り、高まる地政学的リスクに備えて全面刷新を迫る圧力がかかっている。

だが、サプライチェーンをより簡素にした場合、気候リスクが集中する恐れがある。レジリエンス(強じん性)を実現しようとすると、調達先の二重化や地理的な多角化、在庫の積み増しによって効率性が犠牲になる。災害に耐えられるように、各種資産への投資も必要になるかもしれない。

気候変動対策に取り組むオランダの財団グローバルセンター・オン・アダプテーションのパトリック・フェアコイエン代表は、これは「先送りして代償を払う」より望ましいと言い、気候変動に対するレジリエンスへの投資は国家レベル、企業レベルで金額が積み上がっていくと主張している。

政府と企業は今後、気候を新たなサプライチェーンが抱えるリスクとしても考慮しなければならないのだ。

By Helen Thomas

(2022年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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電力確保・脱炭素へ原発活用にカジ 再稼働7基追加

電力確保・脱炭素へ原発活用にカジ 再稼働7基追加
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA242O10U2A820C2000000/

『政府は電力の安定供給と脱炭素の実現に向け、原子力発電所の再稼働や運転延長、次世代型の建設などの検討に入る。東日本大震災後、安全審査や地元同意のハードルで再稼働は遅れてきたが、現時点で目標を両立できる電源は他にない。ウクライナ危機もエネルギー調達の課題を浮かび上がらせた。再生可能エネルギーを含めた供給網を早急に整える必要がある。

【関連記事】原発新増設へ転換、次世代型の建設検討 再稼働7基追加

日本は東日本大震災前、総発電量の3割ほどを原発に頼っていた。東京電力の福島第1原発での事故を受けてすべての原発が稼働を止め、原子力規制委員会による安全審査に合格した原発から再稼働を進めてきた。

しかし審査を通過した17基のうち、現在稼働するのは6基のみ。審査が10年近くの長期にわたり、結論の出ない原発もある。2020年度の総発電量のうち原発の割合は4%にとどまる。

原発の稼働が少ない状況は、電力の安定供給を危うくしている。夏場の電力は夕方に逼迫する傾向にあり、季節外れの猛暑に見舞われた6月下旬には強い節電要請が出た。電力各社は古い火力発電所を稼働してしのいでいるが、トラブルのリスクは拭えない。

石炭や液化天然ガス(LNG)に頼る電源構成は、ロシアによるウクライナ侵攻で問題が浮き彫りになった。原油や天然ガス価格は高騰し、ロシアからパイプラインで天然ガスを輸入する欧州の指標価格のオランダTTFは、8月中旬に1メガワット時当たり250ユーロ台と、侵攻直後の3月より高い値段をつけた。

欧州ではエネルギー安全保障の観点から原発の活用にカジを切る国が出てきた。英国は30年までに最大8基を新設する方針を掲げた。フランスも50年に向け大型原発を最大14基建設する方針だ。

日本の状況も欧州と共通点がある。LNG輸入のうち1割ほどがロシアからだ。日本の商社が出資するLNG開発事業「サハリン2」から有利な価格で調達しているが、ロシア次第で供給が途絶する恐れがある。

原発は化石燃料を使わずに安定して電力を供給できる。発電時には二酸化炭素(CO2)をほぼ排出しないことから、各国とも「脱炭素」を両立できる電源として意識せざるを得ない。

日本政府は30年度の温暖化ガス排出量を13年度から46%減らす目標を掲げている。達成には発電量のうち再生エネを36~38%に、原発を20~22%に高める必要がある。建設中の原発を含めて、電力会社が稼働を申請した27基すべてが運転しなければならない計算だ。

さらに温暖化ガスの排出を50年に実質ゼロにする目標は、原発の再稼働だけでは不十分との見方が多い。政府は再生エネを主力電源として伸ばす方針だが、天候に左右される特性などを考えれば、火力以外に安定した電源が必要になる。

岸田文雄首相が表明した「運転期間の延長など既設原発の最大限活用」は再生エネへの移行を見据えたつなぎとして有力な手段といえる。いずれ寿命となる既存の原発の後継としては、安全性や経済性の高い次世代型原発の開発が欠かせない。

【関連記事】次世代型原発とは 安全性向上、効率よく発電

もっとも、新設や再稼働は簡単には進まない。公明党は7月の参院選で将来的に原発に依存しない社会をめざすと掲げた。新設にも慎重な姿勢だ。政府が新設を打ち出しても、電力会社の投資判断につながるかは不透明だ。東京電力柏崎刈羽原発はテロ対策の不祥事で信頼が失墜している。

使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクル事業も未完成のまま停滞が続く。高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分場もめどはついていない。原発をめぐる後始末の部分にも、政府は道筋を付けなければならない。

【関連記事】

・原発再稼働、政府に重責 「地元同意」は事実上必須
・原発再稼働、新潟知事「情報収集中」柏崎市長「必然」
・東海第2原発、東海村長「国の動向に再稼働左右されず」

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骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
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分析・考察

「現実主義」と「前のめり」の違いは、姿勢が前のめりになると左右や全体像が見えなくなることですね。
各国のグリーントランスフォーメーション政策の中心にありつつ、こうした個別議論でしばしば抜け落ちる項目があります。「かしこいエネルギー消費の抑制」です。例えば夏場の電力消費の主役はエアコンですが、まずは女性社員を凍えさせるような温度設定をやめて、環境省推奨の温度にすることではないでしょうか。
ウクライナ危機は、「軍事標的化」という原発の新たな脆弱さを浮き彫りにしました。高い安全確保のコスト、合意形成のコストと、無理のないエネルギー需要の抑制を俯瞰的に論ずるような記事も、期待したいと思います。
2022年8月25日 7:41 (2022年8月25日 7:43更新) 』

「Achema」は、リトアニア最大の肥料工場である。

「Achema」は、リトアニア最大の肥料工場である。
https://st2019.site/?p=20162

『2022-8-24記事「Lithuania’s biggest fertiliser maker suspends production over soaring gas prices」。

    「Achema」は、リトアニア最大の肥料工場である。このほど、天然ガスの値段が爆上がりしているため、9-1から操業を一時中断する。
 工場は Jonava 市にある。
 当面、樹脂など、肥料以外の製品を製造し続けるであろう。

 肥料市場は、ロシア製や米国製との競争である。天然ガスが異常な高値であるうちは、とてもそれらの製品とは競争にならない。
 窒素系肥料の価格の7割は、原料たる天然ガスのコストなのである。

 同社はリトアニアの肥料市場のシェア3割を占めていたが、すでに今年の春から、まったく売れなくなっていた。値上がりしたので。』

連邦上院の少数党(共和党)院内総務、ミッチ・マコネルの妻(再婚)は、支那人のエレイン・チャオである。

連邦上院の少数党(共和党)院内総務、ミッチ・マコネルの妻(再婚)は、支那人のエレイン・チャオである。
https://st2019.site/?p=20162

『Jordan Boyd 記者による2022-8-24記事「Trump Is Right. Mitch McConnell And Elaine Chao Spent Decades Getting ‘Rich On China’」。

 連邦上院の少数党(共和党)院内総務、ミッチ・マコネルの妻(再婚)は、支那人のエレイン・チャオである。チャオの一族は、海運会社「フォーモスト・グループ」を通じて、中共とズブズブである。

 これはハンター・バイデンと同じくらい注目されていい醜聞のはずだが、マコネルは叩かれていない。不思議である。

 マコネルは1993にエレインと再婚するまでは、中共を攻撃する政治家だった。しかし94年、義父のジェームズ・チャオとCSSP(中共国営造船会社)が招待旅行をセッティングし、それに乗ってマコネルは中共領袖に会い、いらい、中共攻撃を止めた。取り込まれたのである。

 フォーモストは本社こそNY州にあるが、扱い貨物の7割は支那沿岸である。

 フォーモスト社は、合衆国政府から、35万~100万ドルの融資を受けている。
 そしてマコネルは、元運輸長官である。この絵はマズいだろう。

 妻の姉妹であるアンジェラ・チャオと義父は、フォーモストの大株主であるだけでなく、CSSPの大株主でもあるのだ。この国有企業は中共海軍と事実上、一体の機関だ。

 マコネルを運輸長官に据えたのはトランプで、それは2017-1のことだった。
 同じ月、アンジェラは、「バンク・オブ・チャイナ」の社外重役も兼帯することになった。

 それから急激にフォーモストの景気がよくなった。10隻の新造貨物船を陣容に加えて、取り扱い荷物総量を40%増やした。トランプと共和党はこのようにして敵に塩を送っていたのである。

 マコネルは2008年にジェームズから政治寄付金を500万ドル~2500万ドル、受け取っている。
 マコネルの個人資産は、2004年には310万ドルだったのが、2014年には920万ドルに増えている。中共のおかげで肥え太った男なのだ。

 ジェームズは、「エアフォースワン」の中でトランプと数分間話したことがある、と中共TVのインタビューで自慢もしている。』

クリミア半島内から報告されている二つの爆破攻撃。 いまだに手段が謎。

クリミア半島内から報告されている二つの爆破攻撃。
 いまだに手段が謎。
https://st2019.site/?p=20162

『Mark Cancian 記者による2022-8-23記事「What is blowing up those Russian bases in Crimea?」。

    クリミア半島内から報告されている二つの爆破攻撃。
 いまだに手段が謎。
 ミサイル飛翔を目撃した者はゼロ。残骸も皆無。同じ理由から、自爆機でもない。

 ゲリラ挺進攻撃もありえない。あそこから全員無事に戻ってこられるわけがない。しかも誰にも撮影されていない。これはウクライナ側によるディスインフォメーションだ。

 無人機からの投弾。ありえるが、「TB2」では不可能だ。衛星交信ができないので片道150マイル内でしか運用できない機体だし、吊下できる兵装が最多で4発ときている。サキ飛行場では9機が全壊しているのだ。
 ※自爆しても破片がまったく残らない、機体構造体そのものが「爆薬」であるような無人特攻機を開発する価値はあるだろう。現場に薬莢を残さない暗殺用消音銃の航空機版として需要あるはず。』