首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働

首相、次世代原発の建設検討を指示 来夏以降17基再稼働
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『岸田文雄首相は24日午後に首相官邸で開くGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で次世代型の原子力発電所の開発・建設を検討するよう指示する。新増設は想定していないという現在の方針を転換し、中長期で電力確保を目指す。来夏以降に最大で17基の原発を再稼働させる。

電力不足や脱炭素の遅れといった2050年に向けた構造的な課題を解決するための対策と位置づける。年末までに時間軸ごとに複数の対応をまとめる。

30年以降の課題として将来を見据えた次世代原発の開発や建設を主要な検討項目に据えた。経済産業省の審議会は次世代原発のうち既存の原発より安全性を高めた改良型の軽水炉について、30年代に商業運転すると盛り込んだ工程表案をまとめていた。

政府はこれまで「新設や建て替えは想定していない」との立場を取ってきた。実際に建設するとなれば11年の東日本大震災後で初めてとなる。

首相は原発の運転期間延長の検討も指示する。原子炉等規制法で原則40年、最長60年と定めており、運転期間を終えれば廃炉になる。北海道電力泊原発1~3号機など審査から10年近くかかっている原発もある。安全審査にかかった時間を運転期間から除外するなど実質的に延ばす方策を探る。

電力会社が原発事業の将来見通しを立てやすくするための対策も検討する。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の処分など解決していない課題を巡る国の取り組み強化に向けて議論する。

今冬や来年の電力不足の懸念には再稼働を主な対策とする。

首相は7月に今冬へ原発の稼働を最大9基まで増やす方針を示していた。再稼働したことがある10基を活用する内容にとどまっており、来夏以降はあわせて17基の体制に増強する。

国内に原発は33基ある。電力会社が原子力規制委員会に再稼働を申請したのは25基で、17基が規制委の安全審査を通過した。このうち10基は地元の同意も得ていったんは再稼働した。現時点で運転している原発は6基にとどまる。

一方、規制委の審査に合格したのに稼働に至っていない原発が7基にのぼる。来夏以降の再稼働をめざし、安全対策や地元の理解を得るための取り組みについて国が前面に立って対応する。

具体的には東京電力柏崎刈羽原発6~7号機、日本原子力発電の東海第2原発、東北電力女川原発2号機、関西電力高浜原発1~2号機、中国電力島根原発2号機の7基を想定する。柏崎刈羽原発はテロ対策の不備が明るみに出て再稼働が見通せない状態が続いている。

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岩間陽子
政策研究大学院大学 政策研究科 教授
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「次世代型の原子力発電所の開発」は久々にとても良いビッグニュースです。現在様々な小型モジュール炉の提案が世界中で出されて、アメリカも力を入れています。紛争が起こる可能性が高まっている悲しい現実の中、原子炉も紛争中の安全性と気候変動対策の双方から、これまでとは全く違う視点で見直されなければなりません。是非、今後半世紀を視野に入れて、全く新しい視線で、パートナー諸国との連携も考えつつ検討作業を行っていただきたいです。来年G7に向けても、日本として積極的に国際世論をリードして行ける議題だと思います。
2022年8月24日 11:13

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竹内純子
国際環境経済研究所 理事・主席研究員
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本日こちらの会議に参加してきます。再稼働できる原発を全てしたとしても、需給ひっ迫の問題がいきなり解決する訳ではありませんが、我々が原発を稼働させてLNGの消費を減らせば、その分を欧州やその他の国が購入することもできますし、エネルギー供給にはこうしたリスクがあるので、日本は原発をやってきたわけですから、この判断は正しい。
また原発の運転期間延長は「最も安い温暖化対策」で、各国が積極的に進めているところです。米国では80年運転の許可を得る炉も6基ほど出てきています。原子力は定期検査時に予防的な機器取替を行い、格納容器などのような主要機器以外は殆ど生まれ変わっているサイボーグとも言われています。
2022年8月24日 10:17

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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ウクライナ戦争が続くなかで、これしかないじゃない?ただ福島の悪夢を繰り返さないために、予備電源などの対策を備えておく必要がある。ガスと電気の料金が大幅に値上げされている。円安が是正される見込みが立たないなか、輸入インフレも続く。発電できる原発を利用しない選択肢はない。ただし、福島のトラウマが残っている。苦渋の決断が迫られている
2022年8月24日 7:34 』