ウクライナ侵攻半年 避難民延べ1700万人、死者3万人も

ウクライナ侵攻半年 避難民延べ1700万人、死者3万人も
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 ※ 今日は、こんなところで…。

『ウクライナ侵攻
2022年8月24日 2:00 [有料会員限定]
破壊された学校近くを歩く男性(22日、東部ドネツク州)=ロイター

ロシアによる半年間の侵攻で、ウクライナ国内は大きな被害を受け、国際情勢は一変した。ウクライナからの避難民は国内外で延べ1700万人にのぼり、全人口の3人に1人超となった。両軍の兵士や民間人の死者は3万人規模、負傷者も合わせれば10万人に達したもようだ。今後も第2次世界大戦後の欧州で「最大の危機」が続く。

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ウクライナ軍のザルジニー総司令官は22日、2月の侵攻開始以降で約9000人の同国兵が死亡したと明らかにした。自国の兵士の犠牲者数を公にするのは異例で、ウクライナ政府高官は1万人ほどと6月に発言していた。

ロシアも自国の死者数公表を控え、双方が相手軍に甚大な被害を与えたと主張している。米国はロシア兵の死者が1万5000人ほど、負傷者とあわせると7万~8万人に及ぶとみている。

民間人の被害も拡大している。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は22日、ウクライナ国内の民間人死者が21日までに5587人と発表。両軍兵士の死者数と単純に合わせると、3万人規模になる。

これは、わずか半年でソ連崩壊前後のアルメニアとアゼルバイジャンによるナゴルノカラバフ紛争(1988~94年)に匹敵する死者が出た計算になる。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争(92~95年)の「推定20万人以上」に並ぶペースだ。

ウクライナでは南東部マリウポリの地元当局が同市だけで2万人超が死亡したと説明しており、死者数はさらに多い可能性もある。終戦や停戦の動きはなく、欧州は第2次大戦後で最大級の危機に直面し続けている。

避難を余儀なくされた国民も多い。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、侵攻後に延べ1115万人がウクライナを出国した。「第2次大戦後の欧州で最も速いペース」で隣国ポーランドなどに避難民が押し寄せた。国際移住機関(IOM)の調べでは国内避難民も人口の15%にあたる664万人(7月時点)を数える。

首都キーウ(キエフ)から4月にウィーンに避難したヤロスラフ・オメルチェンコさんは「安全になったら帰りたい」と話す。地元の東部ドネツク州には親戚や友人が残り「砲撃のしらせを聞く度に心配でたまらない」。ワルシャワに逃れた西部出身の女性も徴兵された息子を案じ再会する日を待ちわびる。
ミサイル攻撃で破壊された住宅で救出活動にあたる隊員ら(17日、ハリコフ)=ロイター

避難民の多くが経済的な苦境に直面し、危険を覚悟して故郷に戻るか、避難先にとどまるかの選択を迫られている。IOMによると、国内外から帰還した避難民は550万人。国内の避難民については6割が失業しており、元の場所に戻る要因となっている。

経済面でも「消耗戦」の様相は深まる。国際通貨基金(IMF)は2022年の実質国内総生産(GDP)がウクライナで前年比35%減、ロシアで同6%減と予測する。ウクライナでは21年のGDPの半分に匹敵する1104億ドル(約15兆1000億円)のインフラが被害を受けた。政府は復興に100兆円ほどかかると見積もる。

各国・地域からのウクライナへの支援の継続も焦点となる。

ドイツのキール世界経済研究所によると、8月3日までに表明されたウクライナへの支援は総額842億ユーロ(約11兆5000億円)。4割が軍事で、7月にドイツやフランス、イタリアなど欧州主要国からの大きな支援表明はなかった。同研究所は「新たな支援の流れは枯渇している」と指摘した。

ロシアも経済的な疲弊を隠せない。今回の侵攻に伴い日米欧などは9000以上(米民間調査会社調べ)の制裁を科した。ロシア事業の撤退や停止、縮小を決めた外国企業は1000を超えた。

それでもプーチン政権は強気な姿勢を崩していない。

戦闘継続に加え、南部ヘルソンなど占領地域でのパスポートの発給や通貨ルーブルの流通など「ロシア化」も進めている。同国への併合の是非を問う住民投票は9月11日に予定されるロシア統一地方選との同時実施が有力視されていたが、戦闘の激化で遅れる公算が大きい。ロシアの独立系メディア、メドゥーザは18日、同国大統領府が今冬に延期する可能性を検討していると伝えた。

一方、ウクライナは8月下旬までだった成人男性の出国を禁止する総動員令や戒厳令を11月下旬まで再延長した。国内の被害は拡大しているが、長期戦に向けた態勢を整えている。

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