習近平氏「共同富裕」再び強調 党大会前に封印解く

習近平氏「共同富裕」再び強調 党大会前に封印解く
李克強氏は「改革開放」 外資にらみ役割分担か
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『【北京=羽田野主】中国共産党の習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)が政治スローガンである「(ともに豊かになる)共同富裕」を再び強調している。秋の党大会で3期目入りを視野に入れる習氏は党大会で読み上げる活動報告にも盛り込む準備に入った。

一方で、李克強(リー・クォーチャン)首相は鄧小平が打ち出した「改革開放」の推進を強調しており、党内で臆測を呼んでいる。

16日、中国国営中央テレビ(CCTV)で約半月ぶりに動静が伝えられた習氏は東北部の遼寧省錦州市にいた。地元の公園を視察した習氏は「中国式の現代化とは、全人民の共同富裕の現代化だ。少数の人々だけが豊かになるのではなく、全人民が共同富裕(の状態)になり、皆で大いに喜ぶべきだ」と力説した。

共同富裕は習氏が昨年来くり返し言及した政治スローガンだが、経済の減速に伴って事実上封印していた。今年3月に公表した1年間の経済・財政運営の基本方針を示す政府活動報告でも一度だけ触れたにすぎなかったが、ここにきて再び掲げた格好だ。

16日発売の共産党の理論誌「求是」も、習氏が共同富裕の重要性を訴える講話を掲載した。折しも8月中旬ごろまで開かれたとされる党幹部と長老らが党の重要人事や政策を話し合う「北戴河会議」が終わった直後の発言だけに、習氏が続投の了承を取り付けた「勝利宣言」との見方がある。

一方、習氏が共同富裕に言及した16日、党序列ナンバー2の李氏は広東省深圳で中国経済の成長のカギを握る広東省や江蘇省など6つの省のトップに向かって経済回復の号令をかけた。

深圳は1992年に鄧小平が訪れて改革開放の重要性を説き、保守派から政局の主導権を奪取した「南巡講話」のエピソードのある因縁の地。李氏は17日に鄧の銅像に献花して、地元住民に「改革開放は必ず断固として前に進める」と熱弁をふるった。

共同富裕はもともと建国の父、毛沢東が提唱した構想で、鄧がのちに豊かになれるものから先に豊かになる「先富論」に修正。改革開放政策を優先し、共同富裕は将来の構想として据え置いた経緯がある。

共同富裕を全面的に打ち出せば外資系企業の警戒を招くため、李氏が習氏と役割分担をしてバランスをとった可能性がある。鄧小平路線を支持する声は党内でも根強く、鄧に引き立てられた経歴を持つ長老らが李氏の背中を押したとの指摘もでている。

当面焦点になるのが8月末に開く見通しの党中央政治局会議だ。秋の党大会の日程を決める重要な場となる。ベテラン党員は「北戴河会議で習氏の思い通りの人事調整が進んだのなら10月の開催を決めるだろう。習氏1強に異論が出ているのなら11月にもつれこむ」と予想する。

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