日中、国旗・握手なき高官協議 国内反発を警戒か

日中、国旗・握手なき高官協議 国内反発を警戒か
首脳会談への難路映す
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA211NQ0R20C22A8000000/

 ※ 良記事だ…。

 ※ 冷静に、丁寧に分析している…。

 ※ お互いに、どういう「立ち位置」で、どういうことを「考えている」のかが分かる内容だ…。

『日中両政府が17日に開いた高官協議は異例ずくめの形式だった。夕食を含めて7時間にわたりながら、両国が公表した画像は握手やグータッチの場面ではなく距離を置いて棒立ちする写真だけ。背後に国旗もなく、発表は会談の翌日となった。

17日午前8時前、羽田空港を1機のチャーター便が離陸した。搭乗していたのは秋葉剛男・国家安全保障局長。行き先は会談相手の中国外交トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員が執務する北京ではなく隣接する天津だった。

新型コロナウイルス禍で中国は北京に厳しい防疫体制を敷いており、外国要人との会談は別の都市で開いている。

会談場所の天津は新型コロナの影響で日本からの直行便が限られている。外部と接触を遮断する感染対策「バブル方式」をとる必要もあり、主に民航機で移動する安保局長がチャーター便で渡航せざるを得なかった。

この2週間前、中国はカンボジアで調整していた外相会談をキャンセルしたばかりだった。ペロシ米下院議長の台湾訪問を受けて中国が軍事演習をしたことに日本を含む主要7カ国(G7)が非難声明を出したからだと説明した。

会談を呼びかけたのは中国側で、ペロシ氏の訪台前だった。台湾問題で関係が悪化しても、新型コロナによる物理的な制約があっても、秋葉氏とは予定通り会った。秋葉氏との協議を外相会談より重視したのはなぜか。

「第9回ハイレベル政治対話」。中国は今回の会談をこう呼ぶ。

中国で外交戦略を判断するのは外務省ではなく共産党中央外事工作委員会。その事務局長といえる弁公室主任の楊氏は王毅(ワン・イー)外相よりも格上の政治局員だ。楊氏と日本の安保局長との会談を「ハイレベル政治対話」と位置づける。

中国は安倍晋三政権だった2015年ごろ、安保局長を首相へ確実にメッセージを伝えられるパイプだと判断したという。内閣改造で交代の可能性がある外相よりも安定した関係を築きやすいとも考えた。

16年以降、習近平(シー・ジンピン)国家主席との首脳会談はおおむねその3カ月前以内に安保局長と楊氏が会って下準備をしてきた。

今回の協議についても両国は首脳同士の対話を議題にしたことを示唆する。中国側の発表資料に「対話と意思疎通を継続する」、日本側に「重層的な意思疎通の重要性で一致」との表現がある。

林芳正外相は19日の日本経済新聞とのインタビューで会談実現に向け「具体的に検討する」と語った。

「我々の最優先事項は党大会の成功だ。そのための対米関係を考えるなかで日本とどう付き合うかを判断する」。中国で対日政策にかかわる共産党員は語る。

習氏の総書記3期目がかかる党大会を秋に控え、中国側は対外関係を安定させたい。その際に日本が台湾問題でどこまで米国と歩調を合わせるつもりかを確認する必要があるという。

日中は9月末に国交正常化50年を迎える。習氏は両国関係を安定させる節目として重視する発言をしてきた。一方で、中国側には党大会前に日本と接触した後、日本が台湾支持で突出した動きをされては困るという不安もある。

中国にとって日本は接近しすぎれば強硬派や世論から突き上げを受ける国だ。日本との対話を志向しつつ、疑念も抱える結果が、握手や国旗のない写真に表れた。これまで楊氏と安保局長の会談の多くは国旗を背に握手する写真を撮ってきた。

日本側にも安倍晋三元首相が死去した後、岸田文雄首相が対中政策を緩めないか警戒する声がある。お互いに相手国への世論を警戒する状況だ。

国交正常化50年というタイミングは首脳が対話するきっかけの一つになり得るものの、実現に向けた機運が高まっているわけではない。

新型コロナも調整を難しくする一因になる。習氏は新型コロナの感染が拡大した20年1月以降、一度も海外に出ていない。感染防止のためとされる。

海外訪問の解禁は党大会が終わった後、11月にインドネシアで開く20カ国・地域首脳会議(G20サミット)への出席になるとの見方がある。

日中の首脳対話を巡って時期を急ぐならオンライン形式、そうでなければ第三国でという案が浮上するゆえんだ。いずれも両国の内政状況や台湾情勢と連動した調整になる。(永井央紀)

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