台湾有事に3つの穴 日本の事態認定、遅れる懸念

台湾有事に3つの穴 日本の事態認定、遅れる懸念
米軍の関与・自衛隊の体制・邦人保護
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA166WG0W2A810C2000000/

 ※ 「邦人」って、どこの邦人?

 ※ 『台湾にはおよそ2万4千人の日本人がいる。』…。

 ※ それだけじゃ無いだろ?
 
 ※ 中国本土には、10万人、韓国には4万人の邦人がいる…。

 ※ 先島諸島には、約10万人の「国民」が居住している…。

 ※ どーすんだろね…。

 ※ まあ、「一気に事態が悪化して、有事に突入する」という事態が起こらないことを、祈るよ…。

 ※ 何らかの「兆候」をいち早くキャッチして、とっとと避難した者が勝ち…、ということだな…。「逃げ遅れた者たち」は、喰われてしまう…、ということだ…。

『中国による台湾周辺での軍事演習が続く。日本の排他的経済水域(EEZ)に弾道ミサイルが初めて落下し台湾有事の切迫度は高まった。偶発リスクへの対応を強化する日本政府にとって備えは時間との戦いになる。

中国の軍事演習は米国のペロシ下院議長の台湾訪問に端を発した。4日以降も継続し、15日には米議員団が台湾で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談した対抗措置として実行した。

中国の戦闘機は台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を3日以降連日で越えた。一連の行動は日本にも台湾有事の影響が及びかねない現実を突きつける。

米軍は2027年までに中国が台湾に侵攻すると分析してきた。中国は米国の台湾への関与に反発しており、侵攻の時期が早まる懸念も取り沙汰される。

日本の台湾有事への備えには今のところ3つの穴が浮かぶ。

事態認定、米軍の関与が左右

1つ目は事態認定と米軍の関与の問題だ。仮に台湾が中国から攻撃を受けても、日本の現状の法体系では独自の軍事的な支援は難しい。政府は現時点で「客観的、合理的に判断する」とだけ説明している。

日本の集団的自衛権の行使が認められるのは「密接な関係にある他国への武力攻撃が発生した場合」という「存立危機事態」に限られる。

日本には1972年に中国と国交を結び台湾と断交した経緯がある。台湾を「国」とは認めていない。台湾が攻撃を受けても日本の存立危機事態には定義できない可能性が残る。

実際に集団的自衛権を行使するかには様々な条件がある。具体的には台湾有事に米軍が関与し、そのうえで存立危機事態が認められて初めて自衛隊の武力行使に至る。日本が先に有事に巻き込まれる恐れもある。

沖縄県・与那国島から台湾はおよそ110キロの距離だ。

台湾で衝突が起これば与那国島を含む先島諸島なども戦域に入る状況が想定され、日本は独自の対応を迫られる。物理的ではないサイバー攻撃など「グレーゾーン」だと事態認定が追いつかない懸念もある。

日本戦略研究フォーラムの台湾有事を想定した机上訓練の様子(7日、東京都新宿区)
自衛隊の体制、南西諸島は「空白地帯」

2つ目の穴は自衛隊の体制だ。台湾から近い南西諸島は「防衛力の空白地帯」と呼ばれる。これまで自衛隊の拠点整備が遅れていたエリアだ。台湾有事では中国による攻撃の影響を受ける可能性があり、防衛体制の構築が急務になる。

陸上自衛隊は沖縄県の与那国島や宮古島に駐屯地をつくり、石垣島にはミサイル部隊の配備をめざす。米軍が日本を守る状況が整うまで自衛隊が独自に対抗する「継戦能力」も十分に確保されていると言い難い。

弾薬は南西諸島の防衛に必要な2カ月分しか貯蔵がない。その7割は北海道にある。南西方面で即応できる配置にはなっておらず、相手の航空機や巡航ミサイルを迎え撃つ長射程のミサイルやイージス艦の導入計画も途上にある。

邦人保護、台湾有事想定の計画に遅れ

3つ目に邦人保護の問題がある。台湾にはおよそ2万4千人の日本人がいる。政府は朝鮮半島情勢の悪化を想定し、韓国からの非戦闘員退避活動(NEO)についてシミュレーションを重ねてきた。台湾有事の計画策定はできていない。

林芳正外相は19日の日本経済新聞とのインタビューで「退避が必要な様々な状況を想定し、必要な準備・検討をしている」と語った。

自衛隊法84条は在外邦人の保護を巡り、「当該外国の同意」を前提に自衛隊が海外で邦人保護活動をすると定める。空港や港湾施設を使った退避を見込み、日本政府と台湾当局で事前に擦り合わせる必要がある。

先島諸島の住民も避難が必要になる場合がある。沖縄本島や九州への退避が想定されるものの、10万人ほどの住民をいちどに避難させるのは難しい。保護シェルターの整備も課題だ。

ロシアによるウクライナ侵攻で生じた難民受け入れの問題もある。国か地域かに限らず同じ基準で審査するため、制度上は台湾から難民を受け入れられる。

政府は従来の難民認定とは別に、紛争地から逃げてくる人を「準難民」として受け入れるため法整備の検討を進める。

Twitterで最新情報を発信

政治・外交 最新情報はこちら https://twitter.com/nikkeiseijibu/?n_cid=MCH998

多様な観点からニュースを考える https://www.nikkei.com/politics/?n_cid=MCH999

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

木村幹のアバター
木村幹
神戸大学大学院国際協力研究科 教授
コメントメニュー

別の視点

台湾問題の難しさの一つは、その重要性が関係国にとって大きく異なる事。中国の脅威を前にして、安全保障上の協力が求められる日韓両国ですが、台湾有事がそのまま自らの安全保障を巡る問題に直結する日本とは異なり、韓国では南シナ海の問題等とを巡る「遠い問題」という認識が存在し、その動きは遅くなり、また関与を避けようとする動きも生まれてきます。ロシアの脅威を巡る問題についても、北方領土問題を抱え、直接境界を接する日本と、北朝鮮を間に挟み危機感の薄い韓国との違いは大きく、こうした地政学的な配置は、両国の安全保障上の協力関係にも影響を与えそうです。「グローバル中枢国家」を標榜する尹錫悦政権としても正念場です。
2022年8月21日 17:29

川島真のアバター
川島真
東京大学大学院総合文化研究科 教授
コメントメニュー

別の視点

台湾有事を想定した取り組みは喫緊の課題。今回の中国の演習で中国のミサイルが日本のEEZ(中国政府は否定)に落ちたように、日本もまた「当事者」だと中国は考えている。日本が蔡英文政権を支えていると見ているからだ。そのため、南西諸島への「影響」だけでなく、「台湾有事」に際して尖閣諸島周辺での中国軍、海警、海上民兵の活動、日本本土へのサイバー攻撃、ウェブサイトの乗っ取り、フェイクニュース攻撃なども考慮に入れ、総合的な対処法を検討すべきだ。日本社会全体へのフェイクニュース攻撃などに対しどの機関が真偽を確かめて社会に示すのか。官庁のウェブサイトは大丈夫か。「台湾有事」対策の穴は三つだけではないだろう。
2022年8月21日 9:12 (2022年8月21日 9:48更新) 』