ロシア、中国からの輸入が急回復 人民元決済拡大で

ロシア、中国からの輸入が急回復 人民元決済拡大で
7月、自動車4割増 一般機械は2割増
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM210C20R20C22A8000000/

 ※ 徐々に「グローバル経済」は、死んで行き、「ブロック経済圏」の方向に向かいつつあるように感じるのは、オレだけか?

『【北京=川手伊織】ロシアが中国からの輸入を急回復させている。中国側の統計によると、米欧の制裁で3月から前年同月を下回り続けたが、7月に増加に転じた。主力の一般機械や自動車が2~4割増えた。海外での人民元決済額で、ロシアは世界3位に入るほど元決済を増やしている。ロシアの資本財や日用品の調達でも米欧の制裁効果が薄れる恐れがある。

中国税関総署によると、7月の対ロ輸出は2割伸びた。20日に明らかになった品目別の輸出動向をみると、全体の2割を占める一般機械などが20%、1割弱を占める輸送機械が43%増えた。いずれも3月以来のプラスとなった。

化学製品とゴム製品もそれぞれ前年同月の3倍、2倍となった。いずれも輸出全体に占める割合は1割前後ある。原材料の価格が高騰した分を転嫁する動きが輸出額を押し上げたとみられる。

主要製品は6月と比べても大幅に増えた。伊藤忠総研が季節要因をならして試算したところ、パソコンなど一般機械は44%、自動車部品など輸送機械は33%、スマートフォンなど電気機械は32%それぞれ増えた。いずれも4~6月は前期から3~4割減少していた。

中国の対ロ輸出が6月まで減少し続けたのは、ウクライナに侵攻したロシアへの制裁を米欧が強めたためだ。ロシアがドルやユーロの決済網から締め出され、決済が滞ったとみられる。

増加に転じた要因として、伊藤忠総研の玉井芳野・客員研究員は「上海市が5月末まで続けたロックダウン(都市封鎖)の悪影響が和らいだことに加え、ロシアによる人民元決済の拡大が支えとなっている」と分析する。

銀行間の国際的な決済ネットワークである国際銀行間通信協会(SWIFT)が調べた中国大陸以外での元決済の比率をみると、ロシアは7月に3.9%を占めた。香港(71%)、英国(6%)に次ぐシェアとなった。

ロシアは3月まではSWIFTが公表する上位15カ国・地域に入らず、12番目だった4月と比べても3.3ポイント高い。米欧の制裁を逃れるため、元決済を急速に増やしていることが分かる。

資源輸出や資本規制でルーブル相場が安定していることも理由の一つだ。丸紅中国の鈴木貴元・経済調査総監は「外国為替市場の安定でロシアの購買力が戻り、生活必需品や軍用品に関わる需要が増加している」と指摘する。米欧など制裁参加国からの輸入が難しいなか、上海市の封鎖解除で供給力が回復した中国から調達を増やした構図だ。

対ロ制裁を続ける米国は中国への懸念を強めている。ロイター通信によると、レモンド米商務長官は6月末の講演で「(中国の半導体受託生産最大手である)中芯国際集成電路製造(SMIC)など中国メーカーがロシアに半導体を売っていると分かれば、閉鎖に追い込む」と強調した。

ロシアは半導体の供給で中国に依存してきた。2020年には半導体の6割近くを中国から調達した。22年もウクライナ侵攻開始後の4~6月は毎月、中国からの集積回路の輸入額が前年同月の3~4倍に増えた。ただレモンド氏の警告後の7月は伸びが2割まで鈍った。中国企業も米国の輸出管理強化などで2次制裁を受けるリスクを警戒しているとみられる。

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白井さゆり
慶應義塾大学総合政策学部 教授
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ひとこと解説

ロシア中央銀行は、中銀発行デジタル通貨(CBDC)としてデジタルルーブルの開発を進めており、2024年に全てのロシア系銀行がリンクできるようにする計画を発表した。西側の制裁により大半のロシア系銀行がSWIFTから除外され、ドルなど国際通貨を使った金融取引が禁止されたため、制裁を迂回するためだ。中国のデジタル人民元や友好国のCBDCともリンクさせる計画だ。現在、中国、香港、タイ、UAEがm—CBDCブリッジ・プロジェクト下で、各自CBDCを発行しリンクさせる実験をしており、ここにリンクする可能性がある。米ドルの優位性は変わらないが、ドルの独走を崩したい国で新しい決済システムが進むのか注目する。
2022年8月21日 20:28 』