ラトビア外相、中国の経済枠組みから脱退「最良の判断」

ラトビア外相、中国の経済枠組みから脱退「最良の判断」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1769R0X10C22A8000000/

『【イスタンブール=木寺もも子】バルト3国のラトビアのリンケービッチ外相はこのほど日本経済新聞の取材に応じ、中東欧など16カ国と中国でつくる「16+1」から脱退表明したのは、対中経済関係より西側諸国の経済枠組みを優先することが「最良と判断した」ためと明らかにした。

ラトビアは11日、隣国エストニアと共に、中東欧など16カ国と中国でつくる「16+1」から脱退すると表明した。

訪問先のトルコで取材に応じたリンケービッチ氏は「しばらく前から枠組みの効果を検討してきた」と明らかにしたうえで「(西側諸国が中心の)経済協力開発機構(OECD)諸国との関係に注力するのが最良と判断した」と説明した。

2012年に発足した「16+1」は中国の広域経済圏構想「一帯一路」の欧州への足がかり。最も多いときには欧州17カ国が参加したが、投資が欧州側の期待通りでなく失速感が出ていた。21年にはリトアニアが脱退し、台湾との関係を強化した。

リンケービッチ氏はロシアのウクライナ侵攻が脱退判断に影響したとも認めた。国連安全保障理事会の常任理事国である中国がロシアを非難しないことを問題視し「物事の見方が違うのは明らかだ」と述べた。今後の対中関係は「民主主義や人権などの原則に基づく」ものになるとした。

ラトビアは旧ソ連の構成国で、人口の4分の1をロシア系が占める。ウクライナ侵攻後はロシア人への観光ビザ発給を停止し、欧州連合(EU)全体でも停止すべきだと主張する反ロの急先鋒(せんぽう)だ。

ビザの一律停止にはドイツなどで慎重論が強いが、リンケービッチ氏は①ロシア国民が侵攻の代償を認識する②観光客に紛れて工作員などが入域するリスク③倫理――などを理由に挙げ、ビザ発給停止を訴えた。侵攻は「『プーチンの戦争』ではなく『ロシアの戦争』だ」とも強調した。

ラトビアは23年からロシア産ガスの輸入を禁止すると決め、ロシア国営ガスのガスプロムは7月、ラトビアへの供給を一時止めた。リンケービッチ氏は「今冬(のエネルギー事情)はとても厳しいものになる」と認める一方、「人々はロシアに資金を流すことを望んでいない」と強調した。

代替エネルギーとしてノルウェーやカタール産の液化天然ガス(LNG)を挙げ「中期的には国がLNGの(受け入れ)設備を建設する必要がある」と述べた。

訪問したトルコでは外相会談で防衛装備品の協力などを協議した。ドローンや対空防衛システムに加え、ウクライナへの軍事支援で備蓄が減った弾薬の調達などについてトルコを含む複数国と交渉中という。調達した装備品をウクライナに送る可能性は「安全保障上の問題」として言及を避けた。

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