[FT]「嘘は民主主義壊す」チェイニー氏、大統領選に意欲

[FT]「嘘は民主主義壊す」チェイニー氏、大統領選に意欲
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 ※ 諸般の事情により、今日は、こんなところで…。

 ※ こっちはこっちで、「分断」の力学が作用し、「統合」の方向には、さっぱり向かわない気配だ…。

『米中間選挙に向けた共和党の西部ワイオミング州予備選でトランプ前大統領の支援する候補に敗れたリズ・チェイニー下院議員は、2024年の大統領選出馬を検討する意向を表明した。

8月16日、父親のディック・チェイニー氏とワイオミング州共和党中間選挙予備選の投票所に現れたリズ・チェイニー氏=AP

ブッシュ(第43代)政権で副大統領を務めたディック・チェイニー氏の長女である同氏は、17年からワイオミング州選出の下院議員を務めてきた。だが保守色の強い同州の共和党員は、議会でトランプ氏批判の急先鋒(せんぽう)となったチェイニー氏に懲罰を与えた。

トランプ氏の弾劾決議の際、チェイニー氏は共和党の方針に反して賛成に回った。今年、21年1月6日の連邦議会占拠事件を調査する下院特別委員会の副委員長に就任したことで、再選の可能性は一段と遠のいていた。

大統領選立候補の可能性、数カ月で決断

チェイニー氏は24年の大統領選に立候補する可能性を検討すると表明した。17日にNBCテレビのインタビューで「検討している。数カ月のうちに決める」と語った。

16日の予備選で敗北した後、同氏は、(前回勝利した時のように)勝とうと思えば勝てたが、そのためには20年の大統領選についてトランプ氏が主張する(選挙結果が民主党に盗まれたという)陰謀論に同調する必要があったと述べた。「米合衆国は、全候補者が選挙結果を受け入れる善意の上に成り立っている」と語った。

チェイニー氏は、リンカーンが第16代大統領に選ばれる前に議会選で敗れた事例を挙げつつ、共和党の「主要な部分」が連邦議会占拠事件の犯人を支持していると批判した。米連邦捜査局(FBI)によるトランプ氏邸宅の家宅捜索について誤った主張が広まっていることも非難した。「悪質な嘘が自由な国家を壊す」と同氏は語り、「ここで自由が死してはならない。(自由は)死ねないし、死ぬことはない」と続けた。

11月の中間選挙に向けた予備選のなかで最も遅いタイミングで実施されるワイオミング州とアラスカ州の選挙が16日に終了した。南部フロリダ州にあるトランプ氏の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で家宅捜索が行われ、機密文書の扱いを巡る捜査が始まった後だけに、(捜索開始後)トランプ氏が共和党員に対してどれだけの影響力を維持しているかの試金石となった。

アラスカ州では、親トランプ派のサラ・ペイリン元副大統領候補が下院で同州に割り当てられた1議席を争うと同時に、穏健派とされる現職のリサ・マーカウスキー上院議員が11月の中間選挙で再選を目指すことになった。

アラスカ州選出のドン・ヤング下院議員の死去を受けた補欠選挙も併せて16日に行われ、やはりペイリン氏が立候補しているが、最終的な結果はまだ判明していない。投票者が候補者に順位を付ける投票方法が採用されており、集計が終わるまでに長ければ数週間かかる可能性がある。

トランプ氏を公然と批判する共和党の候補は軒並み、同党予備選で苦戦した。連邦議会占拠事件を受けてトランプ氏の弾劾決議で賛成票を投じた南部サウスカロライナ州のトム・ライス下院議員、西部ワシントン州ハイメ・ヘレラ・ボイトラー下院議員、中西部ミシガン州のピーター・マイヤー下院議員はいずれも、トランプ氏の後ろ盾を得た対立候補に敗れた。弾劾決議に賛成した他の共和党下院議員のうち、4人は再選を諦め、2人だけが予備選で勝ち残った。

ワイオミング州の予備選前に行われた世論調査の段階から、トランプ氏の支援を受けたハリエット・ヘイグマン氏がチェイニー氏の支持率に30ポイント近い大差をつけてリードしていた。チェイニー氏にとっては、そもそも勝利を想像することも難しい状況だった。

「闘いが始まる日」

チェイニー氏は自ら投票に出向いた16日、「今回の結果がどうなろうとも、今日はこれから続いていく闘いが始まる日であることに間違いない」とCBSテレビに語った。

「われわれは今、民主主義が攻撃され、深刻な脅威にさらされる時期に直面している。自由を信奉し、憲法とこの国の将来を大切に思う共和党員、民主党員、独立系陣営には、その大切な民主主義を党派より優先する義務がある」

チェイニー氏を破ったヘイグマン氏は、20年の大統領選結果が正しくなかったというトランプ氏の主張に同調し、前大統領を擁護してきた。マール・ア・ラーゴの家宅捜索も「政治的迫害」だとしている。

「FBIが前大統領をこのように扱えるならば、私たちのことは一体どう扱うだろうか、考えてみてほしい。エリート自身のためのものと、政敵のためのもの、2種類の司法制度が同時に存在している」とヘイグマン氏はツイートした。

チェイニー氏の敗北が確定する前から、トランプ氏とその支持者たちは楽観的だった。トランプ氏の広報担当者のテイラー・バドウィッチ氏は、トランプ氏が踊っている動画に「バイバイ、リズ・チェイニー」とコメントを付けてツイッターに投稿した。

ドン・キホーテのような訴え

チェイニー氏は「自党のメンバーがFBI捜査官の品位をおとしめているのは恥ずべきことだ」と話し、FBIを攻撃するコメントは「国を愛する公務員の生命を危険にさらす」と批判した。

最も注目すべきは、彼女がワイオミング州の共和党員への最後の訴えで、まるでドン・キホーテのように、20年の大統領選挙に関する親トランプ派の「大嘘」を否定すべきだと訴えたことだ。

チェイニー氏はツイッターに投稿した動画で「真実を放棄すれば米国は自由でいられない。20年の大統領選で不正が行われたという嘘は悪質だ。自分たちの国を愛する人々が犠牲になる」と訴えた。

24年の大統領選を目指すにせよ、チェイニー氏は、共和党の指名獲得争いで厳しい闘いを迫られるのは必至だ。指名を得るには、保守的な有権者がトランプ氏とトランプ主義に背を向ける必要があるためだ。

チェイニー氏はこれまでに、連邦議会占拠事件を調査する下院特別委員会の副委員長として、トランプ氏が同事件に関連して法に抵触したことを示す証拠が増えており、訴追すべき根拠が強まっていると発言している。

By James Politi

(2022年8月17日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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今村卓
丸紅 執行役員 経済研究所長
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分析・考察

チェイニー氏の予備選での敗北に驚きは感じませんが、惨敗ぶりに共和党の変質を強く認識させられました。同党のエスタブリッシュメントの想定以上の弱体化です。
中間選挙では共和党が下院の多数派を奪還するでしょうが、同党議員の多くはトランプ派、20年大統領選の結果を否定し、民主主義や法の支配を必ずしも尊重しない「ミニ・トランプ」的な議員が増えると思います。
24年大統領選の共和党予備選もトランプ氏対チェイニー氏の構図になれば、権威主義と民主主義の戦いとなる可能性も否めません。その場合、米国だけでなく民主主義の価値観を共有する日本など同盟国にとっても深刻な問題になる恐れがあると思います。
2022年8月19日 20:26 』