金与正氏、韓国の支援「相手にせず」と談話

金与正氏、韓国の支援「相手にせず」と談話
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM192NF0Z10C22A8000000/

 ※ こういう南北の、「蜜月」「確執」のあり様(よう)も、5年周期で繰り返される…。

『【ソウル=甲原潤之介】北朝鮮が韓国への対立姿勢を強めている。金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は19日、韓国の支援を「絶対に相手にしない」という内容の談話を北朝鮮メディアを通じ発表した。韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による15日の演説を批判した。尹氏が演説で触れた「大胆な構想」は「愚かさの極致だ」と決めつけた。

尹氏は演説で、北朝鮮に向け「実質的な非核化に転換するなら、北朝鮮の経済を画期的に改善できる大胆な構想を提案する」と語った。具体的な支援項目として、食料、発送電インフラ、港湾、空港、農業、医療、金融をあげていた。

これに対し、金与正氏は談話で「荒唐無稽な言葉だ」と切り捨てた。尹氏が北朝鮮の非核化を支援の条件とした点は「誤った前提だ」と否定した。核を「我々の国体」と呼び「核を経済協力のようなものと換えるという発想が尹錫悦の夢であり構想ならば幼稚だ」と、こき下ろした。

「どうか、ちょっとお互いに意識しないでほしいというのが願いだ。我々は尹錫悦という人間自体が嫌いだ」と突き放した。

この金与正氏の談話について、韓国大統領府は19日「大変遺憾だ」とコメントした。

韓国統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北朝鮮研究室長は「『大胆な構想』は北朝鮮が受け入れるかどうかが重要だ。金与正氏の談話には、この構想自体を無力化し、南北関係の主導権を握り、韓国をゆさぶろうとする意図がある」と指摘する。

韓国は22日から米国との合同軍事演習を控える。尹政権は北朝鮮に対話を呼びかける一方、米国との同盟強化は進める考えだ。北朝鮮との融和を重視し、米国と距離を置いた文在寅(ムン・ジェイン)前政権とは一線を画す。

金与正氏は談話で、17日に北朝鮮が黄海に向けて発射した巡航ミサイルにも言及した。発射地点は韓国が発表した北朝鮮の平安南道温泉一帯でなく、安州市の「クムソン橋」だったと主張したうえで、「なぜ(韓国側は)発射地点ひとつも、まともに明らかにできないか」とやゆした。

【関連記事】

・金与正氏「対決なら核使用」 韓国をまた威嚇
・金与正氏、韓国国防相に警告 「先制打撃発言」に反発 

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

おそらくユン大統領も、北朝鮮がまともに取り合うことはないという前提で喋っているのだろうから、この反応は驚くことではないが、どのような言葉を使って反応するのか、どういう点に反応するのかを見極めたいということなのだろう。しかし、金与正の「どうか、ちょっとお互いに意識しないでほしいというのが願いだ。我々は尹錫悦という人間自体が嫌いだ」というセリフは興味深い。個人的な好き嫌いの話を、女性である金与正に語らせている意図はどこにあるのだろうか。それとも本当に嫌いなだけなんだろうか。
2022年8月19日 19:09
峯岸博のアバター
峯岸博
日本経済新聞社 編集委員・論説委員
コメントメニュー

ひとこと解説

北朝鮮が支援の呼びかけを受け入れないのは尹錫悦政権には織り込み済みでしょう。韓国新政権の人事や政策をみても北朝鮮と真剣に歩み寄ろうという意思は感じられず、当面は対立しても構わないと割りきっているようにさえみえます。5月の就任演説に続いて北朝鮮支援に言及したのも、韓国国民の幅広い支持を得るための「国内向け」の色彩が強いとみるべきでしょう。一方の北朝鮮は絶対権力者の妹が韓国批判の最前線に立つのは文在寅政権時代から変わりません。革新派から保守派が政権を奪った李明博政権時代の2010年のように北朝鮮が局地的に紛争をしかけて朝鮮半島が緊迫するリスクが高まっています。
2022年8月19日 17:54 』