記者も狙われた、ロシアのスパイ120人が日本潜入 手口を徹底解説

記者も狙われた、ロシアのスパイ120人が日本潜入 手口を徹底解説
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00372/081800010/?n_cid=nbpds_top3

『吉野 次郎

日経ビジネス記者

警視庁は先ごろ、ロシアのスパイとみられる人物がハイテク企業周辺の路上で社員に声をかけているとして、各社に注意を促した。飲み友達になるなどして社員を手なずけ、最終的に社外秘の資料を持ち出させる。そんな巧みな人心掌握術を身につけるロシアのスパイらが日本各地で暗躍する。彼らを監視していた警視庁OBによると総勢約120人に上る精鋭たちである。

日本を舞台に太平洋戦争直前まで暗躍していたソ連の伝説的スパイ、リヒャルト・ゾルゲのいわば後輩たちだ。先輩から後輩へと受け継がれたたらし込みのテクニックを知ることが、身を守る第一歩となる。警察に逮捕され、「スパイの協力者」の汚名を着せられてからでは遅い。

実は記者もスパイから接触を受けていた。

 「あの人たちはのんびりしていて気持ちよさそうだね」

 東京・港区虎ノ門を歩いていた記者に、スーツ姿の見知らぬ白人男性が、英語で気さくに話しかけてきたのはある秋の日のことであった。

 ベンチで日なたぼっこする人々に視線を向けながら、季節についてとりとめもない話を振ってきた後、「申し遅れました。私はイワン・クラコフスキー(仮名)。『ワーニャ』と、愛称で呼んでほしい」と言って、旧共産国の駐在武官だと記された名刺を差し出した。
記者は路上で見知らぬ白人男性から話しかけられた。写真はイメージ(写真:アフロ)

 この旧共産国では、駐在武官のポストが軍諜報(ちょうほう)部門の「指定席」になっていることは知っていた。このためワーニャが軍所属のスパイであろうことは、すぐに察しがついた。

 そのころ記者は、サイバー防衛政策に影響力を持つ自民党の国防族などを取材していた。旧共産国のスパイが興味を持ちそうな内容の署名記事が多かっただけに、ワーニャが記者の身元を分かっていた上で、偶然を装って話しかけてきた可能性もあると感じた。

 そんな直感はおくびにも出さないまま記者も名刺を渡し、世間話に付き合ってみた。雑誌記者という職業に興味津々の、来日間もない駐在武官を演じるワーニャは、一通り話し終えてもまだ話し足りないそぶりで、再会を提案してきた。

銀座でスパイと腹の探り合い

 数日後、銀座の日本料理店で再会したワーニャは、会話の端々で記者の暮らしぶりについて探りを入れてきた。

 「あなたが今住んでいる家の家賃はいくらくらいですか?」「支払いに苦労していませんか?」

 ワーニャ自身は高級住宅に住んでおり、自由に使える資金が豊富にあるという。記者からカネで情報を買う意思があることを、それとなく伝えてきているようだった。

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吉野次郎の新ニホン論

ありきたりの正論や定説にとらわれていないか。慣れ親しんだバイアスを捨て去り、この国が抱える様々な…(※ 無料は、ここまで。)
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