中国計画停電、日本企業に影 トヨタなどの工場休止

中国計画停電、日本企業に影 トヨタなどの工場休止
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『猛暑による電力需要の急増で中国の現地政府が計画停電を実施し、進出する日本企業が相次ぎ工場の稼働を停止している。内陸部の四川省成都市でトヨタ自動車が完成車生産を止めたほか、重慶市ではパナソニックやデンソーも工場の稼働を休止した。小売業も時短営業や照明を落とすなど節電対応に追われた。

重慶市は15~24日まで、成都市は15~20日までの稼働停止を企業に命じた。工場が立地する場所や取引先によって計画停電の内容は異なるが、中国に進出する日系企業が対応に追われている。トヨタ自動車は成都にある中国企業との合弁工場で主力セダンなどを生産しているが、地元当局の要請を受けて15日から稼働を止めた。

自動車やパソコンなどの工場が集積する重慶でも同様の動きが相次いでいる。パナソニックは17日から部材工場の稼働を休止した。再開時期などについては「今後も当局の指示に従っていく」(同社)とする。デンソーは15日から、一部の部品工場で生産を休止した。顧客への供給は続ける。「供給先の稼働状況などを踏まえて再開時期を検討したい」(同社)という。

汎用エンジンなどを生産する工場を持つホンダは21日まで夏季休暇で稼働休止を予定するが、同日以降は「政府指示や電力状況を踏まえて判断する」と停止継続も視野に入れる。

メーカー以外にも影響が広がる。セブン&アイ・ホールディングス傘下のイトーヨーカ堂は、節電要請を受け成都の店舗で店内照明を通常の3分の1にしたり、エアコンの設定温度を26度から28度に変更したりするなどの対応に追われた。市中心部に近い店には一段の節電要請が出ており追加対応も検討中だ。
成都市内のイトーヨーカドーは照明を落とすなど節電をして営業している

三越伊勢丹ホールディングス出資の台湾合弁会社などが運営する商業施設「新光天地」は18日から、重慶店と成都店で通常は午前10時の開店時間を1時間遅らせ、閉店時間も通常の午後10時から30分~1時間早める時短営業に踏み切った。

四川省と重慶に約700店あるローソンは、冷房を夏期は通常25度設定を推奨しているのを、節電要請を受け26度以上に変更した。

中国では最高気温がセ氏40度を超える日も目立つなど猛暑が続く。エアコンの利用などが増え電力不足に陥るリスクも高まっている。四川省などの現地当局は家庭用電力を確保するため管轄内の工場に生産の一時休止を要請した。

現状では8月下旬には製造業の生産活動が再開する見込みだ。米コンサルティング大手、アリックスパートナーズの鈴木智之マネージングディレクターは「都市封鎖(ロックダウン)と異なり、1週間程度の生産停止であれば大きな影響は出ないだろう」とみる。自動車産業を中心にした供給網の混乱を受け、各社が在庫の積み増しなどで備えているためだ。

一方で、「長期化すればリスクは高まる」とも指摘し、頻繁に起こる中国での電力制限への懸念も示す。

(四川省成都=多部田俊輔、湯前宗太郎、吉田啓悟)

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
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ひとこと解説

今年の猛暑で四川省と重慶の電力不足が日系企業を含め社会経済活動に大きな支障をもたらしている。こうした中で高まっているのは内陸部での原発建設の議論。四川省は地震の発生しやすい地域とも言われている。電力需給逼迫で原子力発電所の建設が加速されるのか。中国に近い日本としても関心を持って注視していくべき問題だ。
2022年8月19日 7:26
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柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
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ひとこと解説

中国では、もともと気温が37度に達すると、工場が生産停止になる決まりがあった。気象台は気温が37度に達しても、37度と発表したがらない。しかし、今年は40度を超える日があって、正しい気温を発表するしかない。一方、電源構成はベースロードの発電所が多い。高温になると、ピークロードの電力供給が足りなくなる。産業用電力を停止することは正しい選択。生活用電力を停電すると、命を落とす人が出てくる。電力供給のベストミックスを再認識する必要がある。日本にとって対岸の火事ではないはずである
2022年8月19日 7:57 』