アジア開発銀行、中国への支援終了検討へ

アジア開発銀行、中国への支援終了検討へ 総裁が表明
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA1855A0Y2A810C2000000/

『アジア開発銀行(ADB)の浅川雅嗣総裁は日本経済新聞のインタビューに答え、中国への新規融資を終える検討を2023年に始めることを明らかにした。世界2位の経済大国になった中国は所得水準が向上した。アジア向け融資も主導し、支援を受ける立場ではないとの見方がある。ADBは中国が借り手でなくなれば、低所得国の支援に注力しやすくなる。

【関連記事】ADB総裁「食料危機に財政支援」 AIIBと協調模索

浅川氏は「(中国が)ADBから卒業できる状況かどうか来年から議論したい」と述べた。対中国の21~25年の融資計画は計70億~75億ドル(約9450億~約1兆円)と、16~20年の90億ドルより少ない。25年を最後に融資をやめるかどうか、23年から検討する。「中国の卒業の議論をするのは初めてだ」と説明した。

ADBは融資対象を、1人当たり国民総所得(GNI)が7455ドル以下、国際資本市場での資金調達が困難、社会保障など開発水準を示す指標が一定以下といった国に絞っている。

中国はGNIと資金調達ですでに基準を外れた。開発水準の指標が適合しているか検証する。浅川氏は「社会保障などの状況は上海と内陸部で違う。きっちり議論したい」と話した。

中国の21年末の融資残高は196億ドルとインドに次ぐ2位。全体の14%を占める。21年の新規融資はインドやパキスタンなどに続く5番目の18億ドルだった。

アジアを中心に68カ国・地域が加盟するADBは日米がともに最大の15.6%、中国は3位の6.4%を出資する。一方で中国はADBと融資対象が重なるアジアインフラ投資銀行(AIIB)を主導する。

アジアのインフラ開発で影響力を強める中国については、「(融資先から)そろそろ卒業すべきだと主張する国もある」(浅川氏)という。

これまでに韓国やシンガポールがADBの融資対象から外れている。ADBの加盟国は出資に応じた投票権があり、支援先選びなどに関与する。

【関連記事】

・[FT]中国、国際機関に貢献しつつ支援受ける異例の存在に
・AIIB、環境投融資「30年までに累計5.7兆円」
・アジア開銀、マニラ本部で総会開催 スリランカは延期

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

柯 隆のアバター
柯 隆
東京財団政策研究所 主席研究員
コメントメニュー

ひとこと解説

ADBができた当初と比較して、今のアジア経済とアジア情勢はまったく異なるものになっている。どういう国を融資対象にするかについては、ルール化したほうがいいのでは。たとえば、一人当たりGDPが1万ドル以上の国は融資対象から外すとか。ただ突発的な自然災害などが起きた場合、個別に対処する。雁行発展してきたアジア諸国の経済の実状を踏まえないといけない
2022年8月19日 8:02 』