[FT]トルコの5~7月の対ロシア輸出が急増 欧米は警戒

[FT]トルコの5~7月の対ロシア輸出が急増 欧米は警戒
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『トルコ通産省と統計局がまとめた輸出統計によると、5~7月期のトルコからロシアへの輸出額は20億4000万ドル(約2750億円)となり、2021年の同じ時期に比べ6億4200万ドル増加した。7月だけで見ると、前年同月の4億1700万ドルから75%増え、7億3000万ドルとなった。

7月の前年同月比の増加額は3億1300万ドルで、増加額としては、トルコの輸出先のどの国よりも大きい額となった。トルコのロシアへの輸出は7月、全体の3.9%を占め、前年同月の2.6%から上昇した。

ロシアが2月後半、ウクライナに全面侵攻した当初、輸出額はいったん落ちたが、その後、急増に転じた。輸出額そのものは比較的少額にとどまっており、エネルギーを主としたロシアからの多大な輸入額に比べるとわずかな規模に見える。ただ、トルコ政府とロシア政府による経済協力強化の交渉で失望した欧米政府高官は、この2国が実際に取引を増やしている証拠を前にいら立ちを募らせているに違いない。

業界団体であるトルコ輸出業者協議会の統計によると、化学製品や青果などの食料品をはじめ、繊維製品、電気製品、家具の輸出がロシアへの輸出額を押し上げた。

欧米の対ロ制裁とは距離を置くトルコ

トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は今月、黒海に面したロシアのリゾート都市ソチで4時間に渡って会談し、エネルギーと貿易の協力拡大で合意した。これを受け欧米政府は、トルコが制裁回避を助けることになれば、同国は報復措置を受ける可能性があると警告した。

北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるトルコは、武装無人機をウクライナに提供する一方で、ロシアとの関係を維持、強化したい意向だ。このため、欧米による制裁措置には調印しておらず、ロシアとウクライナの対立に関して、同国が「均衡が取れた取り組み」と呼ぶ立場を取る方針を示している。

ウクライナ戦争でプーチン大統領を罰することを目的とした対策は採用しないというトルコ政府の立場を欧米政府高官らはおおむね受け入れている。

しかし、2人の欧州連合(EU)高官がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところによると、EU諸国はトルコが対ロシア貿易で潤っていることや、潜在的にトルコが欧州の代わりになってロシアの輸出入を助ける可能性があることについて、不安を募らせているという。EU加盟国政府の中には、ロシア政府との関係について、トルコ政府に情報を求めたところもある。

高官の1人は「この件は注目されている」とし、「EUには良く思われていない。不快だ」と述べた。

通貨安で堅調なトルコの輸出

トルコ通産省の広報担当官は、ロシアとの貿易量について「それほど目立った変化はない」と主張する。追加の詳細を求めた電話には返事がなかった。

インフレが手に負えない状況にあるにもかかわらず、トルコが金融緩和政策を変えないため、トルコリラは今年、対ドルで約25%下落した。トルコ製品が比較的安価であることが、輸出販売増につながった。通産省によると、7月の輸出額は前年同月比で13%増となり、うち対米輸出は25%増の13億2000万ドルだった。

トルコ政府高官の中には、ロシアとのビジネス上の関係強化を喜ぶ向きもある。カライスマイロル運輸インフラ相はツイッター上で、ロシアとの自動車の海上貿易が過去3カ月間、今年1~4月期に比べて58%跳ね上がったことについて、海の回廊の開発における「トルコのリーダーシップ」を示していると強調した。

ロシアのウクライナ侵攻以来、EUにより科されている対ロシア制裁は、7つのパッケージから成っており、高性能のエレクトロニクスやソフトウエアといった最先端技術や、ある種の機械や輸送機器、さらに石油精製やエネルギー、航空・宇宙産業で使われる物品や技術の輸出禁止が含まれている。

欧米政府高官の何人かは、トルコ政府が、西側企業のロシアからの撤退をトルコ企業のロシア参入の機会だと考えていることに警戒感を示す。過去にトルコ政府高官や経済人がこうした考えを口にしている。

トルコのロシアとの関係強化に欧州は不快感

欧州委員会のピーター・スタノ広報官は「ロシアのウクライナ侵攻への対応として、欧州委員会が共同でロシアとの関係を縮小している時に、ロシア政府とのつながりや関与を強めるのは適切ではない」との考えを示した。

しかし、トルコは強大で影響力のあるNATO加盟国であるのに加え、400万人近くに及ぶシリア難民を抱えるという役割を果たしているため、潜在的にトルコに対して報復行動を取ることは難しい。

エルドアン大統領にプーチン大統領との交渉力があることは貴重であることを欧米は認めている。エルドアン大統領が国連とともに仲介することで、ウクライナの穀物の海上輸送再開を認めさせた最近の取り組みが良い例だ。

慎重を期する問題であるために匿名を希望したある欧州の高官は「何らかの理由で、EUの誰もがトルコを必要としている」とし、「トルコの能力を理解しなくてはいけない。単純にエルドアン大統領に我々の規則を守れとは言えない」と語った。

By Eir Nolsoe, Laura Pitel, Ayla Jean Yackley, Funja Guler and Henry Foy

(2022年8月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

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