中国海警局トップ、海軍幹部に昇格

中国海警局トップ、海軍幹部に昇格 台湾・尖閣に圧力
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『【北京=羽田野主】沖縄県・尖閣諸島周辺の領海侵入をくり返している中国海警局のトップを務めた王仲才氏が中国人民解放軍で台湾や尖閣方面を担当する東部戦区の海軍司令官に昇格したことがわかった。海警局の運用を熟知する王氏の海軍幹部への起用で一体化が進み、尖閣や台湾の周辺海域で軍事的な圧力が強まる可能性がある。

中国メディアによると、王氏は7月29日に東部戦区海軍司令官として浙江省寧波市の地元民との座談会に出席した。習近平(シー・ジンピン)指導部はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し8月4日から10日まで台湾周辺で大規模な軍事演習をした。軍関係者によると王氏は海軍の演習を指揮した。

中国初の空母「遼寧」で作戦行動の承認権も持つ政治委員を務めた梅文氏も東部戦区海軍政治委員に昇級した。政治委員は司令官とほぼ同格とされる重要ポスト。習指導部は台湾統一を掲げ、尖閣諸島も「中国固有の領土」と主張している。

防衛研究所の杉浦康之・中国研究室主任研究官は「最も緊迫した地域にエース級の人材を投入してきた。将来は台湾周辺で空母の運用を視野に入れているのではないか」と指摘する。

王氏は海軍出身で、2018年6月に海警局トップに就いた。海警局は18年に軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の指揮を受ける人民武装警察部隊(武警)の傘下に入った。21年には外国に不法侵害を受けたと判断した場合に海警局の船に武器使用を認める海警法の施行に伴い、組織が強化された。海警局は王氏のもとで体制の充実を進めてきた。

習氏が王氏を東部戦区海軍司令官に抜てきしたのは、軍と海警局の運用の一体化を加速する狙いとみられる。中国海軍は今年に入り、近海防御用の艦艇であるコルベット艦「056型」20隻を海警局に移管した。

尖閣諸島周辺への圧力も高まりそうだ。2021年末時点で、海警局に所属する満載排水量1000トン級以上の船は132隻で、海上保安庁の巡視船(70隻)の2倍近くある。この差はさらに開く見通し。大口径の砲を装備した1万トン級の海警局の船も尖閣周辺水域に現れている。

7月には海警局の船の連続領海侵入時間は64時間17分となり、12年の尖閣国有化以降で最も長くなった。ほぼ同じタイミングで中国海軍とロシア海軍のフリゲート艦各1隻が相次いで尖閣諸島周辺の領海のすぐ外側にある接続水域に入った。

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