サハリン2の新会社、同じ契約条件提示

サハリン2の新会社、同じ契約条件提示 一部電力会社に
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『ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡り、事業を移管するロシアの新会社が日本の一部電力会社などに、従来と同様の契約条件を提示していることが17日分かった。サハリン2からの液化天然ガス(LNG)の日本企業の購入価格や調達量などの条件について、新しい運営会社が旧会社の時と同じ内容になると提示したようだ。

新会社は5日付でロシア国内に設立された。サハリン2からLNGを購入する一部の顧客に対し、調達先を新会社に変更する旨の通知が届いた。その中で取引条件も従来と同じものが書かれているとみられる。

ウクライナ危機で世界でガス価格が高騰する中、サハリン2からの調達価格は相対的に安い。供給が途絶えてスポット取引で調達するとコスト増になる。国内では広島ガスが調達分の約5割をサハリン2に頼る。九州電力と東邦ガスは約2割、東北電力と東京ガス、西部ガスホールディングス(HD)は約1割を依存している。

経済産業省も現段階で日本企業の調達契約は従来通りとみており、日本側から契約を打ち切るような動きはないという。

LNGを今後も安定的に確保できるよう政府は新しい運営会社に引き続き関与し、権益を維持するよう日本企業に求めている。旧運営会社のサハリンエナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資している。

西村康稔経産相は17日、三菱商事の中西勝也社長と経産省で面会した。新しい運営法人に引き続き出資することを前向きに検討するよう要請した。同社は政府の意向をふまえて検討すると伝えたという。

西村氏は17日、「現時点で契約を困難にさせる新たな条件が提示されたとは聞いていない。最終判断は三菱商事側だが、要請を受け止めていただいていると思う」と記者団に述べた。三菱商事は「要請を受けたことは事実。総合的観点から検討する」とコメントした。

萩生田光一前経産相も5日に三井物産の堀健一社長と面会し同様の要請をした。両社は月内にも意思決定する。

新会社への移管はロシアのプーチン大統領が6月30日に署名した大統領令で命じていた。日本の商社などの既存株主に対し、8月5日の新会社設立から1カ月以内に従来の出資比率に応じた株式取得に同意するかどうか回答を求めている。

日本の2021年のLNG輸入量のうちロシア産は9%で、多くはサハリン2からだった。

ロシア政府は日本の商社が新会社への出資に同意しても、ロシア側が拒否できるという一方的な立場を主張している。取引条件は示されたが、今後、日本に不利益な変更を求める可能性がある。

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鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
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分析・考察

ロシアからすれば、日本の企業が持っている権益を奪い、接収(国有化)をすることによって、いつでも揺さぶりをかけられる状況を作りつつ、それでも日本にガスを売り続けなければ収益が上がらず、戦費の調達に苦労するという現実に直面している。ゆえに、最初はガツンと強く出て、日本に反撃してみたが、結局ロシアもG7にガスを売ることでしか生き延びられないということを理解した、ということなのだろう。しかし、新事業会社に権限が移ったということは、日本がこれまでのようにその会社をコントロールすることはできないので、今後何かあればまた圧力をかけるテコとして使われるだろう。
2022年8月18日 1:30 』