「昭和たたき」なぜ今 迫られる変革、学び直しがカギ

「昭和たたき」なぜ今 迫られる変革、学び直しがカギ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD1628O0W2A610C2000000/

 ※ 『歴史の大局をみれば「もはや昭和ではない」より「もはや徳川ではない」の方がしっくりくる。』…。

 ※ ホントだよな…。

 ※ ザンギリ頭を叩いてみて、よくよく考えよう…。

 ※ しかし、オレは自分のことを、「令和(の世、にもかかわらず)のサムライ」だと思っているがな…。

 ※ そういう意味じゃ、「江戸」を引きずって、生きているわけか…。

『もはや昭和ではない――。内閣府は6月に公表した男女共同参画白書にこんなフレーズを載せて「脱・昭和」を呼びかけた。令和のいま、働き方や女性活躍といった文脈では「昭和たたき」とも言える表現が噴出する。脱・昭和の現状と課題を識者らに聞いた。
働き方や育児・介護の役割分担「昭和のまま」

「新しい上司が頭昭和でほんとやだ」「滅私奉公で昭和的な働き方」――。ツイッターにあふれる職場への愚痴を見ると、「昭和」は1つのキーワードになっている。新型コロナウイルス感染「第7波」下でもテレワークをさせてもらえない、残業をいとわない姿勢が評価される。そうした働き方を象徴する表現として登場する。

「昭和の社会モデルをアップデートしてこなかったばかりに、ひずみがあちこちで起きている」。こう話すのは健康社会学者の河合薫さん(56)だ。著書「コロナショックと昭和おじさん社会」では、新卒一括採用で終身雇用の男性正社員が企業の中心メンバーだった昭和のモデルと実態の食い違いが、コロナ禍で明るみに出たと記している。
(注)内閣府の資料より作成

2020年2月に政府は感染拡大を防ぐため、全国の小中学校などの一斉休校を要請した。河合さんは子どもの世話で仕事を続けられないと困惑する母親たちの姿を見て、「これが女性活躍を掲げる令和の姿か」と疑問を抱いたという。

昭和時代は専業主婦の妻が介護や育児を担う役割分業が主流だった。今も女性が家族のケアを中心的に担う構造が続くことに、河合さんは「共働きが主流になって久しいのに、価値観もシステムも昭和のまま」と指摘する。
「昭和世代も変化の必要性実感」 人手不足やデジタル化が外圧

「長時間労働で休みが取れない」「社内飲み会に参加が必須」は昭和的イメージ――。企業向けのビジネスチャット機能サービスを手掛けるワークスモバイルジャパン(東京・渋谷)が22年4月、全国の中小企業に勤める20~59歳の正社員に行った調査では、39.4%が自身の勤め先を「昭和的」だと評価した。このサービスの導入を検討する経営者には昭和時代に社会人になった世代が多い。

実際は、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)によると「少子化による人手不足やコロナ禍のデジタル化といった社会変化を外圧に、昭和世代の間にも『新しい知識を学ばなければ生き残れない』という危機感がある」とする。「昭和からの脱却」というワードは、変化の必要性を感じている昭和世代にも受け入れられやすいと分析する。

それでは平成生まれは昭和をどのように受け止めているのだろうか。毎月200人超のZ世代(1990年代半ば以降生まれ)に話を聞く「シブヤ109ラボ」所長の長田麻衣さん(31)は「教科書で学んだ、誰もが豊かになった右肩上がりの良い時代とのイメージも強い」と話す。

「高成長期に『24時間働けますか』と頑張ったり、バブル景気に沸いてキラキラしたお立ち台で踊ったり。不景気しか知らない私たちが昭和レトロを楽しむのは、当時の明るい雰囲気を楽しむ要素がある」と語る。

一方で、「『結婚して子どもを産むべき』『プライベートを多少犠牲にしても働くべき』といった私的領域への干渉の強さが昭和の感覚なのかなと思う」とする。「そういった空気に、窮屈だと感じている若者が多い」という。

昭和の慣習や考え方をどう乗り越えればよいのか。牛窪さんは「学び直しが一つの解となる」と語る。あらためて今の時代に目を向け、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した商品開発、多様性重視の組織作り、などの今日的な課題に向き合うことが結果として脱・昭和に結びつくという。
高度成長期への意識変化促した「もはや戦後ではない」 
今年度の男女共同参画白書は、昭和時代の意識や家族の形の前提が大きく変化した実態をデータで示した。2020年の婚姻件数は戦後最少で、40年前に比べて単身世帯の割合はほぼ倍になった。サラリーマンの夫と専業主婦からなる世帯数が大幅に減少し、共働きが大半になった。
白書に記した「もはや昭和ではない」は、1956年の経済白書の「もはや戦後ではない」をなぞっている。戦後復興は終わり、高度経済成長が始まったとのメッセージは当時の流行語にもなった。

「もはや徳川ではない」 歴史家・磯田道史氏の話

磯田道史 国際日本文化研究センター教授

昭和の遺産を生かしつつ、負の遺産からの脱却を目指す時期に来ている。変革のために過去を否定するのは日本史でも世界史でもよく見られる。明治は江戸の世を「因循姑息(いんじゅんこそく)」と呼び、世襲や因習を文明の知識や技術で変えようとした。明治初期の素朴な進歩思想だ。根底には、人間社会は知性と理性で自由や権利を獲得していく方向へ発展する、との考えがあった。

令和の今、日本で起きているのは江戸期以来400年続く「イエ意識」の最終崩壊だ。墓じまいがその象徴だ。1600年代に家族農業をやるために普及した男女別の役割ルールが消滅しつつある。歴史の大局をみれば「もはや昭和ではない」より「もはや徳川ではない」の方がしっくりくる。
(松浦奈美)』