コスタリカ、TPP加盟を申請 アジアとの貿易拡大狙う

コスタリカ、TPP加盟を申請 アジアとの貿易拡大狙う
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN130470T10C22A8000000/

 ※ 今日は、こんなところで…。

 ※ この図は、参考になった…。

 ※ TPPの自由化度は、FTAよりも高いんだな…。

 ※ 投資協定や、ISD条項なんかも含んでいるからだろう…。

 ※ 「外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という条項。ISDはInvestor-State Dispute」というようなものだ…。

『中米コスタリカが環太平洋経済連携協定(TPP)への加盟を申請した。コスタリカはコーヒー豆などの農産物や医療器具を生産しており、加盟によってアジア向けの輸出を増やしたい考えだ。中南米では2021年12月にTPPへの加盟を申請した南米エクアドルに続く動きとなる。

コスタリカは10日にTPP加盟を申請する書類を寄託国であるニュージーランド(NZ)政府に提出した。コスタリカ貿易省によると、申請書類は11日に受理されたという。中南米ではメキシコ、チリ、ペルーがすでにTPPに加盟しており、エクアドルが申請している。TPPは英国や中国、台湾が加盟をめざすなど動きが活発になっている。

コスタリカは人口約500万人の小国で、バナナやコーヒー豆など農業が主力産業だ。近年は義肢やカテーテルなどの医療器具の生産や開発に力を入れている。コスタリカは貿易額のうち約4割を米国が占めており、TPP加盟によってアジアへの輸出を増やしたい考えだ。
コスタリカのチャベス大統領は6月に米ロサンゼルスで日本経済新聞の取材に応じ、「成長のペースが速いアジアに我々の商品を輸出したい」とTPP加盟をめざす方針を明らかにした。7月にも、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーで構成する経済共同体「太平洋同盟」への加盟をめざすと表明している。

チャベス氏は5月8日に大統領に就任して以来、自由貿易の推進に力を入れてきた。TPPや太平洋同盟への加盟に加えて、エクアドルと自由貿易協定(FTA)の交渉に入るなど個別の貿易協定の締結にも意欲を示している。

【関連記事】コスタリカ大統領「TPP加盟めざす」 年内にも協議へ 』

徴用工問題、「代位弁済」実行は難航も 原告反発強く

徴用工問題、「代位弁済」実行は難航も 原告反発強く
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM1755H0X10C22A8000000/

 ※ 19日が、一つの時間的な山場か…。

 ※ 注目しておこう…。

『【ソウル=甲原潤之介】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が17日の記者会見で元徴用工問題の解決案に踏み込んだ。日本企業に実害が及ぶ資産の現金化を回避する姿勢を明確にした。韓国政府などが賠償を肩代わりする「代位弁済」を念頭に置くが原告の反発が強く、実現にはハードルがある。

尹氏は記者会見で「安全保障の状況に照らしても、サプライチェーン(供給網)と経済安保の次元で見ても、韓日は緊密に協力しなければならない」と強調した。「早急に関係改善をめざす」と対日関係の強化に意欲を示した。

尹氏が現金化の回避に踏み込んだのは、日本企業が韓国内に持つ資産の売却をめぐる最終的な司法判断が近づいていることが背景にある。韓国最高裁への三菱重工業の再抗告が19日で受理から4カ月となる。最高裁は4カ月以内に事件の審理を続行するか、棄却するかの判断をすることになっている。

もし再抗告を棄却した場合、日本側としては資産の現金化を止める司法の手段が尽き、原告が日本企業の資産を売却する具体的な手続きを始められるようになる。日本は企業に実害が及んだ場合は対抗措置を辞さない構えで、日韓関係の一層の悪化が避けられない状態に陥る。

最高裁が今回の棄却を見送ったとしても、審理を経ていつでも棄却できる状況は続く。韓国政府が解決を急ぐ必要があることは変わらない。

尹氏は最高裁の判断に先手を打つ形で「日本の主権問題」との衝突が生じない形式による原告への補償を検討すると表明した。これ以上の言及は避けたが、企業や個人がつくる基金や韓国政府が賠償金を支払う代位弁済を示唆したとの見方が有力だ。

実現すれば、日韓関係の悪化の引き金となった元徴用工問題が解決に向けて大きく前進することになる。日本による輸出管理の厳格化措置や、安全保障問題など他の懸案解決への道も開かれる可能性が出てくる。

ただ、代位弁済の決定は容易ではない。まず原告の説得というハードルが待ち構える。すでに一部の原告は日本企業による賠償が必要との立場から代位弁済への反対を表明している。

韓国政府内には、原告を説得するためには日本政府や企業による歴史問題への謝罪表明が必要だとの見方がある。朴振(パク・ジン)外相は7月の林芳正外相との会談で「日本側の誠意ある呼応」を求めた。これに対し日本側は明確に返答していないとみられる。

日本政府内にも安全保障の観点から韓国と関係を改善すべきだとの意見が増えているが、韓国側への歩み寄りに対する慎重論も根強い。尹氏の求心力にもすでに陰りがみられる。韓国ギャラップによると尹政権の支持率は9~11日の調査で25%で、6月のピーク時から30ポイント近く低下した。元徴用工問題をめぐり今後、日韓の外交当局が国内の慎重論を押し切って協議を加速できるか注目される。』

イスラエル・トルコが外交関係正常化 大使復帰へ

イスラエル・トルコが外交関係正常化 大使復帰へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGV17CHL0X10C22A8000000/

『【イスタンブール=共同】イスラエル首相府は17日、パレスチナ問題を巡り対立してきた同国とトルコは外交関係を完全に回復させると発表した。4年ぶりに互いに大使を復帰させ、関係を正常化する。両国は最近、関係改善を進めていた。

イスラエル首相府は、ラピド首相とトルコのエルドアン大統領の対話などを経て決定したと説明。「両国の外交関係の格上げは経済、貿易、文化の拡大と地域の安定強化に寄与する」とした。

トルコのチャブシオール外相はトルコ首都アンカラで記者団に、大使復帰は「関係正常化の一環」と説明し、「私たちはパレスチナ人の権利を守り続ける」と強調した。

トルコはイスラエルと外交関係を持つが、パレスチナを支援する立場から、たびたび対立。2018年に互いに大使を呼び戻したほか、エルドアン氏は、20年にイスラエルと国交正常化したアラブ首長国連邦(UAE)などを批判していた。

ただ、トルコ国内は深刻なインフレと経済危機に直面しており、UAEやエジプトなど中東各国との関係改善に乗り出している。イスラエルとの関係正常化も、貿易拡大につなげたいとの考えが背景にある。

今年に入って要人の相互訪問も相次いでいた。イスラエルのヘルツォグ大統領が3月にトルコを訪問し、エルドアン氏と会談。5月にチャブシオール氏がイスラエルを訪問した。

【関連記事】トルコ消費者物価79.6%上昇 食品・家賃高騰で市民悲鳴

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

トルコはウクライナとロシアの仲介役をやりながら、コーカサスではアゼルバイジャンを支援し、その向こうでカタールやイランと連携して湾岸諸国をけん制しつつ、イスラエルとは対立し、ギリシャとは宿敵関係を続けるという外交無双ぶりを発揮している。トルコとイスラエルの関係は単にパレスチナ問題だけでなく(そもそもトルコはアラブではないので、「アラブの大義」もない)、東地中海における権益をめぐる問題で対立していた。エルドアンの不可思議な経済政策で国内経済が滅茶苦茶になっているトルコが結果としてイスラエルと手打ちをした、というのが、今回の状況だろう。
2022年8月18日 1:26 』

[FT]トルコの5~7月の対ロシア輸出が急増 欧米は警戒

[FT]トルコの5~7月の対ロシア輸出が急増 欧米は警戒
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB181WT0Y2A810C2000000/

『トルコ通産省と統計局がまとめた輸出統計によると、5~7月期のトルコからロシアへの輸出額は20億4000万ドル(約2750億円)となり、2021年の同じ時期に比べ6億4200万ドル増加した。7月だけで見ると、前年同月の4億1700万ドルから75%増え、7億3000万ドルとなった。

7月の前年同月比の増加額は3億1300万ドルで、増加額としては、トルコの輸出先のどの国よりも大きい額となった。トルコのロシアへの輸出は7月、全体の3.9%を占め、前年同月の2.6%から上昇した。

ロシアが2月後半、ウクライナに全面侵攻した当初、輸出額はいったん落ちたが、その後、急増に転じた。輸出額そのものは比較的少額にとどまっており、エネルギーを主としたロシアからの多大な輸入額に比べるとわずかな規模に見える。ただ、トルコ政府とロシア政府による経済協力強化の交渉で失望した欧米政府高官は、この2国が実際に取引を増やしている証拠を前にいら立ちを募らせているに違いない。

業界団体であるトルコ輸出業者協議会の統計によると、化学製品や青果などの食料品をはじめ、繊維製品、電気製品、家具の輸出がロシアへの輸出額を押し上げた。

欧米の対ロ制裁とは距離を置くトルコ

トルコのエルドアン大統領とロシアのプーチン大統領は今月、黒海に面したロシアのリゾート都市ソチで4時間に渡って会談し、エネルギーと貿易の協力拡大で合意した。これを受け欧米政府は、トルコが制裁回避を助けることになれば、同国は報復措置を受ける可能性があると警告した。

北大西洋条約機構(NATO)の加盟国であるトルコは、武装無人機をウクライナに提供する一方で、ロシアとの関係を維持、強化したい意向だ。このため、欧米による制裁措置には調印しておらず、ロシアとウクライナの対立に関して、同国が「均衡が取れた取り組み」と呼ぶ立場を取る方針を示している。

ウクライナ戦争でプーチン大統領を罰することを目的とした対策は採用しないというトルコ政府の立場を欧米政府高官らはおおむね受け入れている。

しかし、2人の欧州連合(EU)高官がフィナンシャル・タイムズ(FT)に語ったところによると、EU諸国はトルコが対ロシア貿易で潤っていることや、潜在的にトルコが欧州の代わりになってロシアの輸出入を助ける可能性があることについて、不安を募らせているという。EU加盟国政府の中には、ロシア政府との関係について、トルコ政府に情報を求めたところもある。

高官の1人は「この件は注目されている」とし、「EUには良く思われていない。不快だ」と述べた。

通貨安で堅調なトルコの輸出

トルコ通産省の広報担当官は、ロシアとの貿易量について「それほど目立った変化はない」と主張する。追加の詳細を求めた電話には返事がなかった。

インフレが手に負えない状況にあるにもかかわらず、トルコが金融緩和政策を変えないため、トルコリラは今年、対ドルで約25%下落した。トルコ製品が比較的安価であることが、輸出販売増につながった。通産省によると、7月の輸出額は前年同月比で13%増となり、うち対米輸出は25%増の13億2000万ドルだった。

トルコ政府高官の中には、ロシアとのビジネス上の関係強化を喜ぶ向きもある。カライスマイロル運輸インフラ相はツイッター上で、ロシアとの自動車の海上貿易が過去3カ月間、今年1~4月期に比べて58%跳ね上がったことについて、海の回廊の開発における「トルコのリーダーシップ」を示していると強調した。

ロシアのウクライナ侵攻以来、EUにより科されている対ロシア制裁は、7つのパッケージから成っており、高性能のエレクトロニクスやソフトウエアといった最先端技術や、ある種の機械や輸送機器、さらに石油精製やエネルギー、航空・宇宙産業で使われる物品や技術の輸出禁止が含まれている。

欧米政府高官の何人かは、トルコ政府が、西側企業のロシアからの撤退をトルコ企業のロシア参入の機会だと考えていることに警戒感を示す。過去にトルコ政府高官や経済人がこうした考えを口にしている。

トルコのロシアとの関係強化に欧州は不快感

欧州委員会のピーター・スタノ広報官は「ロシアのウクライナ侵攻への対応として、欧州委員会が共同でロシアとの関係を縮小している時に、ロシア政府とのつながりや関与を強めるのは適切ではない」との考えを示した。

しかし、トルコは強大で影響力のあるNATO加盟国であるのに加え、400万人近くに及ぶシリア難民を抱えるという役割を果たしているため、潜在的にトルコに対して報復行動を取ることは難しい。

エルドアン大統領にプーチン大統領との交渉力があることは貴重であることを欧米は認めている。エルドアン大統領が国連とともに仲介することで、ウクライナの穀物の海上輸送再開を認めさせた最近の取り組みが良い例だ。

慎重を期する問題であるために匿名を希望したある欧州の高官は「何らかの理由で、EUの誰もがトルコを必要としている」とし、「トルコの能力を理解しなくてはいけない。単純にエルドアン大統領に我々の規則を守れとは言えない」と語った。

By Eir Nolsoe, Laura Pitel, Ayla Jean Yackley, Funja Guler and Henry Foy

(2022年8月16日付 英フィナンシャル・タイムズ電子版 https://www.ft.com/)

(c) The Financial Times Limited 2022. All Rights Reserved. The Nikkei Inc. is solely responsible for providing this translated content and The Financial Times Limited does not accept any liability for the accuracy or quality of the translation.』

ロシア黒海艦隊に新司令官 「モスクワ」沈没で交代か

ロシア黒海艦隊に新司令官 「モスクワ」沈没で交代か
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR17D840X10C22A8000000/

『【ウィーン=細川倫太郎】国営ロシア通信は17日、関係筋の話として、ウクライナ南部クリミア半島に司令部があるロシア黒海艦隊の司令官に副司令官を務めていたビクトル・ソコロフ氏が就任したと伝えた。ロシアが2014年に一方的に併合した同半島では同国軍の基地や弾薬庫で爆発が相次いでおり、情勢が緊迫化している。

ロシア黒海艦隊をめぐっては旗艦「モスクワ」が4月に沈没した。ウクライナ軍が対艦ミサイル「ネプチューン」を使い撃沈に成功したと伝えられている。モスクワは黒海艦隊の指揮機能を担っていたため、周辺海域の制海権が弱まるきっかけとなった。
トルコ・ボスポラス海峡を航行するロシアの巡洋艦モスクワ(2021年6月)=ロイター

ウクライナ国防省は沈没後に当時のイーゴリ・オシポフ司令官が解任され逮捕されたと指摘した。同国メディアは沈没の責任を問われたと伝えた。ロイター通信によると、解任が事実であればロシアのウクライナ侵攻後で最高位の軍幹部の解任となる。

英国防省は17日、クリミア半島で爆発が相次いでいることについて、ロシア側が同半島の治安悪化に強い懸念を抱くことになると予想した。16日には半島北部ジャンコイのロシア軍弾薬庫で大規模な爆発が発生した。ジャンコイはウクライナ南部の作戦で重要な役割をもつ道路や鉄道の分岐点があると説明した。

爆発の原因は明らかになっていないものの、ウクライナ側が攻撃したとの見方が強まっている。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は英メディアのインタビューで「我々の戦略は兵たんや補給線、弾薬庫などを破壊することだ」と述べ、今後2~3カ月間でロシア軍の軍事インフラへの攻撃がさらに増えるとの見方を示した。

【関連記事】

・クリミア情勢、不安定に ロシア軍弾薬庫でも爆発
・国連総長ウクライナ入り ゼレンスキー氏と会談へ 』

米台貿易枠組み、秋に交渉開始へ 中国にらみ連携強化

米台貿易枠組み、秋に交渉開始へ 中国にらみ連携強化
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1810E0Y2A810C2000000/

『【ワシントン=鳳山太成】バイデン米政権は17日、台湾と設けた新たな貿易協議の枠組みを巡り、今秋に交渉を始めると発表した。中国が台湾への圧力をかけるなか、米国は台湾と経済連携を強めて中国に対抗する。

米通商代表部(USTR)と台湾当局が6月に立ち上げた「21世紀の貿易に関する米台イニシアチブ」について、第1回の交渉を今秋の早い時期に始める。

新たな枠組みはデジタル貿易や環境・労働者の保護で高水準のルールをつくるほか、貿易手続きの簡素化などを通して米台貿易を促す。中国を念頭に、非市場的な貿易慣行や国有企業優遇への対抗策も話し合う。

ビアンキUSTR次席代表は声明で「高水準の約束と有意義な成果を達成するために野心的な日程をめざす」と述べ、早期の交渉妥結に意欲を示した。

米台が設けた交渉目標は、台湾が期待する自由貿易協定(FTA)の締結に触れていない。バイデン政権は支持基盤の労働組合などの反発を懸念して、関税引き下げを含むFTAには後ろ向きだ。

米台貿易に大きな影響をもたらすかは不透明だ。米国が台湾との結びつきを強めて中国に立ち向かう姿勢を示す象徴的な意味合いが大きい。

バイデン政権は5月、日韓やインド、東南アジア諸国などと中国に対抗する新たな経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」を始動させたが、台湾を創設メンバーに含めなかった。IPEFとは別に、新たな枠組みを通して台湾重視の姿勢を示した。

中国は台湾への圧力を強めている。ペロシ米下院議長が8月上旬に台湾を訪れた後、中国は貿易制限など経済面でも事実上の対抗装置を講じた。』

中国共産党、北戴河会議終了 胡春華副首相の処遇に焦点

中国共産党、北戴河会議終了 胡春華副首相の処遇に焦点
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM172C70X10C22A8000000/

『【北京=羽田野主】夏に中国共産党の指導部と、引退した長老が国政の重要課題を話し合う今年の「北戴河会議」が終わったもようだ。習近平(シー・ジンピン)総書記(国家主席)は秋の党大会に向けて3期目の体制づくりを進めているが、距離があるとされる胡春華(フー・チュンホア)副首相の昇格の有無に焦点が当たっている。

中国共産党の機関紙、人民日報(電子版)は17日、習氏が遼寧省を視察中と伝えた。16日には李克強(リー・クォーチャン)首相の広東省での会議出席が伝えられた。最高指導部が河北省の北戴河を離れたとみられる。

党関係者の間で関心を集めているのが党序列25位以内の政治局員である胡氏の処遇だ。胡氏は名門の北京大学に上位の成績で入学したエピソードを持つ秀才で、中国共産党の青年組織、共産主義青年団(共青団)のトップも務めた。内モンゴル自治区や広東省のトップも歴任しており、最高指導部入りを狙える位置にいる。

党内で実務型の能吏との評判がある胡氏の昇格を見込む声がある。中国の不動産市場が低迷し中国経済が難局にさしかかっていることから、李首相の後継と期待する見方もある。
胡氏は北戴河会議に先立つ7月27日、人民日報に論文を投稿。習氏の農業政策の指導力をたたえ、習氏の名前に50回以上触れて「忠誠」を示した。

習氏は2012年に党トップに就いて以来、共青団の組織力を警戒。胡氏とも距離を置いてきた。59歳と比較的若い胡氏が最高指導部入りすれば、2027年の党大会で習氏の後継候補として注目を集める可能性もある。

胡氏の共青団の先輩である李首相も全国人民代表大会(全人代)常務委員長として最高指導部内に残るとの観測が根強い。最高指導部の7人枠を維持すればそのうち2枠を共青団出身の両氏が占めることから、習氏周辺からは「胡氏を昇格させるのなら李首相を引退させるべきだ」との意見も出ているという。

北戴河会議は8月ごろに北京に近い河北省の避暑地、北戴河に現役指導部と長老らが非公式に集まり党の重要政策などを話し合う場だ。会議の開始や終わりが正式に伝えられることはない。今年は秋の党大会を前に重要人事の調整を進めていたとされる。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/As-China-s-secretive-party-conclave-ends-rising-star-vice-premier-in-focus?n_cid=DSBNNAR 』

中国海警局トップ、海軍幹部に昇格

中国海警局トップ、海軍幹部に昇格 台湾・尖閣に圧力
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM169DS0W2A810C2000000/

『【北京=羽田野主】沖縄県・尖閣諸島周辺の領海侵入をくり返している中国海警局のトップを務めた王仲才氏が中国人民解放軍で台湾や尖閣方面を担当する東部戦区の海軍司令官に昇格したことがわかった。海警局の運用を熟知する王氏の海軍幹部への起用で一体化が進み、尖閣や台湾の周辺海域で軍事的な圧力が強まる可能性がある。

中国メディアによると、王氏は7月29日に東部戦区海軍司令官として浙江省寧波市の地元民との座談会に出席した。習近平(シー・ジンピン)指導部はペロシ米下院議長の台湾訪問に反発し8月4日から10日まで台湾周辺で大規模な軍事演習をした。軍関係者によると王氏は海軍の演習を指揮した。

中国初の空母「遼寧」で作戦行動の承認権も持つ政治委員を務めた梅文氏も東部戦区海軍政治委員に昇級した。政治委員は司令官とほぼ同格とされる重要ポスト。習指導部は台湾統一を掲げ、尖閣諸島も「中国固有の領土」と主張している。

防衛研究所の杉浦康之・中国研究室主任研究官は「最も緊迫した地域にエース級の人材を投入してきた。将来は台湾周辺で空母の運用を視野に入れているのではないか」と指摘する。

王氏は海軍出身で、2018年6月に海警局トップに就いた。海警局は18年に軍の最高意思決定機関である中央軍事委員会の指揮を受ける人民武装警察部隊(武警)の傘下に入った。21年には外国に不法侵害を受けたと判断した場合に海警局の船に武器使用を認める海警法の施行に伴い、組織が強化された。海警局は王氏のもとで体制の充実を進めてきた。

習氏が王氏を東部戦区海軍司令官に抜てきしたのは、軍と海警局の運用の一体化を加速する狙いとみられる。中国海軍は今年に入り、近海防御用の艦艇であるコルベット艦「056型」20隻を海警局に移管した。

尖閣諸島周辺への圧力も高まりそうだ。2021年末時点で、海警局に所属する満載排水量1000トン級以上の船は132隻で、海上保安庁の巡視船(70隻)の2倍近くある。この差はさらに開く見通し。大口径の砲を装備した1万トン級の海警局の船も尖閣周辺水域に現れている。

7月には海警局の船の連続領海侵入時間は64時間17分となり、12年の尖閣国有化以降で最も長くなった。ほぼ同じタイミングで中国海軍とロシア海軍のフリゲート艦各1隻が相次いで尖閣諸島周辺の領海のすぐ外側にある接続水域に入った。

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Politics/International-relations/Taiwan-tensions/China-Coast-Guard-chief-promoted-to-naval-leader-for-Taiwan-Strait?n_cid=DSBNNAR 』

中国「香港は植民地でなかった」

中国「香港は植民地でなかった」 教育統制で自決権否定
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM129Q70S2A810C2000000/

『【香港=木原雄士】香港政府が8月「香港は決して英国の植民地ではなかった」との見解をまとめ、歴史教育でそれを徹底するよう教育現場に指示した。中国本土と異なる旧植民地としての独自性を否定し、自治拡大の機運を封じる狙いだ。香港では香港大学や香港中文大学が国家安全を必修科目とするなど、中国式の教育統制が強まっている。

香港政府教育局は8月初め、香港は「英国に占領されていた」として、「植民地という言葉を使って香港の地位を説明するのは不適切だ」と表明した。この点に関する香港の教科書の修正が話題になったことで、正式な見解をまとめた。

同局は国連が1972年に中国の働きかけで植民地のリストから香港を削除したことを根拠に挙げ、97年の香港返還は「主権行使の再開」であり「主権の回復」ではないと主張した。植民地は独立などの自決権を持つと解釈される場合があることから、香港におけるそうした可能性を全面的に否定する狙いがある。

こうした主張は中国の長年の持論だが、香港では浸透していなかった。香港は日本が占領した40年代の一時期を除き、97年に中国に返還されるまで150年あまり英国の統治下に置かれた。植民地だったとの理解が一般的で、初代行政長官の董建華氏も「156年前、植民地になったのが香港のもっとも重い歴史だ」と発言したことがある。

ただ、中国当局は2019年の大規模デモを受けて、自由な教育が反中感情の根本的な原因とみなし、若いうちから歴史認識をすり込む愛国教育に乗り出した。

日本経済新聞が教育局に「見解に従わない教員の資格を取り消すか」と質問したところ、直接答えず「歴史的な事実の正確な理解によって生徒の中国国民としての意識を醸成する」と述べた。中国は台湾に関する白書でも「台湾が古来中国に属してきた歴史的経緯は明らかだ」と主張する。

英国在住の民主派、鍾剣華氏は教育局の見解は「無意味な議論だ。教科書を改ざんして議論を禁じても、事実を変えることはできない」と指摘。そのうえで香港当局のやり方は「マインドコントロールであり教育の放棄だ」と批判した。

影響は名門大にも及ぶ。香港大と香港中文大は22年から国家安全教育を必修にした。中文大は「中国理解」と「憲法秩序における香港」の2科目を導入した。香港国家安全維持法(国安法)に沿った措置だとして、交換留学を除く外国籍の学生にも履修を求める。

香港の大学は英誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション(THE)による22年の大学ランキングで、アジアトップ10に3校が入った。リベラルで高い水準の教育は経済都市としての強みの一つだったが、政治環境の激変が影を落とす。』

FBIに脅迫相次ぐ、トランプ邸捜索に反発 共和党も非難

FBIに脅迫相次ぐ、トランプ邸捜索に反発 共和党も非難
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17D4W0X10C22A8000000/

『【ワシントン=赤木俊介】米連邦捜査局(FBI)に対する脅迫が相次いでいる。トランプ前大統領の邸宅を家宅捜索し、トランプ氏の支持者らが反発を強めているためだ。野党・共和党からも脅迫行為を戒める声が出ている。

米メディアによると、東部ペンシルベニア州在住の46歳の男が15日、連邦捜査員への脅迫容疑で逮捕された。極右派のユーザーが多いとされる米新興SNS「ギャブ(Gab)」上でFBI関係者の殺害計画をほのめかしたほか、トランプ氏の家宅捜索を「我々(トランプ支持者)に対しての宣戦布告だ」と10日に投稿した。

西部アリゾナ州では、トランプ氏の支持者が13日にFBIの支部周辺で抗議集会を開いた。武装した者がいたという。中西部オハイオ州でもFBI施設に侵入を試みた男が射殺された。捜査当局は極右組織との関連を調べている。

FBIと国土安全保障省は捜査関係者向けに注意喚起を出している。複数の米メディアによると、捜査関係者に対する脅迫は「前代未聞の件数」に達している。家宅捜索にかかわった人物に対する脅迫もネット上で増えている。

トランプ政権の副大統領を務めたマイク・ペンス氏は17日、連邦捜査機関に対する脅迫や暴力行為をやめるよう共和党員に呼びかけた。共和党ではFBIによる家宅捜索を批判しつつも、暴力をあおる言動や暴力行為に苦言を呈す議員が目立つようになった。

【関連記事】

・米民主党に夏の追い風 「嫌トランプ」結集に潜むリスク
・FBI、トランプ政権元高官を聴取か 機密文書めぐり 』

米共和党チェイニー氏、2024年大統領選出馬を検討

米共和党チェイニー氏、2024年大統領選出馬を検討
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN17DCA0X10C22A8000000/

『【ワシントン=中村亮】米共和党のリズ・チェイニー下院議員は17日、2024年の大統領選への出馬を検討していると明らかにした。トランプ前大統領への反対勢力の結集を目指す。16日投開票の西部ワイオミング州予備選で大敗を喫し、現時点で大統領選へのハードルは高いとの見方が多い。

チェイニー氏は17日、NBCテレビのインタビューで大統領選への出馬について「考えているところであり、数カ月で判断する」と語った。16日の演説でも「真の仕事がいま始まる」と語り、トランプ氏の大統領再選を阻止するための活動を続ける意向を示した。下院議員としての任期は23年1月まで続く。

CNNテレビによると、16日の予備選でチェイニー氏の得票率は28.9%(開票率99%)にとどまり、ライバル候補の弁護士ハリエット・ヘイグマン氏の66.3%を大幅に下回った。トランプ氏がヘイグマン氏を支援したことが響いた。チェイニー氏の得票率は20年の予備選で70%を超えていた。

チェイニー氏はトランプ氏の動向を見極めながら、自身の出馬の是非を最終判断するとみられる。チェイニー氏は56歳で、24年の大統領選への出馬を見送っても28年以降に出馬のチャンスが残る。

チェイニー氏は21年1月に起きた議会占拠事件の真相を調べる下院特別委員会の副委員長を務める。委員会は9月から公聴会を再開し、トランプ氏の責任をさらに追及していく。11月の中間選挙に先立って、事件に関する報告書をまとめる公算が大きい。

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

前嶋和弘のアバター
前嶋和弘
上智大学総合グローバル学部 教授
コメントメニュー

ひとこと解説

予備選敗退の見込みが見える前の段階から(それこそ議会襲撃調査の委員会での活動開始のころから)ずっと言われていた大統領選挙への転出。トランプ支持、あるいはトランプ的なものへの支持がずっと強い間は共和党内の予備選で勝つのは無理なのですが、それでも例えば討論会で、同じく出馬を検討しているホーガンあたりとともにトランプに対して舌戦をする姿を期待する声も多いと思います。

チェイニーは政策的にはトランプとほぼ同じです(ただトランプに対しては否定的)。その意味で一定程度の支持は集まります。共和党内で少なくなっているのが、ホーガンのような少し前には主流だった穏健派を支持する層。
2022年8月18日 7:47 (2022年8月18日 8:03更新) 』

「第一人者」影響力頼み AOKI、五輪公式商品販売狙う

「第一人者」影響力頼み AOKI、五輪公式商品販売狙う
五輪汚職㊤
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE021R00S2A800C2000000/

『東京五輪・パラリンピックから1年。東京地検特捜部が大会を巡る不透明な資金の本格解明に乗り出した。大会組織委員会元理事の高橋治之容疑者(78)は容疑を否認し、徹底抗戦の構えだ。大会スポンサーだったAOKIホールディングス(HD)前会長の青木拡憲容疑者(83)から高橋元理事は何を依頼され、どう動いたのか。汚職事件の背景を追った。

【関連記事】

・5100万円のコンサル料、五輪組織委元理事への賄賂と認定
・五輪組織委・高橋元理事を逮捕 受託収賄容疑で東京地検
・五輪組織委元理事、なぜ逮捕? 祭典の裏で疑惑絶えず

「公式ライセンス商品の早期審査」「選手団の公式服受注のための人脈紹介」――。2018年9月のある日、東京都内の飲食店。高橋元理事とAOKI側の会食の席で、AOKI側から元理事に、五輪を巡って尽力を期待する内容が伝えられた。高橋元理事は黙って聞いていたという。

逮捕容疑となったのは、高橋元理事がAOKI側から理事という職務に関して依頼を受け、五輪スポンサー契約とライセンス商品の製造・販売に便宜を図る見返りに巨額の資金を受領した疑いだ。浮かび上がったのは、広告大手電通の専務を務め「スポーツビジネスの第一人者」とされる高橋元理事と大会スポンサーだったAOKIの特異な関係。両者の親交はいつ始まったのか。

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の理事会に出席した高橋治之理事(当時)=2015年9月28日、東京都内

原点は09年にさかのぼる。AOKIが著名なゴルフ大会に協賛した際の契約を仲介したのが高橋元理事だった。自社のジャケットを身にまとった優勝選手や企業のロゴマーク。反響に喜んだ青木前会長は契約話を持ち込んだ高橋元理事との関係性を吹聴したという。

両者の関係は13年にAOKIが東京五輪招致活動に協賛金を出したことで更に深まる。招致に貢献した年下の元理事を「師」と呼び称賛する前会長、元理事が経営する東京・六本木のステーキ店での定期会合――。関係者は「五輪事業参入は青木前会長の悲願だった。高橋さんの力は魅力的だったのだろう」と話す。

高橋元理事は17年1月、大会スポンサー契約を青木前会長に持ちかけた。青木前会長が前向きな反応を示すと、高橋元理事は後日、契約に必要な具体的な金額を提示したという。
その8カ月後、互いに信頼を寄せていた2人は一線を越えていく。17年9月12日、両者間でコンサルティング契約が結ばれ、毎月100万円ずつ支払われることが決まった。同年10月から4年半に渡って支払われた計5100万円が逮捕容疑の「賄賂」に当たる。同じ時期、コンサル契約とは別にAOKI側が計約2億3千万円を支払うことも合意に至った。

コンサル契約を機に、AOKI社内で高橋元理事に「尽力を期待する事項」(同社関係者)をリストアップする作業が動き出した。少数の幹部で検討が重ねられ、専務執行役員が要望書にまとめた。主力の紳士服事業が頭打ちとなるなか、五輪事業を「ブランド力」の強化につなげたいAOKI側の〝本音〟が詰め込まれていた。

高橋元理事に要望が伝えられた18年9月以降、電通出向者が多い組織委マーケティング局に元理事から苦情や指導の檄(げき)が飛ぶようになった。「何をぐずぐずしているんだ」「それじゃ商売にならない」。AOKI側の要望に含まれていた商品審査などを担当していたのが同局だった。

東京五輪選手団ユニホームの発表会に出席したAOKIホールディングスの青木拡憲会長(当時)=2020年1月、東京都内

国内外のスポーツ界に顔が広く、海外の要人に広い人脈を持っていた高橋元理事。02年のサッカー・ワールドカップ(W杯)日韓大会や五輪招致を巡るロビー活動でも中心的役割を担ったという。電通関係者は「スポーツ分野で高橋さんの意見は絶対」と影響力の強さを明かす。AOKI側の要望は実現し、審査を通過したAOKIのライセンス商品は19年夏に発売。計3万着以上売り上げ、PR効果も高かったとみられる。

「AOKIに便宜を図ったとしか考えられないでしょ」「コンサル業務なんて実態がない」。東京・霞が関の法務・検察合同庁舎の一室。22年7月から断続的に続いた特捜部検事の調べに、高橋元理事は一貫して容疑を否定してきた。

経費総額が1兆4238億円にのぼった東京大会。巨額の資金が動いたスポーツの祭典の舞台裏で何が起きていたのか。特捜部は22年春ごろから捜査に乗り出し、関係先を幅広く家宅捜索して関連証拠を押収した。容疑を巡って高橋元理事らと全面対決の構図となる中、特捜部はスポーツビジネス界の大物とカリスマ創業者による汚職事件の解明に向け、捜査を本格化させる。

最新の社会ニュース・コラム・調査報道 https://www.nikkei.com/society?n_cid=DSREA_society_top 

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

森幹晴のアバター
森幹晴
弁護士・東京国際法律事務所 代表パートナー
コメントメニュー

ひとこと解説

五輪が不正疑惑に発展した。偉い人が利権を不正に使って利益を得たとするならば、いかがわしさしか感じない。検察側の筋立てが真実か否か、全面対決となりそうだ。本件は、単純収賄でなく、受託収賄での嫌疑で、検察側の立証のハードルは高い。コンサル料が賄賂に該当するか、組織委員会の職務との関連性、請託の内容を特定できるか等、争点は多岐にわたる。一昔前は、贈収賄のような密室での犯罪は、客観証拠が残らず、当事者の供述が頼りだった。特捜部の調べは7月頃から始まって、1か月余りと短期間での逮捕となった。高橋氏は一貫して否認とあるので、関係者のメール等の記録などの証拠が存在する可能性がある。全容解明を期待したい。
2022年8月18日 8:13 』

「昭和たたき」なぜ今 迫られる変革、学び直しがカギ

「昭和たたき」なぜ今 迫られる変革、学び直しがカギ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD1628O0W2A610C2000000/

 ※ 『歴史の大局をみれば「もはや昭和ではない」より「もはや徳川ではない」の方がしっくりくる。』…。

 ※ ホントだよな…。

 ※ ザンギリ頭を叩いてみて、よくよく考えよう…。

 ※ しかし、オレは自分のことを、「令和(の世、にもかかわらず)のサムライ」だと思っているがな…。

 ※ そういう意味じゃ、「江戸」を引きずって、生きているわけか…。

『もはや昭和ではない――。内閣府は6月に公表した男女共同参画白書にこんなフレーズを載せて「脱・昭和」を呼びかけた。令和のいま、働き方や女性活躍といった文脈では「昭和たたき」とも言える表現が噴出する。脱・昭和の現状と課題を識者らに聞いた。
働き方や育児・介護の役割分担「昭和のまま」

「新しい上司が頭昭和でほんとやだ」「滅私奉公で昭和的な働き方」――。ツイッターにあふれる職場への愚痴を見ると、「昭和」は1つのキーワードになっている。新型コロナウイルス感染「第7波」下でもテレワークをさせてもらえない、残業をいとわない姿勢が評価される。そうした働き方を象徴する表現として登場する。

「昭和の社会モデルをアップデートしてこなかったばかりに、ひずみがあちこちで起きている」。こう話すのは健康社会学者の河合薫さん(56)だ。著書「コロナショックと昭和おじさん社会」では、新卒一括採用で終身雇用の男性正社員が企業の中心メンバーだった昭和のモデルと実態の食い違いが、コロナ禍で明るみに出たと記している。
(注)内閣府の資料より作成

2020年2月に政府は感染拡大を防ぐため、全国の小中学校などの一斉休校を要請した。河合さんは子どもの世話で仕事を続けられないと困惑する母親たちの姿を見て、「これが女性活躍を掲げる令和の姿か」と疑問を抱いたという。

昭和時代は専業主婦の妻が介護や育児を担う役割分業が主流だった。今も女性が家族のケアを中心的に担う構造が続くことに、河合さんは「共働きが主流になって久しいのに、価値観もシステムも昭和のまま」と指摘する。
「昭和世代も変化の必要性実感」 人手不足やデジタル化が外圧

「長時間労働で休みが取れない」「社内飲み会に参加が必須」は昭和的イメージ――。企業向けのビジネスチャット機能サービスを手掛けるワークスモバイルジャパン(東京・渋谷)が22年4月、全国の中小企業に勤める20~59歳の正社員に行った調査では、39.4%が自身の勤め先を「昭和的」だと評価した。このサービスの導入を検討する経営者には昭和時代に社会人になった世代が多い。

実際は、世代・トレンド評論家の牛窪恵さん(54)によると「少子化による人手不足やコロナ禍のデジタル化といった社会変化を外圧に、昭和世代の間にも『新しい知識を学ばなければ生き残れない』という危機感がある」とする。「昭和からの脱却」というワードは、変化の必要性を感じている昭和世代にも受け入れられやすいと分析する。

それでは平成生まれは昭和をどのように受け止めているのだろうか。毎月200人超のZ世代(1990年代半ば以降生まれ)に話を聞く「シブヤ109ラボ」所長の長田麻衣さん(31)は「教科書で学んだ、誰もが豊かになった右肩上がりの良い時代とのイメージも強い」と話す。

「高成長期に『24時間働けますか』と頑張ったり、バブル景気に沸いてキラキラしたお立ち台で踊ったり。不景気しか知らない私たちが昭和レトロを楽しむのは、当時の明るい雰囲気を楽しむ要素がある」と語る。

一方で、「『結婚して子どもを産むべき』『プライベートを多少犠牲にしても働くべき』といった私的領域への干渉の強さが昭和の感覚なのかなと思う」とする。「そういった空気に、窮屈だと感じている若者が多い」という。

昭和の慣習や考え方をどう乗り越えればよいのか。牛窪さんは「学び直しが一つの解となる」と語る。あらためて今の時代に目を向け、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上、SDGs(持続可能な開発目標)を意識した商品開発、多様性重視の組織作り、などの今日的な課題に向き合うことが結果として脱・昭和に結びつくという。
高度成長期への意識変化促した「もはや戦後ではない」 
今年度の男女共同参画白書は、昭和時代の意識や家族の形の前提が大きく変化した実態をデータで示した。2020年の婚姻件数は戦後最少で、40年前に比べて単身世帯の割合はほぼ倍になった。サラリーマンの夫と専業主婦からなる世帯数が大幅に減少し、共働きが大半になった。
白書に記した「もはや昭和ではない」は、1956年の経済白書の「もはや戦後ではない」をなぞっている。戦後復興は終わり、高度経済成長が始まったとのメッセージは当時の流行語にもなった。

「もはや徳川ではない」 歴史家・磯田道史氏の話

磯田道史 国際日本文化研究センター教授

昭和の遺産を生かしつつ、負の遺産からの脱却を目指す時期に来ている。変革のために過去を否定するのは日本史でも世界史でもよく見られる。明治は江戸の世を「因循姑息(いんじゅんこそく)」と呼び、世襲や因習を文明の知識や技術で変えようとした。明治初期の素朴な進歩思想だ。根底には、人間社会は知性と理性で自由や権利を獲得していく方向へ発展する、との考えがあった。

令和の今、日本で起きているのは江戸期以来400年続く「イエ意識」の最終崩壊だ。墓じまいがその象徴だ。1600年代に家族農業をやるために普及した男女別の役割ルールが消滅しつつある。歴史の大局をみれば「もはや昭和ではない」より「もはや徳川ではない」の方がしっくりくる。
(松浦奈美)』

サハリン2の新会社、同じ契約条件提示

サハリン2の新会社、同じ契約条件提示 一部電力会社に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC17BXB0X10C22A8000000/

『ロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」を巡り、事業を移管するロシアの新会社が日本の一部電力会社などに、従来と同様の契約条件を提示していることが17日分かった。サハリン2からの液化天然ガス(LNG)の日本企業の購入価格や調達量などの条件について、新しい運営会社が旧会社の時と同じ内容になると提示したようだ。

新会社は5日付でロシア国内に設立された。サハリン2からLNGを購入する一部の顧客に対し、調達先を新会社に変更する旨の通知が届いた。その中で取引条件も従来と同じものが書かれているとみられる。

ウクライナ危機で世界でガス価格が高騰する中、サハリン2からの調達価格は相対的に安い。供給が途絶えてスポット取引で調達するとコスト増になる。国内では広島ガスが調達分の約5割をサハリン2に頼る。九州電力と東邦ガスは約2割、東北電力と東京ガス、西部ガスホールディングス(HD)は約1割を依存している。

経済産業省も現段階で日本企業の調達契約は従来通りとみており、日本側から契約を打ち切るような動きはないという。

LNGを今後も安定的に確保できるよう政府は新しい運営会社に引き続き関与し、権益を維持するよう日本企業に求めている。旧運営会社のサハリンエナジーには三井物産が12.5%、三菱商事が10%出資している。

西村康稔経産相は17日、三菱商事の中西勝也社長と経産省で面会した。新しい運営法人に引き続き出資することを前向きに検討するよう要請した。同社は政府の意向をふまえて検討すると伝えたという。

西村氏は17日、「現時点で契約を困難にさせる新たな条件が提示されたとは聞いていない。最終判断は三菱商事側だが、要請を受け止めていただいていると思う」と記者団に述べた。三菱商事は「要請を受けたことは事実。総合的観点から検討する」とコメントした。

萩生田光一前経産相も5日に三井物産の堀健一社長と面会し同様の要請をした。両社は月内にも意思決定する。

新会社への移管はロシアのプーチン大統領が6月30日に署名した大統領令で命じていた。日本の商社などの既存株主に対し、8月5日の新会社設立から1カ月以内に従来の出資比率に応じた株式取得に同意するかどうか回答を求めている。

日本の2021年のLNG輸入量のうちロシア産は9%で、多くはサハリン2からだった。

ロシア政府は日本の商社が新会社への出資に同意しても、ロシア側が拒否できるという一方的な立場を主張している。取引条件は示されたが、今後、日本に不利益な変更を求める可能性がある。

【関連記事】

・「サハリン2」新会社出資、三菱商事に要請 西村経産相
・サハリン2、新会社への事業移管通知 九州電や西部ガス
・サハリン2運営の新会社が設立

この記事の英文をNikkei Asiaで読む
Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Business/Energy/Sakhalin-2-s-new-operator-keeps-same-LNG-terms-for-Japan-buyers?n_cid=DSBNNAR 

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 

多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

ロシアからすれば、日本の企業が持っている権益を奪い、接収(国有化)をすることによって、いつでも揺さぶりをかけられる状況を作りつつ、それでも日本にガスを売り続けなければ収益が上がらず、戦費の調達に苦労するという現実に直面している。ゆえに、最初はガツンと強く出て、日本に反撃してみたが、結局ロシアもG7にガスを売ることでしか生き延びられないということを理解した、ということなのだろう。しかし、新事業会社に権限が移ったということは、日本がこれまでのようにその会社をコントロールすることはできないので、今後何かあればまた圧力をかけるテコとして使われるだろう。
2022年8月18日 1:30 』

北朝鮮、軍事拠点標的の戦術核開発 ICBMは全米射程に

北朝鮮、軍事拠点標的の戦術核開発 ICBMは全米射程に
防衛白書を読む③
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA05BZT0V00C22A8000000/

『防衛白書は北朝鮮について「日本の安全に対する重大かつ差し迫った脅威」と言及した。低空を変則的な軌道で飛ぶ短距離弾道ミサイルなどの発射を繰り返しているとして「さらなる挑発行為も考えられる」と分析した。

金正恩(キム・ジョンウン)総書記が2021年、軍事力の強化策のひとつに「戦術核兵器」を挙げたと紹介した。これまでは大陸間弾道ミサイル(ICBM)などに搭載し、相手国の都市などを標的にする威力の高い戦略核を開発しているとみられてきた。

戦術核は核兵器の出力を抑えて敵の軍事拠点や部隊などの攻撃を想定する。「使える核」とも呼ばれ核使用のハードルが下がるという見方がある。ウクライナに侵攻したロシアは戦術核の使用をちらつかせて関係国を威嚇した経緯がある。

核の運搬手段となるミサイルの開発も進めた。白書は22年4月に「新型戦術誘導兵器」と称するミサイル、19年以降は鉄道発射型や潜水艦発射型など多様な形態で短距離弾道ミサイル(SRBM)を撃ったと説明した。

最近の弾道ミサイル発射の特徴も列挙した。①長射程化②正確性や連続射撃能力などの向上③奇襲的な攻撃能力④低高度で変則的な軌道⑤発射形態の多様化――の5つだ。

長射程化を巡っては22年3月に発射したICBM級の射程が1万5000キロメートルを超えうると記した。米国全土に届く。通常より高い角度で迎撃が困難になる「ロフテッド軌道」も目立つ。

防衛省によると北朝鮮は22年に推定を含めて28発以上の弾道ミサイルを撃った。すでに年間の過去最多を記録した。

ミサイル技術が高まれば海上のイージス艦と地上の地対空誘導弾パトリオットミサイル(PAC3)の二段構えでの迎撃は難しくなる。

政府は「反撃能力」の保有を検討する。日本を攻撃すれば反撃されると思わせることで抑止力を高める。ほかに手段がない条件下では「自衛の範囲に含まれ、基地をたたくことは可能だ」と解説した。

【関連記事】

・ロシア「緒戦」に3つの敗因 航空優勢確保せず
・中国、27年までに核弾頭700発 国防費は30年間で39倍

ニューズレター https://regist.nikkei.com/ds/setup/briefing.do?n_cid=DSREA_newslettertop 』

クリミア情勢、不安定に ロシア軍弾薬庫でも爆発

クリミア情勢、不安定に ロシア軍弾薬庫でも爆発
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB1758D0X10C22A8000000/

『ロシアが2014年に一方的に併合したウクライナ南部クリミア半島の情勢が不安定化してきた。9日のロシア軍航空基地に続き、16日には北部ジャンコイのロシア軍弾薬庫で大規模な爆発が発生した。ウクライナ側の攻撃とみられ、ロシアの補給網や出撃拠点をたたくことで戦局を打開する狙いがありそうだ。ロシア側が強力な報復行動に出る恐れもある。

【関連記事】

・ゼレンスキー氏「ロシア軍施設近づくな」 占領地住民に
・国連総長ウクライナ入り ゼレンスキー氏と会談へ

ジャンコイでは弾薬庫で爆発があったほか、変電所で火災も発生した。ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は16日、SNS(交流サイト)で「(クリミアの)非武装化の活動を行っている」と投稿し、爆発は同国軍による攻撃だったと示唆した。

ロシア国防省は爆発の原因を「破壊工作」とし、ウクライナ側の攻撃との見方を示した。クリミアでは、9日に西部のロシア軍航空基地で爆発が起きたばかりだった。

ウクライナのゼレンスキー大統領は16日夜のビデオ演説でクリミアや東部ドンバス地方などの占領地域の住民に「ロシア軍の施設に近づかないでほしい」と呼びかけた。

クリミアの奪還に向けて新たな諮問機関を設置したことも明らかにした。ウクライナが同地域を取り戻す世論形成へ向け、21年に創設した国際枠組み「クリミア・プラットフォーム」と連携して活動を行う予定という。

同枠組みは17日、オンラインで23日に開催する会合に、岸田文雄首相を含む主要7カ国(G7)の3首脳が参加すると発表した。

ゼレンスキー氏は2月の侵攻開始前の状態までロシアを撤退させれば「ウクライナ側の勝利」だと以前は語っていた。今月9日のビデオ演説では「戦争はクリミアで始まった。それはクリミアの解放で終わらなければならない」と奪還への決意を語った。

侵攻当初、南部へルソン州、原子力災害のリスクが懸念されるザポロジエ原発などを制圧したのはクリミアから向かった部隊だった。

ウクライナ軍はへルソン州などの奪還を優先しており、補給ルートなどを攻撃している。さらにクリミア内のロシア軍施設を攻撃することで、補給や増援の能力を低下させて戦局を優位に動かす狙いがありそうだ。

一方、ロシアのプーチン大統領にとってクリミアへの攻撃激化は看過できない事態だ。同氏は当時国民の大多数が支持した14年の併合を自身の大きな功績と位置づけており、クリミアを「聖なる地」と呼ぶ。

クリミアは1954年にソ連最高指導者のフルシチョフがウクライナへ移管した。ウクライナで親欧米派による政変で親ロ派政権が倒れると、ロシアはクリミアに侵攻。住民投票を経て併合した。ロシア黒海艦隊の主力基地があり軍事的な要衝でもある。

ロシアのメドベージェフ前大統領は7月、クリミアにウクライナ側の攻撃があった場合、「終末の日が訪れる」と述べていた。

【関連記事】

・クリミア爆発、ウクライナ精鋭部隊が関与か 米紙報道
・ロシア軍の航空部隊能力が低下 クリミア基地爆発で
・クリミアのロシア基地爆発、軍機破壊 衛星画像が示す
・黒海艦隊で新司令官就任か ロシアメディア報道

ニューズレター
多様な観点からニュースを考える

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

鈴木一人のアバター
鈴木一人
東京大学 公共政策大学院 教授
コメントメニュー

分析・考察

現在起きているクリミア半島の軍事拠点に対する攻撃は、クリミア半島の奪還に向けてというよりは、南部における攻防や黒海におけるロシア軍の優位性を奪い、より戦いを優位に進めていくための措置。ここでいくつかの拠点を叩いただけではクリミア半島は奪還できない。まずはクリミア半島の付け根にあるヘルソン州を奪い返すことが重要で、そのための攻撃と見るべきだろう。メドベージェフが言っている「終末の日(≒核兵器の使用)」というのはいつもの脅しなので、気にする必要はないと思われる。
2022年8月18日 1:23 』

秋葉国家安全保障局長 中国 楊氏と会談

秋葉国家安全保障局長 中国 楊氏と会談 台湾情勢めぐり7時間
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220818/k10013776501000.html

『台湾海峡の緊張が高まる中、秋葉国家安全保障局長は、中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員と17日夜遅くまで、7時間会談し、中国の軍事演習に抗議するとともに、地域の平和と安定の重要性を重ねて伝えました。

台湾海峡をめぐっては、アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問に反発した中国が大規模な軍事演習を行うなど緊張が高まっていて、発射された弾道ミサイルの一部が日本のEEZ=排他的経済水域の内側に落下するなど、日中関係にも影響が及んでいます。

こうした中で、秋葉国家安全保障局長は、中国側の招請に応じて、きのう午後、北京に隣接する天津で、中国の外交を統括する楊潔※チ政治局委員と会談しました。

会談は、17日夜遅くまで、7時間に渡りました。

この中で秋葉局長は、最近の台湾情勢について、中国による大規模な軍事演習を非難し、抗議するとともに、台湾海峡を含む地域の平和と安定の重要性を重ねて伝えました。

一方で、両氏は、日中国交正常化50周年の節目を来月控えていることも踏まえ、両国間の重層的な意思疎通が重要だという認識で一致しました。

そして、対面による対話が価値あるものであることを再確認し、両国の「建設的かつ安定的な関係」の構築に向けて対話を継続していくことで一致しました。

※チ=竹かんむりに褫のつくり。』

サウジアラビアはバイデンより習近平を歓迎か?

サウジアラビアはバイデンより習近平を歓迎か?
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20220817-00310767

『先月のバイデン訪問に冷淡だったサウジアラビアは今、コロナ発生以来、初めて国外に出る習近平の訪問に熱狂しているという。中東における米中覇権の火花を利用したサウジの外交。軍配は誰に上がるのか?

◆ガーディアンが伝えるサウジアラビアの熱狂的な習近平歓迎ムード

 8月11日のイギリスのガーディアンは、<中国の習近平国家主席は来週サウジアラビアを訪問する予定>というタイトルで、サウジアラビアにおける習近平訪問の熱狂的な準備作業を伝えている。

 それによれば、中国の習近平国家主席は来週サウジアラビアを訪問する予定で、2017年5月にドナルド・トランプが大統領として初めての海外出張でサウジアラビアを訪問した時に匹敵する盛大なレセプションの計画が進行中とのこと。

 今年7月15日にバイデン大統領がサウジアラビアを訪問した時とは比較にならない盛大さで、なんでも首都リヤドなどの主要都市では、何千もの中国の紅い国旗を掲げ、何百人もの高官が習近平を受け入れる計画が進行中のようだ。

 バイデン大統領がサウジアラビアを訪問した時などは、事実上のサウジアラビア王国の指導者ムハンマド・ビン・サルマン皇太子との間の個人的な嫌悪感を反映して、険悪なムードが漂っていた。しかし習近平は北京とリヤドの絆を強化し、ワシントンとの関係が漂流し続ける中、サウジアラビアの同盟国としての中国のイメージを強化することを意図した破格の歓迎を受けることが期待されるという。

◆サウジアラビアが習近平に訪問を依頼したのは今年3月

 一方、アメリカのメディアPOLITICOは8月16日、The Jerusalem Postの報道を引用しながら<習近平のサウジアラビア訪問はリヤド-ワシントンの緊張を利用しようとしている>というタイトルで、習近平のサウジアラビア訪問予定を分析している。

 その中で興味深いのは、サウジアラビアは今年3月に習近平がサウジアラビアを訪問するよう招聘状を出していることに注目している分析だ。

 アメリカのメディアTHE WALL STREET JOURNALは今年3月14日、<サウジアラビアは、米国との関係が緊張する中、中国の習近平を王国訪問に招待>というタイトルで習近平のサウジアラビア訪問要請を伝えている。

 習近平がすぐには応じていないのを見て、少しでも先んじてと動いたのがバイデンだとPOLITICOは分析している。しかしバイデンは「招かざる客」。石油の増産を頼みに行ったが、断られている。

 それどころか、8月3日には、サウジアラビアの国営石油会社アラムコは、中国の国営大手シノペック(中国石油化工集団公司)と広範な石油関連協力事業に関する覚書を交わしている。まるで、「われわれには中国という大国が付いているんだぞ」と、バイデンに見せつけているようだ。

 このような流れの中での習近平のサウジアラビア訪問。

 中国はギリギリまで日程を明かさないので、何とも言えないが、近日中に習近平がサウジアラビアを訪問する可能性は非常に高いと言っていいだろう。

◆最後に笑うのは誰か?

 さて、サウジアラビアを巡るこの訪問劇。最後に笑うのは誰なのだろうか?

 アメリカのエネルギー情報局(EIA)の2020年データによると、下図のごとく、サウジアラビアの輸出原油の26%が中国への輸出となっている。

アメリカのエネルギー情報局のデータに基づき筆者作成

 つまり、サウジアラビアにとって、中国は最大の石油輸出相手国なのである。

 習近平政権になってから、サウジアラビアと中国との結びつきは強化され、2016年には「安定した長期エネルギー協力」に基づき、「戦略的パートナーシップ協定」を締結し、今では中国にとって最大の石油輸入相手国はサウジアラビアで、2020年における二国間貿易は652億ドルとなっている。それに比べてアメリカとサウジアラビアとの二国間貿易は197億ドルだったとのこと。

 習近平はまた2021年、サウジアラビアを中国とロシアが主導する地域安全保障および開発の枠組みである上海協力機構の対話パートナーとなるよう誘っている。

 拙著『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』の「第二章四【経熱】――対露SWIFT制裁は脱ドルとデジタル人民元を促進する」でも詳述したように、中東諸国と中国の接近は熱く、サウジアラビアがこのような方向で動くということは、他の中東諸国も米中との間で類似の方向に動くことを示唆しており、バイデン政権はその方向への傾注を加速させているように思われる。

 もっとも、イランなど極端な反米諸国を除いて、サウジアラビアなどが完全にアメリカから離反するかというと必ずしもそうではなく、漁夫の利を得るべく、「人民元による石油取引をする」と声高に言いつつも、そのスローガンを、自国を利するための手段としているという側面も完全には拭えない。

 少なくともバイデンの大統領としての支持率は低迷しており、そもそも11月のアメリカにおける中間選挙で政権与党の民主党は負けるだろうという観測が多い。トランプ前大統領はFBIにより家宅捜索を受けている。アメリカは分裂してしまいそうで、気がかりだ。

 トランプが持ち出した機密資料の中には、金正恩やプーチンへの「熱い思い」を込めた会話や通信の記録があると一部で言われているが、トランプが大統領を継続していれば、少なくともウクライナ戦争は起きなかっただろうから、世界はここまで「アメリカの戦争ビジネス」のために消耗しなくて済んだだろう。アメリカ・ファーストでも、アメリカが強ければ、「習近平は最後には笑えない」。

 しかし、トランプはもう戻ってこられそうにもないし、バイデンが狂わせた世界の時計の針を逆戻しすることもできない。

 となると、やはり最後に笑うのは習近平か、それともサウジアラビアに代表される中東諸国なのか・・・。

 いずれにせよ、近い内に実現するであろう習近平のサウジアラビア訪問のゆくえを注視したい。
遠藤誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。日本文藝家協会会員。著書に『もうひとつのジェノサイド 長春の惨劇「チャーズ」』、『ウクライナ戦争における中国の対ロシア戦略』、『 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。』

民衆に対するプロバガンダは、日常から始まる。

民衆に対するプロバガンダは、日常から始まる。
http://blog.livedoor.jp/goldentail/archives/29444351.html

『 銀河英雄伝説という小説をご存知だろうか。田中芳樹氏による、あきらかに共和制体制国家をモデルにした自由惑星同盟と、独裁帝国体制国家をモデルにした銀河帝国の星間戦争を描いた作品です。単にドンパチを描いた作品ではなく、それぞれの社会制度が生み出しやすい膿を、群像劇として描く事で、人類史における戦争と社会というものをテーマにした叙事詩的作品です。1982年に第一巻が刊行され、本筋の10巻の他にも複数の外伝も刊行されています。最近、増刷が100を越えて、数十年に渡って愛読者を生んできた人気の作品です。

その小説の中で、若き英雄にして才気に溢れるラインハルト・ローエングラムが、合法的な皇位の簒奪を企む場面があるのですが、それに呼応する形で、帝国の圧政から逃れて銀河の反対側に共和制国家を築いたはずの自由惑星同盟側で、いわゆる「狡猾な部下に国家を乗っ取られた王子が、紆余曲折の末に、王位を取り戻す」的な、中世騎士物語のようなドラマや出版物が大量に世の中に流布される様子が描かれています。

これは、両者を手玉にとって漁夫の利を得ている商業国家のフェザーン自治領が、両勢力のバランスを保つ為に、既に没落が見えたゴールデンバーム家の皇嗣を、そもそも敵勢力であった自由惑星同盟内に亡命政府を樹立し、生き長らえさせる事で、帝国を牽制しようとして意図的に画策されたプロバガンダでした。

もともと、帝国の圧政から逃げてきた人達なのですから、心情的に抵抗があるのは見えているので、いわゆる「悪い部下に裏切られた、正義の王子が王位を取り戻す」的なメロドラマを流行らせて、忠臣とか騎士道みたいな価値観を煽り、自由惑星同盟内に、皇位を追われた皇嗣に対する同情と受け入れをさせる為の下準備だったわけです。

安っぽい話ですが、実は安っぽい感動というのは、流行る流行らないで言うと、バリューゾーンです。この手の安っぽい感動しか理解できない層もいます。何せ、アニメですら、言葉を省いて、身振りや演技で表現しようとすると、「不親切」とか言われて、言葉で「説明」する事を求められる時代です。目で演技できる役者が日本で育たないのは、全部セリフにして説明しないと、「不親切」と言われてしまうからです。なので、日本の箱が埋まる映画は、スッカスカの作品ばかりですが、興行的には正解なのです。お客が入るのですから。

プロパガンダというのは、街宣右翼のような判り易い形ではなく、頭の回る人間は、社会に空気を造成するところから始めます。つまり、メディアや小説・娯楽に、特定の価値観を賛美するように仕向けるのですね。それによって、社会に特定の事に対して、偏った価値観を植え付けます。

この視点で展望すると、ロシアのウクライナ侵攻の空気は、既に2010年あたりから始まっていたと言えます。何があったかと言うと、「スターリンの自国民虐殺は嘘だ」とか「ある朝目覚めたら、ロシア帝国の皇帝ニコライ2世に転生していた男が、ロシア革命を阻止して、世界の一大帝国皇帝として君臨する」とか、「過去に飛んだタイムトラベラーが、ヒトラーの体に乗り移って、イギリスのチャーチルを打倒し、ロシアと共闘してアメリカを打倒する」といった、異世界転生とも歴史修正とも言える小説が、大量に出版されました。

つまり、「本当のロシアは偉大で、世界を支配する資格がスラブ民族にはある」という価値観を、今から10年以上前から流布させていたという事です。その為、情報統制されて、都合の良い情報しか報道されないモスクワの市民の中には、「ロシアがウクライナ軍を蹴散らして、快進撃をしている」と本気で信じている頭の弱い人が、そこそこの人数います。良くありがちですが、彼らはスラブ民族に生まれただけで、周りに対して優生であるとナチュラルに信じているので、えらい差別的な行動を取ります。自分の出生という、自身の努力が欠片も必要も無い事を誇りにするのは、国粋主義者の定番です。

彼らの歪んた視点で見ると、他国がロシアを批判するのは、優秀なスラブ民族と、優れたロシアに対して、嫉妬しているのだという事になります。実際には、ロシアの軍事技術の殆どを担っていた、ウクライナ人に対して、羨望の気持ちを持ち、暴力で支配したいと思っていたのはロシアの方です。

何しろ、旧ソ連時代から、原子力発電所の運営、戦闘機・空母・潜水艦の設計・製造など、軍需産業の核技術は、殆どがウクライナでしたし、メンテナンスができるのもウクライナでした。中国自慢のステルス戦闘機も、設計はウクライナですし、中国初の空母になる「三東」を「鉄クズ」として売却したのもウクライナです。それと、ヨーロッパのパン籠と呼ばれる豊かな穀倉地帯を、手に入れて、自分達の好きにしたいという願望ですね。まぁ、ウクライナも汚職が蔓延していなければ、技術立国が可能な、非常に技術のある国なのです。溶接一つにしても、ウクライナにメンテナンスしてもらわないと、品質が維持できない製品が中国にはあります。特殊溶接になりますが、潜水艦や船舶では、重要な技術です。

プーチン大統領が、侵攻前に言っていたように、圧倒的なスピードと規模でウクライナを制圧していれば、問題は無かったのですが、中国がロシア支援を躊躇する理由の一つが、ここにあります。つまり、ウクライナがロシアに併合されず、国家として残った場合、中国との関係が拗れて、国内の軍備のメンテナンスが不可能になる可能性すらあるという事です。なので、ウクライナと決裂するところまで、関係を悪化させたくないのですね。なので、全面的にロシア支援はできない状態です。心の中では、習近平氏は、プーチン氏に毒づいていると思います。ウクライナが片付いたら、台湾を殺るつもりだったからです。恐らく、その時のロシアの全面支援の約束まで、オリンピックの時の会談で取り付けていたのでしょう。ロシアが思いの外、弱かったので、予定が全て崩れてしまいました。

日本でも、「実は~の真実は、~だ」とか、陰謀論丸出しの出版物が出ていますが、自分が日本人である事ぐらいしか自慢に思えないメンタルの連中が喜びそうなヨタ話が、堂々とメディアに登場してくるようになると、某かの勢力の意図を疑うべきです。自分で情報を精査する習慣の無い人間が、そういう情報に触れると、心の気持ちの良さで、信じたい事を信じるからです。狂信というのは、「自分のステージが上がった」というような優越意識を感じる事ができるので、油断していると、想像以上の早さで世論として力を持ちます。これは、頭の良さとは、ある意味別の話で、アジアの共産国の自国民虐殺行為が、海外留学でフランスあたりで共産思想を学んだ、インテリ革命家によって行われた事でも判ります。狂信にIQは関係ないのです。』

中国 「北戴河」終えて3期目に向かう習主席

中国 「北戴河」終えて3期目に向かう習主席 経済は中長期的に成長率減速 愛国主義過熱の懸念も
https://blog.goo.ne.jp/azianokaze/e/7699b98d638016260594d1a1ea27f51d

『【中国人が日本の浴衣を着ただけで「騒ぎを起こし、秩序を乱した」】
いささかうんざりする話。

****拘束の理由「浴衣だから」 警察が女性を連行…中国****
中国にある日本を再現した飲食店街で起きた出来事が、今、物議を醸している。

警察「中国人としてどうなんだ! 君は中国人なんだぞ!」
中国・蘇州市の日本の飲食店などが多く並んでいる繁華街で、ピンクの浴衣を着た中国人の女性が警察に詰め寄られた。

女性「写真を撮りに来ただけです」
警察「中国の服を着ていれば何も言わない。君が着ているのは日本の浴衣じゃないか!」

「浴衣を着ている」という理由で、怒鳴りつけられた女性。このあと、警察に連行された。
どんな罪を犯したというのだろうか。

女性「理由は何ですか?」
警察「騒動挑発罪だ! わかったか!」
浴衣を着ていただけで、「騒ぎを起こし、秩序を乱した」という。女性は警察に5時間拘束され、浴衣も没収された。【8月17日 FNNプライムオンライン】

*******************

日中関係は政治的にいろんな課題・難題もある一方で、経済関係など互いを必要としている面もあり一定の配慮がなされることも。
中国国民の間に根深い反日感情はありますが、コロナ前の往来が盛んだった頃には日本の優れた面に目を向ける動きも。

そうしたなかにあっても、日本の浴衣を着てるだけで「騒ぎを起こし、秩序を乱した」と決めつけられるというのは暗澹たる気分にもなります。

“インターネット上には「和服がダメなら、洋服は何の罪になるんだ」と女性を擁護する書き込みが目立つ一方、「公共の場での和服着用は規制しなければ」と当局を支持する意見もある”【8月16日 読売】

“根深い反日感情”の残滓か、あるいは、“中華民族の偉大な復興”“中国の夢”を語る習近平主席のもとで強まる民族主義・愛国主義のなせるわざか。

【「北戴河会議」を終えて、習主席は3期目に向けて足固めか】
河北省の避暑地に中国共産党の現役、引退幹部らが非公式に集まり、重要方針や人事の調整が行われる「北戴河(ほくたいが)会議」が終了したようです。非公式ながらも国の方針を決定する最重要政治イベントです。

****習氏が地方視察 「北戴河」終えて党大会モードか****

中国国営新華社通信は17日、習近平国家主席が16日に東北部の遼寧省を視察したと伝えた。河北省の避暑地に中国共産党の現役、引退幹部らが非公式に集まる「北戴河(ほくたいが)会議」が終了したとみられ、習氏は今後、秋頃に開かれる党大会に向けて公的活動を再開させた形だ。

習氏は、遼寧省錦州市の森林公園などを視察した。自身が掲げる格差縮小を目指すスローガンである「共同富裕」について触れ、「中国式の現代化とは、人民全体が共に豊かになることだ」と強調。自身の政策を強調し、今後にも意欲を示したとみられる。

党序列2位の李克強首相も16日、南部の広東省深圳(しんせん)市で経済政策に関する会合を開いたと新華社が伝えている。習氏ら党最高指導部メンバーに関して目立った動静が半月程度伝えられていなかったため、16日までに北戴河会議が終了したと受け止められている。

北戴河会議は正式な会議ではなく、内容のみならず開催したかどうかさえ公表されない。会議では、党内の意見調整を行っていると指摘される。

習氏は、党大会で最高指導者として異例の3期目入りを目指しており、人事などの根回しが水面下で進められた可能性がある。【8月17日 産経】

********************

“内容のみならず開催したかどうかさえ公表されない”イベントですから、どういう話し合いがなされたかは一切わからず推測するしかありません。

最近、“ゼロコロナ政策”の維持に寄って経済が停滞し、一分には“李昇習降”といった動きもあるとも言われていましたが、習近平主席が“身の政策を強調し、今後にも意欲を示した”というあたり、習主席は無難に「北戴河会議」を乗り切り、3期目に向けて足固めを実現したと見るべきでしょうか。

“ペロシ米下院議長の台湾訪問に軍事的威圧などで強い姿勢を示した政権の評価は高まっており、秋の共産党大会で3期目を見据える習氏に追い風が吹いている。”【日本メディア】とも。

習主席主導で、党大会で読み上げられる政治報告の起草も水面下で進んでいるとも報じられています。

【経済的には中長期的に減速マイナス要因】

政治的には秋の党大会で3期目を実現し、長期政権を見据える習主席ですが、経済的には足元の“ゼロコロナ政策”の影響だけでなく、中長期的に見ても、今後厳しい局面が予想されています。

****中国の高度経済成長、予想より早く終わる可能性****

1.高度成長時代の終焉を迎えている可能性

(中略)そして今、いよいよ高度成長時代の終焉を迎えようとしている。(中略)1978年の改革開放政策開始後、年間成長率が5%を下回ったのは天安門事件の1989年(4.2%)と翌年の90年(3.9%)しかなく、2020年(2.2%)はそれ以来初めての5%割れである。

そして今年も5%に届かず、4%程度の成長率となる見通しである。広い意味で高度成長と言えるのは実質成長率が平均的に5%を上回る期間と考えれば、中国経済は2020年を境にすでに高度成長時代に終わりを告げた可能性がある。(中略)

まだ高度成長時代の終焉が確定したわけではないが、中国経済の局面が変化したと感じさせるいくつかの要因が生じている。以下ではその点について整理してみたい。

2.足許の成長率を低下させた短期的要因

高度成長期と安定成長期の一つの大きな違いは期待成長率の差である。人々が常に5〜10%の経済成長を実現できると信じていれば、それに合わせて生産、投資、雇用などの計画を立てる。

しかし、成長率が5%に達しないという期待が広く共有されれば、生産計画は縮小し、投資規模も抑制され、賃金上昇率も低下し、購買意欲も低下する。こうして経済は安定成長期に入る。

2020年以降の成長率の低下の原因が、短期的な特殊要因であれば、その要因が解消するとともに、再び5%台の成長に戻る可能性が高い。

そうした観点から足許の経済下押し要因を見ると、短期的な特殊要因であると考えられるものが2つある。

1つ目は、ゼロコロナ政策の有効性低下と経済への悪影響のリスクの高まりである。(中略)

2つ目は、若年層の失業率の増大である。

全体の失業率は2022年4月に6.1%に上昇したが、6月には5.5%に低下した。しかし、16〜24歳の若年層の失業率は6月に19.3%に達した。

これは、第1に今年の大学卒業者数が1076万人と昨年に比べて一気に167万人も増加したこと。第2に大卒者に人気があるIT、教育、不動産など比較的賃金が高い産業が、昨年の政府の締め付け強化などの要因から業績が悪化し、リストラが続いていること。第3に、経済の先行きに対する不透明感の強まりから、企業の採用姿勢が慎重化していることなどが影響した。

以上2つの経済下押し要因は、いずれも短期的な特殊要因であるため、コロナに対する有効な対策の導入や大卒者の雇用機会の確保が実現すれば、下押し圧力が弱まる可能性が高い。

ただし、これらが短期的要因であるにもかかわらず、こうした問題が再び繰り返されるのではないかという不安を抱く人々が増えているという話を聞くことが多い。

これは中国国民が高度成長時代には当然のように共有していた経済のレジリアンスに対する自信がやや後退していることを反映していると解釈することもできる。

3.中国の成長率を押し下げる中長期要因

中国経済の局面が変化したと感じさせる要因の中には、短期的な特殊要因とは言えないものが含まれており、しかもそれぞれが相互に関係し合っている。具体的には以下のとおりである。

第1に少子高齢化の加速。

(中略)従来人口のピークは2028年と予想されていたが、2022年がピークとなる可能性が指摘されている。経済活動への影響が大きい生産年齢人口(中国の定義では15歳以上60歳未満)は2011年の9億4072万人をピークに緩やかに減少し始めており、2020年代後半に減少が加速する見通しであることは従来から指摘されていた。

第2に都市化のスローダウン。

北京、上海、広州、深圳などの1級都市やそれに準ずる2級都市への人口集中は今後も続くが、3〜4級都市の多くは人口流入による人口の増加が期待できなくなっている。

第3に大規模インフラ建設投資の減少。

特に中央政府が不良債権増大リスク抑制のために公共事業の審査基準を厳しくしていることが、この傾向を加速している。

第4に不動産市場停滞の長期化。

これは中央政府の不動産投機抑制策の強化が直接的要因である。それに加えて、人口減少予想や都市化のスローダウン予想などが将来の不動産需要下押し要因として意識されていることも影響している。

不動産市場の停滞長期化は、財政面では、地方財政の財源難と中央政府の負担増大をもたらす。金融面では、地方の中小金融機関の不良債権問題を引き起こし、破綻金融機関救済のための各種金融・財政負担が増大する。

第5に米中対立の長期化。

中国マクロ経済への直接的な影響はそれほど大きくないが、経済人に与える心理的影響は無視できない。

第6に期待成長率の下方屈折。

上述の要因が合わさって将来の経済に対する期待を弱気化させ、それが企業経営者の投資姿勢の慎重化と消費者の購買意欲の低下を招く。

第7に以上の要因を背景に成長率が低下すれば、経営効率の低い国有企業の業績が悪化し、中央・地方政府による赤字補填が拡大し、財政負担の増大を招く。

これらの中長期的要因は従来2025年前後から表面化すると予想されていた。しかし、新たな統計データの発表や政府の政策運営の影響などから表面化の時期が3年ほど早まったように感じられる。【8月17日 瀬口 清之氏 JBpress】

*******************

【下支え要因もあって、成長率の低下はいくぶん緩やかなものに留まる】

上記のように中長期的に幾つかのマイナス要因を抱える中国経済ですが、一方で下支え要因もあって、一気に崩壊するといったことは考えにくく、“成長率の低下はいくぶん緩やかなものに留まる”とのこと。

*****中国経済の下支え要因****

以上のマイナス要因しかなければ中国経済の成長率は今後急速な低下を余儀なくされるはずである。
しかし、次のような下支え要因も存在するため、成長率の低下はいくぶん緩やかなものに留まると考えられる。

第1に外資企業の対中投資拡大の持続。

中国国民の急速な所得水準の上昇とともに高付加価値製品の需要が拡大し、中国国内市場の魅力はますます増大しつつある。

加えて、内需の伸び鈍化を懸念する中国政府が、優良外資企業に対する誘致姿勢を一段と積極化し、手厚いサポートを提供することも外資企業の投資拡大にとって追い風となる。
このため、グローバル市場で高い競争力を持つ日米欧主要企業の大部分は中国市場での積極姿勢を変えない方針。

第2に中国企業の国際競争力の増大。

大学卒業者数の急速な増加により高学歴人材が大幅に増加しつつある。こうした豊富な高学歴人材の支えを背景に、EV、リチウム電池、太陽光パネル、半導体、PC、スマートフォンなどの分野における中国企業の競争力が着実に向上してきている。今後も中国企業が優位性を持つ産業分野の拡大が続くことが予想される。

第3にアジア域内の発展途上国との経済交流の増加。

中国はこれまで一帯一路政策を強力に推進し、周辺の発展途上国、特にアジア域内の連携を強化してきた。

今後、中長期にわたり、ASEAN(東南アジア諸国連合)およびインドの長期的な経済発展が続く見通しであることから、それらの国々と中国経済との相互連携は一段と深まり、水平分業などの協力関係がさらに拡大していくことが予想される。

第4に大規模な不良債権問題の回避。

中国は日本の不動産バブルの経験を深く研究し、リスク回避のための政策を積み重ねてきた。その成果は1〜2級都市の不動産市場における投機抑制策の成功といった形で表れている。

こうした状況から見て、日本の1990年代のようなバブル経済崩壊に伴う国家経済全体の長期停滞は回避できる可能性が高いと見られている。

 以上の要因から見て、2020年代に中国の経済成長率の低下が続く局面においても、日本および世界の企業にとって中国市場の魅力が急速に低下する可能性は低いと考えられる。(後略)【同上】

**********************

【若年層の失業率の増大が好戦的愛国主義を加速させ、政権が十分にコントロールできなくなる懸念も】

ただ、上記記事では短期的な特殊要因とされている若年層の失業率の増大ですが、この世代は「中国文明は世界で一番優れている」と信じ、ナショナリズムの傾向が強い世代でもあり、雇用不安によって好戦的愛国主義となって政権のコントロールが効かなくなる懸念もあります。

****1500万人の若者が失業…中国の建国以来の雇用危機が「日本有事」に繋がる根拠****

(中略)中国政府がペロシ氏の訪台を阻止するための措置をとらなかったことへの不満が噴出するという異例の事態になっている。ネット空間では「あまりにも恥ずかしい」「メンツが丸つぶれじゃないか」とのコメントが飛び交っている。

昨年9月の米国のアフガニスタンからのぶざまな撤退ぶりを目の当たりにして、多くの中国人は「現在の米国なら台湾を見捨てるだろう。千載一遇の好機が訪れた。台湾侵攻は間近だ」と考えるようになっており、今回の中国政府の弱腰ぶりに大いに怒っている。

こうしたネット世論を気にしてか、中国外交部は定例の記者会見の場で「中国人民は理性的に国を愛する(理性愛国)ものだと信じている」と述べているが、中国国民の愛国感情をあおり立ててきたのは、他国を攻撃的な言葉で厳しく非難する「戦浪外交」を展開してきた外交部自身に他ならない。

中国では今、ナショナリズムが猛烈な勢いで台頭しているが、ナショナリズムの風潮が強まったのは1990年代からだった。ソ連崩壊により「共産主義」という統治の根拠を失った中国政府が国民の支持を取り付けるためにナショナリズムを利用したのが始まりだ。中国のナショナリズムはリーマンショック後に中国が世界経済を牽引するようになると攻撃的なものに変わり、2012年に誕生した習近平政権が「中国の夢」を語るようになるとその傾向はさらにエスカレートした。

中国のナショナリズムは政府に奨励されてきたが、最近では国民の方が過激になっており、皮肉にも政府は自らつくりだしたナショナリズムを制御できなくなっている。

経済に赤信号

「弱り目に祟り目」ではないが、中国政府にとって頭が痛いのはもう一つの正統性の基盤である「経済の順調な発展」に赤信号が点滅していることだ。(中略)

そのせいで中国政府が掲げる経済成長目標(5.5%前後)の達成は不可能になっており、雇用環境はかつてないほど悪化している。(中略)

気がかりなのは「中国文明は世界で一番優れている」と信じ、ナショナリズムの傾向が強い若者の雇用危機が深刻なことだ。

16歳から24歳までの都市部失業率は6月、過去最悪の19.3%にまで上昇し、約1500万人の若者が失業している。今年大学を卒業する1100万人のうち、4月半ばまでに就職先が決まったのはわずか15%にとどまっているという有様だ。

若者は今のところ目先の就職活動に必死で政府への不満を口にすることは少ないようだが、この状況が今後も変わらないという保証はない。

歴代の中国政府にとっての最優先の政策課題は雇用の確保だった。(中略)だが、現在の政府に打つ手は限られている。これまでに膨大なインフラ投資を行ってきた反動で財政金融政策の効果は激減している。2001年の世界貿易機関(WTO)加盟以来、経済を支えてきた輸出セクターも陰りを見せている。

中国政府は引き続き雇用の確保に尽力するだろうが、これまでのように国民全員に雇用の場を提供することはできなくなっている。中国は建国以来最悪の失業危機に直面していると言っても過言ではない。

日々の生活への不満が高まれば高まるほど、ナショナリズムがショービニズム(好戦的愛国主義)に変質するというのは過去の歴史が教えるところだ。

急速な少子高齢化が進む中国の国力が今後衰退局面に入ったことも要注意だ。衰退期が目の前に近づくと悠長に構えてはいられなくなるため、中国は今後、国際社会との間で深刻な対立を引き起こすとの懸念が生じている。

3期目の続投を目指す習近平指導部は5年に一度の共産党大会を年内に控え「台湾侵攻」というギャンブルに出る可能性は低いとの見方が一般的だが、窮地に追い込まれた中国政府が国民の不満をそらすために対外的な強硬手段に出る可能性がこれまでになく高まっていると言わざるを得ない。(後略)【8月17日 藤和彦氏 デイリー新潮】

****************** 』