東南アジアGDP、4~6月期堅調 下期は物価高で減速懸念

東南アジアGDP、4~6月期堅調 下期は物価高で減速懸念
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGS143S30U2A810C2000000/

『【バンコク=井上航介】東南アジア経済の回復が堅調だ。域内主要国の4~6月期の実質国内総生産(GDP)は軒並みプラス成長を確保した。新型コロナウイルス対策の規制撤廃により個人消費が伸び、外需も堅調だ。ただ、世界的な資源高によるインフレは加速し、2022年通期の予測を下方修正する動きも目立つ。

タイの国家経済社会開発委員会が15日発表した4~6月のGDPは前年同期比2・5%増だった。3四半期連続のプラスで、増加率は1~3月期(2・3%)を上回った。外国人観光客の受け入れが拡大し、飲食・宿泊などのサービス業が回復した。

「国内で最も選ばれるホテルを目指す」。タイの商業施設開発大手のセントラル・パタナのワンラヤー最高経営責任者(CEO)は6月の記者会見でこう力を込めた。同社は26年までに国内27県で37のホテルの開業を目指している。ショッピングセンターも好調で「コロナ後」を見据え先行投資に動く。

域内ではマレーシアが前年同期比8.9%増と最も高い成長率を見せた。GDPの約6割を占める個人消費がけん引。輸出額も6月は過去最高を更新した。ベトナムは前年同期比7・7%増と、四半期としては09年以降で最も高い成長率となった。米中対立や上海のロックダウン(都市封鎖)の影響で、中国の代替地としてベトナムの製造拠点を新増設する動きが続いている。

世界経済が停滞感を強めるなか、下半期は鈍化するとの見方もある。ロシアによるウクライナ侵攻や「ゼロコロナ」政策をとる中国の景気低迷が東南アジア経済の足かせになるとみられるためだ。

エネルギー純輸入国のフィリピンは22年のGDP予測はこれまでの7~8%増から6・5~7・5%増に引き下げた。同国はGDPの約7割を個人消費が占める。生活に直結する食品やエネルギーの高騰が続けば、消費者の購買意欲を低下させかねない。

資源輸出国のインドネシアでもインフレへの懸念は強まっている。7月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比4・9%上昇し、15年10月以来の高水準となった。4~6月期の成長率は5・4%増と堅調だが、通年では従来の4・8~5・5%増から4・5~5・3%増に下方修正した。

米欧の金融引き締めも東南アジア経済の下押し圧力となる。米連邦準備理事会(FRB)は6月に0・75%の大幅利上げを実施した。こうした動きは新興国からの資金流出や現地通貨の下落を招き、インフレを加速させる。東南アジア各国は景気の下支えを優先して低金利を維持してきたが、利上げに追随せざるを得なくなっている。

アジア経済に詳しい第一生命経済研究所の西浜徹主席エコノミストは「今後は物価高と金利高の併存が企業の設備投資や家計の消費意欲を減退させることは避けられない」と指摘する。』