台湾問題、米中対立一段と 米議員団が蔡総統と会談

台湾問題、米中対立一段と 米議員団が蔡総統と会談
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『【ワシントン=中村亮、台北=龍元秀明】米国の議員団が15日、台北市内で蔡英文(ツァイ・インウェン)総統と会談し、中国の脅威を含めた安全保障問題をテーマに意見交換した。議員団は今月上旬のペロシ下院議長の訪台に中国が猛反発する中の訪問を通じ、台湾支援を続ける姿勢を鮮明にした。米中の対話ルートは細り、偶発的な衝突リスクは増しつつある。

議員団を率いる与党・民主党のエドワード・マーキー上院議員は14日、台湾入りした。同氏は上院外交委員会で東アジア政策を統括する立場にあり、バイデン政権のアジア外交に影響力を持つ。

台湾の総統府によると、蔡氏は「台湾と米国は民主主義と自由の価値観を共有する強力なパートナーだ」と語った。中国の軍事演習については「地域の安定と平和を著しく損ねた」と批判した。マーキー氏は「米台の緊密な関係は発展を続けると信じている」と応じ「我々は不必要な紛争を積極的に抑止する義務がある」と強調した。

中国外務省の汪文斌副報道局長は15日の記者会見で、米議員団の訪台に対し「中国は強力な措置を取り、国家の主権と領土の一体性を守る」と述べ、強く反発した。

中国人民解放軍で台湾方面を担当する東部戦区は15日、台湾周辺で軍事演習を実施したと発表した。台湾の国防部(国防省)は15日、同日夕までに中国軍機15機が台湾海峡の事実上の停戦ライン「中間線」を台湾側に越えたと発表した。

ペロシ氏が3日に台北で蔡氏と会談してから、米議員団が台湾を訪れるのは初めて。中国はペロシ氏の訪台に猛反発し、台湾周辺の海域で弾道ミサイル発射を含む大規模な軍事演習を実施した。マーキー氏らの訪問は中国の反発によってかえって米議会の対中姿勢が硬化していることを映している。

米議会の圧力におされる形でバイデン政権も中国との対立の長期化に向けた備えを進めている。米国家安全保障会議(NSC)でインド太平洋調整官を務めるカート・キャンベル氏は12日、中国がペロシ氏の台湾訪問に対して「過剰に反応し、かつてない挑発的で不安定な行動をとり続けている」と指摘。「台湾海峡の平和と安定を危うくしている」と非難した。

地域の平和と安定を守るため台湾支援を継続するとし、台湾との「貿易交渉に関する野心的な工程表」を近く公表すると明らかにした。中国は8月上旬、台湾からのかんきつ類や魚類の輸入停止を発表し、台湾への経済的圧力を強めている。

安全保障面では、米軍は台湾海峡で近く艦船を航行させる方針だ。米マサチューセッツ工科大学(MIT)のテーラー・フラベル教授は「台湾海峡が公海であり、中国に軍事演習を使って台湾周辺の海域を支配させないことを確認する方策だ」と指摘する。

米議会では、台湾との安保・経済面で包括的な協力を盛った「台湾政策法案」の調整に時間がかかっている。8月上旬に予定していた上院外交委員会での審議・採決を見送った。

議会関係者によると、バイデン政権は法案に台湾を「国」として扱うかのような条項があることを問題視している。台湾を不可分の領土とする中国の立場に異を唱えない従来の「一つの中国」政策から逸脱する可能性があるためだ。実際、法案には台湾を「主要な非北大西洋条約機構(NATO)同盟国」に指定し、防衛装備品の共同研究や開発を促す条項がある。議会は9月から法案修正の協議に入る見通しだ。』