逆風鎮められるか バイデン氏、中間選挙へ成果急ぐ

逆風鎮められるか バイデン氏、中間選挙へ成果急ぐ
トランプ氏捜査が変数に
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN1001U0Q2A810C2000000/

『【ワシントン=坂口幸裕】バイデン米大統領は11月の中間選挙をにらみ内外の課題で成果づくりを急ぐ。足元では滞っていた目玉政策の法案を相次ぎ前進させ、物価高などに伴う支持率低迷からの反転攻勢をうかがう。長引く逆風を鎮められるのか。世論の評価が割れるトランプ前大統領の不正疑惑の行方も変数になる。

新型コロナウイルス感染から復帰したバイデン氏は9日、上機嫌な様子でホワイトハウスで演説に臨んだ。「チャック、あなたはとんでもないことをやってのけた。本当によくやった」。隣には民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務ら議会幹部もいた。

7日に上院で可決した再生可能エネルギーの推進などに4330億ドル(約58兆円)を投じる新たな歳出・歳入法案が念頭にあった。家庭の医療費とエネルギー代の削減につながり、最大の懸案であるインフレを抑制できると訴える。

上院は与野党が50議席ずつで拮抗し、民主党から1人でも造反が出れば頓挫する構図にある。当初、バイデン政権は10年で3兆5000億ドルを投じる法案を計画したが、与党議員の反対にあって修正を重ねた末にようやく可決にこぎ着けた。12日に下院でも可決し、バイデン氏の署名を経て近く成立する。

中間選挙まで残り3カ月を切り、バイデン政権に追い風となる材料が重なる。バイデン氏は9日、自身のツイッターに「ここ数日、忙しい日々を送っている」と投稿。「最近10日間」と題して7つの成果を挙げた。

1日には国際テロ組織アルカイダの指導者、ザワヒリ容疑者を無人機攻撃で殺害したと発表。9日には米国内の半導体工場新設を支援するため、生産や研究開発に527億ドルの補助金を出す法律も成立した。

頭を悩ませてきたガソリン価格も下落に転じた。全米自動車協会(AAA)によると、11日の全米平均は1ガロン(3.8リットル)あたり3.99ドル。6月に初めて1ガロン5ドルを突破したが、5カ月ぶりに4ドルを割り込んだ。

呼応して世論調査にも変化の兆しがみえる。米政治サイトのリアル・クリア・ポリティクスによると、11日のバイデン氏の支持率の平均値が2カ月ぶりに40%台を回復した。政党支持率は、2月に4ポイントほど野党・共和党がリードしていたが、11日時点で民主党が0.1ポイント差に迫る。

そこで急浮上したのが米連邦捜査局(FBI)によるトランプ前大統領の邸宅への家宅捜索だった。ホワイトハウスは「司法省は独立して捜査する」(ジャンピエール大統領報道官)などと捜査に関与していないと繰り返す。

一方、トランプ氏に近い共和党議員からは同氏が2024年大統領選に出馬する可能性が高まるとの見方が出ている。中間選挙を前にバイデン政権と対峙する姿勢を明確にし、共和党支持層に結束を促す狙いが透ける。

元共和党下院議員のチャールズ・ブスタニー氏は「民主党が無党派を取り込み、選挙に勢いがつく可能性はある」と指摘しつつ「FBIがやりすぎたとの認識が広がれば裏目に出る事態もあり得る」とみる。

中間選挙まで3カ月のタイミングで持ち上がった機密文書の扱いを巡るトランプ氏の疑惑は選挙戦にどう影響するのか。民主、共和両党とも世論の反応を読み切れずにいる。』