大成建設、スリランカの空港工事中止を協議へ

大成建設、スリランカの空港工事中止を協議へ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC263820W2A720C2000000/

『大成建設はスリランカで手掛ける空港工事について、発注者のスリランカ空港公社と中止するかどうかの協議に入る。国際協力機構(JICA)が空港公社への融資を停止するなど資金調達が難しくなっており、工事を中断して交渉する。政情不安につながったスリランカの経済危機が、日本企業の海外事業にも影響を及ぼし始めた。

両社が協議入りするのは同国最大都市のコロンボ近くにあるバンダラナイケ国際空港の第2期拡張工事だ。地上4階建ての旅客ターミナルビルや高架橋などを施工する予定で、スリランカ空港公社から620億円で2020年3月に受注した。23年ごろの竣工を想定し、工事を進めていた。

このほどJICAが空港公社に対する計700億円超の貸し付けの新規実行を停止した。これを受け、大成建設は工事の一時中断を空港公社に申し入れた。両社は事業継続の可否を協議する。資金調達など状況が好転しない場合、秋にも工事請負契約の解除を大成建設が申し入れる可能性がある。

スリランカでは新型コロナウイルスの発生で観光業が低迷し、外国人観光客の減少により外貨準備高が減少した。かねて経常収支の赤字にも直面していたスリランカ財務省は4月に、経済再建のメドが立つまで対外債務の返済を一時停止すると表明していた。スリランカのメディアによると同国の閣僚は直近、JICA支援による複数の事業停止を表明していた。

物価上昇など経済危機に端を発した抗議活動の激化で、一族で政権の要職を占めてきたラジャパクサ氏が7月に大統領を辞任している。首相などを務めてきたウィクラマシンハ氏が新大統領に就き、国際通貨基金(IMF)などから支援を得ようとしている。

大成建設の手持ち工事を示す22年3月期の単体ベースの繰越高のうち海外工事は2215億円。このうち中止を協議する工事分は数百億円程度とみられる。日本経済新聞の取材に対し大成建設は「個別の工事状況については回答を差し控える」とし、JICAは「貸付先に関する情報は回答できない」としている。

帝国データバンクによると、スリランカに進出する日本企業は22年7月時点で180社。現時点では大きな影響は見られないとしつつも、「政情不安による不安定なビジネス環境の長期化は進出企業の事業戦略に影響を及ぼしかねない」(同社)とする。(田村修吾、ニューデリー=花田亮輔)

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Nikkei Asia https://asia.nikkei.com/Spotlight/Sri-Lanka-crisis/Sri-Lanka-crisis-Japan-s-Taisei-seeks-halt-to-airport-expansion?n_cid=DSBNNAR 』